5734.景気刺激策も限界でどうする



ヘリマネを取ったら、何が起こるのかは、ヘッジファンドの餌食に
なるだけである。円が長期的に大幅下落することが確実になるので
、円からの逃避が起きる。私を含めて日本の投資家も海外に退避す
るしかない。超円安、国債の金利急上昇が起きる。金融引き締めと
いうことになる。このため、ヘリマネと思われることはできない。

このため、政府が赤字国債を大量に発行して、それを日銀が引き受
けることができない。国債を市中で売ることになる。

しかし、国債の引き受け手である日本の銀行はマイナス金利で国債
を持つことを嫌っている。その引き受け手は、海外の銀行やヘッジ
ファンドになっている。海外投資家の割合が増えているが、ドル円
でのプレミアムがあることで、儲けられると思って買っている。そ
れは、日銀がマイナス金利でもそれ以上の高値で買うと思っている
からである。

もし、日銀が政府から直接、買うとなると、今、手持ちの国債を損
しても売るし、大量に空売りを仕掛けてくることになる。これで、
国債の長期金利は、大幅な上昇を起こすことになる。日銀がマイナ
ス金利で日本の銀行を苦しめておきながら、財務省がマイナス金利
の国債を買えとは言えないために、国債を海外が買うことになった
ことによる大きな問題点である。

ということで、国債の大量発行ができない。もし、国債の売買不調
となると、その途端に金利上昇が起きることになる。長期金利の上
昇として、金融引き締めとなる。

ということで、大型の景気対策としての財政出動もできない事態に
なっている。財政支出「大規模28兆円」の実態は、わずか「6兆円」
ということになる。

その輪をかけて、来年は企業利益が減少したことと、法人税を低く
したことで、税収の大幅な減収が見込まれるのである。

今までの税制を見直さないと、来年予算の編成が無理な事態である
。消費を増やし景気を上げるためには、消費性向の弱い高所得者か
ら消費性向の強い低所得者にシフトすることだと言えるが、高所得
者からの税金も新自由主義とやらで、今まで削減してきた。その限
界点に来ているのである。

税収構成の見直しをすることである。消費税を止めたことで、より
税収が足りないのである。

そして、早く、人口減少を止める社会構造改革をして、税収を安定
的に増やすことをしないと、高齢化が進み、社会保障費が増えてく
るので、今までのような予算が成り立たなくなることになる。

防衛費は増やさないと米国との関係でまずいし、社会保障費は増え
るし、予算の支出が拡大しても、それに見合う税収が確保すること
ができないでいる。国債の大幅な発行も、日銀のマイナス金利政策
で日本の銀行が、国債を買わない方向であり難しくしている。

という意味でも、日銀のマイナス金利は大失敗でしょうね。
早い時期にマイナス金利をしていれば、このようなことにならなか
ったのに、最後の苦し紛れにマイナス金利政策を導入したことで、
税収不足という問題が起こっている。

金融政策は、多くの市場の参加者の気持ちを考えることが重要とい
うことである。特に失敗なポイントは、日本の銀行を味方から敵に
したことである。

さあ、どうなりますか?


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2016年 08月 5日 11:47 JST 
コラム:遠のく脱デフレ、疑似ヘリマネに躊躇無用=村上尚己氏
村上尚己アライアンス・バーンスタイン(AB) マーケット・ス
トラテジスト
[東京 5日] - 7月10日の参議院選で自民党が勝利してから、
市場の最大の関心は日本で追加財政発動やヘリコプターマネー政策
が実現するか否かであった。追加の財政支出が大型化するとの思惑
で、ドル円は一時107円まで円安となり、日経平均株価も上昇す
る場面があった。
財政政策拡大と金融緩和強化の組み合せによって総需要が拡大すれ
ば、脱デフレのプロセスが再び起動する。2016年初から続く円
高の主たる要因は、消費増税の失敗で成長率が落ち込む中で、
2015年末からの日銀の金融政策が十分機能せず、人々のインフ
レ期待が低下したことだと筆者は考えている。インフレ期待を再び
醸成させる金融財政政策の強化が実現すれば、円高は止まり、再び
円安に向かうことになるわけである。
<経済対策はぎりぎり及第点か>
追加財政政策については、当初、2016年度補正予算の規模が2
兆円にとどまるという事実上の緊縮財政政策が報じられ(情報の出
どころは霞が関だろう)、市場は一喜一憂したが、最終的には官邸
のリーダーシップで総額28.1兆円の事業規模となった。
メディアは、史上3番目の大型財政政策だと伝えているが、政府に
よる実際の支出規模は7.5兆円である。財政投融資による歳出押
し上げの試算は難しいが、例えばリニアモーターなどの事業へ投融
資が実現しても当該事業はいずれ進捗(しんちょく)するので、追
加的な支出とは言い難い。
7.5兆円のうち、2016年度の補正予算に計上され2017年
度まで歳出される分は、地方分を含めて最大6兆円前後とみられる
。2017年度の国内総生産(GDP)成長率を約0.6%ポイン
ト押し上げるので、日本の成長率への影響は相応にある。一部では
、2016年度の補正予算が4兆円で昨年度から1兆円しか増えず
GDPにはほとんど影響を及ぼさないとの見方もあるが、追加政策
を過小評価していると思われる。
もちろん、筆者が想定する約6兆円の追加的な政府歳出が実現し、
成長率を押し上げるかどうかは、歳出メニューの策定・選定にもよ
るし、また2017年度予算で歳出規模を拡大させるか否か(追加
政策の一部は2017年度計上で、その分、同年度の予算が減少す
る可能性がある)など、不確実な部分があるのは事実だ。加えて、
公共投資を除けば、俎上(そじょう)に載っているメニューは数千
億円レベルの小規模な政策が多いという問題もある。
安倍政権が、財政政策の拡大を実現するためには大規模な総額を打
ち出すだけにとどまらず、現在の政策姿勢を徹底しマクロレベルで
の歳出拡大を実行することが必要だ。成長率の押し上げに資すると
いう意味で、今回の追加財政政策はぎりぎり最低ラインに達したと
いうことだろう。
なお、筆者はマクロレベルで総需要を押し上げるには、消費増税に
よる負担を和らげるために、限界消費性向が高い低所得者に対して
大規模な給付金を導入することなどが有効なメニューだと考えてい
る。
<円高進行を招いた日銀の不手際>
また、ヘリコプターマネーについては様々な議論があるが、国債発
行が極めて限定的な今回の追加経済対策は、(筆者の定義では)ヘ
リコプターマネーを伴う政策転換にはならない。
そもそもヘリコプターマネーは政府部門が財政赤字と国債発行を増
やすことが前提となるが、今回の追加経済対策はその領域に達して
いるとは言い難い。一部市場関係者が想定しているヘリコプターマ
ネーへの転換に、筆者は当初から懐疑的だったが、足元で過大な期
待が収束したということだろう。
さらにヘリコプターマネーへの期待がはげ落ちたことの背景には、
7月28―29日の日銀政策決定会合で国債購入拡大が見送られた
こともある。政府の財政拡大を、日銀の金融緩和でサポートするな
らば国債購入を増やすことがシンプルな対応だが、実際には日銀は
上場投資信託(ETF)購入枠だけを拡大した。日銀は2%インフ
レの早期実現を目指しているのか、筆者を含めて改めて多くの市場
関係者が疑念を抱いたのではないか。
2015年末から、日銀の政策対応とコミュニケーションの不手際
が続いたことが、1ドル100円の行き過ぎた円高の大きな要因で
あると考えている。
インフレ目標へのコミットメントの揺らぎを払拭(ふっしょく)す
るアグレッシブな金融緩和を、日銀が9月以降に打ち出すことが、
アベノミクス再起動の第一の条件になるだろう。浮上しつつあるデ
フレ期待を和らげ、追加財政支出による乗数効果も強めることで、
「疑似ヘリコプターマネー」の効果を高めることができる。であれ
ば、2017年度にかけてGDP成長率は1%台半ばまで高まる可
能性はある。
今後、財政・金融政策がフルで発動されなければ、2017年にか
けて一段と円高が進み、脱デフレへの道がさらに遠のくことになり
かねないだろう。
*本稿は、ロイター日本語ニュースサイトの外国為替フォーラムに
掲載されたものです。
(編集:麻生祐司)
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<アベノミクス限界>「政策総動員」は掛け声倒れ!財政支出「大
規模28兆円」の実態、わずか「6兆円」―国債増発も財源不足
Record china配信日時:2016年8月5日(金) 10時30分
安倍晋三首相が「未来チャレンジ内閣」と名付けた第3次再改造内閣
が発足。首相は「最優先課題は経済だ。デフレからの脱出速度を最
大限に引き上げる」と力説した。経済政策「アベノミクス」をもう
一度「ふかす」ために、「大規模財政出動」「働き方改革」など政
策総動員で取り組む方針を表明したが、アベノミクスの限界が取り
ざたされる中、思惑通りに進むかどうか。 
内閣改造では政権の骨格を維持するため麻生太郎副総理・財務相や
菅義偉官房長官、石原伸晃経済財政・再生相ら主要閣僚は留任。安
倍首相は記者会見で「重厚な経済閣僚をそろえて成長戦略を一気に
加速する」と強調した。 
政府は8月2日に、総額28兆円超の経済対策を閣議決定、安倍首相は
「総合的かつ、大胆な経済対策」と胸を張ったが、中身を精査する
と、掛け声倒れの感は否めない。 
この経済対策は第2次安倍政権が発足して以降、数字上は最大規模と
なる。ただ、今回の事業規模には、融資や民間企業による支出も含
まれ、純粋な政府支出(いわゆる真水部分)は約6兆円(地方を合わ
せると7.5兆円)。予算規模で比較すると、第2次安倍政権発足直後
の2013年1月に発表された経済対策の6割程度にとどまる。またこの
6兆円のうち16年度2次補正予算で対応するのは約4兆円で、残りの2
兆円は2017年度予算から手当てする。すぐに効果が期待できるのは
4兆円分だけだ。 
過去を振り返ると、2008年のリーマンショック時に、麻生政権は大
規模な経済対策を次々に発動。同年8月には緊急総合対策として11.5
兆円、同年10月には生活対策として26.9兆円、同年12月には生活防
衛のための緊急対策として37兆円(いずれも事業規模)を発表した。 
安倍首相の勇ましい掛け声とは逆に、今回実質的な経済対策の規模
が小さくなったのは、財政的な状況が厳しさを増していることが背
景。第2次政権発足前後は、円安で企業業績が拡大し税収が大幅に伸
びたが、16年に入ってから急激に円高が進み、企業業績の急激な落
ち込みは必至の情勢。また17年4月に予定されていた10%への消費税
増税を再延期したことから、税収の確保は困難になったこともあり
、予算規模の拡大は現実的に難しくなっている。 
経済対策の財源は、税収や剰余金だけでは足りず、結局国債発行に
依存せざるを得ない状況。建前上イメージの悪い「赤字国債」では
なく「建設国債」と称しているが、国の借金には変わりない。深刻
な財政事情から国債発行の拡大には限界があり、今後の経済対策は
さらに厳しいものとならざるを得ない。 
こうした事情から、これまでアベノミクスは第一の矢である「金融
政策」に過重な負担を強いてきたが、異次元緩和やマイナス金利も
弊害が出始め、第2の矢「財政政策」も財源不足で既に失速状態。日
銀は7月末に、上場投資信託(ETF)の買い取り額の年間6 兆円への
倍増させることを決定したが、日銀資金(事実上の税金)による株
購入は本来禁じ手に近い。「政府の総合対策に合わせたアリバイ創
りの窮余の一策」(大手銀行幹部)の面は否めない。 
結局「大胆な経済対策28兆円」は「思い切り大きく見せかけた数字
」(同)であり、安部政権の掲げる「政策総動員」の実態は寂しい
限りだ。アベノミクスの一枚看板「円安・株高」も逆回転している。
第3の矢の成長戦略を地道に積み上げて行くしかない。(八牧浩行)





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