5680.Gゼロ時代で日本にチャンスあり



トランプ氏が米国大統領になる可能性が出てきて、Gゼロの世界に
なるようだ。その時、日本は大きなチャンスがある。その検討。 
                    津田より

0.米国の動向
FOXニューズの調査で、トランプ氏は、クリントン氏を支持率で逆転
した。一部の識者からは、トランプ氏に勝てるのはクリントン氏で
はなく、むしろサンダース氏だという声まで聞かれ、最新の世論調
査では、ついにトランプ氏の支持率がクリントン氏と並ぶ、または
FOXニューズの調査のように追い越したという結果が出た。本選では
、サンダース支持者の票の行方が、勝敗を左右する。との評論も出
てきた。

しかし、サンダース氏は、民主党予備選から撤退を表明しないので
、クリントンは、サンダースを副大統領候補にもできない。一方、
トランプ共和党候補も、共和党主流派との関係融和優先で、サンダ
ース氏を支持する反企業的な人たちを味方にする富裕層への増税を
言えないようである。

しかし、トランプ氏は、サンダース氏支持層を味方にしないと本選
の勝利はない。このため、トランプ氏は共和党主流派から離れる可
能性もある。というより、それをしないと勝利がない。

一方、クリントン氏が勝つためにも、サンダース氏の支持層を味方
にする必要があり、こちらもサンダースの政策を取り入れることで
ある。富裕層への増税、自由貿易から保護貿易にして、オバマケア
の拡充など、サンダース支持層の支持を得ることである。

ということは、米国大統領がクリントンになろうと、トランプにな
ろうと、あまり変わらない経済政策になることが考えられる。

経済政策で違うのは、トランプは、ヘリコプター・マネーを使い、
米国債を償還してしまうということで、ドル価値が下落する可能性
というよりドル暴落になり、世界的には大恐慌になる。もちろん、
ドル基軸通貨制度は崩壊する。世界は大きな衝撃を受けることにな
る。

そして、一番違うのは、クリントンとトランプの違いは、外交政策
であろうと思う。クリントンは経済的には保護主義にするが、米国
が覇権を放棄することはない。それに対して、トランプは米国第1
に考えた外交政策にして、孤立主義的な外交政策にする。

ロシアや中国とも友好関係を確立して、米国以外の国への関与を止
める。もし、米国の軍隊で守って欲しいなら、その経費の全額を守
ってほしい国が出すことであるという。覇権の放棄である。Gゼロ
社会の出現だ。

今の日本政治指導者は、トランプになったら、大変なことになると
思っっているが、本当であろうか?

1.トランプ外交でどうなるか?
10年以上前に、覇権の構造で、世界の多くの国から支持された国
が覇権を取る構図であると述べたが、今も同じである。米国は覇権
を維持するだけの軍事費の負担ができずに、米国だけの利益を見て
動くとしたのである。

トランプ外交は、米国の今の状態からは仕方がないことであり、遅
かれ早かれ米国は覇権国ではなくなる。

しかし、米国に代わる覇権国はないので、次の覇権国は、当分ない
ことになる。Gゼロの時代になる。ユーラシア大陸にある中国とロ
シアが覇権国に近いが、この両国とも拡張主義になり、周辺諸国か
らの支持が得られないことで、周辺諸国とも紛争を起こすことにな
る。ロシアが欧州、特に東欧とであり、中国が南シナ海でフィリピ
ンやベトナムやインドネシアなどである。

トランプ経済では、ドル基軸通貨制度も破壊するようであり、経済
的にも米国が中心ではなく、中国が中心になる可能性が高い。

ということで、米国の位置が大きく下がることになる。この時、世
界はどうなるのであろうか?

2.中国の外交戦略とは
中国は米国が覇権国を降りた時に、経済的、地政学的には覇権国に
なる可能性が一番ある国であるが、中国は、国内政治体制が独裁主
義であり、国内秩序の方が外交より優先のために、どうしても国内
の愛国主義を重要視する必要がある。

このため、海外に強く出るし、国際法も遵守しないし、海外の国に
配慮もしないで、強い外交をしてしまう。特に軍事的な問題では、
強く出るので、周辺の多くの国は反中国になってしまう。

政府と軍事機関が相互不干渉であるので、その両者の外交政策が大
きく違うので、政府が行う経済的な利得でも、領土保全や外交的な
思いやりなどがないので、中国に最初はなびいても途中で嫌になる
国が多い。

しかし、この欠点が日本には、非常に有利に作用している。

3.日本にチャンスあり
日本の良さは、日本人の性格による。相身互いと他者を思うことが
できるので、他国の困った事を手伝うことができるし、それを思い
やって手を打てることである。

この日本の良さにより、覇権国がなくなった時に、日本を頼りにす
る国が増える事になる。中国の軍事的な拡張主義が有り、日本の海
上自衛隊に頼らざるを得ない国が増える。中国周辺諸国の国のほと
んどが日本を頼りにすることになる。

ロシア、インド、ASEAN諸国などであり、中国の荒っぽい、国
内優先の外交主義には、以前は親中のミュンマーも耐えられなくな
り、離中になるしかなかった。中国の荒っぽい外交により、日本は
黙っていても、周りが日本を頼りにしてくる。

ロシアも中央アジアでの経済・安全保障両面で中国の攻勢を受けて
、ASEANとの同盟強化しようとし始めている。中国は一帯一路
という戦略で上海協力機構を無視し始めているので、ロシアはAS
EANと日本に近寄るしかない状況になってきたのである。

インドもベトナムのカムラン湾に艦艇を派遣して、南シナ海のベト
ナム権益を守る方向であり、インドとベトナムの裏にはロシアがい
るので、中国もロシアに注意をしている。というように中国とロシ
アの関係が米国の孤立主義により、変化してきた。

米国は貿易関係も自国の利益を中心に考え、保護主義にするという。
このため、TPPの批准をしないと米国は言うが、日本にとっては
米国抜き中国に抜きのTPP協定は、大きな利益を受ける。環太平洋の
諸国と深い関係を築けることになる。これにより、この地域での中
心的な国になれる。

日本は、世界的な覇権国にはなれないが、地域的な優位国になるこ
とができるし、EU、米国+NAFTA、日本を中心とした環太平
洋諸国+ASEANという3つの自由貿易圏の対等の関係を築ける
ことになる。

米国から軍事的にも独立するしかないので、日本は独自の戦略を持
つこともできる。そして、日本の軍事体制ができるまで、必要な軍
隊は米国に委託することもできる。

経済的、軍事的な戦略を日本は独自に組み立てることになり、覇権
国と同様な考え方で、組み立てることである。

というように、次の世界大戦までの期間、日本は覇権国家としての
準備をする時期を迎えることになるとみる。

さあ、どうなりますか?


参考資料:
1185.覇権の構図
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/k5/150301.htm


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「トランプ氏、クリントン氏を逆転」は正しいけど注意が必要…本
戦を左右する鍵とは?
更新日:2016年5月20日newsphere
 米大統領選の共和党指名獲得を確定させたトランプ氏の躍進とは
対照的に、クリントン氏の人気が低迷している。一部の識者からは
、トランプ氏に勝てるのはクリントン氏ではなく、むしろサンダー
ス氏だという声まで聞かれ、最新の世論調査では、ついにトランプ
氏の支持率がクリントン氏と並ぶ、または追い越したという結果が
出た。本選では、サンダース支持者の票の行方が、勝敗を左右する
ことになりそうだ。
◆ワーキングクラスの反乱は民主党にも波及
  CNNのコメンテーター、ジョナサン・タシニ氏は、不満の溜まっ
た労働者階級の政治的反逆が、トランプ氏を利し共和党を混乱させ
ているが、実はその影響は民主党にも及んでいると指摘する。
 同氏は、1990年代のビル・クリントン政権下で、民主党は金融機
関の規制緩和、富裕層の減税など、超党派的政策を打ち出したと述
べる。時期を同じくして北米自由貿易協定(NAFTA)が発足し、世界
貿易機関(WTO)が設立され、労働者を犠牲にし、企業に有利なルー
ルが制定された。以来、それまで労組に加入し、福利厚生のあるミ
ドルクラスの職についていた人々にはまともな賃金が支払われる仕
事がなくなり、以来彼らは景気低迷であろうが回復であろうが、す
べての経済の議論から締め出されてしまったと感じていると同氏は
説明する。
「あの当時、共和党政権であったらもっと悪くなっていた」と主張
する民主党エリートの感覚のずれを批判する同氏は、「共和党より
悪くはないから投票して」というパッとしないスローガンで、長年
無視されてきた多くの有権者の信用を得ようとするのは無理な話だ
と述べる。一方トランプ氏は、「もう一度アメリカを偉大な国に」
などと壮大な言葉で人々の傷を(たとえその気はなくても)癒すこ
とを約束しており、政策の良し悪しにかかわらず、有権者はトラン
プ氏へと向かうのだという。
「信頼と誠実さ」においての評価が記録的に低いクリントン氏は、
労働者の痛みを感じていると有権者に納得させることに苦戦してい
るとタシニ氏は述べる。対照的に、サンダース氏の信頼性と企業寄
りの政策に一貫して反対する姿勢は人々の話題となり、有権者を投
票所へ向かわせると述べ、本選でトランプ氏を倒せるのは、サンダ
ース氏だとしている。
◆トランプ優勢と見るのはまだ早い
  最新のロイター/イプソスの調査によれば、全米の支持率は、ク
リントン氏41%、トランプ氏40%とほぼ並んだ。Foxニュースの調査
では、トランプ氏がクリントン氏を3ポイントリード、ラスムセン・
レポートの調査では、トランプ氏が5ポイントのリードと発表されて
いる。
 英テレグラフ紙は最近の調査結果はクリントン氏には打撃だとし
、多くのサンダース氏支持者がトランプ氏支持に回る可能性を報じ
ている。同紙はまた、クリントン氏は民主党の白人労働者層の票が
取れないと報じている。トランプ氏自身、本選ではこれらの有権者
が党をまたいで自分に投票すると自信を深めており、クリントン氏
を苦しめるサンダース氏を「あまり強く叩きたくない」とジョーク
を飛ばしている。
 一方で、ニュースサイト『Inquisitr』は、そもそもトランプ氏優
勢と発表したFoxとラスムセンの調査は信頼性がないとしている。Fox
の調査は統計的「異常値」だとしており、エモリ―大学の政治学者
、アラン・アブラモヴィッツ氏も、調査が共和党支持者に過度に偏
って行われていたと指摘している。統計分析を用いて選挙戦を説明
する『FiveThirtyEight』によれば、ラスムセンの調査は2012年の大
統領選世論調査で23社中4番目に高いエラー率を出し、2番目に高い
共和党候補偏重傾向を示していたという。これらの調査は、初めて
トランプ氏優勢と示したがために、メディアに大きく取り上げられ
てしまっただけで、一部の結果を重視するべきではない、と専門家
は注意を促している(Inquisitr)。
◆カギはサンダース氏の無党派支持者
 『FiveThirtyEight』のネイト・シルバー氏は、サンダース支持者
の票がトランプ氏に流れるのではないかという見方に対し、クリン
トン氏巻き返しの可能性はあると述べる。
 最新のYouGovの調査では、トランプ氏対クリントン氏になればク
リントン氏に投票すると答えたサンダース氏支持者は55%で、トラ
ンプ氏に投票すると答えたのは15%ほどだった。残りの30%は未定
、独立系に投票する、棄権のいずれかとなる。
 シルバー氏によれば、サンダース氏の多くの支持者は、民主党支
持というより無党派が多いが、クリントン氏の支持者の多くは民主
党支持だ。NBCニュース・Survey Monkeyの調査では87%、フォック
ス・ニュースの調査では83%の民主党支持者が、トランプ氏ではな
くクリントン氏に投票すると回答している。つまり、クリントン氏
がサンダース氏を支持する多数の無党派を本選で引き寄せることが
できれば、十分トランプ氏を引き離せるということらしい。ただし
、クリントン氏がそれに失敗した場合は、本選は最後まで分からな
い接戦になるとシルバー氏は見ている。
(山川真智子) 
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2016.5.22 07:00サンケイ
【田村秀男の日曜経済講座】
伊勢志摩サミット、陰の主役 “トランプノミクス”という難題
 米大統領選の共和党候補指名を確実にしているドナルド・トラン
プ氏。一部で「トランプノミクス」と称され始めた異次元の経済政
策構想は26、27の両日開催される主要国首脳会議(伊勢志摩サ
ミット)を揺さぶる陰の主役だ。
 「あっという間に影響が世界中に広がり、金利上昇や民間企業の
倒産をもたらし、いくつかの国はデフォルト(債務不履行)と景気
後退の悪循環に陥る」。トランプ氏の政策について、ロイター通信
の16日付コラムで警告したのは国際通貨基金(IMF)の元チー
フエコノミスト、サイモン・ジョンソン・マサチューセッツ工科大
学(MIT)教授である。「トランプ大統領」が出現しなくても、
今後11月の本選挙にかけて、トランプ氏の当選確率が上昇してい
くようだと、世界の金融市場が揺れ、景気後退に陥るとジョンソン
教授は懸念する。
 伊勢志摩に集う7カ国首脳たちが同じ恐れを内心抱くだけの根拠
は十分ある。焦点となる財政出動などの重要政策はトランプノミク
スと共通点があるだけに、下手すると混同されて、金融市場を攪乱
(かくらん)しかねないからだ。
 伊勢志摩サミットでは日米欧が展開してきた金融緩和策の限界を
みて、金融と財政の両輪を組み合わせる方向に進もうとしている。
中央銀行が資金を発行して政府が発行する国債を買い上げる一方で
、政府は財政出動して景気を刺激する。その場合、中央銀行が償還
期限まで国債を保有し続けることにすれば、政府は対民間債務を増
やさなくても済む。それは財政資金を貨幣(マネー)に換えるヘリ
コプターマネー政策とも呼ばれ、米欧の金融専門家は議長国日本に
実験させたがっている。
 白人貧困層や中間層を支持基盤とするトランプ氏は中間層以下へ
の減税と富裕層への増税や財政支出拡大を掲げている。そして、債
務によって不動産王国を築き上げた実績を引き合いに出し、「借金
は好きだ」と明言し、政府債務返済のためには紙幣を増刷すればよ
いという。基軸通貨ドルは世界のだれもが必要とするので、いくら
増発しても暴落するリスクは少ないというロジックで、いささか粗
っぽいがヘリ・マネー論の極論に違いない。
 ヘリ・マネー論自体は、ノーベル経済学賞受賞の故ミルトン・フ
リードマン教授やベン・バーナンキ前米連邦準備制度理事会(FR
B)議長が提唱したほど学術的権威があるが、トランプ氏の口ぶり
はいかにもポピュリスト(大衆迎合主義者)らしい。不動産ビジネ
ス式発想を遠慮なく披瀝(ひれき)して有権者から拍手喝采され、
政府からの独立性が保証されているはずのFRBのイエレン議長が
命に従わなければクビをすげ替えると脅してみせる。
 金融というのは難解な金融用語と理論に彩られた複雑な装いが凝
らされているが、本来、金(きん)の裏付けのない紙幣に頼ってい
るだけにきわめて繊細だ。そこに権力者が辺り構わず露骨に政治介
入すれば通貨の信用が損なわれる。トランプ流で実行されてしまう
と、投資家は不安におののいてパニックになり、長期金利は上昇し
、企業の設備投資と家計消費が急激に落ち込むと、上記のような金
融専門家は恐れるのだ。
 トランプノミクスは間接的だが日本を直撃している。トランプ氏
は日本車への高関税を主張する。円安により競争条件が不利だとす
る米ビッグスリーの使い古されたレトリックだが、本来は民主党に
多い保護貿易主義者の常套(じょうとう)句である。民主党政権維
持を狙うオバマ政権はトランプ攻勢をかわすため、日本の「円安誘
導」への批判を強めており、サミットでも言及しそうだ。
 この分では政府による円売り・ドル買い介入ばかりでなく、日銀
による異次元緩和やマイナス金利政策の追加も制約を受け続けかね
ない。
 グラフは日米の金利差と円ドル相場である。円安トレンドは昨年
末から止まった後、円高方向に振れている。通常は、日米金利差(
米国金利水準の超過幅)が拡大すれば円が売られドルが買われるの
で円安となるが、最近では無反応だ。であれば、日銀がマイナス金
利水準を高めて、米国との金利差を広げればよいが、黒田東彦(は
るひこ)総裁は慎重だ。
 「国際政策協調」の麗句に酔っては危険だ。一国の財政金融政策
は本来、自国経済のためにあるとケインズも言っている。米国に配
慮して、円高に誘導し、金融緩和して失敗した1985年9月の「
プラザ合意」の教訓もある。サミット議長の安倍晋三首相はトラン
プノミクスよりも、堂々と日本再生、アベノミクスの強化を優先す
べきだ。(編集委員)



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