5781.路面電車と地下鉄が調和したオスロの軌道系交通ネットワーク



路面電車と地下鉄が調和したオスロの
軌道系交通ネットワーク
 
          平成28年(2016)10月10日(月)
          「地球に謙虚に運動」代表仲津 英治

 まず9月23日から発信させて戴いた「ロンドン都市鉄道の拡充、
世界有数の都市交通」に対して寄せられたコメントなどは、
「地球に謙虚に運動」ホームページ・メッセージ欄に掲載させて
頂きました。
 有難うございました。

 さて6月英国へ講演旅行に行くときに、BiomimicryNorway
(ノルウエイ生体工学研究所)の所長のMichel Wolfstirn
(ミケル ヴォルフシュテイルン)教授から、同研究所でも
「自然に学ぶ」というテーマで500系新幹線電車の開発&走行
試験を踏まえた話を聞かせてもらいたい旨、招待E-Mailを受
けました。
 喜んで招待を受けさせて頂くこととし、ロンドンから日帰り
でノルウエイの首都オスロに参りました。ノルウエイは1973
年頃に西独留学中に旅行したことがあり、雪解け水が数百
メートルの高さから直接海に落ちるフィヨルドの光景は今で
も忘れられません。

 もっとも今回はオスロだけで、路面電車と地下鉄に乗る短い
市内観光を致しました。

1.	オスロと空港間の特急列車
 オスロ・ガーデモエン国際空港から、都心のオスロ駅までの
47キロを、ノルウエイ国鉄(NSB)の特急電車が走っており、
僅か20分程度で着きました。かなりの高速(時速160キロ以上
に感じられる)でレールの継ぎ目音も無く、乗り心地も良
かったですね。運賃&料金は170クローネ(1ノルウエイクロネ=
12.7円 2016.10.10)で高目でした。
 しかし空港と都心を高速鉄道で結ぶ交通システムは、世界
中で普及しつつあると感じました。オスロ駅(中央駅)の発車
時刻表を見ますと、1-2分間隔で各方面に列車で出ています。
良く観ると空港と中央駅間は10分ヘッドで結んでいるようです。
 
 ノルウエイは面積が38.5万平方■と、日本より少し大きい
程度ですが、人口は僅かに511万人(2014年)、その中で
首都オスロの人口は66万人(2016年)、かなりの集中度とい
えましょう。しかし人口66万人の首都とハブ空港の間を10分
間隔もの高頻度で電車(特急と快速合わせてと思われる)が
運転されていることには驚きました。

2.	オスロの路面電車(Trams)
 オスロの路面電車は、Wikipedia等によれば、1875年に馬車
鉄道でスタートし、電車化され、1939年にはピークレベルの
ネットワークに達しています。複数の民間会社が競争しつつ、
路線を建設&運営して行ったようです。1975年に全てOslo 
Sporveier= Oslo Public Transport Administration 

(オスロ公共運輸公社)に買収されて今日に至っています。
地下鉄の開業と共に一部路線は廃止され、1979年には一部復活
したりしているようです。
 
 注目すべき点は、人口66万人の都市で地下鉄が整備されても
主要な路面電車のネットワーク(131.4■)が維持されていると
いう事でしょう。人口144万人の大阪市でさえ路面電車の路線
延長はピーク時118■(1944年)でした。

3.	 オスロメトロ 
  地下鉄(ティー・バーネンT-Banen)
 オスロの地下鉄の整備開始は割と遅く、1966年の事でした。
しかし、第二次世界大戦前からLight rail(地下軽便鉄道)の
6路線が整備されており、それらが地下鉄化されたもののようで
す。そしてさらに郊外に延伸されております。今95■のネット
ワークです。
 

 私は、人口66万人の都市でよく地下鉄建設に踏み切ったな、
との印象を持ちました。
 というのは、日本でも人口50万人以上が、地下鉄整備の目安
とも言われていますが、できれば100万人以上の人口集積が欲し
い所です。日本で地下鉄もしくは類似鉄道を有している都市は、
札幌、仙台、さいたま、東京、千葉、横浜、名古屋、京都、
大阪、神戸、広島&福岡の12都市ですが、千葉市(人口97万人、
但し舟橋市など周辺都市を加えれば100万人を軽く超えます)を
除いて、全て人口が100万人以上です。

 地下鉄は路線1■当たり200〜300億円の莫大な建設費が掛かり、
通常建設費の回収は難しいとされております。但し人口が
100万人以上あれば、利用客の運賃負担で、運営費(人件費、
動力費、修繕費等)が賄える可能性があるからです。
オスロ地下鉄のホームページによれば、さらに将来に向け、
路面電車と地下鉄の連携を発展させる改修&拡充計画が構想
されているようです。

4.	オスロ・パス
 オスロ運輸公社は、オスロパスと呼ばれる、ストアード-フェア
-カードを発行しています。地下鉄、市バス、トラムのチケットは
すべて均一料金です。
 24時間券が、290NKOで、円換算すると\3,690になります。乗り
放題ですが、割高の感じがしますね。

カードの種類と料金(2014年)
24時間用: 290 NOK (15歳以下:145 NOK) 
48時間用: 425 NOK (15歳以下:215 NOK) 
72時間用: 535 NOK (15歳以下:270 NOK)
1NOK(ノルウエイクローネ)=12.7円(2016.10.8)

「地球に謙虚に運動」代表



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