5672.トランプ氏が大統領になった時の日本の戦略構築



米国の大統領予備選で、共和党はトランプ氏が大統領候補になった
。共和党では貧しい白人男性から圧倒的な支持を受けて、予備選を
制したが、トランプ候補が大統領になる可能性もある。日本もトラ
ンプ氏が大統領になった時の戦略を検討する必要がある。
                       津田より

0.トランプ大統領候補の政策
トランプ氏は外交政策全体の最重要点として「アメリカファースト
」(米国第一)という標語で、昔共和党ギングリッジが言っていた
ことである。米国の利益優先ということで、同盟国には防衛費の負
担を押し付け、ロシアや中国など敵とは仲良くして戦争をしないし
、米国の安全保障に関わらないなら無視する。孤立主義である。

米軍が駐留する日本や韓国など同盟国に駐留経費の全額負担を求め
るし、NATO諸国にも負担を求める。GDPの2%以上の防衛費を拠出
させるという。

この2%の防衛費の国家群でイスラム過激派を殲滅するという。米
軍だけでは、前に出ない。自国の安全保障に関わらない戦争は極力
しない。

中国や日本、ドイツなどの貿易赤字相手国に対しては、関税を引き
上げて貿易を止めて、米国の産業を復活する。自由貿易やグローバ
リズムをやめる。イスラム教徒や南米からの移民を排斥して、米国
に入れない。

もう1つが、米国債の全額償還をしないことで、米国をデフォルト
させるというのである。借金は踏み倒して良いという考え方で、経
済の相互依存性を無視した政策をするようである。これが一番、世
界的な問題になる。

米国債がデフォルトを起こすと、世界的な経済構造変化が起きるこ
とになる。米国債を誰も買えないので、米国の赤字予算はできなく
なり、世界の国はドルでの準備預金ができないので、ドル基軸通貨
制度は崩壊してしまう。それに代わる基軸通貨を必要になり、新し
いプレズン・ウッド体制の構築を急ぐ必要になるはず。

当面、国債をデフォルトしない国で通貨量が大きい通貨が基軸通貨
として、準備預金するか、金やプラチナなどでの準備預金をするし
かないことになる。となると、ユーロ、円か人民元であるが、中国
は不良資産が大きく、いつ減価するかわからないので、ユーロ、円
になる可能性が高い。

また、米国の金利を上げないで、ドル安にして輸出産業を活性化す
るというが、関税を上げた時点で、貿易が世界的に止まり、輸出で
産業を活性化することはできなくなる。経済相互性をトランプ氏は
理解していない。米国の勝手が通用すると思っているが、それは無
理だ。TPPなどは2度とできない。

しかし、米国抜きのTPPを日本は提唱して、中国と米国抜きのTPPを
行うことである。環太平洋というブロック経済化ができる。日本に
とって、米国抜きのTPPは非常に良い。工業製品を輸出できる国は、
日本しかない。

米国では、ワイマール憲法下のドイツのような混乱が起きるし、そ
れは世界をも巻き込んで経済的な縮小を起こすことになる。世界的
な大恐慌になる。そちらの方が怖い。

1.沖縄問題が解決する
日本もトランプ氏が大統領になった時の準備を進めることが必要に
なっている。沖縄問題は解決することが確実になる。

米軍の駐留経費を全額出せという要求には、日本サイドは、必要な
軍隊だけを駐留させること、日本に駐留する軍隊を他地域には展開
させないことを約束させる必要がある。

海兵隊は、普天間基地から辺野古に移動させようとしていたが、駐
留経費を出さないことで、自動的に米国内に引き上げることになる
。沖縄問題は解決することになる。また、グラムへの移転経費も出
す必要がなくなり、日本はタダで沖縄問題がなくなる。

現在でも、海兵隊のほとんどは沖縄にはいないでアラブ諸国に展開
しているし、今後はグラムに移転になるが、中国の最初の攻撃でグ
アムに撤退することになっていたので、日本の防衛には寄与してい
ない。そして、佐世保の上陸強襲艇部隊である米海軍基地も必要が
なくなる。

日本が必要としているのは、横須賀の第7艦隊だけであり、空軍も
必要がない。嘉手納のF-18はあっても良いが、三沢のF-16部隊は必
要なし。ということで、厚木と横須賀だけが必要であり、あとは撤
退してもらっても良いことになる。これで沖縄の米軍基地はほとん
どなくなる。第7艦隊用基地を残すだけである。自衛隊が利用する
べきであるが、嘉手納も基地を縮小することはできると思う。

トランプ大統領により、沖縄問題はなくなる。埋立工事を止めたこ
とは非常に良いことである。沖縄の大きな政治問題はなくなる。

そして、日米同盟は対等になる可能性は高い。トランプ大統領にな
り、経済的な混乱等で、軍事費は大幅に削減するしかないことにな
り、日本に2隻目の空母の経費も出させようをするはず。

日本の防衛費は、GDPの2%程度にする必要が出てくる。10兆円規模
になる。

2.現地生産に移行
関税を引き上げて貿易を止めて、米国の産業を復活するとトランプ
氏は言うが、日本企業の多くが、すでに米国の工場で製品を作って
いる。現在、一番問題なのが、米企業が米国以外の工場で製品を作
り、米国に輸入してきて、日本企業の米国製品より安価に売り出し
ていることである。

日本も部品等の輸出をしているが、その部品産業も米国に工場を移
すことである。価格競争がなくなり、性能などの品質で勝負ができ
るので、日本企業が優位になる。

トランプ大統領になって、米国企業は米国内に工場を移転して工員
の教育をする必要が出てくるので、米企業が大変なことになる。

3.米国の没落
米国に移民を入れないことや米国債をデフォルトさせることで、世
界の中心も米国ではなくなる。特にドル基軸通貨制度の崩壊は大き
い。

2月末の米国債保有高は、日本が1兆2244億ドル(約145兆
7000億円)の半分がデフォルトしたとしても、70兆円程度の
損失になるが、米国の信用損失は膨大である。

日本は対抗上、米国資産の凍結をしても良いことになるが、米国で
の日本資産が有りできない。しかし、多くの国では行う可能性が高
い。そして、ドルの信用はほぼ無くなり、2度と世界は米国債を買
わない。

世界に出回っていたドル紙幣は逆流して、米国に戻ってくるのでド
ルの暴落になる。それを支えるためにドルの買い入れを行うことに
なるが、FRBは金をそれほど持っていないし、他国通貨もないの
で、為替介入もできないことになる。海外資産売却になると思う。

それと同時に、原油の値段が下がり、シェールオイル産業が崩壊し
て、ITバブル崩壊程度の経済的な損失になる。経済的な縮小に、追
い打ちをかけて、金融破綻が起きる可能性がある。

このように、トランプ氏の政策は、他人を拳銃で撃とうして自分の
足を撃つことになる。米国が自分で経済崩壊していくことになる。
経済の相互依存性を理解していないトランプ氏の政策は、数年で結
果を出して、米国民は正常になるかもしれない。

今の米国の貧乏な白人やマイノリティたちは、自国富裕層がいけな
いのに、他国が米国を潰していると思っているので、他国を攻める
が、それは間違いである。

米国の富裕層が取り分を高めたいので、経済合理性だけで企業経営
をしているからである。その富裕層をそのままにして、他国を責め
ても、それは問題を解決できずに、自国の衰退を早めるだけである。

さあ、どうなりますか?


参考資料:
Donald Trump’s Idea to Cut National Debt: Get Creditors to Accept Less
http://www.nytimes.com/2016/05/07/us/politics/donald-trumps-idea-to-cut-national-debt-get-creditors-to-accept-less.html?smid=tw-share&_r=0

U.S. oil industry bankruptcy wave nears size of telecom bust
http://www.reuters.com/article/us-usa-shale-telecoms-idUSKCN0XV07V

Imagining a New Bretton Woods
https://www.project-syndicate.org/commentary/imagining-new-bretton-woods-by-yanis-varoufakis-2016-05

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トランプ氏、米軍駐留経費の全額負担要求 同盟国に  
2016/5/6 10:32
日本経済新聞 電子版
 【ワシントン=吉野直也】米大統領選で共和党の指名獲得が確実
になった不動産王ドナルド・トランプ氏(69)は大統領に就任した
場合、米軍が駐留する日本や韓国など同盟国に駐留経費の全額負担
を求めると表明した。応じなければ、米軍を撤退させる考えを示し
た。4日の米CNNテレビのインタビューで語った。
 トランプ氏はこれまで駐留経費の大幅増額が必要だと主張してき
たが、全額負担を要求したのは初めて。共和党の候補指…
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記事 WEDGE Infinity
2016年05月04日 08:22
 「トランプイズム」はパンドラの箱か 『崩壊するアメリカ 〜ト
ランプ大統領で世界は発狂する!?』 - 中村宏之 (読売新聞東京
本社調査研究本部 主任研究員)  
目下、民主・共和両党で候補者選びが進んでいるアメリカの大統領
選挙をおもしろくしているのは、まぎれもなくドナルド・トランプ
氏の言動である。ごく普通の人々にとってアメリカの大統領選挙と
いうのは従来、仕組みが複雑でわかりにくいものであったはずだが
、トランプ氏はそれを「劇場」にしてしまった。トランプ氏の言動
に注目することで、大統領選挙に関心が集まり、いつのまにか多く
の人にその仕組みまでも理解させてしまっている”功績”は大きい。
 既に日本でも繰り返し報道されているように、トランプ氏の暴言
はあげるときりがない。メキシコとの間に巨大な壁をつくるとか、
イスラム教徒のアメリカ入国を拒否すべきだなど、本書の巻末にト
ランプ語録が「付録」でついているが、数々の暴言を集めると、そ
れだけで一つ章ができるほどの分量である。長年アメリカ政治をウ
オッチしてきた著者が、そうしたトランプ氏の動きを丹念に追いな
がら現代アメリカの姿を深く読み解いた力作が本書である。
トランプが大統領になったらどうしよう?
『崩壊するアメリカ 〜トランプ大統領で世界は発狂する!? 』横
江公美著 ビジネス社
 米共和党もトランプ氏の扱いに困っているはずだ。米国内の報道
や各種解説を見ても、よもやの快進撃が続いているために、どう対
応していいのかわからなくなっているような印象を受ける。「トラ
ンプ氏が大統領になったらどうしよう」というのは当初は冗談みた
いな話だったが、先般、大票田のニューヨークの予備選で勝利して
したことで、大まじめな心配事に変わったのである。メディアも7月
の全国大会に向けて何か混乱が起こるのではないかと警戒している。
 一連のトランプ旋風に関する著者の分析には注目させられる。な
ぜトランプ氏に人気が集まるのか。著者はアメリカでの人口構成の
変化に注目している。
 〈2000年前半まではアメリカ人口の白人率は4分の3を超えていた
が、今は55%ほどである。中略 白人が多数派の場所を明け渡すカ
ウントダウンが始まっている〉
 〈乱立した候補者のほとんどが何かしらマイノリティの要素を持
っていた。中略 従来のマジョリティである白人プロテスタントは
トランプしかいない。しかもトランプは古き良き時代のアメリカン
・ドリームの達成者である〉
 〈多様化した社会にストレスをため、「昔は良かった」と考える
共和党支持の白人がトランプ支持に傾いたのである〉
 著者は以上のように指摘する。なるほどと納得できる解説である
。著者による政策比較で、トランプ氏は外交安保で孤立主義を唱え
、経済政策では穏健派であり社会政策でも穏健派と分類する。派手
な言動は別にして、政策的な主張は評価できる点がないわけではな
い。
 著者は米国の世代変化にも注目してトランプ現象を読み解いてい
る。
 〈アメリカは今、40年に一度変化の中にあるなかで、両党が戸惑
っている。もちろん支配層から突如転落した共和党は激しく戸惑っ
ている。(中略)支配層から抜け出た不満、そこから抜け出す光が
見えない不安が、トランプ現象を生んでいると見ることも出来る〉
「ひょっとしたら?」と考える人が増えている
 トランプ大統領はないだろうと、多くの人が思いつつ、これまで
の展開をみると、「ひょっとしたら」と考える向きが増えているの
も事実である。著者のいうように「無視できない」状況になってい
るのである。もし実現してしまったら、当然ながら日本への影響も
大きいだろう。詳しい見通しは本書を読んでいただきたいが、世界
の警察官であることをやめ、アメリカの国家安全保障が最重要課題
という方向に傾いている状況のなかでは、日本への影響がどう出て
くるかは想像できないことではない。
 では、どう対応すればよいのか。外交上の常道は、本人や側近は
別にして、政策アドイバザーに話をきくことなどが重要だが、トラ
ンプ氏の場合は政策アドバイザーがおらず、伝統的手法が通じない
ようだ。
 〈アドバイザーがいないだけに、今トランプの考えを知るには、
どんな発言をするかを注意深く聞くしかない〉
 だからこそメディアがあれだけ注目し、扱いも大きくなるのであ
ろう。おそらく日本の外務省も情報集めに苦労しているはずだ。
 トランプ氏が本当に次の大統領になるかならないかはわからない
。ただ、著者も指摘するように、トランプ氏的なモノの考え方(ト
ランプイズム)は今後、アメリカ社会の中に広がってゆく可能性が
ある。著者は「アメリカ人の本音の箱を開けてしまった」とも評し
ているが、社会の構造変化に直面してのたうつ大国・アメリカを象
徴しているのがトランプ氏なのかもしれない。自分も含めて多くの
人々が長年認識していた従来のアメリカとは違う動きが、確実に国
の中で起きているのである。その変化に対する「レジスタンス」と
もいえる感情がトランプ氏の行動に現れ、彼に共感する人々の心を
突き動かしているようにもみえる。
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注目のトランプ「外交政策」、やはり中身はなかった
粗雑な孤立主義を米国の識者が厳しく批判
2016.5.4(水)   古森 義久 jbpress
米大統領選で旋風を巻き起こしている共和党候補、ドナルド・トラ
ンプ氏が初めて外交政策について演説をした。
トランプ氏が予備選挙戦で事前に草稿をきちんと準備して演説した
のはこれが初めてである。だが、その外交政策は粗雑な孤立主義で
あるとして、保守派かもらもリベラル派からも厳しく批判される結
果となった。
「アメリカファースト」を掲げオバマ外交を批判
トランプ氏は4月27日、ワシントン市内のホテルで初めて外交政策に
ついて演説した。以下がその内容の骨子である。
まず、トランプ氏は外交政策全体の最重要点として「アメリカファ
ースト」(米国第一)という標語を強調した。アメリカの利害関係
を何よりも優先する姿勢である。
その姿勢は、オバマ大統領の好きな「国際協調」や「多国主義」へ
のアンチテーゼとも言うことができる。トランプ氏はオバマ外交を
「ビジョンがなく、目的も方向もなく、戦略もない」と断じる。そ
して以下の5点をオバマ外交の弱点として挙げた。
(1)米国の資源を無駄使いしている
オバマ大統領は米国の軍事と経済を弱体化した。他国の国づくりを
唱えながら米国の国力をすっかり骨抜きにしてしまった。
(2)米国の同盟国の負担が不足している
北大西洋条約機構(NATO)の加盟国28のうち、公約である国内総生
産(GDP)の2%以上を防衛費にあてている国は4カ国しかない。これ
は不公正である。
(3)同盟諸国の米国への不信が増した
オバマ大統領の「友を嫌い敵を好く」態度によって、米国の同盟諸
国の間で対米不信が増した。
(4)競合相手から軽んじられている
ロシアや中国はおろか北朝鮮までもが米国を恐れず、もちろん敬意
も抱かない。特に中国は米国への敵対的行動を盛んに行っているが
、米国は対抗措置をとらない。
(5)外交政策に明確な目標がない
リビアの独裁政権を倒した後?民主主義勢力の崩壊を黙視した。イラ
クやシリアでもテロ組織IS(イスラム国)の跳梁を座視した。
「国益を守るために軍事力を断固として使う」
以上のようなオバマ政権批判を踏まえ、トランプ氏は自らの外交政
策目標として次の3点を挙げた。
(1)イスラム過激派の勢力拡大を阻止する
この目標達成には米国だけでなく全世界の努力が必要である。米国
は軍事力の行使もためらわないが、哲学的な闘争も必要とする。
(2)米国自身の軍事力と経済力を再強化する
中国もロシアも軍備を強化して国威を発揚しようとしている。米国
も軍備縮小の流れを逆転させ、世界最強の地位を確実にする。経済
面でも米国を偉大にする。
(3)米国の国益に基づく外交政策を確立する
まやかしのグローバリズムに流されるべきではなく、主権国家こそ
が国民の幸福や調和の真の基礎となる。国際的な連帯もそれ自体に
は価値がない。
トランプ氏は以上のような要点を訴えるとともに、「米国の国益を
守るために軍事力を断固として使う」「民主主義など欧米の基本的
価値観を世界に広める」「NATOおよびアジアの同盟諸国と協議して
、共同防衛の経費の負担のあり方を論じ、共通の脅威への対処を考
える」とも誓約していた。
立場を異にする3人の識者の評価は?
このトランプ外交演説を米国各界の識者たちはどうみたのか。米国
には多様な政治理念の論者たちがいる。ここでは代表的な3人の識者
の反応を紹介しておこう。
・共和党系保守派の見方
第1は、共和党系保守派の大物政治評論家、チャールズ・クラウトハ
マー氏の意見である。
「トランプ氏はこの外交演説で、自らを揺るぎない信念の政治家、
そして大統領にふさわしいリーダーとして示したかったのだろう。
その狙いはある程度は成功したと言える。
彼の演説の主眼は『アメリカファースト』という標語に集約されて
いた。その背後には、トランプ氏が誇りとするナショナリズムが影
を広げている。トランプ氏のナショナリズムは、他国や他国の国民
には米国民の血や資源を犠牲にしてまで介入する価値がない、とす
る孤立主義と一体となっている。だが、その孤立主義志向は、同盟
国の対米不信を取り除こうとしたりイランの封じ込めを唱えるとな
ると、矛盾が露呈する。いずれも対外的に関与しなければ達成でき
ない目標だからだ」
・民主党系リベラル派の見方
第2は、民主党系リベラル派の外交ジャーナリスト、ファリード・ザ
カリア氏の意見である。
「今回のトランプ演説は、メキシコとの国境に壁を建設するとかイ
スラム教徒の入国を禁止するという実行不可能な措置を提示してい
なかった点では、改善あるいは前進だと言える。だが矛盾の目立つ
演説だった。軍事増強を唱える一方で緊縮財政を主張する。人道的
な理由で海外への米軍投入には反対しながらも、海外でイスラム教
徒に弾圧されるキリスト教徒の救済には熱心な態度をみせる。
だが全体として、トランプ氏の外交政策はできるだけ外国への関与
を避ける孤立主義の傾向をちらつかせる。しかも大衆迎合のポピュ
リズム的な外交政策と言えるだろう」
・中立の立場の見方
第3には、ほぼ中立の立場としてタフツ大学の外交問題専門家、ダニ
エル・ドレズナー教授の意見を紹介しよう。
「トランプ氏の外交演説はオバマ政権の外交の欠点を大きく取り上
げ、激しく非難しているが、そこには代替案がほとんど入っていな
い。
トランプ氏の基本的な信念は、米国が一国だけ強大で対抗できる勢
力がいないときにこそ世界は最も平和で安定した状態になるという
ことだろう。米国の覇権による平和の維持は、米国の対外関与や対
外介入を必ずしも意味しない。
混乱が続く中東に軍事介入して治安を維持することには反対しなが
ら、その一方で中東で米国的な民主主義を拡大させるためにもっと
関与すべきだと唱える。トランプ氏の外交戦略の基本は、なんとな
く孤立主義をにじませた、論理や一貫性に欠ける国威の発揚にみえ
る」
トランプ氏の外交政策演説は米国内でもこのように多様に評価され
ており、日本にとっての意味を読むことは難しい。だが日本にとっ
て、日米同盟における負担の是非を問われることは間違いないだろ
う。



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