5565.世界経済の限界が近し



木内日銀委員の意見に賛成である。日銀の量的緩和が限界に近づい
ている。年間80兆円(残高ベース)の国債買い入れを「永遠には
続けられない」ため、市場で買い入れの限界が意識されれば金利が
上昇するリスクがあると警鐘を鳴らした。

日銀の公式見解では物価が2%の目標2016年度後半に達成する
見通しだが、木内委員は「2%は日本経済の実力をかなり上回って
いる」ため「17年度まで視野に入れても達成する可能性は低い」
と指摘した。

国債買い入れ自体も壁に直面しており、株安などで国内の金融機関
が国債を買い増す場合、「日銀による国債の買い入れが困難化する
事態も考えられる」とした。国債買い入れの限界が「突然意識され
れば、国債金利の大幅な上昇につながる可能性も考えられる」と懸
念した。

短期金利は日銀が決定できるが、長期金利は市場が決めるので、日
銀の金融政策が原因で長期金利上昇が起きる可能性がある。

景気については「輸出回復で一時期懸念された景気後退リスクは低
下した」とする一方、中国経済減速や、米利上げによる新興国の景
気下押しにより、今後輸出が順調に伸びるとは考えにくい。

これも賛成である。輸出やインバンド需要依存になり、国内消費が
減少する事態は、非常に危ない。

米国景気がある程度良いので、急激な輸出量の減少はないと思うが
、反対に徐々にしか増加しないし、米国のハイ・イーグルド債が暴
落すると、また2008年のような事態になる。

その時の対応のために、FRBは金利を上げることにしたので、景気が
非常に良いからではない。

しかし、その米国の金利上昇が、どのような影響を他国に与えるか
が見えない。普通には、金利差が起こり、資金が米国に還流するこ
とになる。そして、新興国が立ちいかなくなると言われるが、こん
なことをすると、米国も長期的には投資先をなくして共倒れになる。

ECBも資金量をUPする方向であるが、その量は大したことがなく、金
利を下げて、マイナス金利幅を大きくした。資金が世界に回る感じ
がしない。

日本も日銀の量的緩和が限界に近くなり、これ以上の資金量を拡大
できない。

世界の資金需要が回転しなくなる可能性を心配する。

さあ、どうなりますか?

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木内日銀委員「国債を永遠には買えない、限界意識されれば金利が
大幅に上昇」
来年には中央銀行の国債保有比率が4割の英国を上回り、未曾有の
領域へ突入
2015年12月4日(金)09時33分
[東京 3日 ロイター]日銀の木内登英審議委員は3日都内で講
演し、年間80兆円(残高ベース)の国債買い入れを「永遠には続
けられない」ため、市場で買い入れの限界が意識されれば金利が上
昇するリスクがあると警鐘を鳴らした。自身が提案する買い入れ減
額の必要性を主張するともに、急激な円高・株安には一時的な大量
の資金供給が望ましいとの案を示した。
来年は国債の4割を日銀保有、「未曾有の領域」
 木内委員は昨年10月の追加緩和に反対。その後も一貫して国債
買い入れの減額を1人で提案し続けてきた。この日の講演では現行
の「量的・質的緩和(QQE)」を継続する副作用の大きさを示す
とともに、急激な市場変動への対案を示した格好だ。
 日銀の公式見解では物価が2%の目標2016年度後半に達成す
る見通しだが、木内委員は「2%は日本経済の実力をかなり上回っ
ている」ため「17年度まで視野に入れても達成する可能性は低い
」と指摘した。目標を「金融政策のみで実現するのは難しい」とし
、追加緩和など「短期間で物価を押し上げようとすれば経済・物価
の安定をむしろ損なう」とした。
 国債買い入れ自体も壁に直面しており、株安などで国内の金融機
関が国債を買い増す場合、「日銀による国債の買い入れが困難化す
る事態も考えられる」とした。国債買い入れの限界が「突然意識さ
れれば、国債金利の大幅な上昇につながる可能性も考えられる」と
懸念した。
 日銀が現行の国債買い入れを継続すると、国債発行残高に占める
中央銀行の保有比率が、現在主要国で最大の英国(約4割)を上回
り「未曾有の領域に入る」と指摘した。
市場急変には短期的資金供給で対応
 金融市場では、中国要因で株価が急落した8月など、木内委員に
対して市場急変の際の政策対応について説明を求める声が出ていた
が、木内委員は「短期的な環境変化に対して量の拡大は妥当でない
」と述べ、「経済情勢が著しく悪化すれば、量の目標に拘らず一時
的な円・ドル資金供給を検討すればよい」と説明した。
 木内委員は、QQEについて、すでに日本経済の潜在的成長力と
のかい離を示す需給ギャップの解消など効果があったが、実質金利
を押し下げる効果は徐々に減少しており、昨年の追加緩和以降は「
限界的な効果は少ない」とした。
 年間45兆円への減額を提案している理由として「政府の国債発
行額(カレンダーベース)の5割以下となるため、買い入れの持続
性を高めるため」と説明した。
 一方、「日銀が保有する国債など資産の売却による、バランスシ
ートの減額は、緩和効果を減らすため、現時点で考えていない」と
した。
円安による高収益、企業は棚ボタと認識
 景気については「輸出回復で一時期懸念された景気後退リスクは
低下した」とする一方、中国経済減速や、米利上げによる新興国の
景気下押しにより、今後輸出が順調に伸びるとは考えにくいとし、
「輸出が最大のリスク」と指摘した。
 企業収益が高水準な割に設備投資が慎重である点が政府・日銀の
懸念事項になっているが、「企業は円安による収益をwindfall(棚
ボタ)と見ている可能性がある」として、積極的に国内で設備投資
に踏み切りにくい事情に理解を示した。
 (竹本能文 編集:野村宏之)
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正しい経済予測 
第1029号(2015年11月11日号)増田俊男の「時事直言」
世界一簡単で、しかも正しい経済予測する人がいる。
 残念ながら私ではない。
アナリスト、銀行、証券会社等の経済、市場の専門家でもない。
 市場関係者は所詮お囃子か伴奏家以上でも以下でもない。
 経済が良くなれば囃し、悪くなれば悪い悪いと騒ぎ立てる。
 投資家がお囃子と大騒ぎに巻き込まれたら結果は大損に決まっている。
IMF(国際通貨基金)は2015年の世界経済見通しを3.3%から3.1%に下
方修正した。
IMFは世界の資金の動きを掴める立場にあるから世界経済を人間の体
とするなら人間の血圧と心臓の鼓動数を計っているようなものだか
ら体、すなわち経済の状態が分かる。
しかし人間(経済)は肉体的「状況」通りに活動するわけではない。
 人間(経済)の「行動」を正しくモニターしなくては正しい経済は
分からない。
 経済専門家、IMF、FRBや日銀より正確に経済を把握出来る人がいる。
それはA.P. Moller-Maersk社というデンマークの世界最大のタンカ
ー会社のCEO Mr. Nils Smedegaard Andersenである。
 毎日世界中のあらゆる商品がAndersen氏の船で港から港へ運ばれて
いる。
Maersk社の本年第3四半期の利益は60%マイナス、従業員17%に当たる
4,000名がレイオフ、購入予定の船は総てキャンセルした。
Andersen氏がIMFの世界経済見通しについて聞かれると、「楽観的過
ぎも甚だしい、一体何を見ているのだ」と吐き捨てたそうだ。
 私は「ここ一番!」と「目からウロコのインターネット・セミナー
」で、「日本郵政三社の株価が上げ止まったら上げ相場は終わり」
と先週から述べてきた。
 日本郵政三社の株価が止まった今、「わざわざ日本株を買う人の気
が知れない」と言うのが率直なところ。


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