5705.「近くの他人」より「遠くの親戚」



「近くの他人」より「遠くの親戚」
 英国のEU 離脱について
From:tokumaru

皆様

さてイギリスがEU離脱を決定して、
その結果、いつ、何をするのかは知りませんが
決定それ自体が大変な決断であることには間違いないでしょう。

1993年から1997年までロンドンに商社駐在員として滞在していたとき、
各業界一名で構成された異業種交流会に誘われ、新聞、自動車、広告、
航空、総研などの方々と月例勉強会に参加していた。

勉強会は帰国後も続き、通貨統合のとき、イギリスが10年以内にユー
ロに移行するかという賭けをしたら、ポンドに留まるという意見はな
く、賭けは成立しなかった。全員誤っていたわけだ。

その反省にたって見回すと、英国航空はエアバスを買わずにボーイン
グばかりだし、イギリスはアメリカと軍事通信衛星を共有している。
独立後200年以上たっても、アメリカはイギリスの植民地であり、それ
をオバマ大統領も今回「特別の関係」と呼んだ。

EU離脱によってイギリスは「近くの他人」を見捨てて「遠くの親戚」
を選ぶという、破廉恥で、先見性のない、島国ならではの一人よがり
の行為に出た。他のEU諸国が追随する心配はないが、世界経済の破局
を早めるだろう。

得丸
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ロンドン便り BREXIT
From: 木野 
皆様

ご無沙汰しております。
2回目のロンドン赴任もこの夏で丸6年になります。
この間いろんなことがありましたが、金曜日の国民投票結果は様々
な面で象徴的なので以下お伝えします。

(1)言葉の洪水
今般行われた多くのスピーチ、ディベートを聞き、各種論説を読ん
でも、今回の結果はロジカルには出てきません。
それでもこの結果になったのは言葉の洪水では実際に投票所に出向
いて投票する人の気持ちを変えることができないことがあるという
現実があるからです。

私が住んでいるロンドン北部の住宅街でもこの10年で3件もポーラン
ド食材専門スーパーができました。

移民はいい面もあるのでいちがいに否定的になる必要はありません
が、それでは割りきれない不安が毎日、それらのスーパーの前を通
る度に英国人でない私ですら掻き立てられます。

(2)人を動かす言葉 Independence day 
今年続編が封切りされている映画 Independence day 
ですが、オリジナル作品が私は好きで、特に宇宙人相手に戦うリー
ダーとしての米国大統領がこの言葉を放つシーンが気持ちが晴れる
ので大好きです。

今回ボリス ジョンソンがスピーチの締めくくりで
この言葉を使ったとき、これはできすぎだと感じました。
このタイミングでこの言葉を使うと100の脅しも形無しになります。

(3)長い長い離婚手続き
英国と日本の違いはいろいろありますが、そのひとつに離婚手続き
があります。
とにかく長い手続きがあります。一般の方々が苦労されるのを見て
きました。
EUとの離婚もまた一筋縄ではいきません。
大英帝国を築いたイギリスのしたたさは、これからこの離婚劇で発
揮されると思います。
と同時にそれに付き合わされる他国の度量が試されるのだとおもい
ます。

木野
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Re: ロンドン便り BREXIT
From: tokumaru

木野さん、

報告ありがとうございました。
(私のところにはコピーがきてます。あなたのところに届かなかっ
たのはどうしてでしょう。不思議です。)

EU離脱については、今朝大分合同新聞に投稿した。

通貨統合への読みを誤った人間として、イギリスの見方が変わった
のです。私の場合。

軍事衛星通信(とくにAEHFという核ミサイル発射時の通信用)で
イギリスはずっとアメリカに依存していました。それもあります。

得丸久文


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