5544.円安から円高へ



財務省が10日発表した2015年度上半期(4〜9月)の国際収支状況
によると、モノやサービスなど海外との総合的な取引状況を表す経
常収支は8兆6938億円の黒字だった。黒字額は前年同期(2兆8億
円)と比べて大幅に増え、4〜9月としては5年ぶりの高水準とい
うように経常黒字が拡大している。

しかし、米利上げを見込む為替相場は、123円と円安に振れてい
る。しかし、実体経済での経常収支が大幅黒字であると、米国は円
安を問題視しやすくなるし、実体経済上も、円買い需要が増えてく
るので、実体経済上では円高になるはず。

それを日銀の量的緩和で円安にする構図になり、この綱引きが起こ
ることになる。

ここで、日本の国際的な立場は、米国の属国的であり、米国が問題
視すると、どこかで日銀のテパーリングを始めざるを得ない状況に
なる。

ということで、経常収支の黒字が大幅になると、徐々に量的緩和を
止める方向になり、円安から円高方向に行くことになる。

さあ、どうなりますか?


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経常黒字、4〜9月は8兆6938億円 5年ぶり高水準 
旅行収支が黒字に
2015/11/10 10:11 nikkei
 財務省が10日発表した2015年度上半期(4〜9月)の国際収支状
況(速報)によると、モノやサービスなど海外との総合的な取引状
況を表す経常収支は8兆6938億円の黒字だった。黒字額は前年同期
(2兆8億円)と比べて大幅に増え、4〜9月としては5年ぶりの
高水準だった。原油をはじめとする資源価格の下落で輸入額が減っ
たうえ、旅行収支が黒字になった。企業が海外の子会社や投資先か
ら受け取る第1次所得収支も、円安を背景に85年以降で過去最大に
なった。
 欧米向けの自動車輸出が伸び、輸出額が37兆2189億円と、前年同
期に比べて2.8%増えた。一方、原油安で輸入額は37兆6386億円と
7.4%減った。第1次所得収支の黒字は18.1%増の10兆8342億円とな
った。
 サービス収支の赤字額は7976億円(前年同期は1兆8025億円)だ
った。統計上でさかのぼれる1996年以降で赤字幅は最小になった。
旅行収支の黒字や特許収入が拡大した。旅行収支は1996年以来赤字
が続いていたが、訪日客の急増によって上半期は6085億円の黒字に
なった。自動車などを海外生産した際に得られるロイヤルティー収
入も最大だった。
 財務省は今後について、中国経済の減速や原油価格の動向が貿易
収支や旅行収支に与える影響を注視したいとしている。
 同時に発表した9月の経常収支は1兆4684億円の黒字(前年同月
は9780億円の黒字)と、15カ月連続で黒字だった。QUICKがま
とめた民間予測の中央値(2兆2273億円の黒字)を下回った。貿易
収支は823億円の黒字(同7112億円の赤字)、第1次所得収支は1兆
6694億円の黒字(同2兆393億円の黒字)だった。
〔日経QUICKニュース(NQN)〕


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