5585.2015年を振り返る



2015年初めに、予測したことを検証したいと思う。そして、
2015年に起きた出来事を見ようと思う。  津田より

0.見通した2015年予測を検証する
T:安倍首相の経済政策では、残念ながら景気は上向かない。国民
  のマインドが消費をする方向ではない。GDPに占める消費が60%
  もあるので、消費に火がつかないと景気は上向かない。と見通
  しましたが、これは予想通りですね。
F:年金は減額し、中小企業の賃金は変わらないので、実質賃金と
  見るとマイナスになり、よくなる理由がない。としましたが、
  大企業の給与だけが上昇したことで、貧富の差が拡大したこと
  も事実である。

T:ターゲット戦略を取るべきと見通しましたが、現状ではどうで
  すか?
F:労働不足が深刻化しているが、人口が減少していて、日本国内
  の需要は今後継続的に少なくなるので、企業は国内に投資しな
  いで、海外企業のM&Aなどに資金を向けていくことになる。
  人口減少を止めないと、国内に投資することを企業はしない。
  また、新しい投資をするのは、新しいイノベーションであり、
  その部分に投資することになるので、ターゲットを明確にして
  国も補助して、企業投資を後押しすることが必要である。
  しかし、政府が真っ先にしなければならないことは、人口減少
  から人口増加で、移民政策を変換しないと経済成長は起きない。

T:イスラム国問題にロシアがシリア支援で出てきたことで、中東
  紛争が複雑化してきたようですが、どうですか?
F:ロシアは欧州へのガス供給を一手に独占しているが、カザフス
  タンやイランのガスが欧州に供給されないようにシリアを支援
  して、ロシア以外のパイプラインを作らせないようにしたと見
  る人もいる。

  イスラム国はイスラエルがシーア派とスンニ派を分断するため
  に作ったと見る人もいる。どちらにしてもサダム・フセインの
  情報機関や軍関係者が多数、イスラム国に関わっていることは
  確実である。

  トルコは、イスラム国よりクルド人の方が恐ろしいので、シリ
  アやイラクのクルド勢力を大きくしたくないのが本音である。
  このような各国の思惑によって、中東の情勢は動いているが、
  米国は空軍以外の兵力をこの地域に送ることは国民が承認しな
  い。

  どちらにしても、中東戦争は当分続いていくことになる。

1.中国・アジア
T:中国の独裁政治、民主化の弾圧が一層進化してきました。これ
  はどうですか?
F:中国は、独裁政治を保持していく。欧米の期待には沿わない。
  経済では国内での公共工事が一巡して、海外の公共工事を手が
  けて国内需要の縮小をカバーする方向である。このために、一
  帯一路という中国から欧州までの補給ラインを作るという壮大
  な計画を公表した。中国は軍備も遠距離に投影出来るだけの量
  と質を兼ね備え出している。

  中国は大国として自国を見ているので、それにふさわしい行動
  を取るが、自国のルールを他者に押し付けることになり、今後
  、紛争が絶えないことになる。

  しかし、先に中東戦争に関係することになり、当分、アジアは
  擬似的な平和になるを見ている。

2.世界・日本経済
T:2015年の経済は、米国景気の復活で利上げしたことで、新
  興国経済は減速し中国も経済減速して、日本からの輸出も大き
  く減少した。これは予想通りでしたか?
F:米国の利上げで、円は一層安くなると多くの専門家が予測して
  いたが、利上げにより円高が進んでいるようだ。ポジションの
  調整が起きているというが、今後の為替動向は注意が必要であ
  る。この予想は2016年新年号で行う予定。

  2015年経済予測では、楽観的な見方が多かったが、GDP
  の成長はなかったために、一年を通じて9月に1万6千円台に
  下落して、12月に2万円台になり、その後調整局面になって
  いる。一年で見るとフラットである。

T:経済理論として長期停滞論やバランスシート不景気論やリフレ
  論などがありますが、日本はリフレ論で来ましたが、それで良
  いのでしょうか、どうですか?
F:サマーズが長期停滞論を発表して、老人層に金があり、若者層
  に金がないことで、消費が活発化しないので、その歪みを直さ
  ないと長期に停滞すると述べている。リチャード・クーは、バ
  ランスシート不況論で、皆が借金を返している間は政府が赤字
  予算で消費をしないと、縮小経済になると言っていたが、現時
  点は金融緩和でバブルが起き安い。放置すると崩壊することで、
  景気が失速するので、早め早めの引き締めが必要になっている
  という。このクー氏の理論でFRBのイエレン議長は利上げに
  踏み切った。

  リフレ派の理論は為替で有効であるが、市中の資金量と見ると
  期待値とは違い、誰も金を借りていないことが明白である。こ
  のため円安は起きたが、市中の資金量はほとんど増えていない。

  しかし、資金が銀行に滞留しているので、資産インフレが起き
  ると止まらなくなる弊害があるようだ。
  もう1つ、金融緩和からの出口論の論文が1つもないことで、
  手探り状態になっているという。

  政府は量的緩和より実質的な景気対策を打たないと、今後は景
  気は復活しないことは明白である。人口減少社会では景気は、
  長期に減少することが当然であり、このことに対する対策がな
  いと日本のジリ貧は防げない。

T:日本の使命として、水素社会にしないといけないと言いますが
  今年一年、どうでしたか?
F:日本からのイノベーションが今年もノーベル賞をもらっている
  ように次から次と出ている。去年のエネルギー関係では、熱音
  響エンジンの実用化研究が面白いと思っている。排熱を集めて
  発電できたら、これは大きなエネルギー資源になるし、工場の
  競争力を高めることになる。
  燃料電池自動車として、ホンダも参入するので、来年は今年以
  上に面白い年になると見る。燃料電池自動車が寒冷地でも大丈
  夫であることがわかれば、東北や北海道でも燃料電池自動車が
  出てくることになる。今は凍結の心配で、東北と北海道では、
  トヨタのミライは売り出されていない。

  COP21で地球の温暖化防止で世界は、一致して取り組むこ
  とが決定したので、これからは再生可能エネルギーや省エネ技
  術が今以上に発展することになると見る。

  バイオコークスやセルロース・ナノファイバー、熱音響エンジ
  ンと多くの技術革新の芽が日本は抱えているので、これを大き
  な花にしていくことである。

  さあ、どうなりますか?



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