5489.ロ軍、シリアで戦闘参加か



内戦が続くシリアでアサド政権軍を支援するため、少数のロシア軍
部隊が戦闘に参加し始めたという。様々な傍証からシリアにロシア
軍がかなりの規模で展開していることはほぼ確実と思われ、一部で
は軍事作戦に参加している。

これで、ロシアがシリアに軍事展開し、しかもそれがシリア軍と一
体となたら、米国は容易にアサド政権への攻撃を行う訳にはいかな
いことになる。核戦争の危険が出で来るからである。

このため、米国ケリー長官はロシアのラブロフ外相と電話協議し、
こうした動きが事実なら、シリア内戦を悪化させ、過激派組織「イ
スラム国」と戦うシリア反体制派を危険にさらすとして強い警戒感
をロシア側に伝えた。

ロシアのプーチン大統領は4日、過激派組織「イスラム国」に対す
る軍事作戦に関し、ロシアの参加を検討するのは「時期尚早だ」と
指摘したが、事実は逆のようである。

なぜ、気にするのかというと、ロシア軍が中東に来ることは、黙示
録に書いてある。これで中東のハルマゲドンが始まったことになる。

ヨハネの黙示録の第七の封印が解かれ始めたことになる。

さあ、どうなりますか?


==============================
ロ軍、シリアで戦闘参加か 「少人数で」と報道
2015/09/10 05:58   【共同通信】
 【カイロ、ワシントン共同】ロイター通信は9日、複数のレバノ
ン筋の情報として、内戦が続くシリアでアサド政権軍を支援するた
め、少数のロシア軍部隊が戦闘に参加し始めたと報じた。
 ロシア政府は同日、軍事顧問をシリアに派遣したことは認めたが
、供与した兵器の使用方法を教えるためだと説明していた。ロイタ
ーによると、レバノン筋は「ロシアはもはやただの顧問ではない」
と指摘。ただ戦闘への参加は「少人数」で「大部隊はまだ加わって
いない」と述べた。
 ケリー米国務長官は9日、5日に続きロシアのラブロフ外相と電
話会談し、同国によるシリアでの軍備拡張の動きに再度懸念を表明。
==============================
ロシア側の見方とその狙い
2015年09月10日(Thu)  小泉悠 (財団法人未来工学研究所客員研
究員)WEDGE
ここ数日、ロシアがシリアに軍事介入を始めたのではないかとの観
測が高まっており、米国も懸念を表明し始めた。筆者も別の媒体
(http://bylines.news.yahoo.co.jp/koizumiyu/20150906-00049218/
)で詳しく検証したが、様々な傍証からシリアにロシア軍がかなり
の規模で展開していることはほぼ確実と思われ、一部では軍事作戦
に参加している可能性も考えられる。
 だが、それが事実であるとして、ロシアの狙いは何であろうか。
これについてロシアの軍事評論家で有力紙『独立新聞』の軍事問題
記者であるウラジミール・ムーヒンの見解が『独立新聞』に掲載さ
れたので以下に紹介したい。
『独立新聞』に掲載されたムーヒンの見解
 (翻訳)
 ウラジミール・ムーヒン「ダマスカスはロシア軍人を待っている:
ウラジミール・プーチンは国連総会でシリアに対する具体的な支援
策を提起するだろう」『独立新聞』2015年9月7日
 米国は、シリアにおいてロシアが軍事プレゼンスを増強し、ロシ
ア連邦の軍人がバシャール・アサドの側について戦闘に参加するこ
とを真剣に恐れている。先週の土曜日、ジョン・ケリー米国務長官
はこの問題についてセルゲイ・ラヴロフ露外相と電話会談を行った。
西側メディアでは、ロシア軍人やロシアの最新型兵器がシリアに存
在し、戦闘行動に参加しているという多くの記事(写真を含む)が
この以前から出回っていた。そしてついにプーチン露大統領がこう
した主張を否定するまでになったのである。
 米国務省報道官が述べたところによると、米国務長官はセルゲイ
・ラヴロフに対し、「同地(『独立新聞』註:シリアを指す)における
ロシアの軍事プレゼンス増強の懸念が事実であるとすれば、個別の
戦闘が紛争の更なるエスカレーションにつながる可能性がある」と
伝えたという。これに対する我が外相の反応は明らかでない。しか
し、ロシアの報道各社は、ラヴロフとケリーがシリアに関する協議
をニューヨークで継続する見込みであると伝えている。同地では9月
15-22日にかけて第70回国連総会が開催される。
 その年次会合では、ウラジミール・プーチンの演説が予定されて
いる。ラヴロフは以前、この機会に、ロシアはシリア情勢を収拾す
るための独自案を提案する計画だと述べていた。特に国連安保理に
おいては、対「イスラム国(IS)」連合の設立を検討するよう提案が
行われるであろう。これは安保理に「完全な法的正統性を与え、国
際社会の支持を取り付ける」ことを目的としたものとされる。ウラ
ジミール・プーチンは、金曜日、すでに多くの政府がこの構想を支
持していると述べた。同人はこの問題に関して、対IS軍事作戦にロ
シアが参加することを云々するのは時期尚早であるとマスコミとの
会見において発言している。大統領は、記者の質問に答えて、「我
々は様々な可能性を検討しているが、しかし、あなたが今おっしゃ
ったようなこと(『独立新聞』註:軍事作戦への参加を指す)は我々の
議題とはなっていない」と述べた。また、大統領は「シリアの我が
友人達、そして同地域の各国との協議を進めることになろう」とし
た。
 一方、『ニューヨーク・タイムズ』紙は先週の金曜日、匿名の米
政府関係者の話として、シリアの空軍基地にロシア軍の先遣隊と移
動式航空管制システムが現れたと報じた。これに先立ち、イスラエ
ルのメディアでは、アサド政権側に立って戦うスンニ派勢力の情報
として、シリアにはロシア人パイロット、最新型のSu-34及びSu-27
戦闘機、そして「プチェラ-1T」無人偵察機が到着したと報じた。ロ
シア外務省は先週、この情報を否定している。だが、過去2週間の間
に少なくとも3隻のロシアの揚陸艦(「ニコライ・フィルチェンコフ
」、「コロリョフ」、「ノヴォチェルカッスク」)と練習艦「スモー
リヌィ」が「カモフラージュネットを被せた武器とともに」ボスポ
ラス海峡を通過したというトルコのメディアには情報には何も言及
がなかった。英『タイムズ』は最近、ロシアの軍人と見られる人物
が最新型のBTR-82A装甲兵員輸送車に乗って政府側部隊の側で戦う映
像を紹介した。これには会話を拾ったらしいトランスクリプトが付
されていた。
 軍事専門家であるユーリー・ネトカチョフ少将は、ロシアの軍事
顧問団の増強はまったく当然のことであると見ている。「彼らは当
然、自らの同僚達とロシア語で話している。そしてシリア軍人の多
く、特に将校は我が国の軍事教育施設で学んでいるのだから、ロシ
ア語をよく知っている。したがって、無線の会話でロシア語が聴こ
えてきても当然なのだ」と彼は言う。また、ネトカチョフ将軍は、
シリアでロシア人が戦闘行動を行っているとは考えていない。同人
は、「我々はシリアに対して非常に充分な支援と物資、軍人の訓練
、武器を提供している」という金曜日のプーチン発言を引用した。
 だが、将来的にロシアの軍人がISとの戦いに参加することは排除
されていないようだ。第一に、アサド政権に忠実な「アル・ワタン
」紙の情報によれば、ロシアは地中海沿岸のジャブラに新たな軍事
基地を建設することを計画しており、ダマスカスはこれに好意的な
反応を示しているという。ラタキアの南方25kmにあるジャブラは、
シリア最大の港にしてこの地域の中核都市であり、バッシャール・
アサドを支持するアラブ・ムスリムの居住地である。
 ロシア海軍の物資装備拠点があるタルトゥース港と異なり、同地
は部隊や艦隊が安全に集結し、より多くの予備物資や武器を集積す
る上で好適な条件を備える。第二に、ウラジミール・プーチンはウ
ラジオストクにおいて、ロシアの参加する連合を結成する可能性を
示唆した。「我々はテロリズム及び過激主義との戦いに関する何ら
かの国際連合を結成することを実際に望んでいる」とした上で、同
人は、「我々は国防当局のラインで連絡を取っており、最近、モス
クワでこの紛争(『独立新聞』註:シリアとイラクにおける紛争を指
す)と関わりのある国々の参謀本部の指導部と協議を行った」と述べ
た。
 第三に、アサド政権を支援するロシア、イラン、中国が対IS連合
の主要参加国となるとの観測がマスコミで流れている。最近モスク
ワを訪問したイランのモハメド・ジャワド・ザリフ外相は、テロリ
ズム及び過激主義との戦いにおける経済的な協力関係以外の優先分
野として、イランとロシアの連携を挙げた。そして中露は今年5月、
シリア沿岸から遠くない海域で合同軍事訓練を行っている。
 このようにしてみれば、中東地域におけるロシアの軍事的な活発
さに対する米国の懸念は理解できるものだ。ペンタゴンはすでにア
サド政府軍に対する爆撃を考慮し始めているが、シリア軍の戦闘序
列にロシア軍人が含まれる可能性があれば、このようなシナリオは
排除される。アサド政権がISよりも危険性が少ないと信じるイスラ
エルは、この点では米国に同調していない。旧ソ連やロシア出身の
国民も勤務しているイスラエル国防軍では、米国とは異なり、イス
ラム過激主義との戦いのためにロシアが軍事連合を形成することは
より実際的であると見なされている。
 (翻訳終わり)
ロシアがシリアに軍事介入を始める狙いとは
 ムーヒンは、シリアへのロシア軍展開に関する欧米及び中東の報
道を手際よくまとめた上で、これが単なる軍事顧問団の増強に過ぎ
ないとするネトカチョフ少将の主張(プーチン大統領の主張に沿った
もの)を引用している。シリアの軍人の多くがロシア語を喋れるのだ
というネトカチョフの主張の正当性はさて措くとして(バッシャール
・アサド大統領の父であるハーフィズ・アサド大統領をはじめとし
て、シリア軍人にソ連・ロシア留学組が多いことは事実であるが)、
BTR-82A装甲兵員輸送車やSu-34戦闘爆撃機のようにロシア軍しか保
有していない装備がシリアで目撃されている以上、ただの「軍事顧
問」であるとする主張はかなり根拠薄弱であろう。ムーヒンは敢え
てこの点に踏み込まずにお茶を濁しているが、軍事評論家である同
人にもこの点はよく分かっている筈だ。
 これはこれでシリア介入に関するロシア側の立場を知る上では興
味深いが、さらに注目したいのは、その狙いに関する部分である。
ロシアがシリアに軍事プレゼンスを展開し、しかもそれがシリア軍
と一体となってしまえば、米国は容易にアサド政権への攻撃を行う
訳にはいかないとムーヒンは見ている。
 記事中でも触れられているように、米国はロシアの軍事プレゼン
スが紛争の「エスカレーション」につながりかねないとの懸念を示
しているが、むしろこのような懸念を惹起することこそがロシアの
狙いであるのかもしれない。いうなればシリアに展開するロシア軍
は単にアサド政権を支えるだけでなく一種の「トリップ・ワイヤ」(
朝鮮半島で最前線に配備されている米軍と同様、同盟国への攻撃が
あれば域外大国の介入につながりかねないことを相手国に認識させ
るためのも)としての役割を期待されているのであり、その存在によ
って米軍の対アサド政権攻撃を回避することがロシアの狙いなのだ
と考えられよう。米軍は2013年からシリア領内への空爆を開始し、
今年8月にはトルコのインシルリク基地を拠点として無人機及び有人
機でISの拠点を攻撃しているが、今のところアサド政権側の部隊に
は攻撃は及んでいない。
 また、記事中でも触れられているように、ロシアは今後、シリア
紛争をISに対する「対テロ戦争」と再定義することを狙っている。
つまり、「アサド政権vs反体制派」であった当初のシリア内戦にIS
が参入してきたことを契機に、「IS vs 反IS連合(アサド政権+反体
制派+その他諸国)」へと紛争の構図を書き換えてしまおうというこ
とだ。
 8月11日に行われたロシアとサウジアラビアの外相会談において、
ラヴロフ外相はロシア、中東諸国、アサド政権による「対IS連合」
の創設を提起したものの、この際は反アサド政権を掲げるサウジア
ラビアの同意を得られることなく終わった。だが、ロシアが依然と
してこの構想を諦めていないことは、記事中でも引用されているプ
ーチン大統領やラヴロフ外相の発言からも明らかである。
 ところでロシアがシリアで軍事プレゼンスの増強を始めたのは今
年8月半ば以降と見られるが、これはムーヒンが触れている9月の国
連総会を見据えたものであろう。シリアにおける軍事プレゼンスに
よって米国の対アサド政権攻撃を封じた上で改めて対IS連合構想を
提起し、これを認めさせる思惑があるものと思われる。
 その背景には、IS対策のためにアサド政権を容認してもよいので
はないかとの空気が一部の西側諸国に見られるようになってきたこ
とであろう。今年3月、ケリー米国務長官が「最終的にはアサド政権
と交渉する必要がある」と述べたことや、記事中で触れられている
イスラエルの態度に見られるように、ロシアは「大連合」構想でア
サド政権の生き残りを図るチャンスが出てきたと読んでいるのでは
ないか。
 ただし、サウジアラビアとの交渉決裂からも想起されるように、
「大連合」構想の成立は簡単な話ではない。この場合、まさにプー
チン大統領が「将来の可能性」として示唆しているように、ロシア
が公にシリアで対IS軍事作戦に踏み切ることも考えられよう。いず
れにせよ、目前に迫った国連総会でプーチン大統領が何を語り、各
国がどのような反応を示すかが注目される。
==============================
ロシア軍のシリア展開に懸念 内戦悪化の恐れと米長官
2015年9月6日 16時58分
 【ワシントン共同】米国務省によると、ケリー国務長官は5日、
ロシアのラブロフ外相と電話協議し、シリアでロシアが軍備を拡張
しようとしているとの情報があるとして懸念を伝達した。
 5日付のニューヨーク・タイムズ紙は、ロシアが軍の先遣隊をシ
リアに派遣するなどアサド政権に対する軍事支援を強化する兆候が
あると報道。ケリー長官はこうした動きが事実なら、シリア内戦を
悪化させ、過激派組織「イスラム国」と戦うシリア反体制派を危険
にさらすとして強い警戒感をロシア側に伝えた。
==============================
ロシア参戦は「時期尚早」=対「イスラム国」でプーチン大統領
 【モスクワ時事】ロシアのプーチン大統領は4日、過激派組織「
イスラム国」に対する軍事作戦に関し、ロシアの参加を検討するの
は「時期尚早だ」と指摘した。極東ウラジオストクで記者団に語っ
た。ロシアは同組織と戦うシリアのアサド政権を軍事支援している。
 これより先、イスラエルのメディアが「ロシアが兵員数千人と航
空戦力の投入を決めた」と伝えていたが、報道を否定した形だ。米
国務省は情報を精査中としている。
 プーチン大統領は「あらゆる選択肢を想定しているが、(作戦参
加は)検討課題ではない」と指摘した。一方で「シリアの友人や(
中東)地域諸国と協議を続ける」とも述べ、自身が提唱したアサド
政権を含む対テロ共同戦線の創設を目指す考えを示した。
(2015/09/04-17:44)
==============================







コラム目次に戻る
トップページに戻る