5512.VW危機でドイツはどうなるか?



フォルクスワーゲンの倒産が心配な状況になっている。この事件で
の現状とドイツと日本の今後の予測をしてみよう。   津田より

0.どれだけ、今後出費になるか?
フォルクスワーゲンの不正プログラムによる今後の出費を計算する
ことから始めるが、今後の対応するべきことを考えてみよう。

まず、米国の制裁金が2兆円、VW顧客からの集団訴訟賠償金、世界の
株主からの集団訴訟、1100万台のリコール費用で特に環境基準
が厳しい米国での48万台は大変である。そして、業績悪化による
労働者のレイオフになり、34万人の雇用をしているVWで何人の失
業者が出るか?下請けの労働者も同じように雇用問題が出てくる。

ユーロ5の基準は厳しくないので、これはプログラム入れ替えで、
基準が通るが、問題は米国の48万台で、単純なリコールでは無理
で代替の車を提供する必要があり、現在の車と取り替える必要があ
る。

米国だけでリコール費用は、約1兆5000億円になる。欧州はそれより
随分と少ないはず。顧客からの集団訴訟も米国が中心となるが、
48万人×500万円として2兆5千億円程度、世界の政府の制裁
金、補助金返しなどと、全て兆円のオーダーになるはず。

軽く10兆円以上にはなる。フォルクスワーゲン社の内部留保金は
約230億ドル(約2.6兆円)、それに工場や特許、傘下の自動車メー
カーなどを入れた総資産は、約2600億ユーロ(約35兆円)で資産を
売却する必要がある。

このため、傘下の「アウディ」「ポルシェ」「スカニア」などの売
却はある。

また、鉄鋼、部品メーカ(ボッシュなど)、タイヤ、ガラスなど自
動車関連企業は多く、かつVWはドイツ最大の企業である。この影響
がでかい。また、雇用の崩壊で消費が停滞して、全産業に影響する
ことになる。深刻な景気後退になる。

というように、自動車メーカーが倒産してしまうとその国の経済に
大きな影響を与えてしまうために、国家が出てくる。

このため、ドイツは資産を担保にして金を国家保証で銀行から借金
させてフォルクスワーゲンを実質的に倒産させない。

倒産してしまえば、株主集団訴訟、顧客からの集団訴訟はなくなる
が、倒産前に国家がサポートすると、この出費も出ることになるの
で、一度倒産させる可能性がある。名前を旧会社から引き継ぐなど
して、法廷闘争の無効化をすることは考えられる。

また、社債などの借金や銀行の貸付で、銀行も影響する。すでにリ
ストラをしたドイツ銀行などの名前が出ている。2015年6月9
日に、S&Pはドイツ銀行の格付けをBBB+(ジャンクから3段階
上)に下げた。ドイツ銀行はデリバティブに約75兆ドルもの資金
を投入して膨大な損失を抱えているが、VW倒産は致命傷になる可能
性が出ている。

ドイツ経済は、世界で一番順調であったが、2つの問題を起こして
一気に失速する危険性が出てきたことになる。VWがブラックスワ
ンになり得る。中国減速とドイツ失速で、世界の景気も一時的には
大変なことになる。

1.世界経済の日本化
GMが2009年に倒産したが、この原因は日本車のような小型車
がなく、労働コストが高く、手持ち資金のショートが起きて破産法
の申請をしたが、VWも同様なことになりそうだ。

GMもVWも省エネ、無公害などの技術的なイノベーションを避け
て車を販売して、ブランドイメージだけで勝負するスタイルで、し
かし、そのような販売は長続きしないことがあきらかになった。

日本車は、1つ1つ技術を積み上げて、着実に省エネや無公害へ前
進させている。そのような努力がなく、販売台数だけを拡大した咎
が出たようである。

日本のような着実な技術の前進がなく、デザインなどで売るほうが
楽であるが、それはいつか通用しなくなる。

マツダの苦難の歴史を見ると、その苦難こそが、クリーンディーゼ
ルを生み出した元であることがわかる。ロータリーエンジンを知っ
ていますか。このエンジンを効率よく動かすために、エンジン内部
の燃焼がどうなっているかを知ることが重要であり、いろいろと試
行錯誤をしていた。

この試行錯誤から、透明な強化ガラスでできたエンジンを開発して
燃焼を見える形にしたことが、マツダのエンジン構造の見直しにつ
ながったのである。

ロータリーという苦労が、スカイアクティブという効率的、省エネ
、低公害なエンジンを開発できた元にあるのだ。

このような技術者の苦労なしには、新しいイノベーションは生まれ
ない。

ソニーも財務畑の社長になり、ユニークな商品ができずに没落した
が、技術を的確に評価できる人がトップに必要なのである。危機の
時は、文系社長でも技術者に期待するので、良いものができること
がある。この時、いかにそれまでに技術者に技術的な苦労させてい
たかが問われることになる。

技術が中心で世界は変革していくのが正しい。その技術をないがし
ろにして、販売やデザインを重要視していると、いつかは没落して
いく。ということを今回も思い知らされた。それもドイツという技
術者を大切にする国でも、技術者が1000万台の自動車販売とい
う社長からのトップダウンの命令で、不正をする事態になったこと
を憂えるのである。

日本の技術者のように、着実な技術の積み重ねでしか、技術は進展
しないのだ。その裏には石田梅岩の石門心学の影響を見て取れるの
である。

世界が日本化するということは、世界が石門心学を学ぶことである。
といっても、日本人自身が石門心学を知らないが、親の教育や周辺
の人から信用が大切と言われているので、知らず内に勉強している
ことになる。

2.ドイツの今後
EUを引っ張っているのがドイツであるが、技術者が徐々に中心か
ら脇に追いやられていた。政治家や経理担当者が力を得ていること
で、劣化してきた。

ソニーを見ているような気がする。大賀社長当時、大賀さんは自分
の音楽的なセンスで物事を判断していた。数値ではなく、自分の感
性を大事にしていた。その大賀さん以前の井深さんはより感性を大
切にして判断していた。

経理屋はその感性がない。数字で判断するので、物事のよし悪しの
判断が間違えてしまう。

今後、当分の間、EU、特にドイツは経済的に暗い時代になる。中
国を相手にしてビジネスしたことで、倫理的な基準もおかしくなっ
たように感じる。まあ、欧州全体の倫理基準がおかしくなっている
ように感じているが。

3.日本の時代が来た
ドイツと日本が技術先端的な商品を出していると世界から思われて
いたが、ドイツの信用がなくなり、日本の信用が中心になる事にな
る。

世界は日本の部品を使った製品を開発することで、信用を得ようと
するので、日本の中核部品など広範に日本企業が活躍する時代にな
ったのである。

日本の時代が来たようである。

しかし、どうなりますか?


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独VW排ガス不正は世界の自動車産業を地獄に叩き落とすか
PRESIDENT Online2015年09月30日 12:00
井元康一郎=文 
「不正を見つけようとしていたわけではない」
独フォルクスワーゲン(VW)がEPA(連邦環境保護局)から2リット
ルターボディーゼルエンジンのECU(エンジン制御ユニット)に排出
ガス検査を不正にパスする違法な制御プログラムが組まれていると
糾弾されてから約1週間。その影響はVWのマルティン・ヴィンターコ
ルンCEO(最高経営責任者)の辞任にとどまらず、世界の自動車業界
に拡大する様相を呈しはじめている。
今回の問題を突き止めた環境NGO(非政府組織)のICCT
(The international council on crean transportation=クリーン
な輸送に関する国際評議会)は他メーカーの排出ガスについても規
制値を大幅に超えるケースがあると指摘。これに対してBMWやダイム
ラーは「我々は排出ガス規制に準拠させるのに違法なプログラムは
使用していない」と真っ向から反論している。
VW以外のメーカーの反論はもっともなものだ。今回の問題はあくま
で、一定パターンで行なわれる排出ガス検査であることを検出した
ときだけ排出ガスレベルを減らすようエンジン制御を行なうという
不正プログラムが組まれていたことであって、まともに排出ガス検
査をパスしたクルマについては、たとえば検査時の走行モードにな
い急加速で排出ガスレベルが高かろうと違法ではない。これはディ
ーゼルだけでなくガソリンエンジン車も同じ話である。
では、ICCTは単に欧州のディーゼル車に難癖をつけているだけなの
かといえば、それも違う。ブルームバーグの報道によれば、ICCTの
依頼でディーゼル車の排出ガスを研究していた米ヴァージニア大学
のアービンド・ティルベンガダム氏は「最初からメーカーの不正を
見つけようとしていたわけではない。何か違った発見をすることを
期待して検査していただけだ」と話したという。
何か違った発見を期待して行なっていた検査とは、2017年に欧州で
も導入が予定されている世界標準の排出ガス検査の走行パターン、
WLTCモードによる試験。欧州では制限速度130km/hの高速道路走行
モードまで含むフルテストとなるという(日本は97.4km/hの郊外路
までを導入する見通し)。
すなわち彼らがやっているのは将来規制の先取りテストであって、
各社が不正をしていると言っているわけではない。現行規制に対応
していようとも、新しい基準ではメーカーによって差はあるものの
、調査結果は度を越えてボロボロというクルマが少なからず存在し
ており、排出ガス削減技術の開発をさらに加速させるべきだと指摘
しているのである。そのレポートは掲載されている
(http://shima5.web.fc2.com/ICCTreport.pdf)ので、興味のある
方はご覧いただきたい。

排出ガスは飛躍的にクリーン化できる
「このムーブメントは非常に興味深い」と、レポートを読んだトヨ
タ自動車のあるエンジニアは言う。
「ニュースを耳にしたときはICCTはディーゼルそのものを存在悪と
とらえているのかと思いましたが、実際の彼らの主張は、より厳し
い排出ガス規制に適合させる技術開発を加速させることが、欧州の
大気汚染問題を緩和するだけでなく、欧州メーカーの競争力をより
向上させることにつながるというものでした。
実際に市場で戦っている欧州の自動車メーカーにとってはネガティ
ブに受け取られるでしょうが、あくまでも高みを目指すという欧州
委員会のポリシーにはむしろ合致していて、各国政府が調査を始め
るという話も伝わっています。地力がありながらこのところ緩い規
制に甘えて“眠れる獅子”だった欧州メーカーがディーゼルバッシ
ングで目覚めて本気になるのかどうか注目に値すると思います」
各社が排出ガス規制を不法にクリアしているかどうかについての実
態は今後の調査を待たねばならないが、気になるのは今後のディー
ゼルの行方である。まず、そもそもディーゼルの排出ガスを飛躍的
にクリーン化できるかどうかだが、これについてはできると答える
エンジニアが大半だ。
「現行のユーロ6や日本のポスト新長期(現行)規制であれば、NOx
(窒素酸化物)触媒方式で十分にクリアできます。さらに厳しい規
制となると、NOxとPM(粒子状物質)のバランスを取るためには尿素
SCR(選択還元触媒)を使うことになるでしょうが、それでクリアで
きると思います」(デンソー幹部)
「ディーゼルの排出ガス処理装置が注目されますが、重要なのはエ
ンジンアウト(処理装置を通す前の排気)をできるだけきれいにす
ること。元の有害物質が少なければ、処理装置も小さいものですむ
ため、簡単にクリーン化できるし、コストもより下げられる。ディ
ーゼル燃焼における有害物質の生成のメカニズムが相当解明されて
きていることからも、これ以上は無理とはまったく考えていない」
(マツダのディーゼル開発担当エンジニア)
ドイツコンプレックスのターゲットに
だが、今回のVWのスキャンダルで地に落ちたディーゼルのイメージ
の回復となると、話は別だ。最も打撃が大きいのは、スキャンダル
の震源地であるアメリカ市場だろう。販売されているディーゼルは
排出ガス規制に対応していると言っても、ガソリン車に比べれば公
害レベルは高い。それを“クリーン”と称し、クルマの知識が豊富
な人ばかりとは限らない幅広い層に売っていたことが優良誤認狙い
だったと非難を浴びる可能性は高い。なかんずく深刻な影響を受け
そうなのは言うまでもなくVWとグループ会社のアウディ。アメリカ
、EUに駐在していた自動車業界関係者は次のように語る。
「敗戦国ドイツのメルセデスベンツやBMWにアメリカ製高級車を駆逐
されたという歴史的経緯から、VWはアメリカ人のドイツコンプレ
ックスのはけ口にされてきたという側面もあって、もともとブラン
ドイメージが低い。
CEOを辞任したヴィンターコルン氏はトヨタを抜いて世界一になると
いうことに異常なこだわりを見せていたようですが、それを達成す
るには販売台数の伸びないアメリカを何とかしなければならなかっ
た。ディーゼルの導入を不正を働きながら拙速に行わざるを得なく
なったのもそのためでしょう。その不正が明らかになった今、ブラ
ンドイメージの既存はガソリン車にも及ぶのは火を見るより明らか。
最悪の場合、アウディを残して撤退したほうが話が早いという事態
に陥る可能性すらある」
アメリカのメーカーもディーゼル車は発売している。アメリカ市場
で現在、ディーゼルのトップセールスとなっているのはクライスラ
ーのサブブランド「ラム」のピックアップトラックだ。カミンズ社
製6.7リットルターボやVMモトーリ社製3リットルターボをラインナ
ップしており、ライトトラックカテゴリーに一定数存在するディー
ゼルファンを吸収してきた。ピックアップが使われるのは地方部で
、コンシューマーははるかに排出ガスレベルの高い農耕用トラクタ
ーなどを見慣れているため、それほど大きな影響は出ないのではな
いかという見方が多いが、ここに影響が出るようだとディーゼルの
イメージダウンは完全に本物と言っていいだろう。
騒ぎが飛び火したVWの本拠地EU市場ではどうか。
「欧州のディーゼルカスタマーはもともとディーゼルをクリーンだ
とは信じていない。燃費とドライバビリティが両立しているから使
っているだけだと思う。日本のように軽油がガソリンより大幅に安
いわけでもなく、自動車税はむしろ高いという国が多いにもかかわ
らず、売れ続けているのがその証拠です。実際、私自身も欧州でク
ルマに乗るとすれば、間違いなくディーゼルを選ぶでしょう。が、
今回の問題を機に公害問題が再燃し、都市におけるディーゼル走行
規制が強化されれば、販売面への影響は確実に出てくると思います
し、そうなる可能性は低くないと思います」(前出の自動車業界関係者)
マツダへの影響は「今のところない」
最後に日本市場はどうか。日本はディーゼルに対するマスイメージ
がもともと高くなかったという点はアメリカに似ており、ディーゼ
ルを理解している人の多くは排出ガス規制をクリアしたものでもク
リーンなわけではないことを承知のうえで好きで乗っているという
点はEUに似ている。VWはブランドイメージがガタ落ちになることは
避けられず、近々日本市場への投入が計画されていたディーゼルモ
デルについても計画がキャンセルになる可能性もある。
他メーカーも、これまでディーゼルに関心のなかった新規コンシュ
ーマーの取り込みについては大幅後退を余儀なくされるだろう。一
方、元からディーゼルにポジティブなイメージを持っていたカスタ
マーについては動向が読みにくい。
「少なくとも当社のショールームでは、9月最終週の土曜も来店され
るお客様が『マツダさんのディーゼルは大丈夫なんだよね』と、そ
のまま成約していただけるケースがほとんどでした。今後はわかり
ませんが、今のところは大きな影響は感じられません」(東京都内
のマツダ系販売会社幹部)
一方、ドイツ車のディーラーでは、ディーゼルそのものの販売より
、ドイツ車のブランドイメージが下がることを心配する声が聞かれ
た。
「メルセデスベンツの商品特性を気に入って買っていただいている
お客様はそうそう離れていかないという実感がある一方で、ディー
ゼルがダメだったら先進安全システムはどうなんだ??といった技術
への疑念を持たれるのはある程度仕方がない流れだと思っています
。信頼感の回復は誰かがやってくれるわけではない。我々の手でで
何とかするしかない」(メルセデスベンツを扱うシュテルン店関係者)
VWのスキャンダルを機に、排出ガス規制の是非論からマーケット動
向まで、一気に波紋が広がっているディーゼル問題。エンジニアの
間からは、緩い加速しか行わない現在のモード測定そのものが疑問
視されると、問題がガソリンエンジンにも飛び火して自動車産業そ
のもののあり方が問われかねないということで、何とかフォルクス
ワーゲンの不正だけが悪かったのだということで収束してほしいと
いう声も漏れ聞こえてくる。事態はまだ進展中で、顛末はまだ霧の
中。今後の展開が興味深いところだ。
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独VW、排ガス不正車修理へ ブランド立て直し目指す
2015年 09月 30日 16:29 JST
[ベルリン 29日 ロイター] - 独自動車大手フォルクスワーゲ
ン(VW)(VOWG_p.DE)は29日、違法な排ガス制御ソフトウェアを
搭載したディーゼル車について、最大1100万台を修理する計画
を明らかにし、「VW」ブランドの立て直しを目指す方針を表明し
た。
ミュラー新最高経営責任者(CEO)は、数日中に対象となる顧客
に通知するとしている。
アナリストによると、修理コストは65億ドルを超える可能性がある。
この問題を受け、米議員らはVWに対し、不正ソフトの開発に関す
る記録など関連文書の提出を求めた。
VWは米国での排ガス規制試験における不正を認めており、ドイツ
の運輸相は同社が欧州でも同様の不正操作を行ったとしている。
同社は、修理によってどのように対象車を規制に準拠させるのかや
対象車の性能への影響について明らかにしていないが、独連邦自動
車庁(KBA)に来月、詳細を提出するという。
KBAは計画の提出期限を10月7日に設定している。
ドイツのガブリエル経済相は29日、VWが迅速かつ徹底的に排ガ
ス不正操作問題に対処すれば、ドイツ経済に悪影響をもたらすこと
はないとの見解を示した。
ミュラーCEOは、コスト高と利益率低迷に苦しむ中核事業「VW
」部門について、高級車ブランドの「アウディ」や「ポルシェ」の
ように独立性を高める方針を示した。
欧州委員会は29日、VWの排ガス不正問題に絡み、欧州における
新型車認証制度を見直す素案に関して年内にまとめると明らかにし
た。
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独VW危機深まる、検察が詐欺の疑いで前CEO調査 株再び急落
2015年 09月 29日 15:17 JST
[ベルリン 28日 ロイター] - ドイツ検察当局は28日、フォ
ルクスワーゲン(VW)の排ガス規制逃れをめぐり、マルティン・
ウィンターコルン前最高経営責任者(CEO)への調査を開始した
と発表した。週末には現地2紙が社員と取引先が4年以上前に違法
性を指摘していたと報道。ドイツ全体を揺るがす事態に発展したVW
の危機はさらに深まった。
検察当局は前CEOへの調査について「排ガスのデータを改ざんし
て販売したことによる詐欺の疑い」が焦点としている。
ウィンターコルン氏は辞任表明の際、自身は不正行為を認識してい
ないが、VWには再出発が必要として自ら身を引くと述べていた。
関係筋によると、VWは中核のVWブランド、アウディ、ポルシェ
の研究開発(R&D)責任者3人を停職処分にした。
独フランクフルター・アルゲマイネ紙は、25日の監査役会に提出
された社内報告書に、社内の技術者が2011年に不正な排ガス規
制逃れについて警告していたことを示す記述があったと報道。
一方、ビルト紙は、部品サプライヤーのボッシュがVWに供給した
問題のソフトについて、規制逃れに使うことは違法だと2007年
に書面で警告していたことがVWの内部調査で分かったと伝えた。
ウィンターコルン氏の後任として再建を託されたマティアス・ミュ
ラー新CEOは信頼回復が最優先課題と強調しているが、VWグル
ープに30年以上務めた同氏のトップ起用が正しい選択なのか疑問
視する声も出ている。
コメルツ銀行のサーシャ・ゴメル氏は「VWは不正を何年も認識し
ていたようだ。新たな企業文化が切望されるが、ミュラー氏は改革
を指揮するトップとして全く適切ではない」と指摘。VW内でキャ
リアを形成してきたミュラー氏が改革を約束しても信頼性に欠ける
ため、株価の重しとなっていると話した。
欧州株式市場で、VW株価は再び売り込まれ7%超急落。米当局に
よる不正発覚以来、株価は約35%値下がりし、250億ユーロ超
の時価総額が吹き飛んだ。
スパーン独副財務相は75万人以上の雇用を創出する自動車業界は
独経済にとり極めて重要とし、「VWのスキャンダルが経済に大き
な影響を与える恐れがあり、懸念している」と述べた。
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VW、05〜06年に決定か=米の苦戦打開狙い不正−独通信社
 【フランクフルト時事】ドイツ通信は28日、自動車大手フォル
クスワーゲン(VW)がディーゼル車の排ガス浄化機能を不正に操
作するソフトウエアの導入を2005年から06年ごろに決めてい
たと報じた。米国市場での苦戦を打開しようと、ディーゼル車の販
売拡大に会社の大きな期待がかけられていた時期だった。
 VWは米国で、問題のソフトを使い、検査時だけ排ガス浄化機能
をフル稼働させ、規制を逃れていた。同通信によると、ソフト導入
を決めたのはVW本社のエンジン開発部門。米国での排ガス規制を
正当にクリアする技術の開発は費用がかさむことから断念し、ソフ
トを使うことにした。この時のVW社長はベルント・ピシェッツリ
ーダー氏。今回の不正発覚で引責辞任し、独検察から詐欺容疑で捜
査を受けているウィンターコルン前社長の前任者にあたる。
 VW監査役会の幹部会は、30日に緊急会合を開催するが、内部
調査の結果としてこれらの報告が提出されるという。(2015/09/29-05:02)
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欧州車、試験と路上走行でCO2排出量に40%の差=環境団体
2015年 09月 28日 19:33 JST
[ブリュッセル 28日 ロイター] - 欧州の環境団体トランスポ
ート&エンバイロメント(T&E)は28日、欧州メーカーの新車
について、路上走行で排出する二酸化炭素(CO2)が試験場のデ
ータを平均で約40%上回っているとの調査結果を明らかにした。
業界では、独フォルクスワーゲン(VW)(VOWG_p.DE)の排ガス規制
逃れが問題になっているが、報告書は規制逃れはVWだけではない
と指摘。VW以外のメーカーが違法ソフトウエアを利用した証拠は
ないが、試験場と路上走行の二酸化炭素・窒素酸化物のデータが大
きく異なるため、追加調査が必要だとしている。
調査によると、メルセデス(DAIGn.DE)、BMW(BMWG.DE)、プジョー
(PEUP.PA)など欧州メーカーの一部の新車は、燃料使用量がメーカー
の主張より50%前後多い。
燃料使用量と二酸化炭素の発生量の間には関係があり、燃料使用量
が増えると二酸化炭素の排出量も増えるという。
T&Eは欧州委員会と緊密に連携して調査を進めている。
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VW技術者らが数年前に排ガス「違法性警告」、迫られる対応策
 2015年 09月 28日 14:03 JST
[ベルリン/ローマ 27日 ロイター] - 独フォルクスワーゲン
(VW)(VOWG_p.DE)の排ガス規制逃れ問題で、VW社員とサプライ
ヤー1社が4年以上前に、排ガス規制を逃れるために使用されたソ
フトウエアの違法性を指摘していたことが分かった。
ドイツの新聞2紙が27日伝えた。
フランクフルター・アルゲマイネ紙は、VW監査役会に近い筋の話
として、25日の監査役会に提出された社内報告書に、社内の技術
者が2011年に不正な排ガス規制逃れについて警告していたこと
を示す記述があったと報道。警告時点で問題への対処がなされかっ
た理由は明らかになっていない。
一方ビルト紙は、部品サプライヤーのボッシュROBG.ULがVWに供給
した問題のソフトについて、規制逃れに使うことは違法だと2007
年に書面で警告していたことがVWの内部調査で分かったと伝えた
。同紙は情報源を明らかにしていない。
ボッシュの広報担当者はVWとの取引内容は機密事項だとした。
VWは2紙の報道の詳細に関するコメントを拒否。広報担当者は「
本格的な調査を行っている。(顧客とディーラーに対する)技術的
な対応策にも取り組んでいる」とし、「信頼できる事実が分かり次
第、回答できる」と述べた。
VWの内部調査は、どのレベルの幹部までこの問題に関与していた
のか、いつから問題を認識していたのかを中心に行われるとみられる。
ビルト紙はまた、情報源は明らかにしていないものの、引責辞任し
たウィンターコルン最高経営責任者(CEO)が来年末の任期まで
の給料を要求したが、取締役会から拒否されたと報じている。同氏
の昨年の年収は1600万ユーロ(約21億5000万円)で、ド
イツDAX指数に組み入れられた30銘柄のCEO報酬の中で最高
額だった。
一方、VWのミュラー新CEOは社員あての書簡で、不正問題の調
査とコンプライアンスおよびガバナンス基準の向上に厳しい姿勢で
取り組むと約束した。
<迫られる対応策>
試験走行時に排ガス規制に適合するようにモードを切り替えるソフ
トウエアは、VW社製ディーゼル車の約1100万台に搭載されて
おり、同社はいまだ対応策を検討している。
VWイタリア法人は販売代理店に対象車の販売をやめるよう指示し
ており、計4万台の在庫を抱えることになると、27日付の伊コリ
エレ・デラ・セラ紙は伝えている。
VWの広報担当者は、ドイツ本社から販売停止の指示はなかったと
した上で、各国の販売担当部署は独自に決定する権利があると語っ
た。イタリア法人はロイターの電話取材に即座に応じなかった。
ビルト紙によると、不正ソフトを搭載した1100万台のうち約
280万台が対象となる本国ドイツでは、独連邦自動車局(KBA
)がVWに対し、10月7日までに対策案を提示するよう求めてい
るという。
ドイツ産業全体への影響を懸念し、同国の政治家たちはVWへの圧
力を強めている。
ヘンドリクス環境・建設相は、28日に掲載されるハンデルスブラ
ット紙とのインタビューで、VWのスキャンダルによって「ドイツ
製ブランド」の輝きを曇らせてはならないと強調。
「実験室の検査だけを信頼することはできない」と語り、欧州連合
(EU)は研究施設よりも通常の道路状況下での走行に重点を置く
検査の厳格化を検討しているとの考えを示した。
複数のEU当局者も、車両の排ガス検査を厳格化する可能性を明ら
かにした。EUの執行機関、欧州委員会のティメルマンス第1副委
員長は26日付の南ドイツ新聞に対し、「不正行為を阻止しなけれ
ばならない」と指摘。より厳格な排ガス検査導入のため、EUが法
を改正する可能性があると述べた。
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【VW排ガス不正問題】
米、排ガス試験を厳格化 規制逃れ防止で対策
2015.9.26 08:49sankei
 ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)による排ガス規制
逃れ問題で米環境保護局(EPA)は25日、自動車の排ガス試験
を厳格化すると発表した。大気汚染物質の窒素酸化物(NOx)に
ついて実際の運転時についても調べられるようにし、VWのような
違法ソフトウエアを使った規制逃れを防ぐ。
 EPAはこの日、自動車メーカーに対して排ガス試験を強化する
と通達した。EPAは具体的な試験の方法については公表していな
いが、新型車が排ガス基準適合の認証を受ける場合、従来と比べて
試験期間が長くなる可能性があると説明している。(共同)
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ドイツ株急落、時価総額48兆円吹き飛ぶ−VW不正などで逆風強まる 
2015/09/30 00:17 JST
(ブルームバーグ):ドイツ株は欧州債務危機以降で最悪のペース
で下げ続けている。指標のDAX指数は四半期ベースで2009年1−
3月(第1四半期)以来となる2期連続マイナスに向っており、過
去最高値を付けた4月から時価総額が約4000億ドル(約48兆円)吹
き飛んだ。
DAX指数はユーロ反発とギリシャ危機の悪影響を背景に高値から
下げ始め、中国景気減速をめぐる懸念の強まりと、フォルクスワー
ゲン(VW)による排ガス検査不正発覚を背景に、下げ足を速めて
いる。
バンクハウス・ランプ(デュッセルドルフ)のストラテジスト、ラ
ルフ・ツィマーマン氏は、「投資家らはある程度、リセッション懸
念を織り込み始めている。中央銀行がもはや対応できないと受け止
められたら、極めてネガティブな材料となるだろう」と述べた上で
、「だが、相場は中期的に下げることなく、上昇するとまだ考えて
いる。投資家らが過剰反応したためだ」と付け加えた。
DAX指数は4月に過去最高値を記録した後、9月28日までに23%
下落。同じ期間としては2011年12月以降で最速の下げとなった。今
四半期だけで14%値下がりするなど、その下落率は西欧の主要株価
指数の中で最もきつい。
DAX指数構成銘柄の株価収益率(PER、予想収益ベース)は
11.5倍に低下、2005年まで遡ると、欧州株の指標であるストックス
欧州600指数との比較で最低の水準に近づいた。一部投資家にとって
これはドイツ株を購入するシグナルとなる。
ライファイゼン・キャピタル・マネジメント(ウィーン)の株式部
門責任者、ヘルベルト・ペルス氏は、「不安を背景に相場が下落し
た場合、当社は買い手だ」とし、「一部のドイツ銘柄を保有してお
り、当社のポジションに極めて満足している」と語った。



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