5806.中国包囲網の完成か?



米国トランプ氏の選挙演説を聞くと、米国は孤立主義になる方向で
、米国の代わりに世界的にのさばるのは、中国になると皆が思って
いた。

しかし、トランプ政権の考えは違うようである。トランプ陣営の防
衛問題上級顧問、アレックス・グレイ氏によると、
「トランプ氏はまず東アジアで軍備を拡張し、中国に対する十分な
抑止力を確立する。レーガン大統領以来の大規模な軍事力増強を図
り、特に南シナ海には中国を圧倒する海軍力を配備する。そのうえ
で、『力の立場』から断固とした姿勢で中国と交渉をする。平和で
自由な国際秩序を乱す行動は一切自粛するように強く求める」
「さらにトランプ氏は日本、韓国、東南アジアの同盟国、友好国と
の間の共同ミサイル防衛網の構築にも力を入れる。そのうえで中国
に交渉を求めて、国際的な規範から逸脱する軍事的・准軍事的な行
動に断固として抗議し、抑制を迫る」
要するに、オバマ政権やクリントン国務長官よりもずっと強い構え
で中国に向かい、中国の好戦的な言動を抑えにかかるという。

このため、ネオコンのジョン・ボルトを外交の中核的なポストに就
かせるようであり、ネオコンの復活が起きることになる。

フリン氏が日本に要求しているのは、防衛費の増額であり、その増
強した自衛隊と米第7艦隊で中国の軍事力を圧倒して、中国が国際
秩序を守るようにすることであるという。

米国は中国の包囲網を築くためにロシアとは友好関係になるという
ことである。独仏は、この構想を受け入れないと、極右政党を勝た
せて、欧州を弱体化させるようである。

しかし、そうすると、軍事費を削減して、社会保障制度を充実させ
ることができずに、貧困層の期待が崩れ、移民禁止も一部しかしな
く、選挙で述べていた演説は何であったのかの疑問が出てくる。

NAFTAも存続のようである。自由貿易的な経済も存続のようである。
トランプ氏の政権というより、共和党主流派の政権という感じにな
り、既存政治エリートと富裕層の政権という感じになってきた。

バノン氏などが中心に組み立てた極右政党的な政策が、結局、何も
計画すらできないことになってしまうようである。

共和党主流派が政権内部で中核的な位置を占め始めている。

トランプ氏の選挙は何だったのか??

疑問符というより、99%の国民を騙して、政権を取ったような感
じになっている。

日本にとっては、中国包囲網完成で願ったり叶ったりの状態である。

さあ、どうなりますか?



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中国を軍事力で抑えにかかるトランプ氏
政策顧問が公表したトランプ氏のアジア政策の中身
2016.11.16(水)  古森 義久
?米国次期大統領に選ばれたドナルド・トランプ氏の日本やアジアに
対する政策はどのような内容となるのか。トランプ氏は、日本の防
衛負担の拡大を求める以外にはほとんど語っていないため、日本側
ではさまざまな憶測が飛び交っている。
?だが、トランプ陣営の正式の政策顧問が、「トランプ氏自身の考え
」としてアジア政策の要点のいくつかを明らかにした。
?米国はドナルド・トランプ新大統領の下で、東アジアにおける中国
の膨張的活動を抑えるために軍事力を増強し、日本との間では特に
共同ミサイル防衛の増強を進める――。
?要約すれば、こんな趣旨となる。そこには日米同盟の堅持や中国に
対する軍事的抑止の強化などが明確に盛り込まれていた。
オバマ政権のアジア政策を批判
?トランプ氏はこれまでアジア安全保障政策について、日本や韓国に
現在以上の防衛負担を求めるということ以外にはほとんど明らかに
していない。
?トランプ氏のアジア政策の指針を初めて明らかにしたのは、トラン
プ陣営の防衛問題上級顧問、アレックス・グレイ氏である。グレイ
氏は選挙投票日直前の11月上旬に米国政府系放送局のVOAのインタビ
ューに応じ、トランプ氏の政策の概要を公表した。
?グレイ氏は2016年8月にトランプ陣営に加わるまで、米国議会下院
の軍事委員長ランディ・フォーブス議員(共和党)の国家安全保障
担当の補佐官を務めていた。特に中国問題に詳しく、上下両院議員
の有志が中国の軍事動向を分析するために結成した「中国議員連盟
」でも政策顧問を務めてきた。
?インタビューの中で、グレイ氏はまずオバマ政権のアジア政策を批
判した。
「オバマ政権はアジアに対して『再均衡』とか『旋回』という言葉
を使い、いかにもアジアへの関与を強化するかのように思われる政
策を掲げてきた。しかし、現実には空軍や海軍の戦力を削減してき
た。中国に対しても、南シナ海での無法な拡張には抗議しても、気
候変動など他の領域では中国との協力を強調するという硬軟織り交
ぜた姿勢をとってきた」
「その結果、日本や韓国など長年の同盟諸国からの信頼を失い始め
た。北朝鮮はオバマ政権の在任中に合計4回の核実験を実行した。ま
た中国は、人工島の埋め立てなどによって南シナ海で一方的に広大
な領土を獲得した。さらに東シナ海では2013年に一方的に防空識別
圏(ADIZ)を宣言した。だが、オバマ政権は断固たる対応措置をと
らなかった。米国の同盟諸国の間では同盟への信頼が揺らぎ、懸念
が増す一方だ」
断固とした姿勢で中国と交渉
?そのうえでグレイ氏は、「トランプ氏の考え」を次のように説明す
る。
「トランプ氏はまず東アジアで軍備を拡張し、中国に対する十分な
抑止力を確立する。レーガン大統領以来の大規模な軍事力増強を図
り、特に南シナ海には中国を圧倒する海軍力を配備する。そのうえ
で、『力の立場』から断固とした姿勢で中国と交渉をする。平和で
自由な国際秩序を乱す行動は一切自粛するように強く求める」
「さらにトランプ氏は日本、韓国、東南アジアの同盟国、友好国と
の間の共同ミサイル防衛網の構築にも力を入れる。そのうえで中国
に交渉を求めて、国際的な規範から逸脱する軍事的・准軍事的な行
動に断固として抗議し、抑制を迫る」
?要するに、オバマ政権やクリントン国務長官よりもずっと強い構え
で中国に向かい、中国の好戦的な言動を抑えにかかるという。そし
て、日本や韓国といった同盟諸国とは軍事力増強を踏まえて絆の再
強化を図るというのだ。
?それなら日本としても歓迎すべきだろう。実際には、トランプ氏の
政策はまだまだ分からない部分が多い。トランプ新政権のアジア政
策がグレイ氏の言葉通りになるのか見守りたい。





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