5698.日本の時代が来る



日本の価値は、江戸時代に論語を多くの国民に初等教育で教えたこ
とで、礼儀正しい民族にしたことである。今後の世界の模範となる
ことで、日本が再評価されることになる。その検討。  津田より

0.ハーバードで教える日本の価値
『ハーバードでいちばん人気の国・日本』(佐藤智恵著、PHP新書)
にハーバード大学のMBAで教える日本の素晴らしい価値が書いてある。

トヨタアメリカで、現在幹部の米国人が初めて幹部として入社した
とき、張米国社長から言われたことが、「あなたが優秀であること
はわかっているので、誇れるところを言うのではなく、うまくいっ
ていないことを報告してください。それを皆で考えましょう。」と
言われて、今までの米国の会社とは違い、ビックリしたという。米
国の会社では、失敗していることを報告することはなく、失敗した
らクビになるため、どう失敗を隠すかを考えたという。

「JR東日本テクノハートTESSEI」(以下テッセイ)の奇跡が載って
いる。従業員のやる気を引き出すために、幹部が現場を見て、従業
員からの改善の提案を採用して、新幹線の折り返し時間7分間で清
掃を終えることができるようになったという話。従業員のやる気を
引き出す方法として、学生は賃金を上げるとか、優秀な従業員を褒
めるとかの方法を提案するが、そうではなく提案を採用するという
ことでビックリするという。

「福島第二原発を救った『チーム増田』」には、強力なリーダーシ
ップ論があり、増田さんが知っている情報をすべて白板に書いて、
全ての作業員に知らせて、危機のアイデアを作業員から集めて、危
機を乗り切ったという。トップダウンではなく、危機時には両方向
が必要なのであるということであるが、これも日本では普通に行わ
れている。

というように、従業員とトップの関係が近いか、相互信頼ができて
いることが重要なのである。

1.フランクリンの十三徳
米国在住のりばてぃさんが、ベンジャミン・フランクリンが理想と
する人間の生き方や美徳をまとめた「フランクリンの十三徳」が、
日本の武士道と同じ事を言っているという。
(1) 節度を持て。食べすぎ、飲みすぎに注意。
(2) 寡黙であれ。誰かのためや、自分のためにならないことを話
すな。無駄口をたたくな。
(3) 秩序を保て。整理整頓。時間厳守。
(4) 覚悟を持て。やると決めたら必ず実行しろ。
(5) 倹約しろ。誰かのためや、自分のためにならないことに金を
使うな。浪費するな。
(6) 勤勉であれ。時間を無駄にするな。常に有益なことに努めろ
。不要な行いを排除しろ。
(7) 誠実であれ。人を害する嘘をつくな。私心を捨て、公正に考
え、発言しろ。
(8) 正義を貫け。人を傷つけたり、人へ与える恩恵を怠るな。
(9) 偏るな(中庸であれ)。極端を避けろ。怒っても当然と思え
る時でも感情に任せて怒るな。
(10) 身を清めよ。身体、衣服、住まいの不潔を黙認するな。
(11) 平静を保て。小事や日常的に起こる出来事に騒ぐな。
(12) 貞操を守れ。性交は健康維持や子づくりのためのみとし、性
欲に溺れて自他の平安や信用を傷つけるな。
(13) 謙虚であれ。イエス及びソクラテスに見習うべし。
で、イエス及びソクラテスに見習うべしは日本の武士道にはないが
、ほかの項目はすべてが日本の武士道や石門心学や論語で書かれて
いることである。

しかし、米国では、この「フランクリンの十三徳」を体現している
人はいずに、理想的な人として見られているのみである。

しかし、日本人の中では、この「フランクリンの十三徳」を体現し
ている人が多くいることにビックリするようである。

2.なぜ、日本人だけが体現できるのか
倫理は、衣食足りて礼節を守るというほど、極端な格差社会ではな
く、最低でも衣食が足りた時代にしか、多くの人が体現できないが
、この衣食が足りている人が日本は多かった。総中流社会という社
会を実現できたことによると見る。

もう1つが、教育である。江戸時代、寺子屋での教科書は、論語を
ベースとしていたことで、国民の大多数が教育を受けたことで、論
語的な素養が一般的になり、その上に商売人の倫理を説いた石門心
学や二宮尊徳のビジネス哲学、渋沢栄一の合本資本主義、近江商人
の3両一両得などの倫理と経営が一体になった経営哲学が生まれた
のである。その影響を受けて、松下幸之助の水道哲学なども出た。

従業員を一番守るべき人と見て、その従業員が独り立ちすることを
応援し、お客と地域社会の役に立つことが重要という哲学を古くか
らある企業は持っている。上下の信頼、社会との信頼により企業は
成り立つという哲学を持っている。

このため、日本人、日本企業は、困っている人を助けるという行動
に出るのである。

論語は中国で生まれたが、論語は大夫の学問であり、大夫とは科挙
の試験に合格した官僚のことである。上流階級の学問であり、民衆
には関係ない学問であった。このため、今でも民衆に浸透していな
い。

中国は、近代以降、国が戦乱になり、共産党は論語を弾圧したので
、国民に論語を教えることはなかったのである。やっと、習近平政
権で、論語を認めて、学習し始めるようであるが、今の中国の状況
では、どこまで定着するかわからない。それは、もう1つの衣食足
りて礼節を守るができるかどうかにかかるようだ。格差社会を変革
できるかどうかである。

その他社会では、論語というような倫理体系を確立した学問がない
ので、体系的に教えることができないのである。その代わり、宗教
が存在して、宗教哲学として存在するが、宗教を信じる必要があり
、信仰の自由で国として強制ができないことになる。

もう1つが、格差の少ない社会が西欧の一部と日本にしかないこと
である。

3.現在の社会現象
米英など西欧では新自由主義という政策で、あまりにも格差社会が
行き過ぎたため、ポピュリズムが台頭してきた。米国の場合、ドナ
ルド・トランプというデマゴーグ(扇動家)が共和党の指名候補に
なり、いままでないがしろにされてきた白人低所得者層の反撃だと
言われている。

また英国では6月23日にEU離脱を巡る国民投票が実施されるが、離脱
シナリオでは英国経済は混乱し、結果として損するのは庶民だとい
うことは最低限の経済観念を持っている人なら誰にでもわかること
だが、移民に職を奪われていると考える英国の低所得者層の排他主
義や「エスタブリッシュメントにイッパツ喰らわす」というリベン
ジ心理が、離脱という、自分で自分を痛めつける方向へ英国の有権
者を向かわせている。

フランスでも極右政党が台頭しているし、ドイツでも難民受け入れ
を拒否する極右政党が出てきた。このように貧富の差が限界を超え
ると、社会は新自由主義を否定して、独裁国家に逆戻りしてしまう
ことになる。自由経済が富の配分に失敗したとき、万人に安定を約
束する独裁者が登場するのである。

4.日本の進むべき道
日本も新自由主義を掲げて、改革を主導した竹中さんがいるが、こ
のような新自由主義の行き着くところが米英の最近の政治状況から
わかり、日本では、早期に破棄するべきなのである。

理想は、中庸である。社会主義でもなく、新自由主義でもなく、平
等な社会でもなく、格差を広げないような施策と少数でも衣食が足
りなくなることがないような社会保障制度がある社会なのだ。

このためには、累進課税制度と消費税増税などを通じて、財政の持
続可能な安定を図ることである。富者が貧者に対する寄付を行うこ
とを奨励することも必要である。

経済成長ではなく、安定した社会システムを目指した国民の生活を
守る経済であるとみるがどうであろうか?

そして、日本人の安定した社会や秩序を世界の規範とする必要があ
る。規範になったら、それを世界に広げるべく、日本人は世界に出
ていくべきである。

さあ、どうなりますか?

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記事
広瀬隆雄2016年06月16日 19:16
「自由経済が富の配分に失敗したとき、万人に安定を約束する独裁
者が登場する」 金価格は1300ドルを超えた
金価格がこれまで上値抵抗線になっていた1300ドルを超えました。
この次は1350ドル付近にマイナーなレジスタンスがありますが、長
期ダウントレンド・ラインのある1400ドルが目標になると思います。
ゴールドが動いている理由は、ドル安が原因です。
ゴールドや原油などのコモディティはドル建てで取引されており、
その関係でドル安になると価格が上昇しやすいです。
昨日、米国の連邦公開市場委員会が終了し、声明文が発表されまし
た。政策金利は現行の0.50%のまま動かなかったけれど、いわゆる
「ドットプロット」はまた少し下がり、ハト派な内容でした。
それに加えて日銀が一段と踏み込んだ緩和政策を今回は見送ったこ
とで、ドル/円はこれまでの下値支持線を割り込み、次の目標である
102円に向けて急落しています。
ゴールド急騰を巡る足下の説明は、大体、そんなところになるでし
ょうけれど、一歩下がって世界全体で起きていることを巨視的に眺
めれば、ニュー・ノーマルと呼ばれる世界的な低成長の環境下で各
国中央銀行は緩和的な金利政策を継続しています。その政策は、も
ちろん景気を支援し、国民生活を助けることを意図して繰り出され
ているわけだけれど……結果として格差は拡大しています。
あまりにも格差社会が行き過ぎたため、最近、世界的にポピュリズ
ムが台頭しています。
アメリカの場合、ドナルド・トランプというデマゴーグ(扇動家)
が共和党の指名候補になることが確実となっています。これはいま
までないがしろにされ続けてきた白人低所得者層の反撃だと言えま
す。
また英国では6月23日にEU離脱を巡る国民投票が実施されます。
離脱シナリオでは英国経済は混乱し、結果として損するのは庶民だ
ということは最低限の経済リテラシーを持っている人なら誰にでも
わかることなのですが、移民に職を奪われていると考える英国の低
所得者層の排他主義や「エスタブリッシュメントにイッパツ喰らわ
す」というリベンジ心理が、離脱という、自分で自分を痛めつける
方向へ英国の有権者を向かわせているわけです。
マーク・ファーバーは、最新の『ファーバー・レポート』の中で「
自由経済社会が富の配分に失敗し、同時に富の創造に行き詰れば、
万人に万遍なく安定を約束する人たちに、独裁への道が開かれるだ
ろう。こうした人たちによる政府は、好戦的で、美辞麗句を並べて
て、民主主義世界を圧倒してゆくことになる」というウイリアム・
ダラントの言葉を引用し、このような世界経済の現状を説明してい
ます。
究極的に彼が推奨しているのは、金鉱株、金鉱株ETF、石油・天然ガ
スの探索・生産会社、ならびに石油サービス会社、そして鉱山株で
す。(ただし具体的な銘柄名はネタバレになるのでここに書くこと
は遠慮します)
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日本人の美徳が世界で評価される本当の理由
実現できないと思っていた理想がそこにある
幻冬舎plus 2016年06月16日TK
米国13の美徳の教え
日本の美徳がアメリカ人、特にニューヨークの人々に高く評価され
る理由が、もう1つある。それは、建国時からアメリカに残る以下の
13の美徳の教えからの影響だ。
(1) 節度を持て。食べすぎ、飲みすぎに注意。
(2) 寡黙であれ。誰かのためや、自分のためにならないことを話
すな。無駄口をたたくな。
(3) 秩序を保て。整理整頓。時間厳守。
(4) 覚悟を持て。やると決めたら必ず実行しろ。
(5) 倹約しろ。誰かのためや、自分のためにならないことに金を
使うな。浪費するな。
(6) 勤勉であれ。時間を無駄にするな。常に有益なことに努めろ
。不要な行いを排除しろ。
(7) 誠実であれ。人を害する嘘をつくな。私心を捨て、公正に考
え、発言しろ。
(8) 正義を貫け。人を傷つけたり、人へ与える恩恵を怠るな。
(9) 偏るな(中庸であれ)。極端を避けろ。怒っても当然と思え
る時でも感情に任せて怒るな。
(10) 身を清めよ。身体、衣服、住まいの不潔を黙認するな。
(11) 平静を保て。小事や日常的に起こる出来事に騒ぐな。
(12) 貞操を守れ。性交は健康維持や子づくりのためのみとし、性
欲に溺れて自他の平安や信用を傷つけるな。
(13) 謙虚であれ。イエス及びソクラテスに見習うべし。
13番目の「イエス及びソクラテスに見習うべし。」の一文を除いて
、これは昔から日本に伝わる「武士の教え」だと言われたら、本当
にそうだと思ってしまう人がいても、まったく不思議ではない内容
だろう。
実は、これはアメリカ独立戦争(1775年)、アメリカ合衆国憲法制
定(1787年)の立役者の一人で「建国の父」として今でも尊敬され
る、ベンジャミン・フランクリンが理想とする人間の生き方や美徳
をまとめた、「フランクリンの十三徳」(Benjamin Franklin's 13
 Virtues)である。
ベンジャミン・フランクリンは、アメリカの紙幣の最高額である100
ドル札の肖像画の人物。つまり、アメリカで、最も偉大な歴史上の
人物の一人と言っていいだろう。
日本に伝わる「武士の教え」と見紛う内容だ
そのベンジャミン・フランクリンが、移民の集まりによって作られ
たアメリカ合衆国の独立期に掲げた理想の人間の生き方や美徳が、
日本に伝わる「武士の教え」と見紛うような内容になっている、と
いうのは、実に興味深い。
異なる文化や価値観やライフスタイルを持つ、多様な人種や民族が
集まってできているような国では、もし、人々が、自分の権利ばか
りを主張し、嘘をついたり、人を騙したりすることも当たり前と考
えていては、国家が成り立たない。
そこで、ベンジャミン・フランクリンは、それぞれ文化や価値観な
どが異なっていても、1つの理想とする人間の生き方や美徳を掲げ、
できる限り、みんなでその理想に近づいていこうということで、こ
の「フランクリンの十三徳」を書き残したのかもしれない。
いずれにしても、ここに書かれた人間の生き方や美徳は、当然、ア
メリカ国内でも認識されているだろう。特に、各界を率いるエリー
トなどの有識者層では、自分自身が幼少期に受けた教育や、自分の
子どもへの教育にこの「フランクリンの十三徳」が反映され、常識
になっている可能性もある。
しかし、皆さんも一見してお気づきのとおり、この「フランクリン
の十三徳」の内容は、現在の一般的なアメリカ人の生き方からは、
程遠いものだ。アメリカ人の中にも、理想はあくまで理想であって
、実現できるものじゃないと考えている人もいるのかもしれない。
たとえ、それが移民によって作られた国家が、より円滑に機能し、
より多くの人々が幸福になるものであってもだ。
ところがである。
理想の大部分を実行している人々が存在した
その実現できないと思っていた理想の大部分を、実際に、日々の生
活の中で実行している人々が、この世に存在した。そう、それが日
本人だ。
日本人の中には、(1)節度を持ち、(2)寡黙で、(3)秩序を保ち
、(4)やると決めたら必ず実行する真面目さを持ち合わせ、(5)
倹約家で、(6)勤勉で、(7)誠実で、(8)正義を貫き、(9)極
端を避け、(10)清潔で、(11)落ち着いていて、(12)貞操を守
り、(13)謙虚である、という「フランクリンの十三徳」を、すべ
てクリアしている人物だって、結構いるのではないだろうか。程度
の差こそあれ、皆さん、だいたいクリアできている、もしくは日々
それらを心がけているのではないだろうか?
この「フランクリンの十三徳」は、まるで日本人を見て書かれたの
かと思うほど、伝統的に日本に伝わる日本人の美徳、サムライの精
神や美徳にぴったりマッチしている。
しかし、アメリカ人にとっては、いや世界の他の国々の人々にとっ
ても、このことは驚愕の事実ではないだろうか。海外から見ても「
日本人はすごい」、日本人から学ぼう、日本の文化から学ぼうと感
じるのではないだろうか。
その結果、日本製の品々や日本の伝統文化やポップカルチャーを背
景に持つ品々など様々な「日本のモノ」に対する興味や関心も高ま
る。
ひょっとすると、だからアメリカでは、やたらに日本の忍者やサム
ライの人気が高いのかもしれない。忍者やサムライは、まさにこの
日本の伝統的な生き方や美徳(=「フランクリンの十三徳」)に今
の日本人以上に基づいて生きていたわけで、アメリカ人が、そこに
、場合によっては日本人以上に強い魅力を感じていたとしても不思
議じゃない。
ところで、ここで重要なのは、さらによくよく考えてみると、この
「フランクリンの十三徳」に書かれたような美徳が大切なのは、ア
メリカ人に限らないということだ。
なにしろ、これは世界中の国々から集まった移民によって作られた
アメリカ合衆国が、独立期に掲げた理想の人間の生き方や美徳だ。
他の国々の人々にとっても、同様に、いやそれ以上に大切な理想に
なるはずのものだと考えられる。
特に、異なる文化や価値観やライフスタイルを持つ、多様な人種や
民族が集まってできているような環境にいる人々にとっては、こう
した生き方や美徳は、極めて重要な意味を持ち、理想となるだろう。
だから、ニューヨークでは、日本文化に対する評価が極めて高くな
りやすい、のかもしれない。「多様性の街」では、他ならぬ、まさ
に日本の文化、日本の美徳が求められている可能性がある。
日本の美徳は最も大切な理想として受け入れられる
そして、さらに言えば、今後、世界でグローバル化が進展していく
につれて、このような日本の美徳は、世界中で最も大切な理想とし
て受け入れられていくかもしれない。そうなのだ。世界中でグロー
バル化が進むということは、世界中で「日本人の美徳」がますます
必要とされていくといっても過言でないかもしれない。
日本人の美徳が、グローバル時代の世界を救い、より多くの人々に
平和や幸福をもたらす教えとして、憧れや尊敬の対象になる可能性
だってあるだろう。急にそんなこと言われても、どうしたら良いの
かよく分からないという方もいらっしゃるだろう。
この連載をここまで読み進めて下さった人の中には、まだグローバ
ル時代への最初の扉をこれから開けようという人や、「ついさっき
開けてきたよ」という人もいるのではないかと思う。
でも、1つだけ確実に言えるのは、せっかくこれだけ日本文化や日本
人の美徳に対して追い風が吹いているのだから、「日本人は日本国
内だけに留まっている場合ではない」ということだ。
もちろん、何をするにも最初の一歩は重く、よく分からず不安なこ
とばかりでなかなか思い切りがつかないかもしれない。ただこのま
まグローバル化が進めば、世界の流行の発信地であるニューヨーク
を訪れることは、かなり多くの日本人の方々にとってごく当たり前
のことになり、必要なことになるはずだ。まずは、観光のついでで
もいい、そんなに難しく考えず、気軽な気分転換のつもりでニュー
ヨークを訪れてみるのも良いかもしれない。
そう、自分がどういう人間なのかなかなか見えづらくなってしまっ
た人は、日本からちょっと出てみて、「多様性の街」ニューヨーク
を訪れ、自分の持つ本当の能力や、日本人としての美徳について再
発見、再確認してみる、というのもいいのではないだろうか。
ニューヨークの多様性の中にこそ、明日の日本が進むべき道がある
。きっと、あなたや、あなたの子どもや孫たちの、より良い未来へ
の指針がそこに潜んでいるはずだ。
(文:りばてぃ)
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資産、所得の二極化進む アベノミクスの3年、細る中間層
2016年6月4日 18時05分
 安倍政権が看板政策のアベノミクスを推し進めた2013〜15
年の3年間に、個人消費を支える中間層が減少し、高所得層と低所
得層への二極化が進んだことが、一橋大経済研究所の小塩隆士教授
の試算で4日分かった。家計の貯蓄残高は4千万円以上の層と100
万円未満の層がいずれも増加し、資産でも格差が広がった。金融緩
和による株高の恩恵が富裕層に偏っていることに加え、賃上げが幅
広い層に及んでいないためだ。
 世帯数が多い中間層の厳しさは、消費低迷が長引く一因とされる
。参院選の経済論議では、アベノミクスへの評価とともに、景気を
左右する中間層への支援策も課題になりそうだ。(共同)
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2016年 05月 31日 10:18 JST 
高齢、若年層の自殺深刻に
 政府は31日の閣議で2016年版自殺対策白書を決定した。自
殺対策基本法制定から10年となるのを踏まえ、自殺者の年齢構成
を調べた結果、制定翌年の07年に比べ15年は男女とも70代以
上と19歳以下の割合が増加。また14年の年齢別の死因順位では
15〜39歳のトップが自殺となっており、白書は「高齢化に応じ
た自殺対策や若年層への対応が必要」と提言した。
 白書に盛り込んだ警察庁の統計では、15年の自殺者数は前年よ
り1402人少ない2万4025人で、6年連続の減少。2万5千
人を下回ったのは1997年以来18年ぶりだった。
【共同通信】
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ハーバードが絶賛する「日本」を私たちはまだ知らない
2016年5月25日(水)16時07分NWJ
印南敦史(作家、書評家)
<新幹線清掃から福島第二原発まで、事例が豊富な『ハーバードで
いちばん人気の国・日本』。世界が高く評価する日本のポテンシャ
ル、そして、これからの日本の3つの課題とは?>
『ハーバードでいちばん人気の国・日本』(佐藤智恵著、PHP新書)
が焦点を当てているのは、ハーバード大学において日本のポテンシ
ャルが大きく評価されているという事実である。それは、この国に
対する悲観的な論調に慣れてしまっている私たちにとって、非常に
インパクトのあるトピックだといえよう。
 本書の「はじめに」の部分で、まず登場するのは、JR東日本が運
行する新幹線(東北・上越・北陸・山形・秋田)の清掃業務を請け
負う「JR東日本テクノハートTESSEI」(以下テッセイ)の話題だ。
次いで第1章でも詳細に解説される同社の取り組みは、マスメディ
アでも頻繁に取り上げられているのでご存知の方も多いだろう。
 新幹線が東京駅に到着してから、乗り降りの時間を引いたわずか
7分間で清掃を終えるという事実はそれだけで衝撃的であるだけに
、「新幹線お掃除劇場」として注目された。実は私自身、そのシス
テムを構築したテッセイの矢部輝夫さんには何度も取材させていた
だいた経験があり、ハーバードの教材になるという話もお聞きして
いた。そんなこともあり、ここでその取り組みに焦点が当てられて
いることには十分納得できる。そこには、本当の意味での"日本人ら
しさ"が反映されているからだ。
 階級社会が色濃く残る欧米で、清掃の仕事にやる気満々で取り組
んでいる人はほとんどいないといってもいいだろう。(中略)とこ
ろがテッセイの従業員は皆、情熱をもって仕事をしている。それは
お金のためというよりは、「人のために役立っているのが楽しい」
と感じているからである。3K(きつい、汚い、危険)と呼ばれ、
一般的には敬遠されるような職場で、やりがいをもって仕事をして
いる。それこそがまさに「奇跡」なのだ。(58〜59ページより)
 もしかしたら、この文章を読んだだけではそのリアリティを実感
できないかもしれない。「一般的には敬遠されるような職場で、や
りがいをもって仕事をしている」というフレーズを使えば、なんと
なく話がまとまってしまうのも事実だからだ。ところが、これは単
なる美辞麗句ではない。新幹線清掃の現場にいる「おばちゃん」た
ちは、本当にとてつもないことをやってのけているのである。この
話題は終章にも登場しているので、そこからも引用してみよう。
 東日本大震災後、本線上に残された東北新幹線を清掃したときの
話も感動的だ。二週間ぶりに清掃に入った新幹線はひどい汚れっぷ
りで、とくにひどかったのが、水が流れなかったトイレだった。
 ペーパーと排泄物で溢れたトイレを、ゴム手袋をはめた手で清掃
していく。そんなたいへんな作業をしながら、従業員の方々は、「
こんな状況のなかにいたお客さまは大変だっただろう」と、自分の
ことではなく乗客のことを考えていた、というのだ。(232〜233ペ
ージより)
 まったく同じ話を、実際に掃除をしたおばちゃんから聞いたこと
があるので、このエピソードが決して大げさなものではないことが
私にはわかる。そんなことがありうるのかとにわかには信じ難く、
何度も聞き返したのだが、彼女は戸惑うかのように「だって、みん
な困っていたワケですからね......」と、こちらの目を見ながら答
えたのだ。そのとき私が感じたのは、おそらく本書を通じて著者が
伝えたかったことと同じなのではないかと思う。
日本の社会は、世界でも類をみないほど平和で安定している。金融
史を教えるデビッド・モス教授(David A. Moss)はいう。
「日本はとてつもない力を秘めた国です。政治システムも安定して
います。経済状態が悪くなっても、暴力的な事件や、暴動が起きる
わけでもありません。日本がいかに平和で安定しているかというの
は、経済問題を抱える他国と比較してみればよくわかります。日本
は『平和で安定した国家をつくる』という偉業に成功した国なので
す」
 偉業に成功した国から、明日何が起こるかわからない時代を生き
抜く指針を見出そうとしているのである。(37ページより)
 新幹線の清掃以外にも、トヨタの圧倒的な強さの秘密からアベノ
ミクスまで、日本のさまざまな功績が紹介されていく(もっとも、
後者がハーバードで取り上げられる理由に関しては個人的に理解し
難く、また本書での考察も浅いように感じたが)。また、「戦略・
マーケティング」「リーダーシップ」についてもそれぞれ章が立て
られている。なかでも「福島第二原発を救った『チーム増田』」に
は、強力なリーダーシップ論として読み継がれていくべき価値があ
るといえる。ひとつ間違えばメルトダウンを起こすかもしれなかっ
た福島第二原発のリスクが、リーダーであった増田尚宏所長の立ち
回りによってすんでのところで食い止められたという話だ。
「増田さんは、作業員でごった返す緊急時対応センターで、ホワイ
トボードにひたすら数字と図を書いていったのです。(中略)つま
り『私にも何が起こっているかわからないが、少なくともいま私が
知っていることはこれだ』と作業員と情報を共有したのです。これ
を社会心理学では、『センスメーキング』(sense making)といい
ます。危機の真っただ中にいて、センスメーキングをできるリーダ
ーはなかなかいません」(206〜207ページより)
 センスメーキングがあったからこそ作業員がパニックに陥らなか
ったというわけで、ここにはさまざまなリーダーが応用できるヒン
トが隠されているといえるのではないか?
 さて、本書を読み進めていくと、実感せざるを得ないことがひと
つある。「いわれてみれば、たしかにすごいかもしれない」日本人
の持つ力を、我々日本人がいちばんわかっていないのではないだろ
うかということだ。
 終章においてもそのことにページが割かれている。ただし、そこ
には「ハーバードの教授陣も手放しで日本を絶賛しているわけでは
ない」という記述もある。「課題」として提示されているものは次
の3つ。「@グローバル化」「Aイノベーションの創出」「B若者
と女性の活用」だ。
 グローバル化が遅れている理由として挙げられているのは、「変
化への極度の抵抗」、そして「ローカル志向」の人の多さだ。グロ
ーバル派が増えないのは、それが日本では「出る杭」として認識さ
れているからだそうだ。また、イノベーションの創出が昔ほど進ん
でいないのは、「快適な国」であることが一因であるともいう。ア
メリカは問題だらけの国だから、それらを解決するためにイノベー
ションが生まれる。しかし、日本にはそれがないということだ。こ
のことに関する唯一のチャンスが、高齢化にあるという指摘も興味
深い。
いまの日本はイノベーションを起こすチャンスだ、と前向きな意見
を述べるのが、ロザベス・モス・カンター教授だ。
「日本は高齢化社会ですね。高齢化社会であることはイノベーショ
ンを生み出しやすいという利点があります。高齢者が多ければ『若
い労働者が不足しているから、道路も鉄道も思うように建設できな
い。それならどうしようか』と考えますね。それを解決するにはイ
ノベーションを起こすしかありません」(238ページより)
 その点も含め、若者と女性の活用が実現すれば、そこが突破口に
なるかもしれないという考え方だ。
 先にも触れたとおり、ハーバードから、あるいは全世界からこれ
だけ注目されているにもかかわらず、そうした情報は私たちのもと
にはほとんど入ってこない。だからこそ、その重要な部分を開示し
た本書には大きな価値があるといえる。
 ただし、そのうえで求められるべきは、我々の意識の持ち方なの
ではないだろうか? たしかに、現在の日本の閉塞感には無視でき
ないものがある。しかし、だからといって「もうダメだ」「先がな
い」と囁きあっていても、そこからはなにも生まれない。それより
も、(ダメかもしれないけれど)「これだけの可能性もある」とい
うことを意識していくべきだということ。そうやって前向きに信じ
、そこから「どうすればいいか」を考える。そんな姿勢こそが、な
によりも大切なのではないかと思えるのである。



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