5509.フォルクスワーゲンは破綻の危機



このコラムでは、今までにフォルクスワーゲン事件を調査するため
に4本のコラムを書くために調べた。
5508.マツダのディーゼルエンジンはすごい
5504.排ガスでのデンソーvsボッシュ
5503.ボッシュが関係している
5501.欧州のディーゼンエンジン車に波及必至

その結果は、悲惨なものである。

フォルクスワーゲンは、破綻すると予想できる。

米国のBIN5Tier2という現在一番厳しい基準の国に42万台もの車を
販売して、その車の排ガスを基準値内にすることが問われる。マツ
ダのクリーンエンジンでさえ適合できない基準である。

それをユーロ6の基準を満たしていないNOx吸蔵還元触媒方式という
触媒しか載っていない車をどう基準値内にするのであろうか?

このNOx吸蔵還元触媒方式は短期間の使用では、それ相当の性能を出
すが、使い続けるとの性能が劣化してくるので、基準内には収まら
ない。これはどんなことをしても無理。

ということは、車を全て買い戻すしかない。42万台の車を300
万円で買い戻すか、キャッシュバックするとして、1兆2千億円の
現金が必要になる。また、欧州内での基準も達成してないとすると
、ここでも同じことが必要になる。400万台として12兆円にも
なる。

その他に米国の罰金が2兆円となると、フォルクスワーゲンの損失
は十数兆円となり、これは破綻する金額に達することになる。

ドイツ経済も傾くし、フォルクスワーゲンを支える必要があるので
、その支出も出てくることになる。ドイツの没落になる可能性もあ
る。そして、この基準値より40%も路上では出している事態がBMW
などの欧州メーカでも同じというので、この影響範囲は無視できな
いことになる。

マツダがエンジンをフォルクスワーゲンなどに売ることでしか、こ
の有効な解決策はないと見るがどうであろうか

矢羽田さんから、マツダの凄さは、このエンジニアの執念でした。
「ロータリーエンジンの燃焼改善に挑み、地獄の淵を見る」を頂き
ましたが、ロータリーエンジンで燃焼改善に苦労したことが、レシ
プロ・エンジンの燃焼改善につながって、マツダは復活したのでし
ょうね。
「感動なしには讀めません。一エンジニアとして、心から尊敬して
います。矢羽田」ということである。

その点、フォルクスワーゲンの技術者はドイツの技術が上とアグラ
をかいて、安易な方法で基準を乗り越えようとしたが、大きな危機
を生むことになったのだ。

さあ、どうなりますか?

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フォルクスワーゲンが崩壊したとき、ヨーロッパも苦境に陥る
2015.9.29 TUE
9月18日、米環境保護局は、フォルクスワーゲンと傘下アウディの一
部ディーゼルエンジン搭載車が、排ガス規制に関する試験をクリア
するために違法ソフトウェアを使用したと発表した。この行為が同
社のイノヴェイションに、あるいはドイツ、さらにはヨーロッパ全
体の経済に及ぼす影響について、「最良」「最悪」の2つのケースを
考察する。
TEXT BY ISSIE LAPOWSKY

数十億ドル規模の企業が大衆を煙に巻き、排ガスを出す自動車がま
るで環境に優しいかのように思わせる。そして、“母なる地球”を
愛する研究者たちが、その企業の詐欺を暴く。悪は滅んで正義が勝
つ、お決まりのエンドロールだ。そんなものはディズニー映画でし
かありえないような筋で、現実はそれほど単純ではない。
自社の排出量削減技術に関して、米環境保護局(EPA)を欺いたフォ
ルクスワーゲンの試みが、複雑な事態を招いている。
フォルクスワーゲンによるクリーンエア法の違反と、それに対する
EPAによる告訴が起こした問題は広範にわたる。さらにその被害が世
界中で約1,100万台にも及んでいるというニュースが流れ、状況はさ
らに悪化した。
このスキャンダルが、独首相のアンゲラ・メルケルはもちろん、欧
州委員会に至るまですべての人々の耳目を集めているのは驚くこと
ではない。これは製造上のミスではなく、明らかな詐欺事件だ。フ
ォルクスワーゲンのCEO、マーティン・ウィンターコーンは、多大な
る謝罪の言葉を述べているが、いままでのところ投資家や国民から
安心を得るには至っていない。すでに同社の株価は3年前の最低価格
まで下落し、ヨーロッパの株価は全体的に3パーセント下落した。
[2015.9.22時点、ウィンターコーンは9.23にはCEOを自身の辞任を
表明している。]
しかし、すべては、自然な流れだ。いま問うべき重要な質問は、果
たしてこの状況が続くか、ということだ。そしてもし続くならば、
このことはフォルクスワーゲン、ドイツ経済、そしてEUにとって何
を意味するのだろうか。
フォルクスワーゲンが「崩壊」することはないのだろう。いままで
も、他の巨大な自動車メーカーが深刻なトラブルを抱え、乗り越え
、いまも存在している。しかし、もしフォルクスワーゲンが崩壊す
るようなことがあれば、その連鎖はヨーロッパ中を覆うことになる
だろう。

最良のシナリオ
このスキャンダルが収束するのを期待している人も、なかにはたく
さんいる。彼らがそう考えるのも、この事件そのものが非常に不快
な悪事であることは認識しつつもクルマ自体はいまも安全に走って
いるからなのだろう。
「これによって、誰一人として、死にそうになったものはいない」
と 自動車研究所の主席エコノミスト、ショーン・マカリンデンは述
べている。「大きなショックとして受け止められているのは彼らが
嘘をついたことであり、その嘘が故意によるものだということだ」
これは大事なことだ、マカリンデンは述べている。なぜならわれわ
れはこれまで、ゼネラル・モーターズやトヨタのような企業が関わ
った「人の身に危険を及ぼしたスキャンダル」を目にしてきたから
だ。
「それだけ深刻な事態だったのにもかかわらず、皆、ゼネラル・モ
ーターズの話題を続けはしなかった」と彼は述べている。「トヨタ
についてすっかり忘れてしまったように、フォルクスワーゲンにつ
いても、みんな忘れてしまうだろう」
伝えられているところによれば、EPAがフォルクスワーゲンに課す可
能性があると述べている180億ドル(約2兆円)の制裁金に関して、
覚えておくべき大事なことは、180億ドルという金額が、制裁金とし
て「最高額である」ということだ。実際のところ、その額はもっと
少なくなるかもしれない、と彼は述べている。すでにフォルクスワ
ーゲンは、スキャンダルの結果として発生する可能性のある出費を
賄うために、730億ドルを確保している。
マカリンデンが同時に指摘するのは、フォルクスワーゲンの米国で
の売上がすでに減少傾向にあったという事実だ。つまり、同社が米
国で被る事業損失は「かつてほどではない」ということを意味する
。同社の最大の市場である中国においては、影響を受けるディーゼ
ル車はどのちみち不人気なので、フォルクスワーゲンは堅調を維持
する可能性が高い。
「このスキャンダルは高くつくだろうが、長続きはしない」とマカ
リンデンは述べている。

最悪のシナリオ
ジョージタウン大学マクドノー経営大学院国際ビジネス科教授、マ
イケル・ツィンコータのように、フォルクスワーゲンが今後何十年
にもわたってこのスキャンダルの影響を受け続けることになるだろ
うと予測する者もいる。
まず最初に、フォルクスワーゲンがこの影響に対処するために、す
でに730億ドルを確保しているという事実は、同社が730億ドルをは
るかに上回る額の負担を予測していることの明らかな証左だ、とツ
ィンコータは述べている。
「もし彼らが過大発表をすれば、払う必要のある以上の額を負担す
ることにもなりうる」と彼は述べている。「彼らは、確保している
以上の額を支払わなければならないことを認識しているのではない
か」
フォルクスワーゲンが近年とってきたブランド戦略の軸には、クリ
ーンで力強く、手ごろな自動車を開発できる「環境市場のリーダー
」としての立場があった。このスキャンダルにより、それが偽りで
あったことが分かっただけでなく、このリコールの結果として所有
していたワーゲン車を修理に出した消費者は、かつてほどそのクル
マを愛せないだろう、と『ケリーブルーブック』編集主幹、マット
・デロレンツォは述べている。
技術革新についての問題もある。自動車産業全体はいま、消費者ニ
ーズを満たそうとしながら、同時にますます厳しくなるグローバル
な排出基準に適う方法の開発に取り組んでいる。この問題を誤魔化
して解決しようとしたことで、ファルクワーゲンは時間を無駄にし
たということだ。これは単に卑怯なだけでなく、怠慢だ。もしもそ
の株価が下落し続け、制裁金と集団訴訟が増え続ければ、フォルク
スワーゲンはその損失を埋め合わせるための資金を見つけるために
苦労するかもしれない。
「彼らがいくら支払うことになるにしても、彼らが新製品に投資し
なけれならない金額よりは少ない」とデロレンツォは述べている。
「非常に競争の激しい自動車業界において、それはほとんど、死刑
宣告に近いものだ」

連鎖反応
ディズニー映画であれば、悪徳企業が崩壊していくさまに声援を贈
るのは当然だろう。しかし実際には、そのエンディングは誰も望ん
でいないはずだ。結局、ファルクスワーゲンは、数人の悪辣な経営
者の将来以上の、はるかにたくさんのものを載せて運んでいる。フ
ォルクスワーゲンは約60万人の労働者を雇用していて、その株主に
はドイツ政府が名を連ねている。
ドイツで生まれ育ったツィンコータは、もしフォルクスワーゲンが
苦しめば、ドイツもまた苦しむだろうと指摘している。「政府が同
社から受ける配当金は、新政府プログラムのために使用すべきキャ
ッシュだった」と彼は述べている。「それが失われる可能性がある
のだ」
難民が押し寄せている現在の難局を考えれば、ヨーロッパにとって
最悪のタイミングであるのは、容易に想像できる。ここ数週間で、
ドイツはその近隣諸国をはるかに超える割合で難民や移住者を受け
入れて、リーダーとしての立場に身を置こうとしてきた。
「もしドイツ最大の企業の1つが、立ち上がれなくなるまで打ちのめ
されれば、その予算はどこから来るというのでしょう」とツィンコ
ータは述べた。「そして、ヨーロッパでは、すべてがお互いに関連
し合っています」
だから、メルケル首相と他のヨーロッパの首脳陣が事態を収めよう
と力を注ぐのに疑問は生まれない。「ダメージを最小限にするべく
、EUは一致団結して米国の規制者に対応するだろう」とツィンコー
タは述べている。そして、次のように付け足した。
「ドイツは、自分たちは一企業についてのみ声を上げているのでは
ない、と米国司法省に力説しようとするでしょう。自分たちはそこ
で働く人々について、雇用について、家族について語っているのだ
、と」



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