2ケ月毎に開催される野村の投資セキナーに行ってきた。投資情報 部の今枝さんの講演。 申年であり、大暴れすると正月に日銀黒田総裁が言っていたように 1月は高値19000円、安値16000円であったが、2月には 高値18000円、安値15000円割れになり、値幅3000円 と大きな振れが起きた。 欧米日の中央銀行が行っている金融政策、量的緩和政策で、市場の 状況が大きく変わった。2008年のリーマンブラザーズの破綻64 兆円という大型倒産で市場が凍りついたので、FRBはゼロ金利にして 、その後QE1、QE2、QE3を行い、日銀も2013年10月 に異次元緩和という量的緩和、2015年にはECBも量的緩和に 乗り出した。 今まで、市場に供給した資金量は800兆円にもなる。米国は自動 車が売れ始め、住宅バブルも起こり始めている。雇用数も20万人 規模で増加。 また、カネ余り政策で株式と国債が両方ともに値上がりしている。 10年国債がマイナスなのは、日本とスイスの2ケ国である。 銀行への資金提供をしても、銀行は貸出先がないので日銀当座預金 に預けるだけである。量的緩和以前の12年12月では預金量47 兆円であったのが、16年1月では260兆円に激増している。 このため、日銀は、当座預金の増加分にマイナス金利をかけること にした。該当分は23兆円とのことである。今後、このマイナス金 利幅が拡大することになる。野村では7月にー0.3、来年にはー 0.5%まで拡大すると予測している。 このマイナス金利で、メガバンクの預金の利率が0.001%にな り、証券会社のMMFは閉鎖され、ゆうちょ銀行は満期対応をしな くなった。運用困難になるためである。 MRFは、損失補填ができるので継続しているが、この部分には日 銀はマイナス金利を適応しないとした。生命保険でも一時払いの終 身保険等が販売中止になっている。逆に住宅ローンの金利が10年 固定でも0.5%になっている。このため、現金を家で管理するた めに金庫が売れている。 ECBは、ー0.4%にした。500ユーロ札が流通全体の3割に なるが、市場には出ていない。これは金庫にしまうためのお札にな っているので、ドラギ総裁は廃止を検討するとしている。 投資としては、1つに個人国債で運用することで、金利0.05% がついている。2つには53銘柄あるリートでの運用、利回りが、 3.4%程度あり、売買が活発化している。内容をチェックするこ とが重要。3つには、高利回りの株を買う。企業も運用難で、自社 株買いや配当性向の向上などの株主還元に回す動きがある。 マイナス金利国の動向を見ると、住宅価格の上昇になり、株でも鉄 道株、不動産株が値上がりしている。 日米欧の中央銀行が資金供給をした800兆円で、米国の株価は上 昇したが、ヘッジファンドの資金も多くなり、投機資金として、3 兆ドルを持っている。その資金を中国の株式の空売り、人民元の空 売りを仕掛けている。 当然、日本の株式もターゲットであり、空売り率が15年9月で 43.4%、16年2月で42.6%にもなっている。 このように投機資金が大量にあり、今後も乱高下を覚悟していくし かない。しかし、乱に利有りで、うまく立ち回れば大儲けできる。 今後の日銀の金融緩和策は、マイナス金利ー0.1%からー0.3 %、ETFを3兆円/年から6兆円/年、リート900億円から1800 億円、7月に行うと予測している。政治的な問題や波乱があると4月 や6月に行う可能性がある。 現在、銀行が不動産業界に貸し出している金額は、65.7兆円で あり、不動産会社は投資に積極的であり、借入金を増やすようであ る。もう1つが、リニア新幹線を作るJR東海も銀行からの借入金を 増やすことになる。このような借金を多くする企業が投資先として は良いことになる。 しかし、将来的には、バブルになる可能性が否定できないことにな る。 さあ、どうなりますか? 質問:海外勢が売り越しで、3兆円規模であり、買い手は日銀とGPIF しかなく、個人も買っていないように思うが、どうでしょうか? 答え:そのとおりです。 質問:125円程度の円安になると今も見ているのですか? 答え:少し修正はすると思いますが、現時点では130円になる予 測を変えていません。 質問:円安を予測するということは、3万円になる株高も変更して いないのですか? 答え:これは現に、変更して年末までに2万円としています。 質問:野村は、ヘッジ・ファンドの動向も掴んで、リクス・プレミ ナムを予測していると思うのですが、なぜ、それを顧客に出さない のですか? 今後、乱高下する株式市場で顧客に損をさせないために必要である と思うが。 答え:上層部に言ってください。