5536.21世紀のグレート・ゲーム



世界のグレート・ゲームが始まった。大国のそれぞれの利害が一致
していないので混沌とした状態になってきた。その分析。津田より

0.世界の状況
グレート・ゲーム(The Great Game)とは、19世紀末から20世紀初
頭の大英帝国とロシア帝国が争った覇権争いのことで、当時の英国
人が呼んだ名前である。そして、今、米中の覇権を賭けた陣取り合
戦が始まろうとしている、さしずめ21世紀のグレート・ゲームと言
うことが出来るだろう。

中国が「一帯一路」という新シルクロード戦略を公表し、その戦略
に基づいた資金提供を目的としたアジア・インフラ投資銀行(AIIB)
を創立して、この銀行に英国が欧米で真っ先に参加したことで、米
国の金融覇権がゆらぎ、ドイツやフランスなども参加することで、
中国の世界における位置づけが大きく変化した。

そして、中国は、IMFの特別引き出し権(SDR)と呼ぶ準備通
貨に人民元が採用されて、名実ともに覇権国候補という位置が確立
した。

ロシアは、ウクライナ東部での侵略で、欧米諸国から制裁を受けて
、経済が20%以上も縮小して打開策を打つ必要が出て、まずは中
国との関係を強化して資金をもらい、露中同盟としたいようである。

しかし、中国は、経済力を強化することを中心にしているので、ロ
シアの欧米に対する強硬な態度を好まない。どちらかというと平和
的な世界の方が商売がうまくいくことになり、戦争による覇権獲得
より、富を得て覇権を確立し、中国皇帝の威信を世界に示したいと
いう思いである。朝貢外交で良いのである。

ここがロシアと中国の違いで、ロシアは中国にシベリアを取られる
恐怖がある。ロシアが中国から奪った沿海州には中国人の方が多く
、ロシアは、それにも警戒する必要がある。プーチンは戦争で勝ち
、領土を広げることが威信を示すことと考える。

ベトナムは親ロシアであり、兵器体系も全てロシア製であり、キロ
級潜水艦もロシアから20隻以上も買う。ベトナムは中国に南シナ
海を取られているので、中国とはうまくない。ダナンにはロシア海
軍基地を作る計画があり、ロシア海軍は南シナ海での訓練も行う予
定である。インドもベトナム軍の訓練を手伝うという。

このように露中両国の覇権に対する考え方が違い、その路線の違い
とベトナムの親露で露中が一枚岩ではない。

1.米国の対応と現在
米国は、この路線の違いを巧みに利用して、今まで露中を分断して
きた。しかし、オバマ大統領は、ロシアのウクライナ東部への侵略
と中国の南シナ海の自国領土化で2国と問題を起こしてしまい、こ
の2国をくっつけてしまった。オバマ大統領は、対外政策での決断
が遅く、事態を悪くして、かつ議会から追求されてから動くために
、米国の覇権力を大きく毀損してきた。

欧州は、経済立て直しで中国の経済力を利用し、安全保障上では、
あまり関係ないとして、中国の人権侵害を無視し、ダライ・ラマな
どのチベット問題を切り捨てている。このため、日米とは違う中国
への対応になり、しかし、ロシアの欧州への介入には英仏は敏感で
あるが、ドイツは昔からのロシアと経済関係で中立的である。

このように米露中欧の利害が大きく違うことと、それぞれが複数国
と友好関係を作っているので、敵と味方の問題が複雑化している。
この状態は第1次世界大戦の協商関係などを多重に結んでいた欧州
の状況に似ている。関係が2分化していた冷戦が懐かしい。

このため、小さな事件が、大戦争に結びつく可能性がある。

2.中東情勢で変化
米国はイラク戦争に勝ち、オバマ大統領は自分の任期中に中東から
完全撤退すると宣言していた。しかし、イラクでの戦いで、シーア
派とスンニ派の地域でのバランスを崩して、イスラム過激派を作り
、かつ欧米が「アラブの春」というシリア・アサド政権を倒し、民
主化するという運動で、シリアの内戦が起こり、イスラム国の拡大
を助けてしまった。

ここにロシアがシリアを助けて、イスラム国と戦うとして介入して
きた。米国はシリア反政府組織を支援していたが、ロシアの介入で
一転、反政府組織の存立ができない状況になった。

ロシアは、サウジなどとも関係もあり、シリア和平案を示してきた。

この和平案に反対しても、ロシア空爆とイラン軍精鋭により反政府
組織がなくなるだけであり、米国としてはロシア案を受け入れるし
かない。

ロシアが中東に出てきたことで、米国は共同でイスラム国に対応す
るしかない状態になってしまった。

ロシアは、欧米との関係を正常化して、経済制裁を解除してもらう
ことであり、ウクライナ東部は、親露指導者を投票で選び、自治権
を拡大してもらい、ロシアとの関係を強固にすることである。ロシ
アにとって、ウクライナ東部は重要な工場群が有り、どうしても手
離せないのである。

キシンジャーも、今はイスラム国を倒すことを優先して、ロシアと
組み、イスラム国を倒した後のシリアの体制を議論するべきで、基
本的には宗教の違いや人種の違いで、それぞれの自治国を作り連邦
制にするべきであるという。この構想をロシアは、そのまま提案し
てきたし、シリアのクルド勢力は、自治国を宣言した。

英タイムズ誌も同様な主旨を主張している。米オバマも最終的には
同様な政策を取ることになると見る。

3.南シナ海での中国
中国は、自国領土として南シナ海の礁を埋め立てて、そこに飛行場
などを建設し、かつ12海理を自国領土と主張している。このため
米国は、この権利を認めないとして米艦船を送った。

この紛争直前に、中国の人民元をSDRに組み込むことを、当初反対し
ていた米国が了承している。どうも中国と交渉して、米艦船の12
カイリ内航行を黙認する取り決めがあるような感じだ。そのため、
米海軍司令官と中国海軍司令官が直接会談している。戦争にはしな
いということである。

戦略家のブレジンスキーは、中国の役割を見直すことを提案してい
る。中国を世界における覇権を共同で担う国家と認定していくこと
で、中国との戦いを回避することが重要だという。

4.世界の危機
欧州は中国との関係を重視して、南シナ海では中国の行動を非難し
ていなかったが、シリアの反政府組織をサポートする欧州と米国が
協議して、シリア内戦で反政府組織を米国もサポートする代わりに
、欧州は南シナ海での中国の行動を非難することになったようであ
る。

どちらにしても、世界の問題は、それぞれの国が利害中心に動き、
基本的な人権や民主化などの市民の権利拡大の方向ではなくなり、
ナショナリズムが横行して、世界的な正義から自国の利益に関心が
向いてきた。

このため、リーマンショク以前の世界的な民主化から大きく変化し
てきていることを感じる。

日本は、自国だけでは中国の軍事力には対応できないので、周囲の
国と中国が横暴な要求をしてきたときの対応関係を持ち、かつ中国
とも良好な関係を構築することが必要である。

どちらにしても、当分は、中国が望むブレジンスキーの提案するよ
うなことになるはずである。

さあ、どうなりますか?


参考資料:
5535.21世紀の「グレート・ゲーム」が始まった
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/271031.htm

5534.米国の中東戦略が見えてきた
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/271029.htm

5533.米海軍が中国建設の人工島12カイリに進入
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/271028.htm

5526.キッシンジャーのご託宣
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/271021.htm

5524.米中対決に向かう
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/271019.htm

5523.ロシアと米国、中東はどうなるのか?(有料版のP0368)
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/271018.htm

The new “three R's” of America’s ISIS strategy, explained
http://www.vox.com/2015/10/27/9622642/new-isis-strategy-explained

Brookings: West underestimates Russian capabilities
http://fortruss.blogspot.jp/2015/10/brookings-west-underestimates-russian.html

China’s Meritocracy Vs. Western Democracy
http://thediplomat.com/2015/10/chinas-meritocracy-vs-western-democracy/?utm_content=buffer60a63&utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_campaign=buffer

Why Obama Should Just Let Putin Have the Mess in Syria
http://foreignpolicy.com/2015/10/29/syria-putin-russia-assad-obama/?utm_content=buffer9c15f&utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_campaign=buffer

Get Ready, America: Russia and Iran are Getting Closer
http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/get-ready-america-russia-iran-are-getting-closer-14202

America’s Syria Non-Policy
http://www.project-syndicate.org/commentary/us-needs-coherent-syria-policy-by-christopher-r-hill-2015-10

Russia is Rethinking Its Support for Assad, Says Top U.S. Diplomat
http://www.wsj.com/articles/russia-is-rethinking-its-support-for-assad-says-top-u-s-diplomat-1446137929?mod=e2tw

Pentagon: The Balance Of Forces Is In Assad's Favor
http://www.ibtimes.com/pentagon-balance-forces-assads-favor-2158491

Ties with EU can offset US-Japan alliance
http://en.people.cn/n/2015/1027/c90000-8967280.html

ON GLOBAL CRISIS
BRZEZINSKI ON THE WORLD
http://ontheworld.csis.org/on-global-crisis/

Syrian Kurds declare new province
http://english.alarabiya.net/en/News/middle-east/2015/10/21/Syrian-Kurdish-administration-declares-new-province-.html

Is World War Three between China and the West inevitable?
http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/defence/11941416/Is-World-War-Three-between-China-and-the-West-inevitable.html

Kissinger: Let Russia defeat ISIS, its destruction more important than overthrow of Assad
https://www.rt.com/usa/319115-kissinger-isis-syria-iran/

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日中外相、ソウルで会談=関係改善へ対話推進
 【ソウル時事】岸田文雄外相は1日午前、ソウル市内で中国の王
毅外相と会談する。日中関係改善の流れを確実なものにするため、
政府間の対話や協議を推進することを確認。経済面などの協力強化
についても協議する。両氏の会談は8月にクアラルンプールで行わ
れて以来。
 岸田氏は会談で、中国が東シナ海でのガス田開発を続けている問
題について提起するほか、不測の事態を回避するための「海空連絡
メカニズム」の早期運用を求めるとみられる。南シナ海で中国が進
める人工島造成の問題を取り上げる可能性もある。(2015/11/01-05:25)
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2015.10.31 09:23sankei
「一帯一路」協力呼び掛け 中国首相、きょう韓国・朴大統領と会
談 緊密関係を誇示
 中国の李克強首相は10月31日、韓国で翌日開かれる日中韓3
カ国首脳会談に出席するためソウルを訪問する。31日午後に韓国
の朴槿恵大統領と会談する予定。中国首相の訪韓は2010年5月
以来、5年ぶり。
 歴史問題などで日本に対して強硬姿勢を取ってきた中国は、韓国
との関係を重視。3年半にわたり中断していた日中韓首脳会談の再
開を控え、中韓両国は経済や政治面での連携強化を確認し、緊密な
関係を誇示する。
 会談では6月に正式署名した中韓自由貿易協定(FTA)の早期
発効に向け意見交換。李氏は、中国が推進する現代版シルクロード
経済圏構想「一帯一路」への協力を朴氏に呼び掛ける方針。
 北朝鮮の核問題や日本を念頭に置いた歴史問題についても触れる
可能性がある。李氏は11月2日まで滞在。韓国の黄教安首相や鄭
義和国会議長らと面会するほか、韓国の経済界関係者らと交流する
。(共同)
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イラク軍へ支援強化=アバディ首相と電話会談−米大統領
 【ワシントン時事】オバマ米大統領は30日、イラクのアバディ
首相と電話会談し、同国中西部アンバル州の州都ラマディでイラク
軍が過激派組織「イスラム国」を孤立させていることなどを歓迎し
た。大統領はまた、イラクとの協力関係に基づき、一連の作戦で同
国軍への支援を強化すると述べた。(2015/10/31-10:05)
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増強される中国の軍事、日本超えるアジア最強の海軍に―中国メディア
配信日時:2015年10月31日(土) 12時20分 recordchina  
2015年10月27日、環球時報によると、中国海軍の作戦力が日本の海
上自衛隊を上回り、アジア最強の海軍力になりつつあると、海外メ
ディアが報じている。海上自衛隊の観艦式がこのほど行われ、「ど
ちらが強いのか」という話題に注目が集まっている。 
米サイト「Next Big Future」は、海上自衛隊は4隻のヘリコプター
搭載型護衛艦、16隻の潜水艦を含め、138隻の艦艇を保有しているが
、中国海軍はミサイル駆逐艦052C型6隻と052D型5隻の計11雙のイー
ジスシステムを搭載する駆逐艦を保有するほか、現在建造中のミサ
イル駆逐艦などが配備されれば、中国海軍の作戦力は海上自衛隊を
上回ることになると指摘した。 
また、台湾の中時電子報は中国が建国記念日に合わせた軍事パレー
ドで最新の「東風−21D」対艦ミサイルや「東風−26」中距離弾道ミ
サイルを公開したのを受け、海上自衛隊は観艦式で最新の「いずも
型」護衛艦を含む40隻余りの艦艇を集結させたと報じられたが、中
国の軍事専門家は海上自衛隊の艦艇のうち、中国の最新駆逐艦や護
衛艦に対抗できるのは24隻しかないと指摘した。 
報道の多くは水上艦の数に注目しているが、中国の軍事専門家は「
水上艦の数だけ見て比べることにはあまり意味がない」とし、水上
艦にもさまざまな種類があり、さらに潜水艦や搭載する航空機など
もあると指摘。また、トン数による比較もできないとしている。 
中国海軍軍事学術研究所の張軍社(ジャン・ジュンシャー)研究員
は、「中国海軍がアジア最強だとしてもおかしくはない。中国は人
口や面積、経済力などで日本を大きく引き離しているからだ」と話
している。(翻訳・編集/岡田)
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南シナ海で海上自衛隊と米海軍が共同訓練
10月29日 13時34分NHK
南シナ海で、海上自衛隊の艦艇とアメリカ海軍の空母などが28日
から共同訓練を行っていることが分かりました。南シナ海では、中
国が主権を主張する海域を巡ってアメリカ海軍がイージス艦を派遣
するなど米中のせめぎ合いが続いていますが、海上自衛隊は、今回
の訓練はこうした動きと連動したものではないとしています。
訓練を行っているのは、海上自衛隊の護衛艦「ふゆづき」とアメリ
カ海軍の空母「セオドア・ルーズベルト」などの艦艇です。
海上自衛隊によりますと、訓練海域は、南シナ海の中でも中国が主
権を主張する海域とは離れた場所で、28日から数日間の日程で艦
艇間での通信訓練などを行っているということです。
また、参加している艦艇はいずれもインド洋で行われていた日米と
インドの3か国による共同訓練に参加していたもので、次の寄港地
への航行ルートを利用して訓練を行っているということです。
南シナ海では、中国が主権を主張する海域を巡ってアメリカ海軍が
イージス艦を派遣するなど米中のせめぎ合いが続いていますが、海
上自衛隊は「今回の訓練は以前から計画されていたもので、南シナ
海での最近のアメリカ海軍の行動と連動したものではない」として
います。
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米中が迫る「踏み絵」、踏めない韓国  編集委員 秋田浩之 
2015/10/30 3:30日本経済新聞 電子版
 南シナ海をめぐり、米中のせめぎ合いが激しくなってきた。中国
が岩礁を埋め立てた「人工島」付近に、米軍が艦船を航行させ始め
たからだ。米軍作戦をどこまで支持するのか――。アジアの国々は
そんな選択を迫られている。とりわけ難しいのが、米中双方と良い
関係を保とうとしてきた韓国の選択だ。
 中国は周辺国と領有権を争う南シナ海の南沙(英語名スプラトリ
ー)諸島で、7カ所の岩礁を埋め立て、「人工島」をつくっている。
米…
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シリア正常化交渉、数週間内の停戦で合意
2015年10月31日 03:16(アップデート 2015年10月31日 03:50) sputniknews
ウィーンでのシリア正常化についての交渉で参加者らは数週間内の
シリアでの停戦で合意。ロイター通信がシュタインマイアー独外相
の声明を引用して報じた。
シュタインマイアー独外相は「シリア交渉の参加者らは数週間内に
シリア国内の、あるいは地域間の停戦を達成したいと望んでいる」
との声明を表した。
シュタインマイアー独外相によれば、このほかにも交渉参加者らは
世俗の統治の下でのシリアの統一維持に取り組むことで合意に達し
ている。
29日、ウィーンでは露米サウジアラビア、トルコの外相らが集ま
り、シリア正常化について話し合われた。翌30日、ロシアの発案
でこの4者にさらに、状況正常化に貢献できる地域のプレーヤーと
してエジプト、イラン、イラク、レバノンの外相らが加えられた。
ウィーン交渉参加国の代表らは、シリアにおいて、国連がテロ集団
と認める武装集団は殲滅されねばならないことで合意した。これは
交渉を総括して出されたコミュニケに記されている。
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2015年 10月 31日 03:32 JST 
南シナ海への米艦船派遣、EUが支持表明
[ブリュッセル 30日 ロイター] - 南シナ海の中国「領海」内
に、米国が艦船を派遣した件で、欧州連合(EU)高官は30日、
米国の行動を支持する立場を表明した。
来週にアジア欧州会議(ASEM)の外相会合を控え、EUと中国
の協議に影響が及ぶ可能性もある。
高官は記者会見で「米国は航行の自由を行使している」と指摘。領
有権争いが起きている海域で、人工島を造成する中国側の計画に、
EUは懸念を持つと説明した。
また、EUの外交担当報道官は声明で「EUが領有権問題で特定の
立場を取ることはないが、特に国連海洋法条約に反映される、国際
法の原則に基づく海洋秩序を重視している」と述べた。
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アサド氏処遇で溝埋まらず=国連調停へ、2週間以内に再協議
−シリア問題会合
 【ベルリン時事】シリア内戦の打開に向け、ウィーンで開かれた
関係国外相会合について、フランスのファビウス外相は30日、記
者団に「見解が食い違ったのは、主にアサド大統領の将来の役割に
関してだ」と語り、アサド政権の退陣を求める欧米などと、支援す
るロシア、イランとの溝が埋まらなかったことを明らかにした。
 ただ、政治的解決の必要性では一致し、停戦調停を国連に委ねる
ことを決めた。各国は2週間以内に再協議する予定。AFP通信な
どが報じた。
 ケリー米国務長官は、アサド大統領が退陣すれば内戦を終結に導
きやすくなると主張した。これに対し、ロシアのラブロフ外相は「
(アサド氏の行く末は選挙で)国民が決めるべきだ」と述べ、欧米
のシナリオを拒否したことを示唆した。(2015/10/31-06:00)
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米大統領府がアサド氏の残留に合意、ウォールストリート・ジャーナル紙
2015年10月30日 18:20(アップデート 2015年10月30日 18:24) sputniknews
ホワイトハウスはシリアのアサド大統領の運命について立場を変更
し、ウィーンでのシリア正常化交渉ではアサド氏の将来について話
し合う姿勢を見せた。ウォールストリート・ジャーナル紙が米大統
領府内の消息筋からの情報を引用して伝えた。
「我々は既に一週間、『ロシアはIS拠点以外のところを空爆してい
る』とのメディアの嘘を見守っている」ー国防省
29日、ウィーンでは露米サウジアラビア、トルコの外相会談が非
公開で1時間にわたって行なわれた。
翌日30日はこのメンバーにイラン、アラブ首長国連邦、カタール
、ヨルダン、独仏英伊、エジプト、イラク、レバノンからの代表お
よびステファン・デ・ミストゥラ国連事務総長シリア問題特使、モ
ゲリーニEU外交安全保障上級代表が加わって、さらに討議が続け
られる。
これより以前の米国はアサド氏が無条件退陣を要請し、アサド氏は
シリアの移行期の一部であってはならないと宣言してきた。米大統
領府内の消息筋はウォールストリート・ジャーナル紙に対し、ホワ
イトハウスは最近はアサド氏退陣の期限については公の声明を行な
っておらず、ウィーンでの交渉で操作空間を確保しておこうとの狙
いが見られると語っている。
消息筋いわく、「米国が通そうとしているシリアに対する決議は同
国での戦争停止を見込んでおり、アサド(退陣)問題をあらかじめ
提議してはいない。」ウォールストリート・ジャーナル紙は、こう
した米国のアプローチについて、ロシアがシリア政権の要請で開始
した対IS軍事作戦開始後のシリアの新たな現実を反映したものと
指摘している。
これより前、ロシア外務省のザハロヴァ報道官は、ロシアはシリア
政府の交代問題には関与しておらず、ロシアの課題は政治プロセス
の維持だと明言していた。
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サルコジ氏と会談=「シリア」で孤立脱却アピールか−ロシア大統領
 【モスクワ時事】ロシアのプーチン大統領は29日、モスクワを
訪れたフランスのサルコジ前大統領と公邸で会談した。双方は、ウ
クライナ危機発生後の欧米による対ロシア制裁や、ロシアのシリア
空爆、欧州へのシリア難民流出などの問題について広く意見交換し
たとみられる。
 サルコジ氏は仏最大野党・共和党の党首。ロシア側には、先進7
カ国(G7)の大物政治家と会談することで、国際的な孤立脱却を
アピールする狙いがありそうだ。会談冒頭、プーチン氏は「議論で
きてうれしい」と笑顔で歓待した。(2015/10/30-14:41)
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米中、軍事対立回避へ国防対話=南シナ海「平和解決」を強調
 【ワシントン時事】米中国防当局は、米軍が南シナ海の中国人工
島から12カイリ(約22キロ)内にイージス駆逐艦を派遣する「
航行の自由作戦」を実施して3日を経ずに、海軍制服組トップ同士
の話し合いの場を設けた。作戦を継続する方針の米国と、対抗措置
を警告する中国だが、軍事的対立を避けるため国防当局間の対話を
続けていく姿勢では一致している。
 カーター米国防長官はアジア歴訪出発を翌日に控えた29日、「
国際法が許す限り、いつでもどこでも飛行、航行、作戦を続ける」
と改めて表明。同時に、南シナ海の領有権問題では「平和的解決を
支持し続ける」と強調した。
 米政府は艦艇派遣を警告した今年5月以降、中国と応酬を繰り返
し、本来なら目立たない形で決行するはずだった作戦にかえって耳
目を集める結果を招いた。軍事筋は、米軍が駆逐艦を送り込んだこ
とに関し、「哨戒艇でも補給艦でも良かった。作戦遂行上、駆逐艦
が最も適した場所にいたという以上の理由はない」と述べ、軍事的
威嚇の意図はなかったと指摘する。
 米軍は、リチャードソン海軍作戦部長と中国海軍の呉勝利司令官
のテレビ会談(29日)に続き、作戦立案に当たったハリス太平洋
軍司令官を予定通り11月2日に中国に派遣する。この直後に開幕
するマレーシアでの拡大東南アジア諸国連合(ASEAN)国防相
会議に合わせ、長官が中国の常万全国防相と会談する可能性もある。
米中対立激化の印象を薄めようと努めているように見える。
 一方、中国も、人工島造成について「砂の城」を築いていると批
判するなど対中強硬派で知られるハリス氏の訪中をキャンセルしな
かった。「暴発的事件が起きる可能性がある」(呉司令官)という
脅しの裏には、衝突への危機感もにじむ。(2015/10/30-16:18)
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2015年 10月 30日 15:39 JST 
南シナ海問題、国際仲裁手続きへ 中国は反発
[アムステルダム 29日 ロイター] - オランダ・ハーグの常設
仲裁裁判所は29日、フィリピン政府が申し立てていた南シナ海を
めぐる中国との紛争の仲裁手続きを進めることを決めた。今後、フ
ィリピン側の主張を検討するための聴聞会を開く。フィリピン政府
は決定を歓迎。一方、中国は、仲裁手続きを受け入れない姿勢を示
した。
中国は、関係国間の交渉による解決を唱え、仲裁裁判所に管轄権は
ないとして仲裁手続きを一貫して拒否していた。南シナ海の領有権
問題では、フィリピンのほか、ベトナムや台湾、マレーシア、ブル
ネイなどとも対立している。
仲裁裁判所は今回、フィリピンが国連海洋法条約に基づいて申請し
た7件の事項を取り上げる権限があり、中国が仲裁手続きをボイコ
ットしているからといって裁判所の管轄権がなくなるわけではない
との判断を示した。
米国防当局者は、仲裁裁判所の決定に歓迎の意を表明。「南シナ海
の紛争に対する国際法の有効性が示されている。各国の領有権には
論争の余地がないわけではなく、国際法と国際的慣行を基礎にした
こうした判断は、紛争を解決しないまでも管理を実現できる1つの
方法といえる」と述べた。
フィリピンの同盟国でもある米国は今週、南シナ海にある中国が埋
め立て工事をした人工島の12カイリ以内に海軍艦艇を派遣する「
航行の自由」作戦を実施した。
また米国務省のカービー報道官は定例会見で、仲裁裁判所の決定は
フィリピンと中国の双方に法的拘束力を持つとの見方を示した。
米上院軍事委員会のマケイン委員長も裁判所の決定を称賛した上で
、米政府は航行の自由作戦を定期的に行うことなどで今後もフィリ
ピンなどの同盟国や連携する国を支援するべきだと強調した。
中国は仲裁手続きを受け入れない姿勢だ。
劉振民外務次官は、記者団に、「今回の決定は、南シナ海をめぐる
歴史の事実と国際法に基づく中国の権利、主権に影響を及ぼすもの
でない」と述べ、フィリピンの目的は紛争の解決でなく、南シナ海
における中国の権利を否定し自らの権利を確認することであること
が、今回明らかになったと指摘した。
米戦略国際問題研究所(CSIS)の南シナ海専門家、ボニー・グ
レーザー氏は、フィリピンはこの問題で中国と十分な交渉をしてい
ないとする中国側の主張が裁判所の見解で明確に否定された点を踏
まえると、中国にとっては大打撃だとみている。
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イランはアサド氏退陣を受け入れる必要ある=サウジ外相
2015/10/30BBC
シリア問題を協議する多国間外相会議がウィーンで始まったのに伴
い、サウジアラビアのジュベイル外相は、シリアのアサド大統領の
退陣をイランが受け入れることがあらゆる解決策の前提となると述
べた。
ジュベイル外相はBBCに対して、アサド氏の退陣は「疑いなく」問題
解決の前提条件だと強調。「政治プロセスで退陣するか、あるいは
強制排除させるか、どちらかだ」と述べた。
これに対してイランのザリフ外相は、シリア問題の「まともな解決
」にはイラン政府の関与が不可欠だと他の国々が気づいたのだと述
べている。
ウィーンでの外相会議は事前協議が29日に始まり、30日から実質協
議が始まる。
シリア問題をめぐり米国が出席している多国間協議にイランが参加
するのは初めて。協議にはロシアやトルコも参加する。英仏独、エ
ジプト、レバノン、欧州連合(EU)の外相はそれぞれ出席すると確
認している。また中東の他の主要国も出席意思を表明している。
シリアのアサド政権を支援するイランとロシアは、シリア内戦にお
ける軍事支援を強化しているが、米国やトルコやサウジアラビア、
他の湾岸諸国はかねてから、アサド氏がシリアの未来において長期
的な役割を担うことはありあえないと、退陣を強く求めてきた。
西側外交官はウィーンでの協議を「萌芽段階」と呼んだ。別の外交
官は、対立する当事者たちが怒って退席するのを防げれば、それだ
けで成功だと見通しを示した。
EUのモゲリーニ外交安全保障上級代表(外相)は29日にイランのザ
リフ外相と会談後、ウィーン会議は「問題に関わる主要アクター全
員が同じテーブルを囲み、政治プロセス開始に向けた共通の場を作
り出そうとする」ことになると述べた。
ケリー米国務長官も29日にザリフ外相やラブロフ露外相、サウジア
ラビアのジュベイル外相、トルコのシニルリオール外相と会談した。
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2015年 10月 29日 17:01 JST 
中独首相、シリア危機には政治解決必要との見解で一致
[北京 29日 ロイター] - 中国の李克強首相とドイツのメルケ
ル首相は29日、シリアの危機には政治的解決が必要との見解で一
致した。中国はこれまでも、政治的解決が唯一の打開策とし、武力
行使に繰り返し反対している。
李首相は記者団に「最も重要なのは、政治解決の機会を捕え、対等
・包括的かつ開放された政治対話の機会を設けることだ。特に国連
を通じ、(世界の指導者たちの)意見を結集できればと望んでいる
」と述べた。
そのうえで、中国は引き続き「建設的な役割」を果たしていくと付
け加えた。
メルケル首相は「外交・政治解決が緊急に必要。少なくとも、必要
な参加者を集めた協議が形作られる兆候はある」と述べた。
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南シナ海における米イージス艦の航行は緊張の高まりを意味しない
 市場関係者は頭を冷やした方が良い
広瀬隆雄2015年10月29日 00:18
米海軍がイージス艦、ラッセンを南シナ海のスプラトリー諸島に派
遣しました。ここは中国が人工島を建設している場所です。
ラッセンは中国が建設した人工島の12海里以内を通過し、暗黙の
メッセージとして「米国はこの人工島を中国の領土とは認識しない
」というアピールをしたわけです。
因みに国連は人工的に作られた構築物は国土ではないとしており、
今回の航行はこの国連の規定を実地にデモンストレーションする意
図がありました。
さて、日本では今回の事件は大きく報道されていますが、アメリカ
では大きな扱いはされていません。一例として今日のニューヨーク
・タイムズはA5面にこの記事を載せています。言い換えれば米国政
府は「この件で、マスコミは大騒ぎしてほしくない」と考えている
のです。
このNYタイムズの記事を書いているのは防衛関連を担当するベテラ
ン、ヘレン・クーパーと、ジェーン・パーレツです。
それによると、かねてから米議会はオバマ政権に対し「南シナ海で
アメリカはもっと自分の考えを主張しろ!」と圧力をかけていまし
た。しかしオバマ政権はそれには乗り気ではありませんでした。つ
まり義理があるので、しぶしぶやったのです。
今回の航行は、日本、ベトナム、フィリピンの各国に対して「アメ
リカは彼らの側に立っている」ということを示し、それらの国々を
なだめる目的でやったことであり、公式発表、ニュースリリースの
類は出されませんでした。
オバマ政権の高官は匿名を条件にNYタイムズに「今回のことは、大
袈裟にしたくないんだ」と語っています。
ここからは僕の考えですが、このニュースに接して、すわ(有事の
ドル買いだ!)とか早とちりしない方がいいと思います。
アメリカは南シナ海の問題については単独で中国と対峙するのでは
なく、日本の海上自衛隊やオーストラリアの海軍などを招き入れ、
グループとして「公海における航行の自由」を守ってゆく考えです。
実際、米イージス艦ラッセンの航行に続いて、次はオーストラリア
が同様のデモンストレーションを行う可能性が報道されています。
アメリカの本音は、中国と日本という極東の二大国が仲良く折り合
いをつけて欲しいというところにあり、あくまでもビジネス優先です。
アメリカにとって南シナ海は重要な地域ではないし、領土的利害も
全くありません。
さらに言えば、人工島の建設云々には、ある種のアナクロニズムす
ら漂っています。なぜなら人工衛星やミサイルなどの軍事技術の発
達で、見張り所や補給基地をこしらえる事自体が時代遅れになって
いるからです。
実は、見張り所や補給基地をあちこちに建設したのは第二次世界大
戦前の日本のアプローチです。ワシントン会議とそれに付帯する一
連の交渉で太平洋における見張り所や補給基地を作ってはならない
ということが条約として成立したにもかかわらず、こっそりそれを
進めたのは他ならぬ我が国でした。
その意味では中国は昔の日本をお手本にしているわけです。
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米、シリアに特殊部隊投入を検討 対「イスラム国」で=政府高官
2015年10月28日(水)12時01分
[ワシントン 27日 ロイター] - 米オバマ政権は、過激派組織
「イスラム国」の掃討作戦で、少数の特殊部隊をシリアに投入した
り、イラクに攻撃ヘリを派遣することを検討している。2人の政府
高官が匿名を条件にロイターに明らかにした。
5月にイラクのラマディが「イスラム国」に制圧されたことや、現
地の兵士育成がほとんど進んでいないことが背景にある。
政府高官は、周到に計画した上で投入することになると述べた。オ
バマ大統領が否定している米軍の地上戦投入は選択肢に入っていな
いもよう。
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「航行の自由作戦(FONOP)」はベトナム、フィリピンの岩礁・低潮
高地でも実施
nonreal2015年10月28日 12:30
南シナ海における米海軍の「航行の自由作戦(FONOP)」は、中国の
人工島だけでなく、ベトナムやフィリピンが領有権を主張する岩礁
の12海里内でも実施されていたようです。
U.S. South China Sea Freedom of Navigation Missions Included 
Passage Near Vietnamese, Philippine Claims(2015/10/27 USNIニュース)
FONOPを実施するに先だって、この行為がエスカレーションを招くも
のではなく、国際公共財における通常活動であることを示すための
2つの手段が専門家から提示されていました(過去記事)。
1つは、地域諸国に計画についての注意喚起と支持を呼びかけること
。もう1つは、中国以外の国、フィリピンやマレーシアやベトナムが
支配している岩礁や低潮高地周辺でもFONOPを実行することです。2
つとも実行されたということですね。
1つめの地域諸国への通達は、作戦実行前に日本などへも逐一連絡が
あったと報道されています。2つめの、中国以外の国が実効支配する
岩礁・低潮高地12海里内においても実施されたことは重要なことです。
「FONOPはあくまでも外交の補完であり、中国の海空での主張に対し
ては国連海洋法条約に基づいて異議を唱えつつも、彼らの領有権主
張について争うものではない」(Foreign Affairs)という米国の姿
勢を裏付けるものです。
米国は、国際法に従った形で「領土問題には中立」であるという点
を押さえておきたいところです。ことさらに中国と対立しようとす
るわけではありません。
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シリア政権移行へ協力確認=サウジ国王と電話会談−米大統領
 【ワシントン時事】オバマ米大統領は27日、サウジアラビアの
サルマン国王と電話で会談し、シリアの政権移行実現や過激派組織
「イスラム国」掃討で、緊密に協力することを再確認した。ホワイ
トハウスが発表した。
 米サウジ両国外相は23日、ウィーンでロシアとトルコを交えて
シリア内戦の解決策などを協議。30日にも外相級による再協議が
予定されており、オバマ大統領はサウジと協力して、アサド大統領
退陣に反対するロシアを説得したい考えだ。(2015/10/28-09:08)
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「イスラム国」掃討強化=直接行動辞さず−米国防長官
 【ワシントン時事】カーター米国防長官は27日、上院軍事委員
会の公聴会で証言し、過激派組織「イスラム国」掃討作戦について
、シリアやイラクで友軍地上部隊の支援を強化したり、急襲作戦を
さらに実施したりするなど拡充を図ると表明した。
 長官は、同組織の「首都」であるシリア北部ラッカへの軍事圧力
、イラク中西部ラマディの奪還、急襲作戦の三つを焦点として列挙
。シリア北部で空爆の増強を見込んでいると述べたほか、「地上で
の直接行動」を活用した急襲作戦の遂行も辞さないと強調した。
(2015/10/28-06:32)
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シリア反政府勢力 ロシアの和平案を拒否
10月28日 6時58分NHK
シリアの内戦終結に向けたロシアによる和平案について、シリアの
反政府勢力の統一組織は、ロシアはシリアの市民に対して空爆を行
っていると非難し、拒否する立場を明らかにしました。
シリア情勢の打開に向けて、先週行われたアメリカとロシアなど4
か国による外相会談で、アサド政権を支持するロシアは、1年半以
内に議会選挙と大統領選挙を実施して、政権を樹立するとした和平
案を提案したとされています。
アメリカなどが支援する反政府勢力の統一組織「シリア国民連合」
のスポークスマン、ジョージ・サブラ氏はNHKの取材に対し、ロ
シアが過激派組織IS=イスラミックステートを対象に行っている
とする空爆を非難しました。
そして、「ロシアには仲介者の資格がない。シリアの子どもや市民
、病院を空爆している者から政治的解決策を受け入れるのは不可能
だ」として、和平案を拒否する立場を明らかにしました。
また、選挙についても「シリア人の多くが国外に逃れたり、国内で
避難生活を送るなかどう選挙を行うのか」と述べ、実現性に疑問を
呈したうえで、新たに樹立される政権にアサド大統領が参加するこ
とも認めないとしました。
先週、外相会談を行った4か国は今週にも再び協議を行いたいとし
ていますが、反政府勢力がロシアの主導で進む和平交渉を拒むなか
、こうした勢力を支援してきたアメリカなどの対応が注目されます。
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人民元、準備通貨入りへ ドル・円と並ぶ国際通貨に 
IMF、金融改革に一定の評価
2015/10/26 14:01日本経済新聞 電子版
 【ワシントン=河浪武史】国際通貨基金(IMF)は11月中にも
、特別引き出し権(SDR)と呼ぶ準備通貨に中国の通貨・人民元
を採用する方針を固めた。米ドルや円などに次ぐ5つめのSDR通
貨として、事実上の国際準備通貨の仲間入りを果たす形だ。中国が
世界第2位の経済大国へ台頭したのに伴って貿易量と元取引が拡大
する一方、中国当局による金融自由化への取り組みをIMF内であ
る程度、評価する声が強まっていることが…
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急襲作戦、今後も実施=対「イスラム国」戦略に合致−米国防長官
 【ワシントン時事】カーター米国防長官は23日、イラク北部で
今週行われ、米兵1人が死亡した過激派組織「イスラム国」の収容
施設の急襲作戦について、戦闘を担うのではなく現地政府部隊を支
援する従来の任務の一環として米特殊部隊を参加させたと説明し、
こうした作戦は今後も続くとの見通しを示した。記者会見で語った。
 オバマ政権は戦闘を目的とした地上部隊をイラクに派遣しないと
の立場を取っている。同組織への空爆開始以来初の米兵の戦死者を
出した急襲作戦には、この政策と矛盾すると指摘する声も上がって
いる。(2015/10/24-09:42)
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アサド大統領はロシアがISと敵対するシリア反政府派を支援するこ
とを受け入れる
2015年10月23日 15:19sputniknews
シリアが分裂すれば、シリア国内の各勢力同士が戦うようになる。
それは最悪のシナリオだ。プーチン大統領が国際ヴァルダイ国際会
議で述べた。
プーチン大統領によれば、部外者がアサド退陣の是非を問うのは正
しくない。シリア指導部は反政府派と対話する用意がある。またプ
ーチン大統領は、アサド大統領はロシアがISと敵対するシリア反政
府派を支援することを受け入れるか、との問いに、肯定的に答えた。
いまロシア政府はこうした合意をどうやって現実化するかを考えて
いるところだという。
プーチン大統領によれば、テロとの戦いと国内の政治問題は区別す
べきで、後者はシリア国民自身の解決に委ねるべきである。
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   プーチンはシリアで大きな賭けにでた
決断鈍いオバマ政権は結局、ロシアと組むしか選択肢はなくなってきた
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」2015/10/21 no4691
 オバマ政権の優柔不断、決断ののろさと政策の間違いの連続によ
り、シリア情勢が混沌としている。
大量の難民を抱え込む欧州も対米不満が高ぶってきた。
どうするのか。
 欧米はシリア問題の解決でロシアと共同歩調をとらざるをえない
のではないか、と全米週刊誌トップの『タイム』(15年10月26日号
)が分析した。
 第一にプーチンは原油価格暴落の影響でロシア経済がマイナス2.2%
に落ち込み、国防費捻出をどうするか、議会から強く迫られる筈だ
った。シリア爆撃で、この議会の動きはぴたりと止に、プーチの経
済失策への責任は問われていない。
 第二にアフガニスタンへの軍事介入の敗北以来、じつに35年ぶり
にロシアは軍事行動にでたが、プーチンの人気は下がらず、ロシア
政局が奇妙にも安定した。
 第三にシリアからの大量の難民がEU諸国を脅かし、ロシア介入
への期待が欧州でも高まった。
 第四に国連に十年ぶりに搭乗したプーチンは「ISを征討するた
めにロシアは西側と協力する用意があり、ロシアを含めた国連軍も
しくは多国籍軍の結成で対応を」(プランA)を呼びかけた。欧米
諸国は、この対応を迫られるかたちとなった。
 第五にプーチンは同時にプランBを提示し、「ロシアと協力しな
ければISを征討できないという確信を西側に抱かせる」ために、
ロシアは軍事行動にでた。
 第六にロシアは九月30日からIS空爆直前に、ウクライナ東部に
展開していた武装勢力の撤退を開始した。
しかしロシア国内でのプーチン支持率は変わらなかった。
 第七にシリア問題の解決にはロシアと米国は組まざるを得ず、米
国はウクライナ問題での対ロ制裁解除を迫られることを意味するが
、オバマは、この方向にない。
 第八に、そうはいうものの最終的にオバマ政権はプーチンとの妥
協を模索し、目の前のシリア問題解決に乗り出すことになるだろう。
つまりプーチンのシリアへの賭けは、オバマの敗北に終わりそうで
ある。
 以上が『TIME』の分析である。
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衝突回避策で合意=シリアでの飛行手順で覚書−米ロ
 【ワシントン時事】米ロ両政府は20日、シリア領空を飛行する
両軍の有人・無人機の安全確保策の内容で合意し、手順を定めた覚
書を交わした。ロシア軍は過激派組織「イスラム国」掃討を名目に
シリアで空爆を開始。米軍も同組織への空爆を続けており、両政府
は空中での偶発的衝突を懸念し、今月初めから高官協議を重ねてい
た。
 覚書には、飛行中の安全な距離の確保、操縦士同士の交信に用い
る無線周波数の指定、交信不能の際に使う地上通信回線の設置が盛
り込まれたが、全文は公開されていない。覚書は有志連合の一員と
して米軍と共にシリア空爆に参加するアラブ・西側各国軍も対象と
し、即日発効した。米ロは覚書の履行をめぐる作業部会も設ける。
 米政府は9月、ロシアの呼び掛けに応じ、ロシアのウクライナ侵
攻を受け凍結していた軍事対話を衝突回避に焦点を絞り再開するこ
とに同意。報道などによれば、同月末のロシアによる空爆着手以降
、ロシア機が米軍機から約150メートルの距離まで接近したり、
米軍機がロシア機を避け経路を変更したりする事態が起きていた。
(2015/10/21-06:10)



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