5579.原油価格の動向で世界経済が変わる



世界経済にとって、原油価格が重要になっている。現在のエネルギ
ーは石油であるが、将来的には石油ではなく、自然エネルギーにな
ることは、COP21の世界的な合意で確実になった。

サウジは、今までは石油を長く保持して、将来も安泰で行こうとし
ていたが、COP21の合意を見て、石油時代は長くないので、地
下にある石油を早く売りさばく方向になってきた。

このため、今までは米国のシェールオイルが出ることは容認できた
が、石油時代が続かないなら、米国の石油を潰してでも、サウジの
石油を売り込もうとなった。

このため、OPECでの減産をしないとして、増産に向いている。

ここに、イランも経済制裁解除で、石油を欧米に売れることになり
、増産することになった。

このため、米国のシェールオイルのコストが40ドルであるので、
それ以下にして、シェールオイル潰しになっている。しかし、その
政策は、生産コストが高い国や、石油に大きく依存している国にと
っては、非常に手痛いことになっている。

米国のシェールオイルは、この10年間くらい投資資金が大量に入
り、かつハイイールド債として、高い利回りを保証していた。しか
し、価格が30ドル台になり、ハイイールド債のデフォルトが起き
ようとしている。このため、ハイイールド債に投資するファンドか
ら、大勢が召喚を請求したことで、このファンドが成り立たなくな
ってきた。

シェールオイル・バブル崩壊が起きている。債権にはCDS保険が
かけられる。この保険業者が商品取引業者であり、銀行は規制でCDS
保険に参入できなかった。このCDSを担保した商品取引業者の破綻が
迫っている。ということで、バブル崩壊が起きようとしているので
ある。

原油価格が下がると、バブル崩壊しそうな米国金融業から逃げる必
要があり、日本の安全資産にシフトさせるために円高になり、日本
企業の輸出での利益が目減りすることになる。

利益が目減りするので、日本株売りという基本線ができている。

もう1つが、米国経済がバブル崩壊すると、日本からの輸出量が減
り、ここでも日本経済がおかしくなることになる。現時点でも中国
経済の減速と構造改革によるAV系産業を育成しているので、日本
のAV企業が苦戦している。

このように日本企業は、外需による増益を確保しているので、外需
が崩れると、日本企業の利益も大きく減少することになる。

米国もEUも内需拡大策をとっているので、外需にそれほど影響さ
れない。

日本も内需拡大策を取れば、海外の景気動向に左右されないが、現
時点の安倍内閣は、内需拡大策には消極的である。

内需拡大するためには、人口の増加が必要だからであるが、移民政
策をタブー視しているので、そうなる。

よって、外需の動向を見ながら、日本経済を論じる必要が出てくる。

さあ、どうなりますか?


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イラン原油輸出、制裁解除後6━12カ月で日量50万バレル増も
=IEA
2015年12月21日(月)19時23分
[東京 21日 ロイター] - 国際エネルギー機関 (IEA)の
ビロル事務局長は21日、都内で会見し、イランの原油輸出が制裁
解除後6━12カ月以内に日量50万バレル増加する可能性がある
との見通しを示した。
北海ブレント原油はこの日、2004年以来の安値を付けたが、イ
ランの原油輸出が拡大すれば、供給がさらに膨らむことになる。
同事務局長は、原油価格が大幅に上昇することは来年終盤までない
だろうとの見方も示した。
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米国産原油・輸出解禁の価格インパクト
Big Oil Companies Can't Wait for Repeal of U.S. Export Ban
石油メジャーが熱心なロビー活動で解禁させた輸出の市場環境
2015年12月21日(月)18時15分newsweekJ
リア・マグラス・グッドマン
 かつて石油メジャーは、業績不振に直面すると経営破綻を避ける
ためならなりふり構わず何でもやった。原油価格が1バレル=20ド
ル台に下落した1980年代、BPはドッグフードに進出した。オクシデ
ンタル・ペトロリアムは牛肉加工会社を買い、ガルフ石油はサーカ
スを買おうとして思いとどまった。
 ガルフはサーカスを買っておくべきだったかもしれない。BPとオ
クシデンタルは80年台半ばまでの原油安を乗り切ったが、ガルフは
別の石油会社に買収されてしまった。
 石油大手は今また、間近に迫る20ドル台の原油安に直面している。
ざっと10年ぶりの安値だ。だが石油大手は今回は、窮地を切り抜け
るのにドッグフード販売に甘んじようとはしていない。代わりに見
つけたのが、米国産原油の輸出を解禁させることだ。
 米国産の原油禁輸は1975年、OPEC(石油輸出国機構)の禁輸措置
に対抗して導入され、苛烈な石油ショックをもたらした。だが今で
は、過去の遺物とみなされている。輸出が解禁になれば、石油会社
は米国産原油を海外の買い手にも売ることができるようになる。
 先週、石油会社の念願がついにかなった。バラク・オバマ大統領
が輸出解禁に関する条項を含む2016会計年度(15年10月〜16年9月)
に署名した。折しも原油価格は、アメリカの暖冬と国際的な供給過
剰のせいで30ドル台で低迷、さらに安値を更新する勢いを見せてい
る。アメリカの輸出解禁は、世界の石油価格にはどんな影響を与え
るのだろうか。
 米政府は当初、輸出解禁に強硬に反対していた。低炭素経済の実
現の妨げになるとして、拒否権の発動までチラつかせていた。だが
民主党は、風力発電と太陽光発電、育児保護の税額控除の延長と引
き換えに譲歩。共和党は、これを「大きな勝利」とうたう。このた
めにロビー活動をしてきた10社ほどの石油会社も同様だ。
供給過剰に拍車をかける米国産原油
 輸出解禁とともに、アメリカから大量の原油が海外に流出するの
は間違いない。米国内の原油の年末の在庫は史上最高に迫る50万バ
レル近くなる見込みだ。「かつては在庫が30万バレルになるとそろ
そろ底を打つと言ったものだ」と、EIAのダグラス・マッキンタ
イアは言う。だが今は50万バレルになってもだぶついたままだ。天
然ガスや石油の生産量を爆発的に増やすことになったシェール革命
がこれまでの常識を覆したのだ。この巨大な在庫が、出口を探して
いる。
 アメリカは遠からず、原油の輸入量より輸出量が上回る純輸出国
になるだろう。それだけではない。OPECは加盟国同士で熾烈なシェ
ア争いを続けているし、イランも核協議合意で原油輸出を再開しよ
うとしている。今のところ、原油や石油製品の価格が上がりそうな
要素は見当たらない。
 ただ一人、取り残されるかもしれないのは、石油大手のお膝元の
アメリカの消費者だ。石油大手は、米国産原油をより高い値段で買
う需要家が海外にいれば海外に売る。そうすれば、アメリカ国内は
むしろ品薄になり、ガソリン価格などの上昇につながりかねないと
、専門家は言う。
 自ら原油安のただ中に輸出を仕掛ける石油大手はどうか。今言え
るのは、彼らが熱心に原油輸出解禁のロビー活動を行ったというこ
とは、儲ける算段があるからだろう、ということだ。






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