5649.アベノミクスの終焉から次に



日経平均が上がらない。NYSEでは過去最高額になろうとしているの
に、日本は全然上がらないし、金融政策に寄りすぎたアベノミクス
失敗論も出ている。今後の経済運営を含めて、検討したい。
                    津田より

0.状況として
26日日経新聞によると、外国人の株売り越し額が、6月以降8兆
円にもなり、7年ぶりのマイナスで、この原因はアベノミクスへの
失望感とのことである。

このため、日経平均は上がらない。買っているのは日銀とGPIFぐら
いであり、今後の日本経済に内外で悲観論も多く出ている。

そして、消費税増税延期や中止という議論も出ているし、財政出動
を行うべきという議論もある。

しかし、国債は1000兆円にもなり金利上昇したら、予算に占め
る利払い費が大変なことになる。その時、慌てて増税や歳出削減を
行うことになり、財政出動+消費税増税中止は、持続可能ではない。

これを防止するためには、日銀が国債を買い続けることにであるが
、日銀券を大量に出し続けることになり、資産バブルを煽り、バブ
ル崩壊して、金融機関の破綻になる可能性がある。それを助長する
マイナス金利まで日銀は導入している。このような金融政策は持続
可能ではない。

日本の経済不振は、人口減少問題とAV産業などの敗北の2つがあ
り、この2つの問題を日本の政治が乗り越えていないことで、長期
的に日本が衰退するという議論が起こっている。

アベノミクスでは女性の活躍を中心に対策を打つはずが、「保育園
落ちた、日本死ね」で保育事情が明らかになり、安倍首相も自民党
も保育は家庭でするものという概念を、保育は社会がするものであ
り、社会的な義務と捉えていないことが、分かってしまった。

要するに、安倍首相など自民党は、保育の概念を変えていないこと
が明確化して、外人投資家は失望したのである。アダム・ボーゼン
氏の講演でも、ウーマノミクスを期待したと言っている。

もう1つが、自民党は言論の自由を制限し始めたと見られている。
社会安定性を確保する批判勢力の削減を目指していると見られて、
米国の知識人からは、ウルトラライトの安倍首相に疑問符が付いて
いる。

1.20年以上の財政出動
今度の伊勢志摩サミットで、追加の財政出動を行い、世界に財政出
動を訴えるというが、日本は20年以上も財政出動をしている。税
収の総額より20兆円から50兆円もの財政出動をして、GDPを
500兆円程度に維持してきたが、これは財政出動をしてきたから
できたのである。

そろそろ、その財政出動を止めないと、国家予算の突然の破綻を心
配になり、増税か支出の削減をすることになったはずである。自民
党政権は、それを忘れたのであろうか?プライマリー・バランスは、
どうするのであろうか?

3流評論家や政治家の多くも消費税増税延期や中止、または減税と
いうが、それでは、税収と支出の差をどうするのかという議論が必
要である。

ここで考えて欲しい。今後の日本は高齢化がますます進み、少子高
齢化社会になる。この時期に社会保障費を削減することは難しいし
、伸びを抑えて社会保障レベルの低下を国民に我慢してもらう必要
があるくらいだ。

このままであると、労働人口も減り、納税者数がどんどん減ってい
くことになる。税収は大きく落ち込むことが確実である。海外の有
能な人を呼び込む施策を打ったが、外人知識階級の世界的な競争が
起きて、日本定住も進んでいない。

このままでは、日本は税収も落ちてくることになる。その上に、法
人税の税率を低くするというが、それでは、どう税収を確保してい
くのであろうか?

労働者人口の増加か、税目の一部、または全部の増税しかない。今
までは、消費税増税で広く国民から集めるとしたが、消費税増税を
中止または減税というなら、その対案は、違う税目の増税しかない。

昭和60年以前、小泉内閣以前は、累進課税制度で金持ちから税金
を集めていた。これを最大50%にして、消費税を取る方向にした
のである。これを元に戻すことも視野に入れる必要がある。

2.アダム・ボーゼン氏の見解
「2016年世界経済の今後を読み解く」という題で講演会があっ
た。その中で世界経済は過度な悲観論が横行している。中国の経済
減速では債務が積み上がっているが、国内貯蓄があるので、金融危
機にはならない。サービス産業が7%程度成長していて、製造業の
縮小をカバーしている。中国経済は思っている以上にしっかりして
いる。

米国経済は、債務が積み上がっていないので、少しずつ成長してい
く。現時点での巡航速度として最適である。

日銀は、マイナス金利ではなく、量的緩和を行うべきある。国際化
されていない貯蓄の多い投資の少ない国では、マイナス金利は国民
に不安感を与えるので良くない。消費税増税は行うべきであるが、
やり方として、毎年0.5%刻みでおこなうのが良い。または名目
賃金を上げて、悪いインフレを起こすしかない。

日本の状態は悪いので、悪い選択を選ぶ必要があり、より悪くない
方を選ぶべきなのである。選択肢を選んでも、良くなるわけではな
く、悪くならないか悪さが少ないかである。それほど、日本は悪い
ということである。

日銀は、国債を買って長期金利を上げないで、インフレを起こして
金融抑圧を行したいのである。円の価値を下げないと、国債の償還
ができないレベルであり、正常なことである。

人口減少には、2つしかない。女性に働いてもらうか、移民を認め
るかである。

ということであり、日本をより悪くしない方法をどうするかを考え
ることであるというのが、アダム・ボーゼン氏の意見であるが、そ
の感覚は、私も同じである。

もう1つ、私は、イノベーションを起こして、日本が復活すること
も考えるべきであると思うが、数年前、その意見にはボーゼン氏は
反対したので、それが今回は言わなかった。

3.経済評論家たちの主張
経済評論家は、日本の現時点をより良くしようとしているので、短
期視点でしか、モノを考えていない。このため、イエイエドンドン
という意見になり、増税は止めて財政出動を10兆円などと威勢の
良いことを言っている。

しかし、その積み重ねが、日本をより困難な経済状態にしてきたよ
うに思う。税収より大きな財政出動を20年以上も続けてきたが、
日本が良くなったような気がしないし、短期的な視点でしか見てい
ない。

自民党の政治家も同様であり、日本の百年の大計を組み立てていな
いで、短気な視点しかないように思う。長期視野を持った政治家は
いないのであろうか?

ボーゼン氏が言うように、現時点は悪い選択しかなく、それを選ぶ
しかないということを国民に説得することが必要であると思う。野
田前首相の消費税増税で、選挙を行う選択は非常に良いことであっ
たし、個人や党の利益より国の利益を見て、選択する感覚を必要な
のであろう。

さあ、どうなりますか?



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