5556.第3次世界大戦になる可能性は



トルコ機がロシア機を国境で撃墜した。これはロシアのマッショ大
統領プーチンとしては、捨てておけない事件である。

ロシアの爆撃機は、国境を17秒間侵犯して、シリア上空で撃墜され
た。トルコ領内を攻撃しようとはしていない。国際法的には、ロシ
アに分がある。

しかし、オスマン帝国を目指すトルコのエルドアン大統領も、ロシ
アのISではないトルコ人反政府勢力に空爆することは、許せない行
為と見ていた。このため、複数回ロシアに警告していた。しかし、
プーチンはこれを無視したことで、この事件が起こったのである。

この事件に対して、経済評論家の広瀬隆雄さんは、第3次大戦にな
るようなことはないと言うが、中東情勢に詳しい佐々木さんは、こ
の事件は、ロシア対NATOの戦争状態になる危険があるという。NATO
には米国と欧州がいるので、これは第3次世界大戦ということにな
る。

プーチンは戦闘を手広く広げている。ウクライナ東部、オセチアな
どにロシア軍を送り、マッショを演出している。そして、そのどこ
でもがNATOと衝突する危険がある。経済規模からすると、全面戦争
になればロシアが不利である。中国はロシアの味方をしない。

このため、ロシアは、トルコだけにバツを与えたい。S400対空
ミサイルをシリアに持ってきた理由が、有志連合の戦闘機を打ち落
とすためにであり、ラダキアにあるということは、射程範囲である。

ロシアのプーチンと欧州のドイツ・メルケル、フランス・オランド
などと密談して、今後の展開を考えることになる。

NATOからトルコを追い出す可能性がある。しかし、条件としてIS攻
撃だけにロシアも攻撃を制限することにして、シリア政権は、アサ
ドを排除しない形で選挙を行い、選ぶことでIS包囲網を作るような
気がする。

トルコが再度、ロシア機を撃墜したら、トルコだけをロシアは攻撃
できることになる。NATOから追い出されて、トルコの孤立化が起き
ることになる。ロシアは、トルコに対抗するために地上軍をシリア
に派遣する。

ヨハネの黙示録の第7の封印が解かれる世界に近づいていくことだ
けは、確実である。

さあ、どうなりますか?


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『トルコ機がロシア機を国境で撃墜』
 [2015年11月25日(Wed)]中東TODAY
普通ではあまり考えられないような、出来事であろう、トルコの戦
闘機がトルコ・シリア国境上空で、ロシアの戦闘機を撃墜する、と
ういう出来事が起こった。もちろん、トルコ側は撃墜したのはトル
コ領空であり、5分間に10回もロシア機に対して、警告を発していた
と主張している。
しかし、トルコの友好国であるアメリカは、撃墜が起こったのはシ
リア領空だったと述べている。ただし、それはトルコ領空に侵犯し
、シリアに戻ってからだった、ということのようだ。言ってみれば
、アメリカはトルコとロシアの双方の、メンツが立つ発言をしてい
る、ということではないのか。
トルコがロシア機の領空侵犯に、これまで激しい憤りを覚えるには
、それなりの理由がある。現在、ロシアが支援しているシリア政府
軍が、シリア国内のトルコマン人(トルコ系シリア人)に対して、攻
撃を加えているからだ。
このため、シリアのトルコマン人は、トルコ政府に対して、救援を
求めているのだ。大オスマン帝国の復活を夢見ている、エルドアン
大統領としては、放置できないということであり、彼が打倒を強く
希望している、アサド大統領を支援するロシアは、いわば目の敵で
あろう。そうした背景があり、今回の撃墜事件が起きたのではない
かと思われる。
この推測は誰にも可能であろう。しかし、それだけではないと思え
てならない。今回の撃墜事件は、プーチン大統領が語っているよう
に、背後からナイフで刺すような、卑怯な行為であり、必ず復讐す
るということになる。多分、プーチン大統領はそれを実行しよう。
そうなると、トルコとロシアとの関係は、戦争状態になるのではな
いのか。ロシアが今後、トルコ機を撃墜するのか、国境地域を空爆
するのかは、分からない。
そしてそれがエスカレートすれば、NATOもトルコがメンバー国であ
る以上、放置できまい。そうなれば、ロシア対NATOの戦争状態が起
こることが考えられる。それはウクライナ問題に極似しているので
はないか。ウクライナ問題が発生した時も、NATOとロシアとの間で
は、一触即発の緊張状態が生まれていた。
今回の場合、イギリスは『ただ事ではない』と警告しているが、ま
さにそのレベルの危険な状況ということであろう。そこで手腕が問
われるのは、ドイツのメルケル首相であろう。
ヨーロッパ諸国はいまでは、アメリカの考え方、物事の進め方を熟
知している。そのことがフランスやドイツをして、ロシアとの関係
改善に、向かわせていたのであろう。その動きが今回の危機を乗り
切らせるか。エルドアン大統領は強気で、ロシアとの緊張を高めて
いくのか。もう少し事態の推移を、見る必要があろう。
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 撃墜直前の録音公表=南への進路変更要求−トルコ軍
【エルサレム時事】トルコ軍は25日、ロシア軍機を撃墜する直前
、相手機に警告したとされる際の録音記録を公表した。撃墜したロ
シア軍機とみられる「国籍不明機」に対し、英語で進路変更を命じ
ている。
トルコのアナトリア通信が公開した音声記録によると、南東部ディ
ヤルバクルの空軍司令部が、「こちらはトルコ空軍だ。トルコ領空
に接近している。直ちに南へ進路を変更せよ」と繰り返し警告して
いる。(2015/11/26-06:24)
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撃墜は「合意違反」と批判 ロ外相、米の“責任”追及
2015/11/26 06:36   【共同通信】
 【モスクワ、ワシントン共同】ロシアのラブロフ外相は25日、
ケリー米国務長官と電話協議し、トルコ軍機によるロシア軍機撃墜
は、シリア上空で空爆作戦を実施する米ロが偶発的衝突を防ぐため
に合意した覚書にあからさまに違反する行為だと訴えた。ロシア外
務省が明らかにした。
 ラブロフ氏は、米国は覚書がトルコを含む米主導の全有志国に適
用されると約束していたとして、米国の「責任」にも言及。批判の
矛先を撃墜したトルコにとどまらず、米国にまで拡大した。
 米国務省によると、ケリー氏はラブロフ氏に対し、トルコとの対
話継続と対立先鋭化を回避するよう要請した。
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トルコがロシア軍機撃墜、悪夢のシナリオが現実に
シリア国境の「領空侵犯」でついに衝突、今後の共同作戦に影
2015.11.26(木)  Financial Times
(2015年11月25日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
?トルコの戦闘機が24日、ロシアの戦闘爆撃機スホイ24を1機撃墜し
た。この展開を軍事計画立案者は以前から、ロシアが紛争に介入し
た結果生じる悪夢のシナリオの1つに挙げていた。
?この撃墜により、シリアでの戦争には新しく、危険な変化が加わる。
?また、北大西洋条約機構(NATO)加盟国がロシアの軍用機と空中戦
を演じたのは、冷戦の最盛期以降で見ても初めてだと考えられる。
?1950年代や1960年代に起こった衝突は、すべてではないとしてもそ
のほとんどが米軍と旧ソビエト連邦軍との衝突で、当時は隠蔽され
た。
?軍事専門家はかねてから、シリア領とその周辺の空域がますます混
雑しており、敵対する空軍同士が衝突する可能性があると繰り返し
警告していた。最終的には、ロシアの戦闘爆撃機2機がトルコの領空
を17秒間侵犯しただけで、かつて友好関係にあった2国が対立するこ
とになり、シリアの血みどろの内戦を鎮めようとする外交努力に新
たな不確実性が持ち込まれた。
NATO全体のリスクが浮き彫りに
?「これは非常に深刻な出来事であり、十分に予想できたことでもあ
る」。現役の軍幹部や退役軍人、政治家などが参加する独立系の団
体、欧州リーダーシップ・ネットワーク(ELN)のディレクター、イ
アン・カーンズ氏はこう指摘する。
?「我々があの地域だけでなく欧州で、そしてNATO全体で危険を冒し
ていることを浮き彫りにしている。欧州ではロシアの飛行機が戦艦
の周辺を飛び回ったり、ほかのジェット機を刺激したり、NATO加盟
国の領空で挑発的な行動を取ったりしている様子が見られる」
?トルコ政府の複数の当局者によれば、2機のスホイ24の乗組員は南
の方角からトルコ国境に接近するにつれ、緊急無線で5分の間に10回
の警告を受けた。2機はこの警告を無視し、1機は17秒後にシリア領
空に戻ったものの、残る1機はトルコのF16戦闘機によってトルコ上
空で撃墜されてシリア領内に墜落した、とトルコ政府当局者らは述
べている。
?一方、ロシア国防省は、撃墜された戦闘爆撃機は「飛行中は一貫し
てシリアの領空にいた」と主張した。
領空防衛に神経尖らすトルコ
?トルコ政府は以前から領空を積極的に防衛しており、同じNATO加盟
国であるギリシャとも衝突したことが何度かある。
?「トルコはやたらと撃ちたがることで知られている。領空を侵犯す
るものは何であろうと撃ち落とすと以前から明言している」
?英国王立統合軍防衛安全保障問題研究所(RUSI)に所属する空中戦
のスペシャリスト、ジャスティン・ブロンク氏はそう語る。
?トルコの元外交官で現在はシンクタンクEDAMに籍を置くシナン・ユ
ルゲン氏は、今回の事件はトルコ領空の「甚だしい」侵犯であり、
ロシア政府に繰り返し伝えられたシリア国境におけるトルコの交戦
規定の侵害だと述べている。トルコ政府の交戦規定によれば、トル
コの領空からの距離が13マイル以内のシリア領空に入った航空機は
、その空域から離脱するよう警告を受けるという。
?2014年3月には、国境を越えてきたシリアのジェット機1機をトルコ
のF16戦闘機が撃墜した。今年に入ってからも、トルコ軍はシリアの
ヘリコプターを少なくとも1機撃ち落としたと見られている。
?ロシアが9月の終わりに戦いに加わったことで様相が変わった。ト
ルコ政府はその数日後に、ロシアのジェット機がトルコ領空を繰り
返し侵犯しているとロシア政府に抗議することとなった。NATOはす
かさずトルコを援護し、ロシアの「無責任な行動」を非難した。
ドローン撃墜が最後通牒だった?
?最も深刻な事件では、ロシアの戦闘機がトルコのジェット機2機に
レーダーで「ロックオン」をしていた。ブロンク氏はこのロックオ
ンが「非常に攻撃的な行為」において行われたと述べ、一方のトル
コのパイロットは「かなり自制していた」と付け加えた。トルコは
、領空に入り込んだロシアの航空機は今後撃ち落とすと明言した。
NATOの幹部は内々に、そうなるのは時間の問題でしかないとの懸念
を表明していた。
?トルコは先月、今ではアナリストらが最後通牒だったと考えるもの
をロシア政府に送っていた。トルコの領空にいたロシア製のドロー
ンを撃ち落とすために、F16戦闘機が空対空ミサイルを発射していた
のだ。
?ブロンク氏によれば、「この情報を得た西側諸国の軍事アナリスト
たちが示した反応は、『助かった。これは本気の警告なんだとロシ
アに示すためにトルコが選んだものがドローンでよかった』という
ものだった」という。
?トルコのメディアや現地の活動家たちは、撃墜されたスホイ24はト
ルコとシリアの国境地帯にあるヤマディ村に墜落したと話している。
?しかし、英国に本拠地を構える活動家グループのシリア人権監視団
は、墜落したのはシリアの北部、ラタキア県のジャバルトルクメン
地域だと述べている。
?ロシアの一般幕僚は、撃墜機のパイロットの1人が死亡したことは
確認したものの、もう1人のパイロットについてはすぐには確認しな
かった。
いくつもの代理戦争が繰り広げられる複雑さ
?今回の事件は領空を巡る単なる衝突にはとどまらず、シリアの内戦
という文脈でさまざまな代理戦争が行われていることの証拠にもな
っている。
?現地の活動家らによれば、シリア軍は少なくともこの1週間、ロシ
アの戦闘機の支援を受けながらシリア北部でトルクメン武装勢力と
戦っている。トルコは4日前、駐トルコ・ロシア大使を呼び出して爆
撃について抗議していた。
?シリア北部のいくつかの県には、トルコ系の少数民族トルクメン人
が約10万人住んでいるが、その多くはジャバルトルクメン地域とし
て知られるラタキア県の山岳地帯に集中している。バシャル・アル
・アサド体制に反対する運動に早くから加わった集団の1つであり、
トルコの支援を受けている。その武装組織であるシリア・トルクメ
ン旅団は、西側諸国が支援する自由シリア軍と同盟関係にある。
By Mehul Srivastava in Istanbul, Mark Odell in London and Alex Barker in Brussels
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「領空侵犯1秒もない」=生還のロシア機乗員、トルコに反論
 【モスクワ時事】シリア北部国境でトルコ軍機による撃墜後、生
還したロシア軍機の乗員が25日、ロシア国営メディアなどの取材
に「トルコ領空は1秒も侵犯していない」と主張した。トルコの発
表に真っ向から反論した。
 乗員はコンスタンチン・ムラフチン大尉で、緊急脱出後、シリア
軍に救出された。「すぐにでも任務に復帰したい」と述べている。
 乗員によると、撃墜前は「高度6000メートル、天気は快晴」
だった。誤ってトルコ側に侵入する飛行状況でなかったと主張。自
身が飛行ルートを管理し、もう一人の乗員に伝える立場だった。「
当該空域はこれまで何度も軍事作戦で飛行していた」と訴えている。
 トルコ軍の緊急発進(スクランブル)機による撃墜は「突然起き
、回避行動が取れなかった」と状況を説明。無線による警告も、機
体を接近させて行う視覚的な警告も「全くなかった」と強調した。
空対空ミサイルはロシア軍機の後部に命中したという。
(2015/11/26-06:48)
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トルコがロシア軍機撃墜、プーチン大統領「決して許さない」
パリ同時多発攻撃後に高まったロシアと西側のイスラム国掃討に向
けた連携の機運に危機
2015年11月25日(水)16時47分
 トルコは24日、度重なる警告にもかかわらず領空を侵犯したと
して、シリア国境付近でロシアの軍用機を撃墜。ソビエト時代も含
め、北大西洋条約機構(NATO)加盟国によるロシア軍機撃墜が
確認されたのは1950年代以来初めてで、緊張が高まっている。
 ロシアのプーチン大統領は、「テロリストの共犯者ら」による背
信行為としてトルコを強く非難。両国関係に重大な影響をもたらす
との認識を示し、「このような犯罪をわれわれは決して許さない」
とした。
 プーチン大統領によると、ロシア機がトルコ国境から1キロ離れ
たシリア領空を高度6000メートルで飛行中、F━16機が発射
した空対空ミサイルの攻撃を受けた。トルコ国境から4キロ離れた
シリア領内に墜落したとしている。
 またロシア機がトルコに脅威を与えた事実は存在せず、シリア領
内の過激派組織「イスラム国」を攻撃する任務を実行していたにす
ぎないと説明した。
 一方、トルコは国連安全保障理事会に対し、領空を侵犯した国籍
不明の機体を同国が撃墜したと説明。領空を侵犯した2機は、5分
間に10回警告を発したにもかかわらず、17秒間にわたりトルコ
上空を約1.6キロ以上飛行したとしている。トルコには国家安全
保障上の理由から、こうした行動に出る権利があると主張した。
 「回避するためにわれわれが最善を尽くしたことを誰も疑うべき
ではない。だが、トルコが自国の国境を守る権利を皆が尊重すべき
だ」とトルコのエルドアン大統領は首都アンカラで演説した。
 同大統領はまた、ロシアによるシリアへの空爆についても、過去
数週間で自国領空は数回侵犯されたが、トルコの「冷静さ」があっ
たからこそ最悪な事態を防ぐことができたと強調した。
 ロシア、トルコの両国はそれぞれの大使を呼び出し抗議している
。ロシアのラブロフ外相は25日に予定されていたトルコ訪問をキ
ャンセルし、国民に対しても渡航を控えるよう求めた。ロシア国防
省も対抗措置を準備していることを明らかにした。
 パリ同時多発攻撃後に高まっていた、ロシアと西側のイスラム国
掃討に向けた連携に、今回の事件が水を差す可能性がある。
 トルコによるロシア機撃墜を受け、イスラム国掃討作戦をめぐり
訪米中のオランド仏大統領とオバマ米大統領は会談後の共同記者会
見で、ロシアとトルコ両国は緊張の高まりを避ける必要があるとの
考えを表明した。
 オバマ大統領は「緊張の高まりにつながらないようにすることが
最優先課題となる」と述べ、オランド大統領も「緊張の高まりは大
きな阻害要因となるため、これを回避する必要がある」と語った。
 NATOは緊急理事会を開催。ストルテンベルグNATO事務総
長はロシア機撃墜はトルコ領内で起こったとするトルコの立場を支
持した。
脱出したパイロットを銃撃
 非政府組織「シリア人権監視団」によると、軍用機が墜落したの
はシリア北西部ラタキア県内の山間部。同県では空爆が行われ、政
府側と反政府側が地上戦を繰り広げていた。
 トルコ民間テレビ局の映像では、軍用機が炎上し、煙の尾を空中
に残しながら森林地帯に墜落していく様子が映し出されている。
 また同国のアナドル通信社による別の映像からは、墜落前にパイ
ロット2人がパラシュートで脱出しているのが分かる。
 シリア反体制派であるトルクメン人部隊の副司令官は、同部隊兵
士らが降下中のパイロット2人を銃撃して死亡させたと語った。一
方ロシア軍は、パイロットの1人は地上から銃で撃たれて死亡し、
もう1人兵士が救出作戦中に死亡したことを確認した。
 トルコの高官は少なくともパイロット1人が生存している可能性
があると述べた。
 ロイターが入手した映像では、パイロットの1人は地上で動かず
、重傷を負っているように見えた。
 米軍の広報担当者は、今回の問題はトルコとロシア政府の問題で
あり、米国主導の有志連合によるシリアとイラクへの軍事作戦は「
計画通り」遂行されると語った。
 ロシアがシリアで空爆を別途開始したことで、第2次大戦後初め
て、ロシアとNATO加盟国の爆撃機が同じ空域内で軍事作戦を遂
行するという事態を招いている。双方ともトルコ国境近くに位置す
る武装勢力を標的としている。
 ロシアによるシリアへの軍事的関与は、先月に発生した乗員乗客
224人全員の命を奪ったロシア旅客機墜落事件など、ロシアに犠
牲をもたらしている。しかし、シリアでの軍事作戦について、ロシ
ア世論が反対する兆候はなく、クレムリンはこの作戦を継続すると
している。
[アンカラ/モスクワ 24日 ロイター]
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救出に向かったロシア軍ヘリも攻撃受け破壊
11月25日 11時12分NHK
内戦が続くシリアと隣国トルコとの国境付近でロシアの爆撃機がト
ルコ軍に撃墜され、救出に向かったロシア軍のヘリコプターも武装
勢力の支配地域から攻撃を受けて緊急着陸し、破壊されました。ロ
シア軍は、これまでに合わせて2人が死亡したことを明らかにしま
した。
ロシア軍の爆撃機は24日にシリアとの国境付近でトルコの領空を
侵犯したとしてトルコ軍の戦闘機に撃墜されました。ロシア軍の参
謀本部によりますと、爆撃機が墜落したのは、シリア領内の反政府
の武装勢力が支配する地域で、パラシュートで脱出した乗員2人の
うち1人が地上から銃撃を受けて死亡しました。
ロシア軍は、爆撃機の乗員を救出するため、ヘリコプター2機を墜
落現場付近に派遣しましたが、このうち1機が反政府の武装勢力が
支配する地域から攻撃を受けて緊急着陸したということです。その
際、兵士1人が死亡し、ヘリコプターは、さらに砲撃を受けて破壊
されたということです。
武装勢力側は、ロシアのヘリコプターをミサイルで攻撃して破壊し
たと主張し、その映像をインターネット上に公開しました。
ロシア軍によりますと、ヘリコプターに乗っていた兵士は、シリア
北西部のラタキア郊外にあるロシア軍の空軍基地にたどりついたと
いうことで、ロシア軍は爆撃機の乗員の救出作戦を続けているとし
ています。
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軍用機撃墜は「非常に深刻な出来事」=ロシア大統領報道官
2015年11月24日(火)21時09分
[モスクワ 24日 ロイター] - ロシアのぺスコフ大統領報道官
は24日、シリアでのロシア軍機撃墜について「非常に深刻な出来
事」とする一方、結論を出すのは尚早と述べた。
記者団に「十分な情報なしに何かを言うことはできない」と語った。
トルコ政府は、トルコ軍の戦闘機が24日、度重なる警告の後、シ
リア国境付近でロシア製軍用機を撃墜したことを明らかにした。こ
れに対しロシア国防省は、領空侵犯はしていないと反論している。
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ロシアとトルコの空軍が空中戦 ロシア空軍機が撃墜される 今回
の事件のニュースに接して「すわ第3次世界大戦か?」とか情弱な結
論に走らないこと
広瀬隆雄2015年11月24日 21:15
11月24日シリアとの国境に近いトルコ領内に侵入したロシアのSu-24
戦闘機1機を、トルコ空軍の2機のF-16が追尾、5分間で10回に渡る警
告を発した後、ロシア戦闘機がこれを無視したためヤリダギ村
(Yaylidagi)上空で撃ち落しました。
Su-24に乗務していた2人のパイロットは、パラシュートで脱出に成
功した模様です。
トルコ側は「ロシア機がトルコの領内に不法侵入した」と主張して
います。
ロシア側はこれに対し「ロシア機はシリア側を飛行していた。高度
は6,000メートルだった」としています。またロシア政府はSu-24は
F-16に撃ち落されたのではなく、地上からの砲火により被弾したと
しています。
ヤリダギ村付近で活動しているトルコ反政府軍の闘士たちが「我々
は2人のバイロットを拘留した。一人はけがをしており、もうひとり
は無傷だ」と発表しました。
ロシア側は未だ事実確認に手間取っている様子ですが、トルコ政府
は事件が起きた前後の状況に関し、かなり詳細な経緯を把握し、な
おかつ「わが国がロシア戦闘機を撃墜した」ということを認めてい
ます。
今回のような事件がおきたことは、驚くに値しません。
なぜならロシアが基地を置いたシリアのラタキアはトルコからそう
遠くなく、きわめて狭い空域だからです。ここではフランスその他
の空軍も作戦活動をおこなっており、間違いが起こりやすいことは
以前にも指摘しました。
それからロシアの戦闘機が撃ち落されたのは今回が初めてだけど、
これまでにヘリコプターやドローンは撃ち落されてきた点も忘れて
はならないと思います。
ロシアはシリア領内のイスラム国、ならびにシリア反政府軍の両方
に対して空爆してきました。しかしこの地域はトルコ、フランス、
アメリカの各国空軍がイスラム国に対する空爆をおこなっている地
域と隣接しています。したがってNATO側はかねてから今日おきたよ
うな衝突がおこってしまうリスクを何度も指摘してきました。
なおトルコ政府とロシア政府はシリアにおける両国の作戦がかぶら
ないように実戦の面でのコーディネーションを討議してきましたし
、外交関係の面でもテンションは高いけれど、基本的に友好的で極
めて緊密な交流があります。ロシアのパイプラインはトルコを通っ
ているし、ビジネス上、さらに地政学上、お互いがお互いを必要と
しているからです。
したがって、今回の事件のニュースに接して「すわ第3次世界大戦か
?」とか情弱な結論に走らないこと。



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