トランプ候補の味方にするべき有権者は、白人貧困層と多くのその 他の貧困階層であるはず。 しかし、トランプ候補の経済政策に、貧困層に少しだけでも多くの 分配を与える政策がないことに、ビックリである。支持層の中核の 部分を取り込めないことになる。 トランプ候補は共和党ということで、富裕層の支持も求めているの かもしれないが、反グローバル主義的な経済政策を掲げているので 、それも無理なはずで、このため、ウォール街を敵としているのに 、税制は富裕層に追加の課税もしない。富裕層の税金を削減してい る。 これでは、どこの層を味方にするのか、経済政策だけではよくわか らない。トランプ候補のむちゃくちゃで過激な物言いに共感する一 部の白人貧困層しか味方がいないことになりそうである。 また、TV宣伝費を使わないことで、選挙経費を少なくしているの で、過激な物言いをして、マスコミに取り上げられることで宣伝費 がないことをカバーしようとしているようであるが、それにより共 感を高められずに、反発を招いていると逆効果になる。 トランプ候補に、共和党の金づるカーク兄弟に嫌悪感を抱かれたこ とで選挙活動資金の不足が起き、それをカバーする物言いが、また 、支持率を下げるという悪循環になっている。 次の注目点は、何州を取れるかでしょうね。共和党の多くの知識人 が、トランプ候補から離れクリントン候補を支援すると宣言してい る。 これに比べて、クリントン候補はサンダース氏の支持者を取り込む ために、多くのサンダースの政策を取り込んでいる。という意味で は、貧困層の支持を得られやすいことになる。 クリントンのような貧富の格差を解消する経済政策をトランプ候補 が取らないと、ボロ負けになる。クルーズ氏が地すべり的な負けを 予言したが、それが当たりそうである。 さあ、どうなりますか? ============================== トランプ候補の経済政策、無党派層獲得のカードに? 2016年08月10日 06:00 安田 佐和子 リオ五輪開催中にも関わらず、米大統領選の話題は尽きません。 共和党のトランプ米大統領候補、五輪に注目をさらわれまいとして いるわけではないでしょうが経済政策を発表しました。柱は以下の 通り。 ▽所得税 ・所得税の税率区分を現行の7段階(10%、15%、25%、28%、33% 、35%、39.6%)から3段階(12%、25%、33%※以前の主張であ る最高税率25%から修正)に縮小 ▽法人税 ・現行の35%から15%へ引き下げ ▽相続税の廃止 ・現行は545万ドル以上を対象に40%を設定するも、廃止を目指す ▽養育費への税控除 ・詳細に言及せず その他、引き続き環太平洋パートナーシップ(TPP)の離脱、北米 自由貿易協定(NAFTA)の再交渉、メキシコや中国などの製品への 関税引き上げを主張しました。 民主党のクリントン候補が掲げる税制に関わる主な公約は、以下の 通り。 ▽キャピタルゲイン税 ・保有期間1〜2年と短期の場合は39.6%(※高額所得者の投資収益 に課すメディケア税3.8%を含め43.4%)、現行20%から引き上げ ▽富裕層への増税 ・「公正なる上乗せ税(Fair Share Surcharge)」として、年収 500万ドルの富裕層に4%の所得税を上乗せ ▽相続税対象資産額の引き下げ ・現行の545万ドルから350万ドルへ引き下げ、税率も現行の40%か ら45%へ引き下げ その他では租税回避の抜け穴を防ぎ、高所得層への税控除割合を28 %に設定するといいます。企業には新規採用者あるいは研修者1人当 たりにつき1500ドル相当の税控除を、利益を従業員と分配した企業 にはさらに15%の税控除を付与する方針です。 両者の政策をみると、民主党の候補らしくクリントン氏の政策がよ り富裕層に厳しい内容となっています。どちらの候補の政策が支持 されるのでしょうか。アメリカ人の現状をひも解いて考えてみまし ょう。 現状で無党派層が全米の42.8%、過去最高。 中間所得者層は50%と、1970年以降で最低。 こうしてみると、米大統領選での勝利のカギこそ無党派層であるこ とが分かります。さらに、中間所得者層の減少を受けていかに格差 問題を解消する提案を示すことができるかが運命の分かれ道といっ た状況も浮かび上がります。 報道では、トランプ候補に分が悪い話が再び飛び出しています。経 済政策発表早々に、財政保守派寄りの団体であるタックス・ファン デーションが「トランプ案で向こう10年間で11.98兆ドルの財政赤字 を生む」との分析を弾き出しました。 追い討ちをかけるようにゼーリック元世銀総裁や米国家安全保障会 議の上級アジア部長や東アジア担当大統領特別補佐官を務めたマイケ ル・グリーン氏、元通商代表部(USTR)の代表だったロバート・ゼー リック並びにカーラ・ヒルズ氏、マイケル・ヘイデン米中央情報局 (CIA)元長官などの50名が「トランプ候補に投票しない」との声明 を発表していましたね。 挙げ句の果てには、元CIA職員で下院議員団の政策担当部長を務め、 ゴールドマン・サックスに勤務した経歴を持つエバン・マクマリン 氏(40歳)が無党派として立候補を表明しました。反トランプの拳 を掲げ、「権威主義者」と批判します。こちらでご案内の通り、多 くの州で立候補締め切り期限を過ぎてしまっており、当選の確率は ゼロに等しい。ただし、リバタリアン党のゲイリー・ジョンソン候 補とともに票を分散させるという意味では役に立つ存在と言えそう です。共和党層の間で票が割れてくれるのは、クリントン候補にと っては願ったり叶ったりでしょう。トランプ候補のおかげで自身の メール問題をはじめ数々の疑惑が蒸し返されず、TV広告で批判キャ ンペーンを展開する必要も低下していれば、尚更ですよね。