5525.2つの懸念(中国と米利上げ)で日本株はどうなるか



野村投資セミナーとして、野村証券投資情報部 今枝 修二さんのセ
ミナーを今日の午前受けてきた。その内容が面白いので報告する。

8月に話した3つの懸念
1.ギリシャ
2.米利上げ
3.中国景気
のうち、ギリシャは解決したが、残りの2つは現時点でも懸念のま
ま、残ってしまっている。

1.米利上げ
15年5月にNYE(ニューヨーク市場)で18、351ドルの史
上最高の株価をつけた。しかし、8月24日には、米利上げ懸念で、
15、370ドルまで下がり、一日で1000ドルも動いた。
ゼロ金利は、6年10ケ月も続いたが、その見直しでマーケットが
不安定になっている。10月2日の9月の雇用統計は悪く、12月
の利上げがないということで、2日から7日間、株価は上昇した。
10月19日、17、230ドルまで回復している。

現在は金融相場であり、日米欧の中央銀行の政策が重要になってい
る。米国は、1次、2次、3次の量的緩和を行って、超緩和政策を
していた。しかし、その見直しをし始めたが、まだ続くようである。

日本は、第3回目の追加金融緩和策の発表があると見られている。
10人中6人のエコノミストが10月30日の追加緩和を予想して
いる。10月30日が日銀金融政策会合であり、発表があれば、株
価は上昇するし、ないと失望売りが出て、株価は下がることになる。

ユーロ圏は、1月に量的緩和を初めて、来年9月に終わる予定でし
たが、ドイツVWの不正で、ドイツの発言力が低下して、その後も
量的緩和を継続する可能性が高くなった。

というように流動性相場が再スタートしてきている。カネ余り相場
が続く事になる。

現在、ヘッジファンドの資金は2.8兆ドル(330兆円)もあり
、何をするのかわからない。このため、ボラティリティが高い相場
になっている。株式市場だけではなく、商品市場も同様である。

9月29日、16、930円の最安値時、空売りは43.4%にも
なっていた。史上初の空売り量であった。

2.中国景気
上海総合指数が、15年6月最高値5、178ポイントをつけた。
利下げと中国政府の煽りが効いたことによる。しかし、15年8月
に、一転2、850ポイントまで下がった。中国政府は、政策で下
げを抑え、全上場2400社の内、1400社の株取引を停止した。

そして、8月11日に人民元を2%切り下げした。この下げで世界
が中国経済の悪さを実感したのである。6月中国株総額は、1、200
兆円であったのが、8月には700兆円まで下がっている。500
兆円が消えている。東証は8月604兆円、現在19日で545兆
円であり、中国の方がでかい。

中国のGDPは、7〜9月に6.9%になり、今後も低下する方向
で、きびしい。どこかで大型の景気対策を打つことになると見る。

しかし、中国政府は、前回の4兆元の後遺症に懲りて、現時点では
、まだ景気対策を打たないが、それができなくなるはず。

しかし、現時点の中国の見方は悲観論が行き過ぎている。上海市場
も3、300ポイントまで回復してきている。

3.日本の経済は強い。
企業業績が上がってきている。利益は過去最高になってきた。
過去最高は、1989年の38、916円で、企業の利益は、
2007年の利益を100とすると54しかなかったが、現在は
120まである。株価はしかし18、190円であり、水準が低い。
また、日本企業の株主還元も意図的に増やしている。自社株買いや
配当率を増やす企業が多くなってきた。

物価上昇率も、9月東大のスーパー物価上昇率は1.4%になって
いるのでデフレを脱したとも言える。しかし、日銀の物価目標には
、値下げが大きいエネルギー価格を含み、値上がりがすごい生鮮食
品を含まないので、0%近辺になっている。

14年10月の日銀の追加の異次元緩和により、10月14、000
円から12月18、000円に上昇した。ということで、10月30
日は、どちらになるか?

現在の下値抵抗ラインは、16、600円から16、700円であ
り、上値から20.3%下げの地点であり、この線より下げると、
アベノミクスの上昇相場は終わったことになる。

このため、この線に近づいたら、政策を総動員してくるはずである。

現時点では、上昇相場は、続いている。次の上昇の目印は、
18、927円で、半値戻しの値である。
現在、10月20日18、207円である。

4.投資戦略
ボラティリティが高い相場であるので、短期的な投資が面白い。野
村がやっている日経レバレッジETFがおすすめ。

長期的な投資をするなら、配当性向を重視した投資を考えることで
、トヨタや三菱UFJ、NTTなどの配当利率が2%以上の安定的な株を
狙うことである。

私は、残って今枝さんに質問した。
Q1:11月の7〜9月GDPがマイナスになる可能性があるので
はないか?もし、マイナスになるとリセッションになるが、それを
見ているのか。
A1:野村は現時点0.5%のプラスと予想している。今後、見直
しが予定されているが、わからない。

Q2:もし、マイナスであれば、大きく株価は下落すると思うが、
どう見ていますか?
A2:野村でマイナスと予測したら、徐々に株価に織り込んでいく
と思います。

ここで、今枝さんが嫌な顔をしているので、質問を切り上げた。

どうも、野村でもマイナスという数値を見ているようである。アベ
ノミクス上昇相場の終焉を野村も織り込んできているように感じた
。ということは、16、600円より下がるということになる。

しかし、私と証券会社では、見ている視点が違うことを感じた。証
券会社は、投資を勧めるのが仕事であり、不安なことを言わないが
、さらりとエクスキューズのために言っておくことが必要で、その
点を突っ込むのは、良くないようである。

今枝さんの次のセミナーは12月ということで、そのときが楽しみ
である。


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