5722.地政学リスクの高まりと日本の対策



英国のEU離脱、国際仲裁裁判所の南シナ海の判決、ニースでのテロ
事件、トルコのクーデター未遂、トランプ米大統領候補の飛躍など
世界の情勢は、混乱の度を高めている。この原因は、何かを検討す
る必要がありそうである。           津田より

0.株式市場
6月24日英国離脱が決まった瞬間、株価は1300円も下げて、
14880円まで下がり、円は1ドル=99円になった。しかし、
米国の景気が好調であり、徐々に株価は戻して、現時点16500
円、1ドル=106円になっている。

しかし、この戻した株価に、大きな地政学リスクが押し寄せている。
それが、先週後半に起きた、ニースでのテロ事件、トルコのクーデ
ター未遂、トランプ米大統領候補の激戦2州の優位という調査結果
である。このため、マイケル・オースリンは米大統領選挙でトラン
プ氏が勝利する可能性について「極めて、極めて高い」との見方を
明らかにした。

また、13日の国際仲裁裁判所の南シナ海の判決に対しては、戦争
になるとは見ていないらしく、株価には中国の戦争リスクを見込ん
でいない。

しかし、全体的な日本の株価は、日本経済の低成長と世界の地政学
リスクを見込んで、徐々に下がってきている。今週は15000円
のレベルになるのであろう。

1.原因は
しかし、この地政学リスクの多さはどうしたことであろうか?
テロ事件はISに絡みで、またトルコのクーデター未遂もイスラム
教と欧米の価値の激突であるし、英国EU離脱とトランプ候補の飛
躍は、貧富の差が拡大して、貧者の反乱との見方が強い。

トルコについては少し解説すると、エルドアン大統領は、トルコを
欧米的な民主政治からイスラム主義のスルタン制度のような体制に
変更しようとしている。これに反対の軍が民主化政治を取り戻すた
めに、クーデターを行った。この裏には米国の影を感じる。

もう1つの仲裁裁判所の判決は、中国の拡張主義が原因であり、世
界の地政学リスクは、3つの原因から構成されていることが分かる。

(1)イスラム教と欧米の民主化の対立
(2)欧米国内での貧富の差が拡大したことでの対立
(3)中露と欧米の対立

この3つの対立が世界を混乱に陥れている。今後もこの複合で混乱
が起こり、徐々に戦争の方向になる。

2.今後は
今後、この状況で、フランスのルペンや米国のトランプが大統領に
なると、欧米の孤立主義が出てきて、欧米は国内問題を解決するた
めに、世界の問題を見なくなる。

すると、その途端に、イスラム教勢力の拡大と中露の拡大が起きて
くることになる。益々、世界は混乱の度を高めることになる。アジ
アと東欧で紛争の発生が心配される。また、スンニ派とシーア派の
対立が激しくなる。

要するに、欧米の経済力が衰えて、企業が世界から利益を上げられ
なくて、国内の移民や中産階級から利益を得ることになり、移民や
中産階級の没落で、国内問題を誘発し、それで国際問題まで手が回
らなくなってきたことによる。

このため、欧米は、工場が労働賃金の安い海外に移転させないよう
に関税障壁を復活して、国内産業を守る方向になる。貧富の差を縮
小させることで、不満の解消を図る。しかし、この結果、世界の貿
易量が縮小してくる。国内の貧富の差がなくなるが、世界的な貧富
の差は拡大することになる。

工場製品の貿易輸出国は、企業が輸出ではなく現地生産の割合が高
まることになる。インフレにもなる。情報のグローバル化と産業の
ローカル化の2つが同時に起こってくる。

もう1つが、紛争地域が拡大してくる。特に中東やアフリカなどで
ある。

3.日本の対応策
移民を行うことでの問題点が明らかになってきた。イスラム教徒な
ど一神教徒の移民は難しい。移民した地域でも文化を強く保持する
ので、地域との文化的な融合ができない。

また、世界的な貿易量が激減することになる。国内産業保護の方向
に欧米は向かうので、日本からの輸出量は大きく減少するが、日本
企業しか製造していない製品や部品は、世界に今までと同じように
輸出できる。このような製品や部品を多く持つことである。

もう1つが、日本はTPPを推進し、かつ多くの国とFTAを結び、それ
以外の国に対しては関税障壁を上げる。これで、日本は欧米的な孤
立主義を取らないことを明確化することである。

米国が孤立主義になり、中国の軍事力を背景とした攻勢をどう対応
するかである。日米同盟も大きな見直しを米国から迫られることに
なる。否応なく、日本は軍備拡張が必要になってくるし、憲法改正
も必要になる。

天皇陛下の生前退位のお気持ちは、平和憲法下での天皇であり、そ
れに対して安倍首相が進める9条の改正にいたたまれない思いであ
ることは、陛下の(下記にある)お言葉から察することができる。
1000年の時を代表する天皇と現在を代表する首相との違いが明
確化してきた。

しかし、米国に日米同盟を完全相互主義に変更するよう迫られると
、憲法改正をしないと、この日米同盟は維持できないことになる。

陛下のお気持ちを察しても、そのような事態になることが迫ってき
ているので、憲法改正の実行準備をしておく必要がある。このため
に、自民党、民進党などが協力して、9条以外の部分の検討を開始
して置くことが必要でしょうね。民進党岡田代表もこの部分では、
憲法改正の議論を始めることに賛成している。

もう1つが、米国の空母を1隻借用して、日本と米国で共同運用す
ることや米国が核先制不使用宣言するなら核兵器の緊急時売却契約
を締結などの軍備拡張を日米でしておくことが必要である。

トランプ氏が大統領にあった時の日本の対応策を、今から検討する
ことが必要になっている。

4.経済生存権の奪い合い
もう1つが、日米での軍備拡張後、尖閣諸島の現状維持で中国と不
可侵条約を結びことである。中国の目を中央アジアや中東に受ける
ことだ。そのためには、南シナ海と東シナ海での現状維持を中国と
協定を結び、日本も側面協力して、より経済的に重要な中東や中央
アジア、アフリカに中国が進出するようにすることである。

中国が経済崩壊するまでは、日本は協力して中東やアフリカ、中央
アジアで、中国の権益拡大を進めることである。同様に欧州もロシ
アに協力して、東欧での現状維持をして、中東や中央アジアへのロ
シアの権益拡大に協力して、中東から欧米は手を引くことである。

ロシアと中国が中東やアフリカ、中央アジアで権益を拡大すること
に欧米日は協力することである。それと引き換えに欧州やアジアで
の紛争を起こさずに、現状維持として、不可侵条約を結ぶことだ。

中国やロシアの経済生存権を中央アジア、中東、アフリカに設定し
て、その地域を欧米は中国とロシアに渡すことである。孤立主義で
ある欧米は、そうするしかない。

中国とロシアが同じ地域で権益の奪い合いをすることになるが、そ
れを欧米日は見ていることである。この地域には当分、民主化は無
理であり、放置するしかない。

欧米の時代から、中露の時代になるように感じる。しかし、その時
代にどう対応するのか、日本の戦略はまだないし、欧米でも戦略が
浸透していないので、世界の激動期になるような気がする。

さあ、どうなりますか?

参考資料:
Trumpism: A New Era in World Politics?
https://www.project-syndicate.org/onpoint/trumpism-a-new-era-in-world-politics-by-yascha-mounk-1-2016-07?barrier=true

Brexit, Trump, and Globalization’s Have-Nots
https://www.project-syndicate.org/commentary/brexit-us-election-parallels-by-jeffrey-frankel-2016-07

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「海洋条約従い紛争解決」と声明
ASEM、南シナ海で中国けん制
2016/7/16 13:38
 【ウランバートル共同】モンゴルの首都ウランバートルで開かれ
ていたアジア欧州会議(ASEM)首脳会議は16日、2日間の日程を終え
て閉幕した。南シナ海問題への言及を巡り焦点となっていた議長声
明を採択し「国連海洋法条約の原則に従った紛争解決」の重要性を
明記し、名指しを避けながらも中国をけん制した。
 南シナ海のほぼ全域の主権を主張する中国は仲裁裁判所の判断受
け入れを拒否しており、安倍晋三首相は会議で「当事国が仲裁判断
に従い、紛争の平和的解決につながっていくことを強く期待する」
と述べた。
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トルコ政府、1563人拘束 軍の一部反乱で 
2016/7/16 16:00nikkei
 【イスタンブール支局】トルコ軍の一部がクーデターを試みた問
題で、ロイター通信は16日、内務省の情報として全土で少なくとも
軍関係者1563人を拘束したと報じた。5人の将軍と29人の大佐が解
任されたという。地元テレビは最大都市イスタンブールのボスポラ
ス海峡にかかるつり橋を封鎖していた兵士らが投降する映像を流し
た。
 休暇先から最大都市イスタンブールの国際空港に降り立ったエル
ドアン大統領は「クーデターの試みは失敗」と語った。集まった支
持者に対し、自身とともに事態正常化まで空港にとどまるよう求め
た。
 アンカラの空軍基地ではクーデター派の兵士に拘束されていた軍
トップの参謀総長が救出されたもよう。ユルドゥルム首相は事態の
収拾策などを協議するため、16日午後の国会の本会議開催を求めた。
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米国のIS空爆作戦が中断 トルコ騒乱で滑走路閉鎖
ワシントン=杉山正2016年7月17日02時02分朝日
 トルコのクーデター未遂を受け、米国防総省は16日、過激派組
織「イスラム国」(IS)への攻撃拠点になっているトルコ・イン
ジルリク空軍基地の利用が同国政府に制限され、作戦が中断してい
ると明らかにした。
 インジルリク空軍基地は、トルコ政府が昨年7月、米軍が主導す
る有志連合に使用を許可。IS掃討作戦で極めて重要な拠点になっ
ている。
 国防総省は声明で「トルコ政府が軍用機の滑走路を閉鎖したため
、インジルリク空軍基地での作戦が中断されている」とした。米政
府は再開をトルコ側に働きかける一方、影響を最小限にするため、
米中央軍が対ISの空爆作戦につく調整を続けているという。
(ワシントン=杉山正)
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アメリカ通商代表部、中国に「市場経済国」は自動認定されずと伝達
2016年7月15日(金)17時03分
 米国は14日、中国に対し、「市場経済国」として認定されるた
めの取り組みが不十分だと通告した。特に鉄鋼やアルミニウムの過
剰生産を指摘している。
 中国は2001年、WTOに加盟した際、ダンピング(不当廉売
)の是非が輸出製品の公定価格や国家管理価格ではなく、補助金を
除いた価格で判断されるという条件を受け入れた。こうした合意条
項は、加盟から15年後となる16年12月11日に失効すること
になっている。
 米通商代表部(USTR)のクリス・ウィルソン氏はWTOの会
合で、同条項が失効するからといって、中国が自動的に「市場経済
国」に認定されるとは限らないとの考えを伝えた。ロイターが確認
したウィルソン氏の発言内容によると、同氏は中国が各加盟国の国
内法に基づき市場経済国であるということを示す必要があると述べ
た。
 同氏はまた、これまでの中国の市場改革が期待外れであることは
明らかだと指摘。「特にアルミニウムや鉄鋼分野で国家の介入が過
剰な生産能力や供給を招き、ひいては世界中でこうした分野の企業
の存続を脅かしている」と指摘した。
 WTO幹部によると、中国側の代表者は、同条項の失効が自動的
に市場経済国の認定につながらないことに同意する一方、失効後は
中国に対する「差別的な反ダンピング措置」を継続する法的根拠は
なくなるとの見解を示した。
[ロイター]
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仏ニースのテロ、死者84人
大統領、国防会議を開催
2016/7/15 22:29
 【ニース共同】フランス南部ニースで大型トラックが暴走したテ
ロで、ルモンド紙は15日、容疑者はニース在住のチュニジア国籍の
男(31)と報じた。報道では容疑者の氏名は「モハメド・ラフエジ
ブフレル」でチュニジア中部スース近郊生まれ。内務省によると死
者は84人に上り、18人が重体となった。このほか約50人が負傷、約
120人が精神的ショックなどで救急隊の手当てを受けた。
 オランド大統領は関係閣僚を招集し大統領府で国防会議を開催。
事件の解明と対策に全力を挙げた。バルス首相は国防会議終了後、
記者団に「16日から18日まで国民の服喪期間とすることを決めた」
と述べた。
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宮内庁、早期退位を前提とせず
将来見据え議論
2016/7/16 06:23共同
 天皇陛下の生前退位に向けた法改正が検討されていることを巡り
、宮内庁などが進めている議論は、陛下の早期退位を前提としたも
のではないことが16日、政府関係者への取材で分かった。
 政府は12月をめどに骨子案をまとめ、早ければ来年の通常国会で
皇室典範改正を含めた対応を行う方向で調整。一方で、陛下自身は
早期退位の希望を持たれていないことが判明している。
 政府関係者によると、陛下はこれまで、年齢を考慮して公務を軽
減するという宮内庁の提案に、大幅な削減を拒むなどしてきた。最
近も「まだまだこのままのペースで臨む」と明言している。
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アメリカとの決別
2016年07月16日 17:00アゴラ
井本 省吾
米国と手を切れ、というのではない。鳥越俊太郎氏のように「中国
が万一、軍事攻勢をかけてきたら、自衛隊が防衛し、侵略に対して
は日本国民が立ち上がる。米国に助けてもらう必要はない」などと
、粗雑でいい加減なことを言う気はさらさらない。
だが、多くの日本人は「イザとなったら米国に助けてもらえばいい
。自分で戦ったり、米国と一緒に戦うのは危ない」と思っている。
だから、メディアがアンケート調査をすると、つねに集団的自衛権
行使の反対者が賛成者を上回るのだ。
衆参両院で憲法改正ができる3分の2の議員数が獲得できそうな今、
憲法9条改正を発議できる基盤が整ったが、憲法改正ではそれを国民
投票にかけねばならない。
すると、英国で議会の多数派はEU(欧州連合)残留を望んでいる
のに国民投票によってEUを離脱したように、議会の多数派が9条改
正を望んでいても、国民投票によって9条は改正しないということに
なりかねない。安倍首相が9条改正に極めて慎重なのはそのためだ。
だが、米戦略家のエドワード・ルトワック氏が「中国4.0」(文春新
書)で示しているように、米国はもはや尖閣諸島のような島嶼防衛
までは日本の面倒を見ない。「自分でやれ」という姿勢をはっきり
させて来ている。
日本は日米安保条約を強化しつつも、本腰を入れて自力防衛に努め
ねばならない時代となったのだ。
それがアメリカとの決別である。軍事・安全保障面での「アメリカ
との決別、相対的独立」である。
その覚悟が今の日本人にできていない。安倍政権がはっきり言わな
いからだ、ともいえる。だが、明確に言えば「そんな危ない政治を
する気か?」と支持層が離れて行く危険がある。だから、あいまい
にしておく、というジレンマ状況がずっと続いている。
しかし、米国にも「日本は島嶼防衛は自分でやれ」と言いつつ、日
本の軍事的独立を厭い、ずっと日本を隷属状態に置いておきたい、
というずる賢い意思、スケベ根性がある。
そのため高度成長期以来、米国は日本が軍事技術の自力開発をやろ
うとすると、必ず反対し、その動きをつぶしてきた。日本の政治家
もそれに対抗できていない。石原慎太郎氏と自衛隊元空将の織田邦
男氏が雑誌「正論」7月号で対談し、石原氏がこう述べている。
政治の無作為によって日本メーカーの地盤沈下は著しいという気が
します。各国が技術開発でしのぎを削る中で、このままでは大きく
国益を損なうことになる。……日本はアメリカの暗号、敵味方識別
装置やGPS(全地球測位システム)を使っていますから、アメリ
カがGPSモードを変えただけで自衛隊は行動できない。日米安保
条約が日本に対する瓶のフタとされる現実も変えて行く必要があり
ます
日本は米国に隷属を強いられているだけではない。中国はその動き
をよくにらんでおり、織田氏は次のような興味深い例を出している。
日米間に中国が仕掛けているのがインターオペラビリティ(相互運
用性)で、日米の兵器をまったく同じにしろと……アメリカに強く
言っています。それが進めば進むほど日本は今以上にアメリカに雁
時搦めになる。したがって中国としてはアメリカを相手にさえすれ
ば日本はどうにでもできるという戦略です
そういう中国の意見を尊重する米政府関係者もいるという。米国に
とって自分の安全さえ保てれば、日本などどうでもいいからだ。
米国の意志に従って、ここまで自力開発が遅れた日本。今から開発
が間に合うのか。織田氏は「政治の意思次第でできる」という。
国産開発や共同開発は自由に改良できるメリットがあります。実は
(国産機の)F2ができた当初、(体験搭乗してみて)「なんだ、
ちんけだな」と思いました。しかし、(米国)のF15のようなライ
センス生産と違うのは、常にアメリカの許可なく自前で回収できる
ことで、どんどん性能アップできるんです。実際、F2はロールアウ
トして二十五年以上経っていまや大した高性能機に仕上がっています
石原氏は言う。
軍事的に自立できて国家は始めて自立できる。景気対策のためにも
自衛隊の戦闘機開発は有力な公共事業になるはずです
参院選が終わって安部首相は秋の補正予算で総事業費10兆円の財政
出動と言っている。だが、この中に先端的な防衛事業はほとんで入
っていない。戦闘機開発など、先端技術の開発は国ができる大きな
経済成長戦略(アベノミクスの3本目の矢)になる。
安倍首相は、そこへの「政治意思」をはっきり示す時期に来たと思
うのだが。
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2016年 07月 14日 07:22 JST 
トランプ氏、激戦2州でクリントン氏をリード=支持率調査
[ワシントン 13日 ロイター] - 米クイニピアック大学が実施
した米大統領選に向けた最新の支持率調査から、共和党の候補指名
を確実にしたドナルド・トランプ氏が激戦州とされるフロリダ、ペ
ンシルバニアの2州で民主党のヒラリー・クリントン氏をリードし
ていることが明らかになった。
調査は6月30─7月11日に実施。フロリダ州ではトランプ氏の
支持率は42%、クリントン氏は39%となった。前回の調査では
、クリントン氏が8ポイント差でリードしていた。
ペンシルバニア州ではトランプ氏が43%、クリントン氏が41%。
また、オハイオ州では両氏の支持率が41%で拮抗した。
同調査が実施された時期には、クリントン氏が米国務長官在任中に
公務で私用メールアドレスを使っていた問題をめぐり、米連邦捜査
局(FBI)が同氏の不注意に言及しつつも、訴追しない方針を明
らかにしている。
調査のアシスタント・ディレクター、ピーターA・ブラウン氏は、
FBIの判断と調査の結果の関連性は不明としつつも、クリントン
氏がモラルや誠実さに関する質問で支持率を下げたことを指摘した。
一方、クリントン氏優勢との結果が出ている世論調査もある。
今週公表された、NBCニュースとウォールストリート・ジャーナ
ル(WSJ)、マリストの調査(5━10日実施)によると、ペン
シルバニア州でクリントン氏の支持率は45%、トランプ氏が36
%となった。
ロイター/イプソスが実施した世論調査(8─12日)では、クリ
ントン氏の支持率は46%と、トランプ氏を13ポイント引き離し
た。
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トランプ氏勝利「可能性極めて高い」=アジア政策読めず−米専門家
 【ニューヨーク時事】米保守系シンクタンク、アメリカン・エン
タープライズ政策研究所のマイケル・オースリン日本部長は13日
、ニューヨークで講演し、大統領選で共和党の指名を確実にした実
業家ドナルド・トランプ氏が勝利する可能性について「極めて、極
めて高い」との見方を明らかにした。
 時事トップセミナーで語った。オースリン氏は「アジアの専門家
として言うが、トランプ氏が当選した場合、アジアにどう対処する
つもりなのかさっぱり分からない」と指摘。「最も重要なことは誰
が彼にアジアについて助言するかだが、見当もつかない」と警戒感
をにじませた。(2016/07/14-14:56)
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天皇の終戦記念日のお言葉 首相に対し厳しいものにとご学友
2015.07.28 07:00
 安倍晋三首相は閣議決定しないまま8月上旬に70年談話を発表しよ
うとしている。天皇は毎年8月15日に全国戦没者追悼式に出席し、「
お言葉」を述べる。官邸が気にしているのは、安倍首相が歴史認識
の転換を行なう内容の70年談話を出した場合、全国戦没者追悼式と
は別に、天皇の特別な「戦後70年のお言葉」が発表されるという情
報が流れたことだ。この“天皇談話”が出された場合、安倍談話は
格下げされることになる。
 では、天皇は終戦記念日にどんな「お言葉」を発表するのか。天
皇のご学友で元共同通信記者の橋本明氏はこう見ている。
「ほとんど知られていませんが、陛下は4月のパラオ訪問に出発する
際、羽田空港に見送りに来た安倍首相を前にこう仰っています。『
(先の大戦では)激しい戦闘が行なわれ、いくつもの島で日本軍が
玉砕しました。
 このたび訪れるペリリュー島もそのひとつで、この戦いにおいて
日本軍は約1万人、米軍は約1700人の戦死者を出しています。太平洋
に浮かぶ美しい島々で、このような悲しい歴史があったことを、私
どもは決して忘れてはならないと思います』。首相へご自身の思い
を伝えたい気持ちが強かったのではないでしょうか」
 そのうえで橋本氏は終戦記念日の「お言葉」は安倍首相にとって
厳しいものになる可能性を指摘する。
「憲法とともに生きてきた陛下ほど、戦争がいかに悲惨で悲劇的か
を理解されている方はいない。軍備に頼らず、平和主義で文化国家
をつくるというのが昭和天皇から引き継いだ精神であり、試行錯誤
しながら象徴天皇として国民とともにある平成の皇室を築いてきた。
 しかし、安倍首相は国際情勢の変化を理由に憲法解釈を変え、米
国議会演説で公約した安保法制を無理に成立させようとしている。
陛下は口に出せずに苦しんでおられると思います。終戦記念日のお
言葉では、現在の日本の繁栄は300万人にのぼる戦争犠牲者の上に築
かれているという追悼の思いを前面に出されるのではないでしょう
か」
※週刊ポスト2015年8月7日号
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天皇陛下お誕生日に際し(平成27年)
前略
今年は先の大戦が終結して70年という節目の年に当たります。この
戦争においては,軍人以外の人々も含め,誠に多くの人命が失われ
ました。平和であったならば,社会の様々な分野で有意義な人生を
送ったであろう人々が命を失ったわけであり,このことを考えると
,非常に心が痛みます。
軍人以外に戦争によって生命にかかわる大きな犠牲を払った人々と
して,民間の船の船員があります。将来は外国航路の船員になるこ
とも夢見た人々が,民間の船を徴用して軍人や軍用物資などをのせ
る輸送船の船員として働き,敵の攻撃によって命を失いました。日
本は海に囲まれ,海運国として発展していました。私も小さい時,
船の絵葉書を見て楽しんだことがありますが,それらの船は,病院
船として残った氷川丸以外は,ほとんど海に沈んだということを後
に知りました。制空権がなく,輸送船を守るべき軍艦などもない状
況下でも,輸送業務に携わらなければならなかった船員の気持ちを
本当に痛ましく思います。今年の6月には第45回戦没・殉職船員追悼
式が神奈川県の戦没船員の碑の前で行われ,亡くなった船員のこと
を思い,供花しました。
この節目の年に当たり,かつて日本の委任統治領であったパラオ共
和国を皇后と共に訪問し,ペリリュー島にある日本政府の建立した
西太平洋戦没者の碑と米国陸軍第81歩兵師団慰霊碑に供花しました
。パラオ共和国大統領御夫妻,マーシャル諸島共和国大統領御夫妻
,ミクロネシア連邦大統領御夫妻もこの訪問に同行してくださった
ことを深く感謝しています。この戦没者の碑の先にはアンガウル島
があり,そこでも激戦により多くの人々が亡くなりました。アンガ
ウル島は,今,激しい戦闘が行われた所とは思えないような木々の
茂る緑の島となっています。空から見たパラオ共和国は珊瑚礁さん
ごしように囲まれた美しい島々からなっています。しかし,この海
には無数の不発弾が沈んでおり,今日,技術を持った元海上自衛隊
員がその処理に従事しています。危険を伴う作業であり,この海が
安全になるまでにはまだ大変な時間のかかることと知りました。先
の戦争が,島々に住む人々に大きな負担をかけるようになってしま
ったことを忘れてはならないと思います。
パラオ訪問の後,夏には宮城県の北原尾,栃木県の千振,長野県の
大日向と戦後の引揚者が入植した開拓の地を訪ねました。外地での
開拓で多大な努力を払った人々が,引き揚げの困難を経,不毛に近
い土地を必死に耕し,家畜を飼い,生活を立てた苦労がしのばれま
した。北原尾は,北のパラオという意味で,パラオから引き揚げて
きた人々が入植したところです。
この1年を振り返ると,様々な面で先の戦争のことを考えて過ごした
1年だったように思います。年々,戦争を知らない世代が増加してい
きますが,先の戦争のことを十分に知り,考えを深めていくことが
日本の将来にとって極めて大切なことと思います。
私はこの誕生日で82になります。年齢というものを感じることも多
くなり,行事の時に間違えることもありました。したがって,一つ
一つの行事に注意深く臨むことによって,少しでもそのようなこと
のないようにしていくつもりです。
今年もあとわずかになりました。来る年が人々にとって少しでも良
い年となるよう願っています。


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