5640.「同一労働同一賃金」を実現する方法



安倍首相は、「同一労働同一賃金」に強い意欲を示しているが、その
実現は難しい。掛け声だけでは実現できない。経営者の気持ちを考
え、その経営者も納得する方法が重要なのである。

自民党は、保守的な党であるはずが、上からの命令口調で賃金を上
げろとか同一労働同一賃金にしろとか、企業に要求しているのが、
かなり社会主義的な感じである。しかし、それで企業が従うかとい
うと、無理がある。

企業経営者の立場を考えると、正規社員は将来幹部に上げるために
取るのと、技術などを継続的に向上させていくために取るが、非正
規社員は、単に仕事を完遂するためだけに雇用して、景気が悪くな
った時には雇用を止めることができるようにしているのである。

このため、同一労働であっても意味合いが違う。

正規社員と非正規社員を同等に待遇するためには、企業が考える正
規社員の現場労働をどうするのかの答えがないとできない。

企業は、幹部候補生以外の正規社員にも雇用継続の義務や社会保障
などの負担をして、技術継承をさせているが、非正規社員には期待
していない。

正規社員という身分保障と技術料という見返りがないと、技術の研
鑽をするはずがないので、技術的賃金+同一賃金となるが、正規社
員には、年功賃金という技術料が加算されて、見た目には同じよう
に見える可能性がある。

社会全体で、同じような職種でも技術継承ができるようにしないと
非正規社員は、見た目だけの同一賃金になると思う。

さあ、どうなりますか?

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安倍首相、「同一労働同一賃金」に強い意欲
非正規雇用の待遇改善目指す
読売新聞 2016年03月09日
安倍首相は8日、非正規雇用で働く一般市民9人との懇談会を首相官
邸で開いた。
首相は「働き方の選択によって不利益がないようにしなければなら
ない。必要であれば躊躇(ちゅうちょ)なく法改正する」と述べ、
正規・非正規の雇用形態の違いだけで賃金格差を設けない「同一労
働同一賃金」の実現に重ねて意欲を示した。
懇談会では、契約社員の女性(44)が「仕事内容は大差がないのに
福利厚生は正社員が守られ、非正規は守られていない」と語った。
首相は「待遇を改善したい」と応じ、政府として経済界に対応を促
していく考えを強調した。


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