5542.日本の夜明けが来るか



12月米利上げが確実になり、123円と円安に振れている。米金
利が上昇し、機関投資家やヘッジファンドのお金がドルに集まり始
めたためだ。

しかし、米国株は高く、株価が下がることはあっても上がるとは思
えない。PERが平均26と非常に高いからだ。また、債券市場や米国債
市場も、金利がゼロ近辺にある。金利が正常に付くのはジャンク債
しかない。

新興国から米国に資金が戻ったら、借りていた金は返すことになる
が、それ以外は米国には投資先がない。しかし、新興国や資源国に
は投資できない。値上がり期待ができないことでそうなるが、それ
ではどこに投資するかである。とすると、日本の株価はPER15程度と
非常に低いのである。

このため、日本株に投資が向かう可能性が出てきた。ということは
円買いになり、円高になる可能性があるということになる。

円相場は1ドル=100円前後で、日経平均株価は2万円となるように
感じる。日経平均が2万円になるためには、海外投資家が日本を目
指すことが必要で、このため円高になるということである。

円高であるとデフレになり、「原油安のデフレ好感」が日本の新常識
になるのだ。

「一億総活躍」社会を実現するには、この時期しかない。日本は世界
最速で人口減少と高齢化が進んでいる。この解決には移民を受け入
れるしかない。この政策なしに、何をしても無駄になる。企業も人
口減少する社会に投資はしない。市場規模が将来縮小するのに、そ
こに投資するはずがない。人口減少をまず食い止めてから、その後
、いろいろな政策を取るべきである。

社会保障政策は、単純化して給付付き税制控除にすることで、効率
化できる。この制度設計が重要で、健康なのに働かないものは最低
の生活なり、働くと少しずづ豊かになるように設計することが重要
なのだ。

さあ、どうなりますか?

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「12月米利上げ」で円安加速 日本株は先高観 
2015/11/8付日本経済新聞 朝刊
 米連邦準備理事会(FRB)が今年12月に利上げに踏み切るとの
見方が広がり、外国為替市場で円安・ドル高が加速している。米金
利が上昇し、機関投資家やヘッジファンドのお金がドルに集まり始
めたためだ。円安による企業収益の改善を見越して日本株の先高観
も高まってきた。新興国経済の減速などのリスクは依然として大き
いが、円相場は1ドル=125円、日経平均株価は2万円を目指すとの
声が多い。
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出生率1.8で1億人維持は困難 外国の人材獲得もカギ 
けいざい解読
2015/11/8付日本経済新聞 朝刊
 安倍晋三首相の経済政策「アベノミクス」の第2段階が始まった
。名目国内総生産(GDP)600兆円、希望出生率1.8の実現、介護
離職ゼロが新3本の矢。50年後も人口1億人を維持するという目標
も掲げるが、死角もある。
 「少子高齢化という構造的課題に今こそ、真正面から取り組むべ
きだと判断した」。10月29日の一億総活躍国民会議の初会合で首相
は力説した。
 日本は世界最速で人口減少と高齢化が進んでいる。デフ…
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「一億総活躍」社会を実現する具体的処方箋
省力、学習、公正の3つが課題解決のカギ
土居 丈朗 :慶應義塾大学 経済学部教授 2015年11月09日TK
10月29日に、首相官邸で一億総活躍国民会議の初会合が開催された
。筆者も民間議員として出席した。第3次安倍改造内閣では、加藤勝
信一億総活躍担当大臣を据えて、取り組みを加速しようとしている。
そもそも、「一億総活躍」とは何か。何を意味しているかよくわか
らないとか、戦前の標語を想起させて復古的だとか、活躍したくな
い人もいるのに活躍を強制するのかとか、さまざまな見方がある。
以下では、政府見解を並べるのが主眼ではないが、あらぬ批判をし
ても無意味なので、ひとまず政府の意図を確認しておこう。
あえて一億という言葉を冠した理由
「一億総活躍」が意味するところは、初会合で示された言葉を用い
れば、「一人ひとりの日本人、誰もが、家庭で、職場で、地域で、
生きがいを持って、充実した生活を送ることができること」がふさ
わしい。「活躍」という言葉には、「充実した生活を送る」ことが
含まれている。
これなら、「国民総活躍」という言い方もできるかもしれない。し
かし、敢えて「一億」と冠している意図は、初会合で示された言葉
を用いれば、「少子高齢化という日本の構造的な問題について、正
面から取り組むことで歯止めをかけ、50年後も人口一億人を維持」
することを念頭に置いているからである。
安倍晋三首相は、初会合の挨拶で、「正に十人十色でありまして、
それぞれの特色があって、それぞれの希望が叶い、それぞれが生き
がいを持てる社会を私は創りたい。そう思っています。若者も年寄
りも、女性も男性も、障害のある方も、また難病を持っている方も
、あらゆる方々、たとえば一度大きな失敗をした人もそうですが、
みんなが活躍できる社会を創るために、それを阻むあらゆる制約を
取り除いていきたい。」と述べている。
少なくとも、ここでの「一億総○○」という言葉遣いには、皆で画
一的に何かを目指すとか、右へ倣えで少数派の人にも何かを政府が
押し付けるといった意図はない。ならば、各人が十人十色で充実し
た生活を送ることは、個人個人がそれぞれに目指せばよいのであっ
て、政府がそこまでお節介を焼く必要はない。そう思う読者もおら
れよう。それは一つの正論である。
ただ、昨今、格差是正を政府に求める声は強いし、老後の生活を自
分や家族だけでは支えられず老後扶養の社会化はますます進んでい
て、政府はお節介を焼くなとも言っていられない現実がある。その
背景に思いを致すと、国民の中に依然「政府・国民の二分法的発想
」があると思われる。
この言葉は、拙共著『日本政治の経済分析』(木鐸社)で初めて用
いたのだが、政府を「お上」として、国民とは関係のない統治者と
みる発想である。つまり、国民にとって、政府とは他人のような別
の主体であり、基本的には日常生活に政府は干渉しないでほしいと
思っている。その半面、困ったときややり場のない不満があるとき
ばかりは政府に責任を求めたり、政策の実行を求めたりする発想で
もある。
努力の力点を改め、努力が報われる形に
しかし、わが国は民主主義国家である以上、政府は国民のものであ
り、国民は政府の意思決定に何らかの形で関与する主体である。政
府と国民は別物であるという発想が背後にあると、せっかくの新た
な取組みも有機的に政策形成に結びつかない。過保護・過干渉はい
けないが、政府がいかにうまく政策的に関与するかが問われている。
(言い回しの好みは不問として)「一億総活躍社会」の実現に向け
て、政府はいかに適度に日本で暮らす人々とかかわるか。「一億総
活躍社会」を実現するために求められる3つの取り組みを、あえて「
一億総○○」と称して挙げながら、筆者の考えを述べたい。
1つ目は「一億総省力」。日本人はおおむね真面目だが、真面目過ぎ
て逆に努力が報われない面が、目下、災いしている。労働時間を費
やせば所得が増えたり、成果が上がったりする、と思いきや、なか
なかそうならない。そのため、徒労感があったり、やる気を失った
りしている。さらにこれが、若者が結婚できなかったり、子育ての
余裕がなかったりする一因ともなっている。
こうした状況を打開するには、生産性を高めて労働者として省力化
できるようにする取り組みが有効だ。同じ付加価値を上げるにも、
より短い労働時間で達成するような工夫も、これに含まれる。ICTや
人工知能の活用、ワーク・ライフ・バランスのさらなる促進などを
含めて、生産性の向上に地道に官民を挙げて取り組んでいく。
このように、われわれがそれぞれの立場で工夫しながら努力の力点
を改めて、努力が報われるような形にすることが活路を開くだろう
。労働時間や労力さえ注ぎ込めば何とかなるのではなく、いかに時
間や能力に余裕を持たせて、日々の仕事や生活を営むか、という方
向に向かう時期が来ている。
控除を見直し所得再配分機能を回復
2つ目は「一億総学習」。ライフステージに合わせて、必要な学習が
十分にできる環境を整えることが求められる。幼い子どもたちには
、幼児教育を充実させることで、人格形成にも資する。グローバル
化もにらんだ高等教育の改革も待ったなしである。そして社会人の
スキルアップもまた必要であり、高齢者には老後の生きがいとして
の学習の場が求められている。
一億皆で学びながらさらにスキルアップしていくことで、充実した
生活を送ることにつながろう。他方で、教育費の負担への不安が少
子化の一因ともなっているから、教育費の負担に関して不安を断ち
切る取り組みも合わせて必要である。
3点目に「一億総公正」。要件が満たされないために救うべき人が救
われなかったり、給付しなくても十分生活できる人に給付を出して
いるような面が、わが国の制度にはある。それを改める視点で、社
会保障給付のあり方を見直す。所得税制の中でも控除の見直しを通
じて所得再分配機能を回復させる(詳細は本連載の拙稿を参照され
たい)。必要に応じて、こうした中から施策のための財源の捻出も
考えられる。
これらを総合的に行うことで、「一億総活躍社会」の実現に近づけ
られるだろう。言うは易し行うは難し。しかし、批判だけして何も
実行しないのでは、現状は打開できない。早期に解決すべき課題も
多いだけに、拙速にならないようにしつつ的確に政策を講じる判断
が問われる。
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「原油安のデフレ好感」が日本の新常識になる
ズバリ聞く! 中原圭介の2016年経済予測
三井 智映子 :フィスコリサーチレポーター 2015年11月09日TK
アベノミクスの恩恵は上位2割だけ
三井:今回は最後のインタビューとなりますが、前回同様、中原さ
んの最新刊『中原圭介の経済はこう動く〔2016年版〕』の中から、
日本経済の現状と今後について伺いたいと思います。まず、日本の
実体経済の現状をどのように見ておられますか。
中原:私はこれまでさまざまなメディアを通して「アベノミクスの
恩恵を受けているのは、全体の約2割の人々に過ぎない」と訴えてき
ましたが、大手メディアの世論調査でもおおむねそれに近い結果が
出ているようです。
なぜ2割なのかというと、大雑把に言って、富裕層と大企業に勤める
人々の割合は2割くらいになるからです。要するに、残りの8割の人
々は現政権の経済政策の蚊帳の外に置かれてしまっているわけです。
三井:今年1月のインタビューのときに、中原さんがおっしゃってい
た「経済政策とは誰のために存在するのか??その答えはもちろん、
市井で暮らす国民のために存在しているのだ」という言葉が印象に
残っています。国民の生活水準の落ち込みは大きいままですね。
中原:国民の生活水準を考える時に、重要なのは「名目賃金」では
なく「実質賃金」です。このことを否定する方は、この対談をご覧
になっているみなさんの中にはおそらくいないでしょう。
データを子細に分析していくと、2013年以降の実質賃金の落ち幅の
おおよそ半分が円安インフレによるもの、およそ半分が消費増税に
よるものと判断することができますが、さらに実質賃金の推移を長
いスパンで見てみると、ある重要な事実が明らかになってきます。
実質賃金指数はリーマンショック前後に最大で4%も下がりましたが
、現政権誕生後の2年で最大4%、2年半で最大6%も下がってしまっ
ていたのです。
政府寄りメディアは真実を伝えていない
三井:行き過ぎた円安では、国民が原油安の恩恵を十分に受けられ
ないと指摘されていますね。
中原:日本にとって原油安という追い風が吹いているにもかかわら
ず、むしろ2015年も実質賃金が年初と比べて下がっているというの
は、アベノミクスの大規模な金融緩和に伴う円安によるものです。
確かに、実質賃金は2015年7月に2年3か月ぶりに前年同月比で0.5%
増加し、8月にも0.1%増と2カ月連続のプラスとなりました。そこで
政府は、実質賃金の「前年同月比の上昇率」を強調しながら、アベ
ノミクスの効果をクローズアップしてくることになるでしょう。
三井:ところが、それは政府の「ごまかし」だということですよね。
中原:そのとおりです。これからの実質賃金指数を見るうえで注意
しなければならないのは、「前年同月比の増減率」ではなく、アベ
ノミクスが始まった「2013年以降の推移そのもの」です。今後の実
質賃金の水準が2012年の水準にまで戻っていくかどうかに、私たち
は注意を払わなければならないのです。
指数の推移そのものを冷静に見ていかなければ、政権寄りのメディ
アによる大本営発表にまんまとだまされてしまいかねません。なぜ
なら、2015年後半から2016年にかけては、円安インフレのマイナス
効果が剥げ落ちていくので、単月では対前年比でプラスになる月も
出てくるようになるからです。2013年〜2014年の2年間における実質
賃金の下落率は、リーマンショック期に匹敵するというのに、どう
して景気が良くなっているといえるのでしょうか。
それを証明するかのように、2015年7月に公表された厚生労働省の国
民生活基礎調査では、生活が「大変苦しい」が29.7%、「やや苦し
い」が32.7%にも達し、両方の合計である「苦しい」が62.4%と過
去最高を更新してきています。これが、現政権が行ってきた経済政
策の結果であり、国民生活の実態であると、私たちはしっかりと認
識しておく必要があるでしょう。
黒田総裁は日本人の価値観を理解すべき
三井:中原さんは以前から「日銀の金融緩和は間違いなく失敗する
」とおっしゃっていましたが、今でもその見通しに変わりはありま
せんか。
中原:新しいパラダイムのもとでは、「インフレ期待」は米国の経
済学者がつくりだした古いパラダイムに基づくカビ臭い理論にすぎ
ません。この理論を信じる人たちは、現実の経済がどのように動い
ているのかに目をそむけ、いまだに「デフレ=不況」という間違っ
た認識を世間に広め続けています。
そもそも米欧の主流派の経済学者たちは、「20世紀型インフレ」と
「21世紀型インフレ」の違いにまったく気が付いていないという問
題があります。だからこそ、スウェーデンやデンマークなどのよう
に経済が良好にもかかわらず、デフレだからといって金融緩和を拡
大する国が出てくるわけです。これは、異常な状態というしかあり
ませんね(「20世紀型インフレ」と「21世紀型インフレ」について
は、2月10日の記事「なぜ21世紀型インフレは人を不幸にするのか」
を参照)。
三井:インフレ期待は幻想だったということですか。
中原: そのとおりです。私から言わせれば、とりわけ日本人に「
インフレ期待」を求めるのは、そもそも大きな間違いであると思わ
れます。米欧社会の価値観では、「インフレになるのであれば、預
金していると目減りしてしまう。だから株式を買おう。お金を使っ
てしまおう」という考え方が、百歩譲ったとして、21世紀型のイン
フレ経済でまったく成り立つ可能性がないとはいいません。
その一方で、日本人は「インフレになるのであれば、今から節約し
て生活防衛を心掛けよう」と考える国民性を持っています。「イン
フレ期待」どころか、「インフレ失望」が働きやすいお国柄なわけ
です。
三井:日本人としてそれはよくわかります。私のまわりでもそう考
える人が徐々に増えてきています。
中原:今では、アベノミクスの実質的な失敗により、インフレ期待
がまがい物だったことが一般の人々にも理解できるようになってき
ています。おまけに、日本社会の高齢化が進み、貯蓄を取り崩す年
金生活者が増えている中、穏やかなデフレのほうが暮らしやすいと
考える人々が増え続けてきています。
そんなわけで、原油安によってデフレになるのは、国民経済にとっ
て好ましい状況であるというのは、新しい経済の捉え方として常識
になっていくでしょう。「原油安が誤算だった」と説明する日銀の
目指すインフレには、いったい何の意味があるのか、私にはまった
く理解しようがありません。日銀の黒田総裁は意固地にならずに、
いい加減に日本人の価値観を理解する必要があるのではないでしょ
うか。
今後は円高トレンドに転換する
三井:日本経済の閉塞感が漂う中で、中国経済の減速は日本経済に
深刻な悪影響を与えるとお考えですか。
中原: 企業部門を中心にある程度の悪影響は受けると思いますが、
日本企業はドイツ企業と比べて中国市場に深く食い込んではいない
分、深刻な悪影響は受けないと考えています。日本経済にとって本
当に恐いのは、決して中国経済の減速ではなく他の要因になります
が、それは長い話になりますので新刊をご覧いただければと思いま
す。
三井:最後に、円相場の転換点が近いと予想されていますが、それ
はどのような理由からでしょう。
中原: 米国の利上げがあるという前提に基づけば、早ければ2015年
12月に、遅くとも2016年前半には今の円安トレンドは終焉すると思
っています。円安トレンドの終わりを決定付けるのは、米国の利上
げが始まる前後の1カ月以内に訪れるのではないでしょうか。
そのいちばんの根拠は、米国が2012年9月にQE3を開始した直後に、
1ドル75円台という円高のクライマックスが訪れて、その後に歴史的
な円高が終焉しているからです。要するに、今回予想する円安トレ
ンドの終焉はその逆バージョンであると考えられるわけです。
今のドル円相場は、日米の金融政策の方向性が真逆になる中で、両
国の金利差が拡大するという短中期的な相場予測の要因により、大
きく歪んでしまっているといえます。大きく歪んでしまった相場が
正常化に向かう過程では、円高が進まざるをえないと考えるのが必
然的なのです。
三井:私も新刊を読ませていただいて、中原さんの考え方に賛同で
きるようになりました。2016年の世界経済や日本経済がどのような
方向に行くのか、円高トレンドに転換した円相場はどこまで高くな
るのか、株価の方向性はどのようになるのか、とても論理的に理解
できました。ありがとうございました。
中原: こちらこそ、ありがとうございました。


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