5492.ロシアが中東の意味



ロシア軍がシリア軍と一緒に戦闘に参加しているという。この意味
は、エゼキル書では核戦争の前兆であると予言されている。
さあ、どうなりますか検討しよう。  津田より

0.現状
9日のロイターによると、ロシア軍が、内戦の続くシリアでアサド
政権軍を支援するため、かなりの規模で展開していると思われ、一
部では軍事作戦に参加しているとも考えられる事態である。

過去2週間の間に少なくとも3隻のロシアの揚陸艦(「ニコライ・フィ
ルチェンコフ」、「コロリョフ」、「ノヴォチェルカッスク」)と練
習艦「スモーリヌィ」が「カモフラージュネットを被せた武器とと
もに」ボスポラス海峡を通過したとトルコ報道機関がいう。

そして、シリアにロシア人パイロット、最新型のSu-34及びSu-27戦
闘機、そして「プチェラ-1T」無人偵察機が到着したようだ。

また、英『タイムズ』は最近、ロシアの軍人と見られる人物が最新
型のBTR-82A装甲兵員輸送車に乗って政府側部隊の側で戦う映像を紹
介した。この装甲車はロシア軍しか使用できない車両である。

テルアビブの124ニュースでは、ロシアがラタキア空港を、設備を保
護し、兵士たちを宿泊させ、資材を保管することができる「軍事的
なハブ」にするために「移動ユニット」を運び込む準備をしている
と伝えている。SA−22対空ミサイルも導入する予定である。

米国はロシアの軍事プレゼンスが紛争の「エスカレーション」につ
ながりかねないとの懸念から、ケリー米国務長官は、ロシアのラブ
ロフ外相にこの懸念を伝達。内戦の悪化につながると強い警戒感を
示した。

それでは、ロシアの狙いは何であろうか。
ロシアは今後、シリア紛争をISに対する「対テロ戦争」と再定義す
ることを狙っている。

つまり、「アサド政権vs反体制派」であった当初のシリア内戦にIS
が参入してきたことを契機に、「IS vs 反IS連合(アサド政権+反体
制派+その他諸国)」へと紛争の構図を書き換えてしまおうというこ
とだ。これにより、アサド政権を維持して行く方向である。

もう1つは、ラタキアの南方25kmにあるジャブラは、シリア最大の
港にしてこの地域の中核都市であり、ここにロシアは空軍基地を建
設するような動きを示している。

そして、ロシアの海外軍港であるタルトースの保持を確実化するた
めのようである。地中海に面したタルトースは、ロシアのプレゼン
スには絶対必要な基地である。

しかし、このアサド政権を支えるアラウィ派の拠点地域までイスラ
ム国の攻撃にさらされるようになったことで、ロシア軍が出てきた
ようである。

なぜ、ロシアが中東に出てくることが危険なのであろうか?

1.エゼキル書
旧約聖書の中には黙示録の時代に起こる戦争をいくつか預言をして
いるが、エゼキエル書の三十九章はその中のひとつであり非常に興
味深い内容を描いている。

さらに、私に次のような主のことばがあった。
「人の子よ。メシェクとトバルの大首長であるマゴグの地のゴグに
顔を向け、彼に預言して、言え。神である主はこう仰せられる。メ
シェクとトバルの大首長であるゴグよ。今、わたしは、あなたに立
ち向かう。

わたしはあなたを引き回し、あなたのあごに鉤をかけ、あなたと、
あなたの全軍勢を出陣させる。それはみな武装した馬や騎兵、大盾
と盾を持ち、みな剣を取る大集団だ。
ペルシヤとクシュとプテも彼らとともにおり、みな盾とかぶとを着
けている。

ゴメルと、そのすべての軍隊、北の果てのベテ・トガルマと、その
すべての軍隊、それに多くの国々の民があなたとともにいる。
備えをせよ。あなたも、あなたのところに集められた全集団も備え
をせよ。あなたは彼らを監督せよ。

多くの日が過ぎて、あなたは命令を受け、終わりの年に、一つの国
に侵入する。その国は剣の災害から立ち直り、その民は多くの国々
の民の中から集められ、久しく廃墟であったイスラエルの山々に住
んでいる。その民は国々の民の中から連れ出され、彼らはみな安心
して住んでいる。」

というように、ゴクはロシアであり、ペルシャはイランであり、シ
リアを助けて、イスラム国に対峙するというが、イスラエルに攻め
ることになると、預言書のエゼキル書には書いている。

ということで、旧約聖書を信じるユダヤ教・イスラエルの情報機関
モサドは徹底的にロシアの行動を調査している。

2.イスラエルの現在の立場
イスラエルは、イランの核開発を警戒して、米国のイラン核交渉に
反対していた。また、米国が中東から手を引くことに大きな衝撃を
受けている。イスラエルの孤立化が進んでいた。

同じ状況のサウジとイスラエルがシーア派と対抗するために、共同
歩調をとってきた。

このため、イスラエルやサウジは、ロシアとも話し合い、中東の安
全保障上の問題で交渉をしていた。

しかし、ロシアが中東に入ることで、敵と味方の区別が明確でない
状態になってきた。シーア派、スンニ派、スンニ過激派の戦いで、
どちらが敵か味方か非常に混迷している。

イスラエルは、この戦いの中で局外者であるが、しかし、いつ過去
の姿であるアラブ対ユダヤになるのか、非常に気にしているし、い
つかそのようになるとエゼキル書はいうのである。

ヨハネの黙示録では、第7の封印が核戦争であり、中東戦争を予感
させる内容であり、ここでもイスラエルとアラブが最終的に戦争を
して、お互いに核を使う可能性があると見える。

これが心配で、米国もロシアの中東への進出を警戒しているのであ
る。

日本にはどうすることもできない状況であり、見ているだけかもし
れないが、世界的には気にある状況になってきた。

さあ、どうなりますか?


参考資料
Security source: Moscow setting up air strike capabilities;
Iran sent IRGC ground force; ISIS is threatening to take Damascus.
http://www.jpost.com/Middle-East/Russia-Iran-sending-military-forces-to-save-Assads-regime-415864

Western officials said the SA-22 system would be operated 
by Russian troops, rather than Syrians.
 It was on its way to Syria but had not yet arrived.
http://www.jpost.com/Middle-East/Russia-sending-advanced-air-defenses-to-help-Syrias-Assad-415979

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ロシア軍、シリアで戦闘に参加 アサド政権支援=関係筋
欧米諸国がISIS掃討の空爆を開始したシリアにロシアは政府軍支援
で参戦、内戦は泥沼化するのか──
2015年9月10日(木)12時16分
[モスクワ/ベイルート/ワシントン 9日 ロイター] - ロシア
軍が、内戦の続くシリアでアサド政権軍を支援するため、戦闘に加
わったことが分かった。事情に詳しいレバノンの関係筋3人が明ら
かにした。
ロシア軍のシリア内戦への関与拡大は米国が懸念する事態。ただ、
レバノンの関係筋によると、戦闘に参加しているロシア軍兵士は、
今のところ少人数だという。
複数の米当局者は、ロシアが最近シリアに戦車揚陸艦2隻や輸送機
などを派遣し、少数の海軍歩兵部隊も派遣されたと述べた。ロシア
側の意図は不明だという。
しかし、米当局者の1人は、シリアのアサド大統領の拠点である港
町ラタキア近郊で航空基地を整備しているのではないかとの見方を
示した。この基地が出撃拠点となる可能性があり、米当局者もその
可能性を否定しなかった。
一方、ケリー米国務長官は、ロシアのラブロフ外相にロシア軍のシ
リアでの動きに関する報道について懸念を伝達。内戦の悪化につな
がると強い警戒感を示した。
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シリアへの軍事介入を始めたロシア 
ロシア側の見方とその狙い
2015年09月10日(Thu)  小泉悠 (財団法人未来工学研究所客員研
究員)WEDGE
ここ数日、ロシアがシリアに軍事介入を始めたのではないかとの観測
が高まっており、米国も懸念を表明し始めた。筆者も別の媒体
(http://bylines.news.yahoo.co.jp/koizumiyu/20150906-00049218/)
で詳しく検証したが、様々な傍証からシリアにロシア軍がかなりの
規模で展開していることはほぼ確実と思われ、一部では軍事作戦に
参加している可能性も考えられる。
 だが、それが事実であるとして、ロシアの狙いは何であろうか。
これについてロシアの軍事評論家で有力紙『独立新聞』の軍事問題
記者であるウラジミール・ムーヒンの見解が『独立新聞』に掲載さ
れたので以下に紹介したい。
『独立新聞』に掲載されたムーヒンの見解
 (翻訳)
 ウラジミール・ムーヒン「ダマスカスはロシア軍人を待っている:
ウラジミール・プーチンは国連総会でシリアに対する具体的な支援
策を提起するだろう」『独立新聞』2015年9月7日
 米国は、シリアにおいてロシアが軍事プレゼンスを増強し、ロシ
ア連邦の軍人がバシャール・アサドの側について戦闘に参加するこ
とを真剣に恐れている。先週の土曜日、ジョン・ケリー米国務長官
はこの問題についてセルゲイ・ラヴロフ露外相と電話会談を行った
。西側メディアでは、ロシア軍人やロシアの最新型兵器がシリアに
存在し、戦闘行動に参加しているという多くの記事(写真を含む)が
この以前から出回っていた。そしてついにプーチン露大統領がこう
した主張を否定するまでになったのである。
 米国務省報道官が述べたところによると、米国務長官はセルゲイ
・ラヴロフに対し、「同地(『独立新聞』註:シリアを指す)における
ロシアの軍事プレゼンス増強の懸念が事実であるとすれば、個別の
戦闘が紛争の更なるエスカレーションにつながる可能性がある」と
伝えたという。これに対する我が外相の反応は明らかでない。しか
し、ロシアの報道各社は、ラヴロフとケリーがシリアに関する協議
をニューヨークで継続する見込みであると伝えている。同地では9月
15-22日にかけて第70回国連総会が開催される。
 その年次会合では、ウラジミール・プーチンの演説が予定されて
いる。ラヴロフは以前、この機会に、ロシアはシリア情勢を収拾す
るための独自案を提案する計画だと述べていた。特に国連安保理に
おいては、対「イスラム国(IS)」連合の設立を検討するよう提案が
行われるであろう。これは安保理に「完全な法的正統性を与え、国
際社会の支持を取り付ける」ことを目的としたものとされる。ウラ
ジミール・プーチンは、金曜日、すでに多くの政府がこの構想を支
持していると述べた。同人はこの問題に関して、対IS軍事作戦にロ
シアが参加することを云々するのは時期尚早であるとマスコミとの
会見において発言している。大統領は、記者の質問に答えて、「我
々は様々な可能性を検討しているが、しかし、あなたが今おっしゃ
ったようなこと(『独立新聞』註:軍事作戦への参加を指す)は我々の
議題とはなっていない」と述べた。また、大統領は「シリアの我が
友人達、そして同地域の各国との協議を進めることになろう」とし
た。
 一方、『ニューヨーク・タイムズ』紙は先週の金曜日、匿名の米
政府関係者の話として、シリアの空軍基地にロシア軍の先遣隊と移
動式航空管制システムが現れたと報じた。これに先立ち、イスラエ
ルのメディアでは、アサド政権側に立って戦うスンニ派勢力の情報
として、シリアにはロシア人パイロット、最新型のSu-34及びSu-27
戦闘機、そして「プチェラ-1T」無人偵察機が到着したと報じた。ロ
シア外務省は先週、この情報を否定している。だが、過去2週間の間
に少なくとも3隻のロシアの揚陸艦(「ニコライ・フィルチェンコフ
」、「コロリョフ」、「ノヴォチェルカッスク」)と練習艦「スモー
リヌィ」が「カモフラージュネットを被せた武器とともに」ボスポ
ラス海峡を通過したというトルコのメディアには情報には何も言及
がなかった。英『タイムズ』は最近、ロシアの軍人と見られる人物
が最新型のBTR-82A装甲兵員輸送車に乗って政府側部隊の側で戦う映
像を紹介した。これには会話を拾ったらしいトランスクリプトが付
されていた。
 軍事専門家であるユーリー・ネトカチョフ少将は、ロシアの軍事
顧問団の増強はまったく当然のことであると見ている。「彼らは当
然、自らの同僚達とロシア語で話している。そしてシリア軍人の多
く、特に将校は我が国の軍事教育施設で学んでいるのだから、ロシ
ア語をよく知っている。したがって、無線の会話でロシア語が聴こ
えてきても当然なのだ」と彼は言う。また、ネトカチョフ将軍は、
シリアでロシア人が戦闘行動を行っているとは考えていない。同人
は、「我々はシリアに対して非常に充分な支援と物資、軍人の訓練
、武器を提供している」という金曜日のプーチン発言を引用した。
 だが、将来的にロシアの軍人がISとの戦いに参加することは排除
されていないようだ。第一に、アサド政権に忠実な「アル・ワタン
」紙の情報によれば、ロシアは地中海沿岸のジャブラに新たな軍事
基地を建設することを計画しており、ダマスカスはこれに好意的な
反応を示しているという。ラタキアの南方25kmにあるジャブラは、
シリア最大の港にしてこの地域の中核都市であり、バッシャール・
アサドを支持するアラブ・ムスリムの居住地である。
 ロシア海軍の物資装備拠点があるタルトゥース港と異なり、同地
は部隊や艦隊が安全に集結し、より多くの予備物資や武器を集積す
る上で好適な条件を備える。第二に、ウラジミール・プーチンはウ
ラジオストクにおいて、ロシアの参加する連合を結成する可能性を
示唆した。「我々はテロリズム及び過激主義との戦いに関する何ら
かの国際連合を結成することを実際に望んでいる」とした上で、同
人は、「我々は国防当局のラインで連絡を取っており、最近、モス
クワでこの紛争(『独立新聞』註:シリアとイラクにおける紛争を指
す)と関わりのある国々の参謀本部の指導部と協議を行った」と述べ
た。
 第三に、アサド政権を支援するロシア、イラン、中国が対IS連合
の主要参加国となるとの観測がマスコミで流れている。最近モスク
ワを訪問したイランのモハメド・ジャワド・ザリフ外相は、テロリ
ズム及び過激主義との戦いにおける経済的な協力関係以外の優先分
野として、イランとロシアの連携を挙げた。そして中露は今年5月、
シリア沿岸から遠くない海域で合同軍事訓練を行っている。
 このようにしてみれば、中東地域におけるロシアの軍事的な活発
さに対する米国の懸念は理解できるものだ。ペンタゴンはすでにア
サド政府軍に対する爆撃を考慮し始めているが、シリア軍の戦闘序
列にロシア軍人が含まれる可能性があれば、このようなシナリオは
排除される。アサド政権がISよりも危険性が少ないと信じるイスラ
エルは、この点では米国に同調していない。旧ソ連やロシア出身の
国民も勤務しているイスラエル国防軍では、米国とは異なり、イス
ラム過激主義との戦いのためにロシアが軍事連合を形成することは
より実際的であると見なされている。
 (翻訳終わり)
ロシアがシリアに軍事介入を始める狙いとは
 ムーヒンは、シリアへのロシア軍展開に関する欧米及び中東の報
道を手際よくまとめた上で、これが単なる軍事顧問団の増強に過ぎ
ないとするネトカチョフ少将の主張(プーチン大統領の主張に沿った
もの)を引用している。シリアの軍人の多くがロシア語を喋れるのだ
というネトカチョフの主張の正当性はさて措くとして(バッシャール
・アサド大統領の父であるハーフィズ・アサド大統領をはじめとし
て、シリア軍人にソ連・ロシア留学組が多いことは事実であるが)、
BTR-82A装甲兵員輸送車やSu-34戦闘爆撃機のようにロシア軍しか保
有していない装備がシリアで目撃されている以上、ただの「軍事顧
問」であるとする主張はかなり根拠薄弱であろう。ムーヒンは敢え
てこの点に踏み込まずにお茶を濁しているが、軍事評論家である同
人にもこの点はよく分かっている筈だ。
 これはこれでシリア介入に関するロシア側の立場を知る上では興
味深いが、さらに注目したいのは、その狙いに関する部分である。
ロシアがシリアに軍事プレゼンスを展開し、しかもそれがシリア軍
と一体となってしまえば、米国は容易にアサド政権への攻撃を行う
訳にはいかないとムーヒンは見ている。
 記事中でも触れられているように、米国はロシアの軍事プレゼン
スが紛争の「エスカレーション」につながりかねないとの懸念を示
しているが、むしろこのような懸念を惹起することこそがロシアの
狙いであるのかもしれない。いうなればシリアに展開するロシア軍
は単にアサド政権を支えるだけでなく一種の「トリップ・ワイヤ」
(朝鮮半島で最前線に配備されている米軍と同様、同盟国への攻撃が
あれば域外大国の介入につながりかねないことを相手国に認識させ
るためのも)としての役割を期待されているのであり、その存在によ
って米軍の対アサド政権攻撃を回避することがロシアの狙いなのだ
と考えられよう。米軍は2013年からシリア領内への空爆を開始し、
今年8月にはトルコのインシルリク基地を拠点として無人機及び有人
機でISの拠点を攻撃しているが、今のところアサド政権側の部隊に
は攻撃は及んでいない。
 また、記事中でも触れられているように、ロシアは今後、シリア
紛争をISに対する「対テロ戦争」と再定義することを狙っている。
つまり、「アサド政権vs反体制派」であった当初のシリア内戦にIS
が参入してきたことを契機に、「IS vs 反IS連合(アサド政権+反体
制派+その他諸国)」へと紛争の構図を書き換えてしまおうというこ
とだ。
 8月11日に行われたロシアとサウジアラビアの外相会談において、
ラヴロフ外相はロシア、中東諸国、アサド政権による「対IS連合」
の創設を提起したものの、この際は反アサド政権を掲げるサウジア
ラビアの同意を得られることなく終わった。だが、ロシアが依然と
してこの構想を諦めていないことは、記事中でも引用されているプ
ーチン大統領やラヴロフ外相の発言からも明らかである。
 ところでロシアがシリアで軍事プレゼンスの増強を始めたのは今
年8月半ば以降と見られるが、これはムーヒンが触れている9月の国
連総会を見据えたものであろう。シリアにおける軍事プレゼンスに
よって米国の対アサド政権攻撃を封じた上で改めて対IS連合構想を
提起し、これを認めさせる思惑があるものと思われる。
 その背景には、IS対策のためにアサド政権を容認してもよいので
はないかとの空気が一部の西側諸国に見られるようになってきたこ
とであろう。今年3月、ケリー米国務長官が「最終的にはアサド政権
と交渉する必要がある」と述べたことや、記事中で触れられている
イスラエルの態度に見られるように、ロシアは「大連合」構想でア
サド政権の生き残りを図るチャンスが出てきたと読んでいるのでは
ないか。
 ただし、サウジアラビアとの交渉決裂からも想起されるように、
「大連合」構想の成立は簡単な話ではない。この場合、まさにプー
チン大統領が「将来の可能性」として示唆しているように、ロシア
が公にシリアで対IS軍事作戦に踏み切ることも考えられよう。いず
れにせよ、目前に迫った国連総会でプーチン大統領が何を語り、各
国がどのような反応を示すかが注目される。
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ロシアのシリア軍事介入問題
2015年09月08日 12:30 中東の窓
ロシアのシリアへの軍事介入の可能性が大きな問題となっていると
ころ、アラビア語メディアから、関連情報2つ次の通りです。
これらの報道の真偽のほどは不明ですが、事実であれば、ロシアは
まさに介入しようかという間際のような印象で、米国が強くその可
能性を危惧しているということのようで、今後のロシアの出方によ
っては、さらにシリア、中東情勢は複雑になりそうです。
記事の要点のみ
・7日のギリシャ政府筋によると、米国はギリシャに対してシリア
向けのロシアの航空輸送に対して、ギリシャ空域を使用することを
認めないように要請した。
ギリシャ外務省は、この要請を検討しているとしているが、ロシア
のノボスティ通信は、ギリシャはこの要請を拒否し、ロシアは今月
24日までの空域使用を要請していると報じている。
米国軍事筋は、ロシアの意図は未だ不明であるが、シリアに対して
仮設住宅を運んだり、管制施設を運んだり、危惧される動きが見え
るとしている。
http://www.alquds.co.uk/?p=399512
・シリア軍の旧軍人や離反した軍人等によると、ロシアはラタキア
県のjabalehに、その軍事基地を建設するような動きを示している
よし。
同地にはすでにロシア人専門家や機材が運び込まれ、また滑走路も
拡張されている。
現在jabaleh の港が小さいので、輸送艦はラタキア港に入港してい
る。また最近ロシアはシリアに対して新型機のMIG31を供与し
たが、これらの戦闘機は到着するとすぐ戦闘任務についており、シ
リア人操縦士の訓練は未だなので、専門家はロシア人操縦士が任務
についていると疑っている。
またシリア系のレバノン紙al safirもロシア専門家グループの到着
と、滑走路の拡張をほうじているが、ロシアは未だ新型戦闘ヘリの
供与に関するシリアの要請には応えていないとしている。
同紙は、また地上戦闘部隊の派遣については未だ決定していない模様。
http://www.aljazeera.net/news/reportsandinterviews/2015/9/7/?????-?????-????-???????-?????-??????-??????
http://www.alquds.co.uk/?p=399512
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時事イタリア語 イタリア語の新聞で最新のニュースを読みます
2015-09-10
http://albore.hatenablog.com/entry/2015/09/10/093516
ロシア軍、シリアに地上軍を派遣。中東に拠点の確保を目指すか
 ロシア軍がシリアのラタキア空港に兵士と物資を輸送し、シリア
での軍事作戦を開始した。プーチン大統領は二つのことを狙ってい
るようである。短期的にはシリアのアサド政権を擁護することであ
り、長期的にはシリア内戦の行方とはかかわらずに、シリアでアラ
ウィー派が保有している沿岸地域を支配することである。
 レバノンの情報筋は、「シリアでロシアの軍事作成が開始された
」が、これは当面は「限定的な作戦」にすぎないと語っている。こ
の作戦では、「シリア政府軍を支援するために、ロシアの海軍の兵
士の一部」が戦闘を始めているという。「こうした活動はさらに拡
大される可能性があり、これはロシアがもはやシリアでのアサド政
権の戦争をたんに見守りだけではなく、これに参加していることを
示すものである」という。
 この戦闘は、「アサド政権軍」のラタキア国際空港にロシアの100
名以上の海軍の兵士が到着してから24時間以内に開始されている。
ラタキア空港には、先行きが危ぶまれるアサド政権を支持するため
に、ロシアからさかんに空輸が行われている。
 ロシアの巨大な輸送機であるアントノフ124コンドル機2機と別の
1機の輸送機がラタキア空港に着陸し、軍需品、精密な通信機器、施
設の建設資材、軍の関係者を運び込んでいる。さらに別の航空機が
到着する予定である。アメリカ合衆国の情報筋はCBSの番組で、「こ
の空港には、少なくとも1000人の兵士が泊まれるユニットが運び込
まれた」と説明している。またテルアビブの124ニュースでは、ロシ
アがラタキア空港を、設備を保護し、兵士たちを宿泊させ、資材を
保管することができる「軍事的なハブ」にするために「移動ユニッ
ト」を運び込む準備をしていると伝えている。
 この最初の空輸隊は、ロシアの南部を飛び立ち、ブルガリアとギ
リシアの上空を飛行してシリアに到着したが、アメリカ合衆国の要
請で、ブルガリア政府が領空の通過を拒否したために、今後の空輸
隊はカスピ海からイランとイラクの上空を通過することになろう。
 ラタキア空港には同時に、テヘランを飛び立ち、アバダンとダマ
スカスを経由したイランのマーハーン航空の2機の飛行機が到着して
いる。マーハーン航空はイランの民間の商業的な航空会社で、アメ
リカ合衆国はこの航空会社が、国外で活動してているイランの革命
防衛隊ゴドス軍に兵士と資材を輸送していると非難している。ロシ
アとイランの空輸が同時期に行われたことは、イランも軍事活動の
拡大に関与していることを示すものである。
 ロシアとイランは短期的にはアサド政権を支援するという目標を
共有している。アサド政権は、「征服軍」と呼ばれるイスラーム過
激派の軍がラタキアを目指し、「イスラム国」がダマスカスを目指
して進軍している中で、領地をますます失っているのである。ただ
し中近東の戦略の専門家であるロバート・カプラン氏は、別の観点
を提起している。「ロシアは長期的に、アラウィー派の確保してい
る沿岸地帯を支配したいと考えている」というのである。ロシアが
目指すのは、シリアの内戦の行方とは無関係に、トルコとレバノン
の国境近くにあるアラウィー派の沿岸地帯と、ラタキア空港と、ロ
シアの地中海艦隊の基地であるタルトゥス港を確保することである
という。これらの場所を、いわばロシアの中近東における「飛び地
」のようなものとすることを目指しているのである。
 ロシアが、アラウィー派の土地にロシアの砦を建設する意図を持
っていることは、ロシアがタルトゥス港の沖合で輸送活動を展開し
ており、ロシア軍の2隻の水陸両用船が、戦車、装甲車、砲兵隊の軍
需品を陸揚げしていることからも明らかである。ロシアの外務省の
スポークスマンであるマリア・ザハロヴァ氏は、世界からの注目を
逸らすかのように、「シリア軍を援助し、ロシアが供給した兵器シ
ステムを管理するために」専門家が到着していると語っているだけ
である。「わが国がシリアと技術的および軍事的な協力を行ってき
たことは、これまで否定していない」という。そしてオバマ政権が
表明した懸念についても、西側諸国はヒステリーを起こしていると
非難した。シリアのアサド政権のスポークスマンもこれに同調して
いる。「ロシアの兵士たちが配備されたわけではなく、軍事物資が
配備されただけである」という。しかし実際には、根本的な軍事戦
略の転換が行われたのである。



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