5701.コンゴの音楽など



From: tokumaru
旧ベルギー領コンゴでの10日間

 6月3日に大分を出て、翌朝のフライトで関空から香港、香港か
らはエチオピア航空でアジスアベバ経由、キンシャサに6月5日に
到着して、10日間が過ぎました。ちょうど半分が過ぎたところで
す。

 熱帯とはいえ、日本の夏のように湿度が高くないので、同じワイ
シャツを三日着ても平気なほどです。ホテルでクリーニングを頼む
と1枚が7ドルもするので、なんとかして同じワイシャツを二、三
日着て、クリーニング代をミニマムにしようと考えていますが、そ
れが可能なのです。乾季なので、まだ一度も雨に遭遇していません。

 日本政府のカテゴリーでは、キンシャサは徒歩移動禁止区域で、
散歩やジョギングも控えるように言われています。日中と夜間は専
用車をつけてくれて、それで移動しています。まあ、朝6時に強盗
もいないだろうと、ときどき朝早くコンゴ川岸などを歩いています
。先日は写真を撮ったら、軍隊に見とがめられて、数分間お叱りを
受け、撮影データをすべて消去することで許してもらいました。

 会社でフランス語研修生を希望したのは、アフリカに行くためだ
ったのですが、これまで仏語圏アフリカに行ったことは一度もなか
ったので、旧ベルギー領とはいえ初めての仏語圏です。フランス語
が日常的に使われる環境で、今回のミッションである各種官庁での
聞き取りにおいても、たどたどしいフランス語が役に立っています。

 昨日は環境省のお役人に、熱帯雨林を守らないのかと聞いたとこ
ろ、「我々には開発する権利がある」と言われてしまいました。こ
れが世界中の人間に共通する本音なのでしょうが、まったく人類滅
亡は近いと感じます。

 食事は、レストランの店頭に子ヤギが吊るされていて、それを
150〜200グラムくらいの塊に切ったものが店頭に並べられて
いて、客がそれを選んで、店がその塊を親指ほどの大きさにナタで
切って、鉄板上で焼いてもらうものをもう6回も食べました。これ
は新鮮で、水も使わないので、おなかを壊さないから、おいしくて
安全な食べ物です。今週末には、JICAの所長が我々のために山羊を
一頭買ってくれて(割り勘しますが、2万円くらいです)、プール
サイドで山羊肉パーティーが予定されています。山羊には申し訳あ
りませんが、この料理はおいしくて、安全なので、キンシャサでは
一番です。

 松本さんに勧められて道元の「正法眼蔵」(1)と「広録」を持
参してきましたが、部屋から出るチャンスが少ないので、これまで
に一回通読できました。おかげで眼蔵と広録の相互関係もいくつか
多少見つかりました。広録で一回上堂してから、眼蔵で示衆したも
の(光明)とか、亡くなる直前に眼蔵の内容を上堂した例とか。

 小川さんに依頼された音楽ですが、こちらで貸与された携帯電話
にFMラジオがついているので、ときどき部屋できいています。いい
ものがあったら、ビデオで録音して、市場にいって買うつもりです
。(市場がどこにあるのか、まだわかっていませんが)

 音楽には、我々の感情や肉体に訴えかけるものがあります。その
ために、我々は音楽に酔いしれたり、涙することがある。でも、そ
れは、仏法や量子力学や分子生物学を考えるのには邪魔でしかない
、役に立たない。コンゴのリンガラポップスを聞きながら、そんな
ことを考えています。
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コンゴでの仕事もあと二日となりました。

今日は、ヤマのJICA主催で、コンゴ政府関係者を50人招いて、リ
モートセンシングについてのワークショップが開かれ、非常にうま
くいきました。

余った時間で少し音楽を仕入れました。Youtubeでも聞けるみたいで
すので、ご興味のあるかたは試してみてください。

こちらで道元を読んで、「正法眼蔵」で述べたことを「広録」で発
展させている例がかなりあることに気づきました。

ではまた、みなさまお元気で

得丸

1
リンガラポップス
独立する前の1950年代から活躍していたグラン・カレ

Grand Kalle   Keyla.
https://www.youtube.com/watch?v=5rnbtY_WkV0

2
Gael 
新興宗教の勧誘音楽みたいなのですが
https://www.youtube.com/watch?v=QXfeCCH8us0
https://www.youtube.com/watch?v=ES9FI5n31Mw

3 現代という芸術アラカワ
http://www.milestone-art.com/milestons/issue184/htm/p11tokumaru.html

アフリカの挑発

2週間前からコンゴ民主共和国の首都キンシャサにきているが、熱
帯雨林気候が湿度も低く汗もかかないのは意外。汗かかないから、
同じワイシャツを三日四日続けて着ても大丈夫。日本の暑い夜を熱
帯夜と呼ぶことは間違いじゃないかと思う。

旧ベルギー植民地の政策で、現地人への教育やインフラ整備が極端
に行われていなかったためか、キンシャサの街は都市計画もひどい
し、国家運営や都市生活もカオス。さらに独立後、ルムンバ首相を
虐殺した独裁者モブツがアメリカや先進国に支持されて長期政権を
維持。思想の自由も許されなかった。楽しみにしていたコンゴの音
楽も、心のこもらない、気晴らしの音楽に聞こえてしまう。

土曜日にコンゴ川岸にあるレストランで食事をした。対岸は旧フラ
ンス領植民地、コンゴ共和国。「こんなに近いのだから橋を架けて
自由に行き来できたらいいのに」というと、レストランの女主人は
「意識が違うから。うまくいかないわよ」という。目と鼻の先にあ
る川の対岸で、それほど意識が違うものか。大きな川に隔てられた
からか、旧宗主国の影響か。意識は変えられる、意識を変えようと
思わないか。

環境省で森林保護を担当しているお役人に、違法伐採はどうやって
取り締まるのかと聞いたところ、「俺たちにも開発する権利はある
。」つまり、他の国みたいに、森林を切るつもりはあると、きっぱ
り。地球の涯てまでやってきて、やはり人類は滅びるしかないこと
を確認して、逆に発奮。

このアフリカから、言語を獲得した現生人類が生まれたことを思い
出す。月もカラハリで生まれた。だとしたら、アフリカ人のあなた
(つまり私も)は、愚かなヒトを目覚めさせるひと言を口に出す必要
がある。

自然の生態系で生きていけなくなったボノボたちを保護している公
園を見学。個体数はすでに1万頭を切ったそうだ。ヒトが毎日餌を
与えるこの公園より、高崎山のサルのほうがまだサルにはいい環境
かな。

生きた山羊を午前9時過ぎに絞めて、お昼にバーベキューするパー
ティーに参加した。メエー、メエーと悲痛な声が耳に残って、肉類
を食べる気力が失せた。

アフリカは生々しい刺激で、そこに来るものを挑発する。




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