5523.ロシアと米国、中東はどうなるのか?



徐々に、ロシアがシリアに介入した経緯がわかってきている。この
戦争のシナリオライターは、イランであるようだ。ロシアはイラン
の要請でシリアに出てきたという。現在までの経緯と今後を検討し
よう。   津田より

0.ロシアの介入理由=イランの要請
オールモニター紙の「Does Iran even want Russia in Syria?」で
イランとビスボラは、シーア派のスンニ派に対する代理戦争で中東
で手を広げて過ぎて、手がまわらなくなり、特に空軍がなく、シリ
ア反政府軍との戦いに負け始めて、ロシアに応援を求めたようであ
る。イラクにロシアは、このため、SU-25を緊急に援助した。米国は
、戦闘機の情報がロシアに筒抜けになると戦闘機の援助をしていな
い。

しかし、シリアとイラクの人的、通信傍受の2つの情報網をイラン
が抑えているので、ロシアはイランから情報をもらって空爆をする
しかない。このため、バクダッドで4ケ国の情報交換を行い、ロシ
アは、独自に無人機を飛ばして情報を得る努力をしている。その無
人機がトルコに入り、撃ち落とされている。

ロシアはウクライナ紛争など周辺諸国との紛争を抱えているが、一
番の問題は、デイリービート紙の「Putin’s War on Terror Backfires?」
によると、チェチェン、ダゲスタン、イニグシェチアでテロ攻撃が
頻発していて、その裏にイスラム国が関与しているという。

ロシア国民が4407人もイスラム国に参加していて、この人たち
が帰ってロシアを混乱させる可能性を見ている。しかし、シリア介
入前には、イスラム国からの直接的な攻撃はなかったはず。これに
対して、プーチンはインタビューで、事前に防止をすることが必要
と述べている。

シリア介入後、アルカイダが世界のイスラム教徒に対して、ロシア
人の攻撃を指示した。心配したとおりである。

ロシアのシリア介入は、イランの強い要請と自国内のイスラム過激
派対策という二つに理由で行ったことがわかる。そして、イスラム
国への攻撃とすれば、世界的な信頼を得ることも重要なファクター
であったようだ。プーチンは、偉大な指導者という名声を得て、揺
るぎない地位を確立することに情熱を傾けている。

イランは、中国に対しても、中東介入を要請しているようである。
中国国内のイスラム教地域、東トルキスタン、新疆自治区でのテロ
を抑えるためには、イスラム国との戦闘で潰す必要を訴えているよ
うだ。

イランが世界(ロシア、中国、シーア派)対スンニ過激派の構図を
作りたいのであろう。スンニ穏健派を除外するためには、これしか
ない。シーア派対スンニ派ではイランは負けることが分かっている。

1.イスラム国の動向
オールモニター紙の「IS, Jabhat al-Nusra trace Afghan battle 
lines in face-off against Russia」によると、ロシアに対する過
激派勢力は、現在までイスラム国とヌスラ戦線の派閥間での戦闘を
していたが、共産主義者という不信心のロシアが出てきたことで、
昔のソ連のアフガニスタンでの失敗と同じようにしてやると一致団
結する方向である。

イスラム国を標的にした米空爆は、これまでに約2万人の戦闘員を
殺害しているが、問題は2万人殺しても、イスラム国戦闘員の数が減
っていない。イラクとシリアには絶えず新兵が流入しており、戦闘
員2万〜3万人の規模を保っている。

中東担当のAP通信記者のムハンマド・ダラグメ氏によると、ヨルダ
ン、シリア、エジプトなどのスンニ派諸国の若い人たちは、多くが
無職であり、何もないし遊びもない。街は整備されていずに、電気
も水もない。このような失望から若い人は、イスラム国に参加する
かギャングに参加するしかない状態である。

ここで、イスラム国は、貧しい人たちに燃料を配り、ラマダン期間
中は食料を配っている。しかし、ヨルダンなどの政府の人たちは、
自分だけ良い暮らしをして、庶民は貧乏のままである。

このため、イスラム国に若者は参加しているようだ。

よって、イスラム国が、ロシア、イラン、ヒスボラを窮地に追いや
る可能性もある。しかし、ロシアは、今でもクラスター爆弾を使用
しているので、それより強力な戦術核を使う可能性もある。

2.米国のジレンマ
オバマ政権は、これまで40億ドルの費用を投じて7300回近い空爆を
続けてきた。シリアでは、アサド独裁政権やイスラム国と戦う穏健
な反体制派の軍事支援も行ってきた。それでも戦況は変わらず、イ
スラム国の支配地域も一向に狭まっていない。

米国には、すでに打つ手なしという状態であった。このため、ロシ
アの介入に反対することはできないが、アサド独裁政権支持である
ので賛成もできないという状態になった。

オバマ米大統領は16日、シリア内戦への対処に関し、軍事力でア
サド政権を支えようとするロシアと、政治的話し合いを通じて正統
な国民統合政府の樹立を目指す米国との間では「戦略という点で全
く一致するところがない」と述べ、ロシアの政策は機能しないと批
判したが、米国は手が出ない。

そして、シリア領空を飛行する米露軍用機の衝突を回避する必要性
に限っては米ロとも理解しており、回避策で「了解に達した」とも
語った。

また、オバマ米大統領がアフガニスタン駐留軍の撤収を断念し、米
同時テロ後にイラクとアフガンで続いた「二つの戦争」を終結させ
るという大統領の公約は、ほぼ実現不可能になった。アフガンには
来年は9800人、17年も5500人の米兵が残留することにな
った。

ブルッキングス研究所のトーマス・ライト氏は、国際的な政治の安
定を「地域の健全な秩序、とりわけ欧州と東アジアの秩序次第であ
る。もしこれらの地域が崩壊したら、世界の秩序を保つものはなく
なってしまうだろう」と指摘。

国際的な政治の安定とは、世界中の国境を保証することで、これを
しているのが米国の軍事力だ。しかし、状況は変化している。ロシ
アによるシリア内戦への介入は、アラブの春という大変動と米軍の
イラク撤退を経て米国が中東での支配力をどれほど失ったかを浮き
彫りにした。

タルボット氏が指摘したように、世界の崩壊に向かい始め、国際主
義からナショナリズムの方向になり、明るい未来から暗い未来にな
ってしまったようだ。

しかし、イランとの核協議を通じて、米国はスンニ派とシーア派に
対して中立になったので、イランの野望に対して、戦略構築ができ
ないでいる。

3.今後の予想
ケリー米国務長官は16日、イスラエルのネタニヤフ首相と電話で
会談し、イスラエルとパレスチナの間で激化している対立を収束さ
せる方策について話し合った。インティファーダが再度、パレスチ
ナでは盛んになるようだ。

イスラエルは秘密裏に、イスラム国を助けているので、モスクワに
イスラエルのネタニエフ首相が向かうとき、情報機関モサドの長も
一緒に連れて行った。ロシアにイスラム国の現状、特に周辺諸国か
ら多数の人が流入して、ロシアはシリアに介入すると、昔のように
泥沼化すると警告したようである。

そして、ロシアがシリアに介入した途端、今後はネタニエフ首相は
ニューヨークに読んでロシアの動向を伝えて、イスラエルと米国と
の関係修復に動き始めた。

今後、中東情勢を見るには、イスラエルの意向とイランの意向を見
るしかない。

この2ケ国が、中東の今後のシナリオライターである。どちらも中
東に、強力な人的通信傍受的な情報網を持ち、シナリオを書けるこ
とによる。

米国はイスラエルの情報を頼りにして、ロシアはイランの情報を頼
りにして行動することになる。

さあ、どうなりますか?

参考資料:
ストローブ・タルボット・ブルッキング研究所所長の講演会
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/271016.htm

中東におけるイスラム過激派の動向と今後の展望
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/270603.htm

ロシア参戦で中東の主役交代
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/271013.htm

ロシアが中東に出て世界が危機に?
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/271011.htm

IS, Jabhat al-Nusra trace Afghan battle lines in face-off against Russia
http://www.al-monitor.com/pulse/originals/2015/10/russia-syria-intervention-compare-jihadists-afghanistan.html#ixzz3omZGIkKO

Which Way for US Foreign Policy?
http://www.project-syndicate.org/commentary/three-questions-for-us-foreign-policy-by-joseph-s--nye-2015-10

Does Iran even want Russia in Syria?
http://www.al-monitor.com/pulse/originals/2015/10/iran-russia-syria.html#ixzz3ohL9ghO9

Testing Putin in Syria
http://www.project-syndicate.org/commentary/testing-putin-syria-military-intervention-by-richard-n--haass-2015-10

Putin’s War on Terror Backfires?
http://www.thedailybeast.com/articles/2015/10/15/putin-s-war-on-terror-backfires.html?via=desktop&source=twitter

Obama’s Dangerous “No War, No Peace” Strategy in Syria
http://nationalinterest.org/feature/obama%E2%80%99s-dangerous-no-war-no-peace%E2%80%9D-strategy-syria-14092

China-Iran Relations: Beijing To Strengthen Military Ties With Tehran, Chinese Admiral Says
http://www.ibtimes.com/china-iran-relations-beijing-strengthen-military-ties-tehran-chinese-admiral-says-2142599

Putin and Saudi defense minister meet in Russia, agree on common goals in Syria
https://www.rt.com/news/318324-putin-saudi-goals-syria/

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ロシアはシリア上空における航行の安全に関する条約以上のものを
米国に提案している
2015年10月17日 15:34(アップデート 2015年10月17日 15:38)
 sputniknews.
ロシアはシリア上空における航行の安全に関する条約をこえる、よ
り広範な協力を米国に提案しているのだが、米国はまだそれにこた
える用意が出来ていない。ロシア国防省のアナトーリイ・アントー
ノフ次官が第6回象山セキュリティフォーラムで述べた。
「米国とはシリア上空の航行の安全に関する条約の締結を目指した
交渉を行っている。しかしそれだけでは足りない。我々はそれより
はるかに広範な協力を求めているのだが米国側はその用意がない」
とアントーノフ氏。
また同氏は、ロシアは例外なくすべての国と協力を求めており、既
にトルコとは直通電話が開通しており、イスラエルとも協議を行っ
ており、ペルシャ湾岸諸国との関係も緊密になっている、と強調し
た。
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パレスチナとの対立収束を=イスラエル首相と電話会談−米長官
 【ワシントン時事】ケリー米国務長官は16日、イスラエルのネ
タニヤフ首相と電話で会談し、イスラエルとパレスチナの間で激化
している対立を収束させる方策について話し合った。国務省が発表
した。
 ケリー長官はこの中で、無実の人に対するテロ攻撃を強く非難し
、イスラエルが国民を守る権利を支持すると伝えた。ロイター通信
によると、長官は来週、ドイツでネタニヤフ首相との会談を調整し
ている。
 長官はまた、パレスチナ自治政府のアッバス議長とも15日に電
話で会談。これ以上の暴力を避けるため、緊張を高める言動や行動
を慎むよう求めた。さらに適切な時期に域内を訪問する方針も伝え
た。(2015/10/17-10:46)
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ロシアのシリア空爆を批判=UAE皇太子と電話会談−米大統領
 【ワシントン時事】オバマ米大統領は16日、アラブ首長国連邦
(UAE)アブダビ首長国のムハンマド皇太子と電話で会談し、シ
リア内戦を含む中東情勢について意見交換した。両者はロシアのシ
リア空爆作戦に関し、穏健な反体制派ではなく過激派組織「イスラ
ム国」を標的にすべきだと批判した。また、シリアの政権移行に向
けた条件づくりの重要性も確認した。(2015/10/17-10:59)
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シリア戦略、ロシアと溝=衝突回避のみ「合意」−米大統領
 【ワシントン時事】オバマ米大統領は16日、シリア内戦への対
処に関し、軍事力でアサド政権を支えようとするロシアと、政治的
話し合いを通じて正統な国民統合政府の樹立を目指す米国との間で
は「戦略という点で全く一致するところがない」と述べ、ロシアの
政策は機能しないと批判した。韓国の朴槿恵大統領との共同記者会
見で語った。
 オバマ大統領は、アサド政権の後ろ盾としてロシアとイランを列
挙した上で、武器・資金提供だけでは効果を上げられなかったため
、ロシアは直接軍事介入に乗り出し、イランはシリア政府軍を支援
する要員を現地により多く派遣しようとしていると指摘。「ロシア
も爆撃で平和に達することはできないと気付き始めているのではな
いか」と述べた。
 ただ、大統領は、シリア領空を飛行する軍用機の衝突を回避する
必要性に限っては米ロとも理解しており、回避策で「了解に達した
」とも語った。米ロは回避手続きを定めた覚書を取りまとめており
、米国防総省のデービス報道部長によれば、近く署名できる見通し
という。(2015/10/17-07:52)
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イランのミサイル発射、国連決議違反=米大使
 【ニューヨーク時事】パワー米国連大使は16日、報道機関向け
に声明を出し、イランが10日に核兵器の運搬が可能な中距離弾道
ミサイルを発射したとして「重大な懸念」を表明、国連安全保障理
事会のイラン制裁決議に対する「明白な違反」だと指摘した。
(2015/10/17-06:12)
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「イスラム国」標的450超破壊=ロシア
 【モスクワAFP=時事】ロシア国防省は16日、シリアで空爆
を開始して以降、これまでに過激派組織「イスラム国」の標的を
669回にわたって攻撃し、456カ所を破壊したと発表した。
(2015/10/17-06:27)
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トルコ「撃墜の国籍不明機は無人偵察機」
10月17日 6時58分NHK
トルコ軍がシリアとの国境付近で撃墜した国籍不明の航空機につい
て、トルコ政府は無人の偵察機だったと発表しました。各国が過激
派組織IS=イスラミックステートへの対策などを理由にシリアで
空爆を続けるなか、周辺の空域で緊張が高まっています。
トルコのシニルリオール外相は、トルコ軍が16日にシリアとの国
境に近い領空内で撃墜した国籍不明の航空機は、無人の偵察機だっ
たことを明らかにしました。
トルコ軍はこれまで国境地帯で、対立するアサド政権の政府軍の戦
闘機やヘリコプターを撃墜していますが、今回、撃墜した無人機が
どの国のものかは、依然不明だとしています。
また、今月はじめにはロシア軍の戦闘機による領空侵犯もありまし
たが、ロシア軍の参謀本部のカルタポロフ大将は16日、今回撃墜
された無人機はロシアのものではないと否定しました。
シリアではIS対策として、アメリカ率いる有志連合のほか、アサ
ド政権を支援するロシアも先月から空爆を続け、周辺の空域で緊張
が高まっています。
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米軍事戦略、迷走続く=「二つの戦争」終結できず
 【ワシントン時事】オバマ米大統領がアフガニスタン駐留軍の撤
収を断念したことで、米同時テロ後にイラクとアフガンで続いた「
二つの戦争」を終結させるという大統領の公約は、ほぼ実現不可能
になった。イラン核合意や環太平洋連携協定(TPP)締結交渉の
大筋合意など、外交で「レガシー(遺産)」づくりを進める大統領
だが、軍事戦略では迷走を続けている。
 オバマ政権は先週、過激派組織「イスラム国」掃討の柱に据えて
いたシリア反体制派戦闘員の訓練を事実上取りやめ、直接武器支援
を始めると発表。ロシアの軍事介入で混迷を深めるシリア内戦や「
イスラム国」の勢力拡大に、米国がうまく対応できていないことが
浮き彫りになった。
 アフガン撤収断念の背景にも、堅固な地盤を持つ反政府勢力タリ
バンに加え、「イスラム国」がアフガンに浸透し始めたという事情
がある。2011年の米軍のイラク撤退後に治安情勢が悪化し、同
組織の台頭を許した教訓を踏まえた決定だ。
 大統領は記者会見で、米軍将兵に「あなた方を軽々しく危地に送
ることはない」と呼び掛けるとともに、アフガンには対米協調路線
の政府も、駐留の根拠となる法的枠組みも存在すると指摘し、いず
れも欠いていたイラクとの違いを強調した。だが、アフガン治安部
隊がイラク政府軍と同様に十分な実力を備えていないことは認めざ
るを得なかった。
 オバマ政権は昨年8月、イラクで「イスラム国」を狙った空爆に
着手し、同国への軍事的関与を再開した。イラクには現在、政府軍
の訓練などに当たる米兵約3000人が駐留する。アフガンにも来
年は9800人、17年も5500人の米兵が残留する。
(2015/10/16-14:47)
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トルコと米国の首脳が電話会談、シリアでの協力など確認
2015年 10月 16日 15:28 JST 
[イスタンブール 16日 ロイター] - トルコのエルドアン大統
領とオバマ米大統領は電話で会談し、過激派組織「イスラム国」に
対する軍事的圧力の強化で協力することを確認したほか、シリアに
展開するロシア軍への対応について話し合った。トルコの大統領府
が16日明らかにした。
オバマ大統領は、トルコの首都アンカラで先週末に自爆攻撃とみら
れる爆発が2回起き、多くの犠牲者が出たことに哀悼の意を示すと
ともに、米国はトルコが直面する脅威に対し、トルコと連帯してい
ると述べた。
両首脳はまた、武装組織「クルド労働者党(PKK)」の兵士によ
るトルコでの攻撃をやめさせる必要があるとの考えでも一致した。
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米大統領、任期中のアフガン撤退断念 17年以降も5500人駐留
2015年 10月 16日 07:50 JST
[ワシントン 15日 ロイター] - オバマ米大統領は15日、
2016年末に予定していたアフガニスタン駐留米軍の完全撤退を
断念する方針を発表した。約1万人の駐留規模を継続し、2017
年中に5500人に縮小する。
オバマ大統領は政策を転換する理由として、現地の状況を考えると
アフガン政府軍の治安能力はまだ十分ではないと説明。アフガン駐
留軍の段階的縮小に向けた「小規模で意味のある」計画修正だと述
べた。
大統領はこれまで、2017年1月の任期終了までに首都カブール
の米大使館を拠点とする要員を除き、すべての部隊を撤退させる方
針だった。新たな計画では、カブールのほか、首都北方のバグラム
空軍基地、東部ジャララバード、南部カンダハルに部隊を置く。
アフガンでは、反政府武装勢力タリバンが北部クンドゥズを一時制
圧するなど攻勢を強めており、オバマ大統領は駐留存続を求める軍
当局や共和党などから圧力を受けていた。
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シリアにイランの精鋭部隊 アサド政権支援か
10月16日 5時34分NHK
内戦が続くシリアに、アサド政権と同盟関係にあるイランから大規
模な精鋭部隊が派遣され戦闘に参加していることが明らかになり、
ロシアの空爆とともにアサド政権への支援を強化する動きに欧米諸
国の懸念が一段と強まるものとみられます。
シリアでは、反政府勢力や過激派組織IS=イスラミックステート
と戦闘を続けるアサド政権を支援するため、ロシアが、先月から空
爆を続けています。そうしたなか、シリアの反政府勢力の活動家が
15日、NHKに明らかにしたところによりますと、同じくアサド
政権と同盟関係にあるイランから、精鋭部隊の革命防衛隊、数千人
がシリアに派遣され、北部のアレッポなどで反政府勢力との戦闘に
参加しているということです。
インターネット上のサイトに14日投稿された、シリア国内で撮影
されたという映像には、イランの革命防衛隊で特殊作戦を担う部隊
の司令官が、兵士とともに気勢を上げている様子が映っています。
反政府勢力の活動家は、「戦況が不利となっていたアサド政権に対
し、ロシアが空爆で、イランが地上部隊で、支援する形になってい
る」と話しています。
イラン政府は、公式には「シリアには軍事顧問しか派遣していない
」としていますが、ロシアの空爆と歩調を合わせ大規模な部隊を派
遣していることが明らかになり、反政府勢力側を支援する欧米諸国
の懸念が一段と強まるものとみられます。
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世界各地で試される米国の力
オバマ政権は「強い米国」のイメージを修復できるか?
2015.10.16(金)  Financial Times
(2015年10月13日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
世界の人口に占める割合は5%に満たず、世界経済に占める割合は22
%という国が、軍事と政治を支配する大国になっているという状況
は、果たしてどれぐらい長く続きうるものなのだろうか――。この
質問は、中東、東欧、そして太平洋で次第に切迫感をもって問われ
ている。
冷戦終結以降、米軍が圧倒的な力を持っていることは国際政治にお
ける基本的な事実となっている。
ところが今、その力が3つの重要な地域で試されている。ライバルた
ちは米国の決意の固さを試し、一方の米国は撤退すべきか、するな
らいつにするべきかを検討している。
中東、中欧、太平洋で高まる緊張
本紙(フィナンシャル・タイムズ)に先週掲載された3本の記事につ
いて考えてみよう。1本目は「米国、シリアでの軍事作戦をエスカレ
ートさせないようロシアに警告」。2本目は「米海軍、南シナ海での
中国の領有権主張に対抗へ」。そして3本目は、米国とドイツによる
バルト諸国への部隊派遣に英国が加わることに同意したという記事
である。
これらは場所こそバラバラだが、実は互いにつながっている。世界
中の国境を保証しているのは米国の軍事力だ。米国は中東に、友人
を安心させてライバルを威圧するために巨大な海軍基地と空軍基地
を置いている。
東アジアでは、海軍が太平洋を「米国の湖」として扱うことに慣れ
ており、航行の自由を保障したり同盟国に安心感を提供したりして
いる。そして欧州では、北大西洋条約機構(NATO)が加盟国の領土
の一体性を保証しており、NATOの軍事支出の75%は米国によるもの
となっている。
しかし、状況は変化している。ロシアによるシリア内戦への介入は
、アラブの春という大変動と米軍のイラク撤退を経て米国が中東で
の支配力をどれほど失ったかを浮き彫りにした。
米国が中東に地上軍を再度派遣することを嫌がっていたことから、
ロシアは力の真空地帯を見つけてそれを埋める行動に出た。また、
ロシアはシリアに巡航ミサイルを撃ち込むことで、米軍が以前行っ
たこの地域への軍事介入を真似してからかうということまでしてみ
せた。
欧州では昨年、ロシアがウクライナからクリミアを奪い取った。欧
州大陸で力ずくの領土併合が行われたのは、第2次大戦後ではこれが
初めてだった。かつて旧ソビエト連邦の一部だったバルト諸国は当
然ながら、この出来事を受けて不安を募らせており、NATOがこの地
域での軍事プレゼンスを強化する決断を下したわけだ。
アジアでは、中国が南シナ海に島を作る計画がこの1年で目に見える
ものとなり、本土の数千マイル沖に領海があるという中国政府の抽
象的な主張が具体性を増した。
米国は、中国と近隣諸国による領有権の争いには特定の立場を取ら
ないと述べているが、太平洋の航行の自由は断固守るとしている。
中国が新しい人工島の周囲を領海にしたという見解に米海軍が対抗
する決意を固めたように見えるのはそのためだ。
国際政治の基本はまだ領土の支配にあり
以上3つの争いはすべて、「ボーダーレスな世界」の話が流行ってい
るにもかかわらず国際政治の基本はまだ領土の支配にあることを教
えてくれる。
英国の外交官だったロバート・クーパー卿が語っているように、「
世界の秩序とは領土の秩序である。誰の領土であるかを知らないの
であれば、国際秩序のことを何も知らないのと同じだ」。
ブルッキングス研究所のトーマス・ライト氏も同様な指摘を行い、
国際的な政治の安定は「地域の健全な秩序、とりわけ欧州と東アジ
アの秩序次第である。もしこれらの地域が崩壊したら、世界の秩序
を保つものはなくなってしまうだろう」と述べている。
欧州も東アジアも「崩壊」はしていないが、端々がほつれつつある
。一方、本当に崩壊しつつある中東の姿は、米国の力と国境の耐久
性に疑問符を付けることにより、欧州と東アジアの両方をさらに不
安にしている。
中東からアジアに軸足を移して外交政策を「リバランス(再均衡)
」すべきだと以前から主張している米国人戦略家たちの中にさえ、
それでいいのかと考え直している向きがある。米国が中東から手を
引くと受け止められれば、アジアにおける米国の威信に傷がつくと
の考えからだ。
領土を巡るこうした主張や挑戦にもっと力強く対応し、強い米国と
いうイメージを修復せよという圧力をバラク・オバマ政権は国内外
から受けている。中国が領有権を主張する海域に軍艦を送ったりバ
ルト諸国に部隊を派遣したりしようという決断は、この圧力への対
応だ。
しかしオバマ氏は、米国が先ごろ行ったイラクやリビアへの軍事介
入が逆効果だったことを十分承知しており、ロシアや中国との軍事
対立のリスクについても適切な慎重さを発揮している。
「修正主義者」は誰なのか?
話をさらにややこしくしているのが、国際政治の「修正主義者」は
どの国なのかという議論である。米国は、ロシアや中国の領有権主
張は世界秩序への挑戦だと考えている。ところがロシアは、世界の
秩序を本当に乱しているのは、ウクライナやシリアといった国々で
「レジームチェンジ(体制転換)」を後押ししている米国だと主張
している。
ロシアの主張にはプロパガンダの要素がある。しかし中国政府もロ
シア政府も、もし米国の力に抵抗しなければ最終的には自分たちも
、米国が支援するレジームチェンジの餌食になりかねないと真剣に
恐れているようだ。
片や米国は、領土の修正主義の拡散を許せば、世界に対する米国の
影響力が衰えるにつれて世界はさらに無秩序で危険なところになっ
てしまうという不安感を抱いている。
こうした恐怖や不安が混ぜ合わさると、いま世界中で発生している
危険な地域紛争の類いが新たに始まる条件がそろうことになる。
By Gideon Rachman
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ホットライン設置=シリア空域衝突回避−ロシア、イスラエル軍
 【モスクワAFP=時事】ロシア国防省は15日、声明を発表し
、シリア領内のロシア軍とイスラエル軍との間で、軍用機の衝突を
回避するため、ホットラインを設置したと明らかにした。
 声明は「ホットラインを通じた『情報共有メカニズム』が設けら
れた」としており、両軍は連携方法について訓練しているという。
 ロシアのプーチン大統領とイスラエルのネタニヤフ首相は9月、
シリアでの両軍の不必要な衝突を避けるため、「メカニズム」をつ
くることに合意していた。(2015/10/16-07:00)
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シリアの「イスラム国(IS)」が後退を開始
2015年10月15日 20:54(アップデート 2015年10月16日 03:12
 sputniknews
シリア内の「イスラム国(IS)」の武装戦闘員らはロシア航空隊
とシリア政府軍の攻撃を受け、後退を開始した。ロシア国防省のコ
ナシェンコフ報道官が15日の記者会見で明らかにした。
コナシェンコフ報道官によれば、IS武装戦闘員らは後退しながら
も、その過程で新たな陣地に加えた地区を武装させ、現行の武器弾
薬、物資の供給ルート体系を変えようと試みている。
コナシェンコフ報道官は、ロシアの諜報活動はこうした変化を確認
しており、ロシア側から、またバクダッドの情報センターから入っ
たデーターの処理、分析作業が行なわれていることを明らかにした。
コナシェンコフ報道官は、「当然、情報データーを調べ、確認する
ため、我々は空からの諜報活動、無人機の飛行の集中度を拡大して
いる」と語っている。
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クルド勢力支援を確認=ロシア
 【モスクワ時事】ロシアのラブロフ外相は14日、訪問先のフィ
ンランドでの記者会見で、ロシアが過激派組織「イスラム国」と戦
うシリアのアサド政権に加え、イラク政府を通じてクルド人勢力に
も軍事支援を行っていることを認めた。
 トルコ政府は米国とロシアの駐トルコ大使に対し、トルコの反政
府武装組織と関係があるシリアのクルド人勢力への武器供与は「受
け入れられない」と警告していた。ロシアはシリア、イラン、イラ
クと「イスラム国」掃討で共闘している。(2015/10/15-17:44)
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コラム:対ロ強硬論の盲点、シリア発「世界大戦」避けるには
2015年 10月 15日 10:07 JST 
Josh Cohen
[13日 ロイター] - ロシアのプーチン大統領がシリア領内への
空爆を命じ、シリア反体制派がその激しい攻撃に直面する一方、米
国ではオバマ大統領が非難の嵐にさらされている。
プーチン氏が開始した空爆作戦にオバマ氏が反応しなかったことで
、プーチン氏と比べてオバマ氏が「弱く」見えると批判する声が上
がっている。また、シリアでの米国の「信頼性」は危機的状況にあ
り、米国は今こそロシアに対する「抑止力を回復」しなければなら
ないと主張する人たちもいる。
カーター政権時に大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を務めた
ズビグニュー・ブレジンスキー氏は、シリアにいるロシア軍は「地
理的にぜい弱」であるため、「非武装化」が可能とさえ断言した。
ただし、どう非武装化できるかは説明していない。
しかし当然ながら、事態がエスカレートすれば危険は高まり、米国
にとって利益となるかは疑わしいというのが実際のところだろう。
第一に、オバマ氏を批判する人は誰ひとり、シリアでのロシアの行
動がどのように米国の「信頼性」、あるいはロシアへの抑止力を脅
かすのか説明していない。この場合、信頼性を脅かすとは、米国が
ある場所で敵に反撃しなければ、その敵は他の場所で、米国にとっ
てより致命的な権益を脅かそうとすることを意味する。
ベトナム戦争でもこのロジックが働いた。米国が流した血と財は、
米国が欧州でソ連の攻撃から北大西洋条約機構(NATO)加盟国
を守ると彼らを安心させることを意味していた。
当時、このロジックは間違った方向へと向かったが、現在も同様だ
。プーチン氏はイスラエルや湾岸諸国のような米同盟国に脅威を与
えていないばかりか、NATO加盟国と深刻な軍事対立を起こす気
もないように見える。
プーチン氏は扱いにくい人物かもしれないが、頭がおかしいわけで
はない。それに、シリアで米国が警告したからといって、他の地域
でロシアが米国の核心的利益を攻撃しようと考える証拠は存在しな
い。
また、ロシアのシリア軍事作戦に強硬な態度を取るべきだと主張す
る人たちは、極めて重要な事実を無視している。それは、オバマ氏
がたとえシリアでの軍事的拡大を支持したとしても、政策の選択肢
は程度の差こそあれ、すべて悪いということだ。
例を挙げると、共和党のマケイン上院議員は、ロシア軍機を撃ち落
とせる地対空ミサイルをシリア反体制派に提供するようオバマ大統
領に求めている。このような考えは、敵味方がオーバーラップする
混乱したシリアでは、「穏健」な反体制派が同国のアルカイダ系組
織としばしば協力していることを念頭に入れていない。同ミサイル
は民間航空機を撃ち落とすことも可能であるため、マケイン氏の考
えは惨事を招くものだ。
ほかにも、ウクライナに対する何十億ドル分もの米国製軍用品の供
与を再検討するという選択肢があるが、それがどのようにロシアを
シリアから撤退させることができるかは難しいだろう。そしてこの
考えも、プーチン氏がどう反応するかを無視している。
オバマ氏が正しく結論付けているように、そうなればプーチン氏は
親ロシア派への支援を拡大し、悪い状況がさらに悪化することにな
るだろう。シリア情勢の解決につながらないのであれば、ウクライ
ナで対立を再燃させる意味はあるのだろうか。
最後に、軍事力を行使してシリアでロシア軍を「非武装化」すると
いう考えはまさに、気がおかしいか、自殺的行為だと言える。ロシ
アはほぼ間違いなく、米国やNATOの軍隊に対し、恐らく東欧で
反撃してくるだろう。それ故、オバマ大統領が突如として第3次世
界大戦を始めたいと思わない限り、避けるのが安全な選択肢と言え
る。
これらのことは、ロシアのシリア軍事作戦を米国が無視すべきだと
いうことを意味するわけではない。だが同時に、オバマ大統領が慎
重に対応するのが賢明であることを示している。オバマ氏は以下の
ような措置を取ることができるだろう。
初めに、ホワイトハウスは、意に沿わないことをプーチン氏が何か
するたびに、あり得ないというような態度で振る舞うべきではない
。長年の同盟国であるシリアのアサド政権を支援する以外に、ロシ
アの軍事作戦は米国の片目をつぶすことを可能にしている。これに
対する最善策はヒステリックにではなく、落ち着いて対応すること
だ。
ロシアはソ連時代のような軍事力を持たない。ロシアの軍事力を誇
張しても何の役にも立たない。もしシリアの泥沼に深く引きずり込
まれるようなことになれば、特に多くのロシア兵が犠牲になること
になれば、プーチン大統領はシリアでのギャンブルを後悔するよう
になるかもしれない。
ありがたいことに、このような態度はオバマ氏の「泰然自若」なイ
メージとぴったりと合う。同氏は実際、最近の記者会見で、プーチ
ン氏のシリア介入は「弱さゆえであり、強さからくるものではない
」と語っていた。
第二に、オバマ大統領は確実に、シリアでロシアと米国の空爆作戦
の「衝突回避」に向けた政策を国防総省に維持させるべきだ。偶発
的な衝突は予期せぬ軍事的結果を生むだけでなく、反米的な態度を
高めることで支持率向上を狙うプーチン氏にチャンスを与えること
になるだろう。
最後に、オバマ氏はシリアでの大量殺りくを終わらせる解決策を見
つける努力を一段と強めるべきだ。価値ある1つの考えとして、イ
ラン核交渉でうまく機能した、国連安保理常任理事国にドイツを加
えた6カ国(P5+1)協議を真似るというのがある。この戦略で
は、イランを含むシリアをめぐるすべての利害関係者の利益が考慮
されることが必要となる。オバマ氏は協議の前提条件としてアサド
政権の撤退を求めることはやめなくてはならない。だがこれで殺り
くが止まるなら、払うべき価値のある代償と言えるだろう。
シリアが統一された、強力な中央集権国家に戻れないことはほぼ間
違いない。しかしすべての当事者は過激派組織「イスラム国」に対
する恐怖を共有しており、これこそがP5+1シリア交渉の共通し
た出発点になるはずだ。
シリア情勢が米国に理想的な結果をもたらすことはないが、慎重に
事を進めることでロシアとの危険な軍事衝突を回避することはでき
る。そして、悪い状況をさらに悪化させないことも。
*筆者は米国際開発庁(USAID)の元プロジェクトオフィサー
で、旧ソ連の経済改革プロジェクトに従事した経歴を持つ。
*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
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秘密地下基地を初放映=ミサイル満載「全土に多数」−イラン
 【テヘランAFP=時事】イラン国営テレビは14日、ミサイル
や発射台満載の秘密地下基地の映像を初放映した。高さ約10メー
トルのトンネルで、全長数百メートルという。
 イランの精鋭部隊、革命防衛隊はウェブサイトで、同様の秘密地
下基地が全土の地下500メートルに多数存在すると主張。最高指
導者ハメネイ師の命令があれば常時、ミサイルを発射できると豪語
しており、革命防衛隊の空軍司令官は「敵が過ちを犯せば地中深く
から火山のようにミサイルが発射される」と警告した。
(2015/10/15-05:58)
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2万人殺しても2万人増えるISISに米軍は打つ手なし
‘Stalemated’:20,000 ISIS Fighters Killed by U.S.-Led 
Bombing Haven’t Turned the War
空爆が効果を上げなかっただけでなくシリア反体制派に対する軍事
訓練にも失敗
2015年10月14日(水)17時00分newsweekjapan
ローレン・ウォーカー
 米軍主導のISIS(自称イスラム国、別名ISIL)を標的にした空爆
は、これまでに約2万人の戦闘員を殺害している――USAトゥデーが
13日、匿名の米国防総省当局者2人の証言をもとにそう報じた。
 問題は、2万人殺しても、2014年8月の空爆開始以来ISIS戦闘員の
数が減っていないこと。同紙によれば、イラクとシリアには絶えず
新兵が流入しており、ISISは2万〜3万人の規模を保っているとい
う。
 オバマ政権はこれまで40億ドルの費用を投じて7300回近い空爆を
続けてきた。シリアでは、アサド独裁政権やISISと戦う穏健な反体
制派の軍事支援も行ってきた。それでも戦況は変わらず、ISISの支
配地域も一向に狭まっていないようだ。
反体制派で訓練できたのは80人足らず
 失敗だったのは空爆だけでなく、反体制派への軍事支援も同様だ
。穏健派のシリア反体制派を訓練し、武器を提供するという5億ド
ルをかけた計画だったが、1年で5400人、向こう3年で1万5000人
を訓練するという目標とは程遠く、今では数人の兵士しか残ってい
ない。AP通信によれば、訓練を受けた80人足らずの反体制派兵士の
多くは、戦場で逃亡するか、捕まるか、殺されたという。アシュト
ン・カーター米国防長官も先月、「計画を全面的に見直す」必要に
迫られたことを認めた。
 一方で空爆の犠牲になった民間人の数は着実に増加している。米
政府は民間人死者を2人しか認めていないが、英ガーディアン紙は
、独立したジャーナリストらが結成した「エアウォーズ」の8月の
報告書を引用し、米軍主導の空爆による死者は少なく見積もっても
450人に上るとしている。
 まったく効果がないというわけでもない。USAトゥデーの記事に登
場する米国防総省当局者の1人は、傍受したISISの通信によると、
彼らが空爆を恐れ、戦略の変更を余儀なくされていることは明らか
だという。そうだとしても、アメリカのISIS掃討作戦が功を奏して
いないことは明らかだろう。
 ブルッキングズ研究所の軍事アナリスト、マイケル・オハンロン
はUSAトゥデーにこう語った。「この戦争は完全に手詰まり状態だ」
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イランのスレイマニ将軍率いる数千人のイラン兵、シリアに到着
2015年10月14日 16:40
シリアにイラン兵ら数千人が到着。イラン兵らは近いうちにもシリ
ア政府軍とともに、蜂起軍に占領された北の都市アレッポへの攻撃
を開始する。ロイター通信が報じた。ロシア航空隊はこの作戦のな
かで支援を行う。
リビアのテレビ「アル・マヤデエン」の記者、アリ・ハシェム氏は
自身のツィッターのなかで写真を公開。写真にはイラン人のカセム
・スレイマニ将軍がシリアでの作戦を前にイラン兵士に教示をたれ
る姿が映し出されている。これより前のマスコミ報道では、シリア
政府軍が攻撃を開始する前にまず、ロシア軍が爆撃を行なうようロ
シアを説得したのは、イランのスレイマニ将軍だったことを明らか
にしている。
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ロシア打倒を訴え=米空爆での幹部死亡認める−「イスラム国」
 【テヘラン時事】AFP通信によると、シリアなどで活動する過
激派組織「イスラム国」のスポークスマンは13日、インターネッ
ト上に投稿された音声メッセージを通じ、シリアでアサド政権支援
の軍事介入を続けるロシアの打倒を訴えた。
 また、米国が8月に同組織ナンバー2のハジ・ムタズ(別名アブ
ムスリム・トルクマニ)容疑者を空爆で殺害したと発表したことに
ついて、実際に死亡したことを認めた。
 スポークスマンは「いかなる場所のイスラム教徒も、ロシアと米
国に対してジハード(聖戦)を開始せよ」と呼び掛けた。
(2015/10/14-06:18)
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軍では効かない中東の紛争解決
2015年10月12日(月)09時54分newsweekjapan
酒井啓子
 この週末、筆者が勤務する千葉大学で、日本政治学会の年次大会
が開催された。会員ではないのだが、開催校としてホスト側の立場
を利用して、いくつかのセッションを楽しんだ。
 さすがに、「政治」関係の学会の最老舗である。安保法制を巡っ
て揺れた今年の政治状況を反映して、関連のパネルが二つ組まれて
いた。ひとつは「憲法と政治」、もうひとつは「安倍政権の対外政
策の検証」である。(プログラムは公開されている。登壇者がどうい
う顔ぶれだったかは、同学会のホームページをご覧いただきたい。)
 いずれの議論も、終了時間になっても尽きない、盛り上がったも
のだった。学会でいい議論とは、参加した者が個々に「私も言いた
かった、私の意見はこうだ」と考えて、フラストレーションを溜め
るようなセッションだと、私は思っている。特に後者のセッション
はそういう類のものだった。なぜなら、議論の最後に「中東」が登
場したからだ。
 安保法制の是非が議論される際に、いつも争点になる話題が、こ
こでも登場した。「平和主義じゃやっていけない現実が、中東や北
アフリカに蔓延しているのを、どうすればいいんだ?」。この問は
、下手をすると、日本も軍備を考えなきゃと考える人たちにいい口
実にされることになる。安保法制の議論で、安倍首相が最後まで「
ペルシア湾の機雷掃海」を強調していたのは、その例だ。
 実際、今のシリアで武装勢力と丸腰で対峙できるとは誰も思わな
い。中東政治をやっていると、武力に依存せざるを得ない状況がた
くさんあることは、十分すぎるほどわかっている。
「だったら自衛隊の出番でしょ」というのが、安保法制推進の方々
の発想なのだろうが、そこにはもう少し複雑な事情がある。むき出
しの暴力が蔓延する世界だから軍の出番だ、というわけにはいかな
いのには、二つの理由がある。それは、今の現実の暴力の応酬が軍
事をもってしても止められていない、ということであり、もうひと
つはその暴力の応酬の根底にある外交の不在が改善されないことに
は、事態は全くよくならないということだ。
 今の中東の危機を理解するには、この二つの側面を分けて考えな
ければならない。前者は、シリアやイラクの一部で展開されている
際限のない武力衝突にどう対峙するかの問題である。日々数千、数
万の人々が家を追われ死に瀕し、難民化する途中で人道的とは程遠
い扱いを受ける。身を守るのに武器がなければどうしようもない環
境に置かれた人々にとっては、どんな攻撃でもかわせる盾と、どん
な敵でもやっつける矛をもった助っ人なら、誰でも大歓迎だ。イラ
ク戦争まではアメリカはいい用心棒だったが、今や期待しても動い
てくれない以上、イランだろうがクルドだろうが、「イスラーム国
」(IS)をやっつけてくれるなら頼るしかない、と考える。
 あるいはアサド政権こそが自分たちの命を脅かしていると考える
人々(実際難民化したシリア人に対して行われたアンケートでは、IS
が怖くて逃げたというよりアサド政権の攻撃を逃れて、という回答
のほうが多かった)のなかには、援助を得るにはサウディなどの湾岸
諸国に依存するしかないので彼らが支援する反政府側に身を投じる
しかない、と考える。アサド支援側にはロシアによる空爆まで加わ
ったが、これは誰でもいい、決着をつけてくれる軍ならだれでも歓
迎する、というムードが呼び寄せたものだ。シリアだけではない、
イラクやエジプトもまた、ロシアの登場を歓迎している。
 だが、次々に軍事力を投入して、事態はマシになったのか。ロシ
アの空爆開始から一週間強経って、ISはシリア第二の都市、アレッ
ポに迫る勢いを見せた。同じころ、イランから派遣されていた革命
防衛隊のトップクラスの司令官がシリア国内で死亡して、イランに
衝撃が走った。11日にはヒズブッラーの幹部クラス司令官もまた、
シリア国内で死んでいる。ロシアの参戦で雌雄に決着がつくどころ
か、関係国の被害はエスカレートするばかりだ。
 つまり、百戦錬磨の軍事組織が総出で介入してもなお、むしろ事
態は悪化している。軍が出ていけばどうにかなる、という状況では
ないのだ。
 もうひとつの側面は、このむき出しの暴力の衝突をエスカレート
させている原因に、中東地域の二極化、「新しい冷戦」状態がある
、ということである。サウディアラビアやトルコといった反アサド
派と、イラン、イラクのアサド支持派だ。この対立に宗派の違いが
重なって、中東ではいま両者間の代理戦争が各地で勃発しているこ
とになる。シリアでの戦いの現状に決着がついたとしても、その背
景にある「新しい冷戦」を処理しないことには、いつでも「冷戦」
が「熱戦」になる。となると、こちらは軍の出番ではなく、域内関
係をどう安定させるかという、外交の出番なのだ。
 軍をいくらつぎ込んでも埒が明かない状況と、外交が不在で根本
的解決ができない状況が併存している。今の中東の危機は、軍をつ
ぎ込みやすくすればなんとかなる、ということでは決してない。
 だが、「じゃあ何もできないままでいいのか」という反論が当然
ある。無論、何かしなければならない。だが、「何かやったふり」
のアリバイ作りのためだけに既存の方策にしがみつく(とりあえず空
爆してみるとか、とりあえず軍を派兵してみるとか)ことは、事態を
ますます複雑にするばかりだ。ではどういう解決方法を国際社会は
とれるのか。
 ISにせよシリア難民の問題にせよ、いまの事態は過去の例のない
、未曾有の「新しい危機」である。だったら解決策も、まったく新
しく考えていく必要があるのではないか。
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イラク州都奪還「準備完了」=米軍報道官
 【ワシントン時事】過激派組織「イスラム国」掃討作戦を担う米
軍主導の有志連合司令部のウォレン報道官(米陸軍大佐)は13日
、同組織が掌握しているイラク中西部アンバル州の州都ラマディの
奪還戦に関し、イラク政府軍による市内進攻の準備が完了したとの
認識を示した。ビデオ回線を使った記者会見で語った。
 ウォレン氏はこの中で、奪還戦は「重大な局面」を迎えたと指摘
。イラク政府軍は過去2週間で最大15キロ前進して包囲網を狭め
ており、「市内に進攻する条件は整った」と述べた。ラマディの同
組織の兵力については、600〜1000人との見積もりを示した。
(2015/10/14-07:50)
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「イスラム国」指導者、負傷か=空爆免れたとの情報も−イラク
 AFP通信によると、イラク内務省スポークスマンは12日、過
激派組織「イスラム国」指導者のバグダディ容疑者が11日に行わ
れた空爆で負傷したとの情報があり、確認作業を進めていることを
明らかにした。
 イラク治安当局は11日、西部のシリア国境近くでバグダディ容
疑者の車列を攻撃したと発表。西部アンバル州の当局者も12日、
AFP通信に対し「元治安部隊メンバーによると、バグダディ容疑
者は重傷を負い、他の『イスラム国』幹部数人が殺害された」と語
った。
 一方、ロイター通信はイラク治安高官の話として、「われわれの
関係筋の全ての情報を分析した結果、攻撃を受けた車列はバグダデ
ィ容疑者を乗せていなかったとみられる」と伝えており、同容疑者
の安否をめぐる情報が錯綜(さくそう)している。
(2015/10/12-20:20)
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首都中心部でテロ阻止=シリア出身者ら拘束、爆発物を発見−ロシア
 【モスクワ時事】ロシア当局は11日、モスクワでテロを準備し
ていたグループの数人を拘束し、攻撃を阻止したと発表した。グル
ープが潜んでいた市中心部に近い住居から爆発物が見つかったとい
う。インタファクス通信などによると、治安部隊が住居を包囲し、
周辺住民約100人を避難させた。拘束者は10人に上り、シリア
出身者3人が含まれるという。
 モスクワでは2010年に地下鉄連続テロ、11年に空港爆弾テ
ロが発生。いずれもイスラム武装勢力「カフカス首長国」司令官の
ドク・ウマロフ容疑者が犯行声明を出した。容疑者は国際テロ組織
アルカイダとの関係が指摘され、14年2月のソチ冬季五輪を狙っ
たテロ予告後、ロシア当局に殺害された。
 ロシアが9月30日にシリアで開始した空爆は、過激派組織「イ
スラム国」のほか、別の過激派や反体制派も目標になっているとさ
れる。このため、ロシアへの報復テロが懸念されている。プーチン
大統領は、11日放送の国営テレビのインタビューで「ロシアでの
テロの恐れは、シリア作戦開始前から存在している」と述べ、警戒
を呼び掛けるとともに、空爆の正当性を強調している。
(2015/10/12-18:12)
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イラク:ISの化学兵器使用を確認 兵士の血液検査で検知
毎日新聞 2015年10月11日 20時35分(最終更新 10月11日 21時04分)
 【カイロ秋山信一】イラクのクルド自治政府は7日、過激派組織
「イスラム国」(IS)が8月に化学兵器のマスタードガスを使用
したことが被害者の血液検査で確認されたと発表した。ロイター通
信が報じた。ISは塩素ガスやマスタードガスの使用疑惑が再三報
じられており、独自に化学兵器開発を進めている可能性がある。
 ロイターなどによると、ISは今年8月、イラク北部での戦闘で
自治政府の治安部隊ペシュメルガを迫撃砲で攻撃。死者はいなかっ
たが、ペシュメルガの兵士らは窒息や目の痛みを訴えた。兵士約
35人の血液や傷痕を検査した結果、マスタードガスの特徴が検知
されたという。
 ISは地上戦で優位に立つため、化学兵器開発を進めている可能
性がある。一方、ISが活動するイラクやシリアでは過去に化学兵
器が開発・保有された経緯があり、ISが既存の化学兵器を奪った
可能性もある。ペシュメルガは米国など支援国に対して、化学兵器
に対応できる防衛装備の提供を求めている。
 マスタードガスは皮膚のただれや呼吸困難を引き起こし、化学兵
器禁止条約で武器としての使用や開発が禁止されている。
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シリアにロシア製クラスター弾 人権団体、投下を確認 
2015/10/12 10:21
 【ワシントン=共同】国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッ
チ(HRW)は11日までに、シリア北部アレッポ近郊でロシア製の
クラスター(集束)弾が投下されたとの報告書を発表した。シリア
で空爆を実施するロシア軍と、同軍から武器の提供を受けたシリア
軍のどちらが使用したかは特定できないとしている。
 クラスター弾は、1発の親爆弾が空中で多数の子爆弾をまき散ら
す仕組み。紛争後も不発弾による被害が絶えず、全面禁止を訴える
声が強い。
 地元メディアの映像などを分析した。投下が確認されたのはロシ
ア製の対戦車クラスター弾で、シリア内戦では初めて使われた型だ
としている。
 米メディアは、ロシア国防省が公開した空爆の動画に多数の子爆
弾がさく裂する様子が撮影されており、ロシア軍がクラスター弾を
使用した可能性を指摘していた。
 内戦下のシリアでは政府軍が反体制派にクラスター弾を使ったと
みられている。国際非政府組織(NGO)「クラスター弾連合」は
、2012〜13年だけでもシリアでクラスター弾による死傷者が少なく
とも1584人に上ったとしている。
 HRWは「ロシア、シリアのいずれもクラスター弾を使用すべき
ではない」として、全面禁止する条約(オスロ条約)への加盟を求
めた。
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プーチン大統領「今後も最新兵器使用」
10月12日 8時01分NHK
内戦が続くシリアでロシア軍が行っている空爆について、プーチン
大統領はアサド政権に有利な形で内戦の終結を目指す考えを示した
うえで、必要に応じて今後も巡航ミサイルなどの最新兵器を使用し
ていくと強調しました。
ロシア国営テレビは11日、プーチン大統領のインタビューを放送
しました。
このなかでプーチン大統領は、シリアでの空爆の目的について「シ
リアの合法的な政権を安定させ、政治的な妥協を探るための条件を
つくることだ」と述べ、ロシアが支援するアサド政権に有利な形で
、内戦の終結を目指す考えを示しました。
また、先週、シリア国内の過激派組織IS=イスラミックステート
の拠点を攻撃するとして、カスピ海から巡航ミサイルを発射したこ
とについて「ロシアにはハイテク兵器と、それを使いこなす人材が
あり、国益に合致すれば使用する」と述べ、今後も必要に応じて、
最新兵器を使用していく考えを強調しました。
一方、ロシア軍による地上戦の可能性は否定しましたが、空爆の期
間については「シリア軍の軍事作戦しだいだ」として、アサド政権
がシリア国内で一定の支配権を回復するまで続ける方針を示唆し、
アサド大統領の退陣を求める欧米諸国に対抗していく姿勢を改めて
示しました。



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