安倍首相は、「同一労働同一賃金」に強い意欲を示しているが、その 実現は難しい。掛け声だけでは実現できない。経営者の気持ちを考 え、その経営者も納得する方法が重要なのである。 自民党は、保守的な党であるはずが、上からの命令口調で賃金を上 げろとか同一労働同一賃金にしろとか、企業に要求しているのが、 かなり社会主義的な感じである。しかし、それで企業が従うかとい うと、無理がある。 企業経営者の立場を考えると、正規社員は将来幹部に上げるために 取るのと、技術などを継続的に向上させていくために取るが、非正 規社員は、単に仕事を完遂するためだけに雇用して、景気が悪くな った時には雇用を止めることができるようにしているのである。 このため、同一労働であっても意味合いが違う。 正規社員と非正規社員を同等に待遇するためには、企業が考える正 規社員の現場労働をどうするのかの答えがないとできない。 企業は、幹部候補生以外の正規社員にも雇用継続の義務や社会保障 などの負担をして、技術継承をさせているが、非正規社員には期待 していない。 正規社員という身分保障と技術料という見返りがないと、技術の研 鑽をするはずがないので、技術的賃金+同一賃金となるが、正規社 員には、年功賃金という技術料が加算されて、見た目には同じよう に見える可能性がある。 社会全体で、同じような職種でも技術継承ができるようにしないと 非正規社員は、見た目だけの同一賃金になると思う。 さあ、どうなりますか? ============================== 安倍首相、「同一労働同一賃金」に強い意欲 非正規雇用の待遇改善目指す 読売新聞 2016年03月09日 安倍首相は8日、非正規雇用で働く一般市民9人との懇談会を首相官 邸で開いた。 首相は「働き方の選択によって不利益がないようにしなければなら ない。必要であれば躊躇(ちゅうちょ)なく法改正する」と述べ、 正規・非正規の雇用形態の違いだけで賃金格差を設けない「同一労 働同一賃金」の実現に重ねて意欲を示した。 懇談会では、契約社員の女性(44)が「仕事内容は大差がないのに 福利厚生は正社員が守られ、非正規は守られていない」と語った。 首相は「待遇を改善したい」と応じ、政府として経済界に対応を促 していく考えを強調した。