5622.中東大戦争が近い



トルコがシリアに派兵する可能性が高くなったと、中東のアルモニ
ター誌は述べている。その原因は、シリア最大の都市にして内戦の
激戦地である北部のアレッポがロシア軍の猛爆撃の支援を受けた政
府軍の攻勢の前に完全に包囲されつつあり、住民らの大脱出(エク
ソダス)が続いている。

しかし、トルコは難民をシリア国境で止めている。欧米諸国から国
境管理を厳重にして、シリアからの難民を入れるなと言われている
からである。

トルコは、クルド勢力のシリアでの領土拡張が、その後、トルコで
のクルド人の勢力拡大に結びつくとして、ISの攻撃と称して、シ
リアに侵入して、トルコ系住民を助けたいようである。

ロシアは、クルド人勢力と連携して、シリアでの活動を支援する方
向であり、トルコ系住民が攻撃対象になる。こちらもISと称して
攻撃はトルコ系である。

この状況で、サウジもトルコを支援する方向であり、イランのシリ
アでのスンニ派攻撃にいきり立っている。

米国は中立を維持しているので、トルコやサウジは梯子を外された
という思いが大きくなっている。このため、トルコは欧州に支援を
依頼している。国境管理強化や難民の流入を止めているのは欧州で
あり、その要求には当然、見返りがないといけないということであ
る。

トルコ、サウジがイラン、ロシアのシリアでの活動にいきり立って
いるが、米国の保証がないので、今は派兵を躊躇している。しかし
、いつまで待つかでしょうね。

ロシアはトルコをシリアに誘い込みたいようである。そして、トル
コをコテンパンにやっつけて、政権を維持するための愛国心歓喜に
結び付けたいようだ。

サウジは、石油の人民元での取引と見返りに中国に軍事支援を求め
るようである。米国に見切りをつける時期が迫っている。石油がド
ル決済でなくなれば、ドル基軸通貨の崩壊になる。米国外交の正念
場となるはずである。

さあ、どうなりますか?

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シリア情勢巡り ロシアとクルド人勢力の連携強まる
2月11日 6時14分NHK
内戦が続くシリア情勢を巡り、反政府勢力の一角を占めるクルド人
勢力がロシアに代表部を開設したほか、ロシア側も和平協議にクル
ド人勢力が参加するべきだという立場を改めて示し、双方の連携が
強まっています。
シリア政府と反政府勢力の代表が参加して内戦の終結を目指す和平
協議を巡っては、反政府勢力の一角を占めるクルド人勢力が協議へ
の参加を求めていますが、トルコが国内のテロ組織につながってい
るとして反対しています。
和平協議の再開に向けて、11日にドイツで関係国の会合が開かれ
るのを前に、シリアのクルド人勢力は、ロシア軍の爆撃機の撃墜を
巡ってトルコと対立を深めるロシアに代表部を開設し、モスクワで
10日、開所式が行われました。クルド人勢力の代表部は今後、ロ
シアの政党やメディアを通じてロシアへの働きかけを強めるとして
います。
ロシア外務省のザハロワ報道官も10日、モスクワで記者会見を開
き、「クルド人勢力はシリア全体の土地の15%以上を支配してい
て、過激派組織IS=イスラミックステートと戦っている」と評価
したうえで、「自分の国の将来を決定する権利を奪ってはならない
」と述べ、クルド人勢力が和平協議に参加するべきだという立場を
改めて示し、双方の連携が強まっています。 
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サウジとバーレーン、イラン籍船の入港禁止=船舶保険会社
2016年02月10日(水)09時19分
[ロンドン 9日 ロイター] - サウジアラビアと隣国バーレーン
が、イラン籍の船に対して入港を禁止するなどの制限を課している。
複数の船舶保険会社が現地代理店などからの報告をもとに関係者に
出した通知で明らかになった。
今回の措置でイラン政府とサウジ政府の対立がさらに深まる可能性
はあるものの、国際貿易に影響を与える可能性は低い。
ノルウェーの船舶保険会社ガードによると、バーレーンは直近3回
の寄港先にイランが含まれる船はすべて入港禁止としているが、サ
ウジアラビアはそこまで制限していないという。
サウジアラビアとバーレーンの当局はコメントの求めに応じていない。
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米ロ、シリアの停戦条件を協議
「3月1日」提案か
2016/2/11 08:26
 【ワシントン共同】ケリー米国務長官とロシアのラブロフ外相が
10日、電話協議し、内戦が続くシリアの停戦の条件などについて意
見交換した。ロイター通信によると、ロシア側は3月1日の停戦開始
を提案しているが、調整は難航しているもようだ。
 11日にはシリア内戦の政治的解決に向けた多国間外相級協議が開
催される予定。中断したアサド政権と反体制派による和平協議の再
開に向けて、ロシア軍による空爆停止などをめぐり米ロが妥協点を
見いだせるかが焦点になっている。
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「投降か餓死か」迫るシリアロシア連合軍 
プーチンとオバマでは役者が違う
人道危機を放置するアメリカ
2016年02月10日(Wed)  佐々木伸 (星槎大学客員教授) 
シリア最大の都市にして内戦の激戦地である北部のアレッポがロシ
ア軍の猛爆撃の支援を受けた政府軍の攻勢の前に完全に包囲されつ
つあり、住民らの大脱出(エクソダス)が続いている。脱出した住
民らは隣国トルコへの入国を許されず、厳寒の中、国境沿いに野営
し、新たな人道危機にあえいでいる。
さらに100万人の可能性も
 トルコ国境に近いアレッポはかつて、300万人を超える人口を持つ
シリア最大の商業都市として繁栄していた。しかし5年前に内戦が勃
発し、2012年以降、反体制派と政府軍がそれぞれ市を分断支配して
激戦地となってきた。一時は反体制派が完全支配する直前までいっ
たが、ロシアが4カ月前に軍事介入し、反体制派への爆撃を開始して
から形勢は逆転した。
 政府軍は1月末から、ロシア軍の猛爆撃の支援の下、同市の奪還作
戦を始め、南部、東部から包囲網を縮め、2月3日、北部の周辺の村々
を制圧して市とトルコの戦略的な補給ルートを遮断、締め付けを強
めた。市の西部にはまだ政府軍が展開していないが、完全包囲は時
間の問題と見られている。
 政府軍の奪還作戦には、イランの革命防衛隊や、イランの影響下
にあるレバノンの武装組織ヒズボラ戦闘員、イラクとアフガニスタ
ンのシーア派民兵軍団など数千人も加わっている。政府軍は市を完
全に包囲して孤立させ、反体制派に「投降か、餓死か」の2者選択を
迫る作戦だ、とされる。
 ロシア軍の空爆は「これまでで最も激しいものだった」(反体制
派戦闘員)といわれ、3日から4日の24時間で200回を超える爆撃が加
えられた。反体制側は最後まで戦うと強気の姿勢だが、反体制派の
一翼として戦闘しているアルカイダ系の過激派「ヌスラ戦線」は支
援を求める緊急アピールを出した。
 反体制派が支配している市の西部地域には約35万人の住民が残っ
ていたが、ロシア軍の無差別爆撃と政府軍の攻撃に耐えきれず、続々
と脱出。現在3万人がトルコの国境の町キリスのシリア側にたどり着
き、なお5万人がこの後に続いているという。トルコは住民らの越境
避難を認めず、シリア側に食料や毛布などを配布している。
 トルコのクルトルムシュ副首相によると、最悪の場合、アレッポ
やその周辺地区からさらに100万人が脱出してくる可能性がある、と
いう。仮にアレッポが包囲され、政府側に陥落することになれば、
反体制派にとっては壊滅的な打撃となるだろう。
勝利に自信深めるロシア
 トルコがアレッポ住民の越境を拒んでいるのは既に国内に250万人
ものシリア難民を抱えてその受け入れが限界に達しているという国
内事情がある。加えて「欧州へ難民が殺到しているのは、トルコが
国境管理をきちんとしていないからだ」という欧州連合(EU)の批
判に対して意地になっているからだ。
 しかしトルコだけではなく、ヨルダン、レバノンなど周辺諸国が
難民の受け容れに悲鳴を上げているのも事実。140万人の難民がいる
ヨルダンのアブドラ国王は最近「難民を受け入れている国民の感情
は爆発寸前。このままでは他の方法も取らざるを得ない」と難民の
追放さえ仄めかしている。
 反体制派の最大の支援国であるサウジアラビアもアレッポの戦況
には苦悩の色が濃い。サウジの軍スポークスマンはこのほど、シリ
アに地上部隊を派遣する用意があると述べたが、これに対してイラ
ンの革命防衛隊司令官は「サウジにそうした勇気があるはずがない
」と足下を見ている。
 戦況が政府軍優位に一変したことに自信を深めているのがロシア
のプーチン大統領だ。プーチン大統領が自信と余裕を見せているの
は、軍事面だけではなく、外交的に勝利したと考えているからに他
ならない。ロシアの軍事介入で政府側が反体制側から奪還した領土
はわずか2%しかない。
 しかし、その軍事的な優勢を背景に獲得した外交的勝利は計り知
れない。その最たるものはアサド大統領の退陣を前提にした内戦終
結のシナリオを事実上無効にしたことだ。先月末に開催されたシリ
ア和平協議はわずか1週間で中断に追い込まれたが、反体制派は別に
して米国も含め「アサド早期退陣」の主張は姿を消した。
 こうした中、本来、世界の紛争解決に最も影響力を行使しなけれ
ばならない米国は指導力を発揮しようとしていない。優柔不断なオ
バマ大統領は今回のアレッポ住民の人道危機にも積極的に動く気配
は見せていない。米国の指導力回復は新大統領の誕生まで待たなけ
ればならないのは確実だ。








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