5605.株式市場は金融政策いかん



今日は、ジブリの放映があるので落ちると思いきや、16400円
を見て、それを底にして上がる方向になったようである。

しかし、日銀金融政策決定会合とFOMCの両中央銀行と今日のECB政策
会議がどうなるか、世界の投資家が見ている。

現時点の相場は実体経済の相場ではなく、金融相場であり、中央銀
行が、相場の上げ下げをコンロトールしている。

FRBが金利引き上げという引き締めを行ったことで、世界的な株
式市場が不安定になったのである。世界から資金が吸収されて、原
油が下がり、中国などの新興国経済が行き詰まり、そして株式市場
の調整になっている。

この調整を止めるには、FRBが方向を逆しないと無理がある。

日銀とECBは、大規模な追加緩和が必要である。

そして、センチメントを変えないと原油価格の下落、円高などの攻
勢が止まらない。この下落は、中央銀行の金融政策を緩和方向に催
促する市場の主張である。

16400円が底になるか、どうかは27日のFRBの決定を待っ
ている。それまでは、本格的な買い戻しもできないようだ。

もし、金融引き締めになると、一層の下落になり、底はまだまだと
いうことになる。

日銀は、今の倍の買い入れ額して、特にETFを18000円以下なら、4
倍以上ということもできると思う。国債の買い入れは現状維持でも
良いと思う。

日銀の下支えが来ると、上昇局面になる。

さあ、どうなりますか?

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記事 久保田博幸2016年01月19日 15:52
 困難となりつつある政府・日銀の株価対策  
 年初からの株安、円高さらに原油安により、政府や日銀に対応を
求める声が出てきている。今回の日本の株安や円高は日本の内部要
因によるものではない。中国など新興国経済のピークアウト感が強
まり、原油価格も下落した。そこに米国の利上げも組み合わさり、
新興国からの資金の逆流も生じた。これが年初からの相場変動の要
因である。
 ただし、原因は何であれ、結果として東京株式市場が年初から大
きく下落し、日経平均は心理的な節目とみられる17000円を割り込ん
できた。さらにはドル円も節目とされる117円を割り込む事態となっ
ている。原油先物もWTI先物が30ドルを割り込んでいる。
 株価は日本経済の指標のひとつであり、円高は輸出企業にとって
はマイナス要因となる。特に安倍政権はアベノミクスと呼ばれたリ
フレ政策により、急速な円安株高を招き、それが政権支持への大き
な基盤となっていた。このため、今回の円高株安の動きは看過はで
きないはずである。
 さらに原油価格の下落は日銀の物価目標達成のさらなる先送りを
意味する。日銀の示す新コアコア指数にはエネルギー関連は除かれ
ているが、原油価格の下落はエネルギー関連だけではなく物価全体
に影響を与えることで、新コアコアも頭打ちとなる可能性がある。
それ以前に、そもそも日銀の物価目標はあくまで消費者物価の「総
合」であるため、原油価格の下落は直接的な影響を被る。
 それでは政府や日銀は市場からの期待に応えて効果的な株価対策
を打つことが可能となるのか。マーケットの動きをみると14日の日
経平均17000円割れのタイミングでは、いわゆるPKOのような動きが
入った可能性がある。公的年金などがアセットアロケーションの変
更という名目で、株式市場で押し目買いを入れて、債券市場では超
長期債を売却した可能性がある。
 しかし、海外市場での株価や原油価格の下落が止まらない限り、
このような施策にも限度はある。すでにGPIFのアセットアロケーシ
ョンの調整もだいぶ進んでいたはずであり、また日銀によるETFへの
買いにも限界がある。
 今年度の補正予算案ものもなく可決されることで、ここからあら
たな財政政策を講じることも難しい。そうなると日銀の追加緩和へ
の期待が強まりそうだが、果たして日銀が追加緩和を講じるとして
も、それが株高や円安を招くかどうかも疑問である。12月のECBの追
加緩和に対する市場の反応をみれば、むしろ中途半端な追加緩和は
逆効果になりかねない。
 このように政府と日銀は現在のところ、外部要因による日本株の
下落や円高、さらに原油安に対しては有効な手段はとりえないと思
われる。むしろここは対策の可能性は示しても、外部環境が落ち着
くのを待った方が得策ではなかろうか。あまり無理強いすると、こ
こは岩盤のように動かないはずの国債市場に動揺が走る懸念すらあ
りうる。 
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今回の下落相場は、まだ下げきっていない
日経平均全面安で、急速に高まる政策期待
江守 哲 :エモリキャピタルマネジメント代表取締役
 2016年01月21日TK
日本の株式市場は年初からの続落でいきなり厳しい状況だったが、
20日にはとうとう昨年来安値を更新した。テクニカル指標では売ら
れ過ぎのサインも出ていたため、一度は反発すると思われたが、売
りが売りを呼ぶ展開となっている。市場心理を好転させる材料も見
当たらないため、市場では政策期待が急速に高まっている。今週後
半以降の日米欧の中央銀行の政策内容や発言に注目が集まる。
短期では売られすぎのサインが目白押し
日経平均株価は1万6500円を割り込み、「黒田バズーカ第二弾」が実
施されたあとにあけたマドを受ける格好となった。こうなると、そ
の前にあけたマドである1万5701円を埋めるかに注目が集まることに
なる。
しかし、短期的には売られすぎのサインが目白押しである。騰落レ
シオが60%割れとなり、株価水準も25日移動平均線の10%下方乖離で
ある1万6435円まで下落した。これだけの急落となれば、いったんは
下げ止まると考えるのが普通である。
一方、懸念されるのは個人投資家のポジションだが、今回の下落が
年初だったことから、特に個人投資家の痛手はそれほどではないと
の指摘がある。どうやら、昨年末に保有株をいったん売却し、現金
化していた向きは少なくなかったようである。
昨年のチャイナショックで大きな痛手を被った個人投資家は少なく
なかっただろうが、その後の戻り局面を利用して、10月から12月ま
でに売り越しており、年間でも4兆9500円の売り越しとなった。結果
的に、これらの投資家は潤沢な待機資金を保有する格好となり、今
回の下落局面を利用して安値拾いをしたと見られている。
特に1月18日のような急落場面は、彼らのような余裕のある投資家に
とっては絶好の押し目買いの機会だったに違いない。しかし、20日
の急落でその買いもすでに評価損を抱えることとなり、今後の対応
は非常に難しい局面にある。
結局のところ、今回の下落相場はまだやりきってないということで
あろう。特に市場が懸念しているのは、中国である。裏側に何かあ
るのではという疑念があり、市場心理を不安定にさせている。
19日に発表された2015年第4四半期のGDP成長率は、前年同期比6.8%
増で市場予想と一致した。しかし、世界的な金融危機に見舞われ、
6.2%成長にとどまった2009年第1四半期以降では最低の水準となっ
た。これにより、当局への追加刺激策の圧力が強まるとの見方が浮
上している。
また2015年通年のGDP伸び率は前年比6.9%で、政府目標の7%前後に
沿う内容となったが、これも1990年以来の低水準で、成長スピード
は着実に鈍化している。まさに「新常態(ニューノーマル)」に向
けた動きに入っている。
さらに、同国の2015年の総発電量は前年比0.2%減で、1968年以来初
めの減少となった。特に12月は気温低下とともに需要がピークを迎
えるのが普通だが、昨年12月の発電量は前年同月比3.7%減。また年
間の不動産投資は前年比1.0%増にとどまり、約7年ぶり低水準だっ
た。中国国内の経済情勢はやはり厳しいと言わざるを得ない。
一方、2015年の石油消費は前年比2.5%増の過去最高の日量1032万バ
レルに達した。ガソリンや灯油などの石油製品の堅調な需要が背景
にある。もっとも、2016年は一段の景気減速や、ガソリン車の需要
を支えてきた自動車購入税の減税措置が抑制される見通しで、需要
の伸びは鈍化すると見込まれている。石油製品の生産は輸出向けの
急増に支えられる面もあり、手放しでは喜べない部分もある。中国
景気の不振はやはり、世界経済さらには金融市場の不安要因である
ことだけは間違いない。
注視したい原油反転のタイミング
一方、株安の原因となっている原油相場だが、28ドル台をつけるに
至った。イランに対する欧米の経済政策が解除されたことで、原油
輸出が増加するとの思惑が売り材料となっている。しかし、これら
の材料はすでに十分に織り込まれている。むしろ、ここまで原油相
場が急落したのは、投機筋の売りポジションの積み上げと、買い方
の投げである。投機筋の売りポジションは統計開始以来の高水準に
あり、反発すれば買戻しを余儀なくされる状況にある。そのため、
原油相場の反発が株価を短期的に押し上げる可能性は十分にある。
21日にはECB理事会、26・27日にはFOMC、28・29日には日銀金融政策
決定会合が控えている。政策期待で一時的に株価が戻すことは十分
に想定される。しかし、結局のところ、戻り局面は売り場になるだ
ろう。FRBが下した利上げという判断が、株価を下押しする要因であ
ることに変わりない。
ダウ平均が1万5000ドル割れを試す動きに入れば、日経平均もつれて
1万6000円割れを試すことになる。筆者はWTI原油が年末までに最大
60ドルまで戻すと見ているが、そうなれば企業業績が圧迫され、株
価にはネガティブに作用する。原油高でドル売り・円買いが進めば
、これも日本株の圧迫要因になる。その結果、「株安、ドル安、コ
モディティ高」という筆者の昨年来からの見通しが現実のものにな
ると見ている。



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