5515.ロシアのシリア支援でどうなるか



「5511.ロシアがシリア領内の反政府軍を空爆」で心配したよ
うに、米国の支援する自由シリア軍は、存在できない状態になって
しまった。

シリアのアサド政権は8日、同国で空爆を始めたロシア軍と連携し
て、反体制派の「テロリスト」に対する大規模攻勢を始めたという
が、アサド政権が攻勢に出たのは中部や北部で、そのほとんどは、
「自由シリア軍」に対する攻撃である。

シリア政府軍のアリ・アイユーブ参謀総長は「ロシア軍による空爆
でテロリストの戦闘力が大きく低下してきたため」に攻勢に出たと
説明した。

米側は、露軍による空爆の9割以上がシリア反体制派を標的にして
いると見ている。

複数の米政府高官は、7日にロシアの艦船がカスピ海からシリアに
向けて発射した26発の巡航ミサイルのうち、4発がイランに着弾
したと話した。ただ、露国防省はこの報道を否定している。

米国オバマが中東から引き上げて、その空白にプーチンが出てきて
、ロシアは新たな対テロ世界戦争の指導者になったようである。

ロシアはシリア、イラク、イランとの間で情報共有ネットワークを
構築しつつある。そして、ロシア正教会は聖戦を話題にしている。

ウクライナで活躍した覆面の部隊は、シリアに来ている。このため
、ウクライナ情勢は安定してきた。チェチェンの内戦を終え、ウク
ライナの内戦を有利にしたゲリラ対応非正規軍を新しい職場をシリ
アに作り、厄介な非正規部隊をロシアから追い出している。

この非正規部隊がクーデターを起こすとプーチンは問題視している
ので、厄介者の職場を確保することがロシア指導者には必要なので
ある。

この経緯も昔に言っていたが、それが戦場をシリアにしただけであ
る。

さあ、どうなりますか?
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アサド政権が露軍と連携、反体制派に大規模攻勢
2015年10月09日 10時56分
 【カイロ=溝田拓士】シリアのアサド政権は8日、同国で空爆を
始めたロシア軍と連携して、反体制派の「テロリスト」に対する大
規模攻勢を始めたと発表した。
 シリア政府軍のアリ・アイユーブ参謀総長が同国営テレビで明ら
かにした。
 アサド政権が攻勢に出たのは中部や北部。イスラム過激派組織「
イスラム国」以外の反体制派との戦闘が続いていた。アイユーブ参
謀総長は「ロシア軍による空爆でテロリストの戦闘力が大きく低下
してきたため」に攻勢に出たと説明した。政権支持派の民兵も連携
攻撃に出た模様だ。
 シリア政府は、「イスラム国」だけでなく、米欧が支援する反体
制派組織連合「自由シリア軍」も一括して「テロリスト」と位置付
けてきた。「自由シリア軍」関係者は8日、本紙の取材に「(中部
)ハマ北郊で政府軍の戦車部隊が攻勢に出てきた」と語った。
2015年10月09日 10時56分 Copyright c The Yomiuri Shimbun
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米、露軍の攻撃対象で懸念…米露外相が電話会談
2015年10月09日 11時09分
 【ワシントン=大木聖馬】米国のケリー国務長官は8日、ロシア
のラブロフ外相と電話で会談し、シリアで軍事行動をとる露軍の攻
撃対象の大部分がイスラム過激派組織「イスラム国」とは関係がな
いとして懸念を伝えた。
 米側は露軍による空爆の9割以上がシリア反体制派を標的にして
いると見ている。
 一方、ロイター通信は8日、複数の米政府高官の話として、ロシ
アの艦船が7日にシリアに向けて発射した26発の巡航ミサイルの
うち、4発がイランに着弾したと伝えた。ただ、露国防省はこの報
道を否定している。
2015年10月09日 11時09分 Copyright c The Yomiuri Shimbun
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イスラム世界で繰り広げられる戦争
敢然と立ち向かうプーチン大統領、躊躇するオバマ大統領
2015.10.9(金)  The Economist
シリアにロシアが介入し、アフガニスタンで米国がためらう危険性
 ウラジーミル・プーチン氏の話を聞くと、ロシアは新たな対テロ
世界戦争の指導者になった。対照的にバラク・オバマ氏は、米国が
10年以上にわたり戦ってきたイスラム世界での戦争に、日ごとに嫌
気がさしているように見える。
 ロシアの戦闘機は9月30日、窮地に立つバシャル・アル・アサド大
統領の軍隊を支援するために行動を起こした。
 ロシアはイラク、イランとの間で情報共有ネットワークを構築し
つつある。ロシア正教会は聖戦を話題にしている。
米国の撤退が残す空白
 「イスラム国(IS)」と戦っているというプーチン氏の主張は、
控えめに言っても疑問の余地がある。
 ロシアの空爆初日に見られた証拠は、空爆が、米国に支持されて
いる勢力を含めたスンニ派反政府勢力を攻撃していることを示して
いた。たとえそれが政治劇場と大差なかったとしても、ロシアは1970
年代にソ連が追い出されてから米国の領域だった中東で最大の行動
を起こしている。
 一方、アフガニスタンでは、タリバンに対する米国の軍事行動が
打撃を受けている。タリバンは9月28日、同国北部のクンドゥズを制
圧した――2001年にタリバンが権力の座から追い出されてから初め
てその手に落ちた州都だ。アフガニスタンの軍隊は、3日後にクンド
ゥズ中心部を奪還した。だが、たとえアフガニスタン軍が完全な支
配権を確立したとしても、今回の攻撃は屈辱だった。
 クンドゥズもロシアのシリア爆撃も、同じ現象の兆候だ。すなわ
ち、イスラム世界の戦争から身を引こうとするバラク・オバマ氏の
試みによって生じた空白である。
 オバマ大統領は先の国連総会で、米国は「単独で異国の地に安定
をもたらすことはできない」ことを学んだと述べた。イランとロシ
アを含め、他国もシリアで手を貸すべきだという。
 オバマ氏は完全に間違っているわけではない。だが、同氏の提案
は多くの危険を覆い隠している。米国がお手上げだと諦めること。
地域の大国が米国の離脱を感じ取って混乱状態に飲み込まれること。
そして、ロシアの介入が血みどろの戦争をもっと血みどろにするこ
とだ。
 オバマ氏が方針を転換しない限り、さらに多くの死者、難民、過
激思想が予想される。


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