5487.ポスト・アベノミクス政策



追加の量的緩和を行っても、世界の景気が悪くなり実体経済が力を
持つので、心理的な金融経済が効かなくなる。通貨下落競争も起き
て、全体の水準が落ちるので、追加の量的緩和をしても円安になる
かどうかわからない状態である。

このため、追加的な量的緩和はしても無駄である。それより、貧富
の差を縮小して、消費経済の底上げをこの機会にしないと、景気は
悪くなり、貧富の差が固定化されて、階級社会になっていくことに
なる。それは最低でも阻止しないと、日本の可能性が大きく毀損し
て、今後の展望が描けなくなる。

今後、非正規労働が増えてくるが、その人たちでも子供を大学まで
教育できる賃金と教育支援のプログラムを整備することが必要であ
る。

企業の利益を考えると、労働環境の柔軟化は重要かもしれないが、
そのために労働賃金が減少すると、消費経済もマイナスになり、日
本全体のGDPも落ちることになる。

もう1つ、年金生活者が多く、生活必需品のインフレを引き起こす
と、消費経済はマイナスになり、しかし、旅行などの一過性の消費
は、全体的な経済環境が良いと膨大な貯蓄があるので、消費するこ
とが分かっている。このため、生活必需品の価格は安定させること
である。

ということで、アベノミクスの中心である金融政策が効かないので
農業改革、医療改革などの構造改革や貧富の差を無くす本当の改革
をすることが必要になってきている。

給付付き税額控除制度を視野にマイナンバーを導入するのであるか
ら、それを推進するべきである。軽減税率でも財務省は給付付き税
額控除方式を取り入れた案を示している。

日本経済の一番大きな問題は、長期停滞の原因である人口減少かつ
少子高齢化である。この根本の問題は移民政策でしか現時点では解
決方法がない。しかし、この移民政策は不人気である。このため、
人的資源の一時的な流入という手段しかないが、イスラム圏ではな
く、親日的な仏教国からの人的資源の流入を促進すればよい。

このためには、FTAを相手国と結び、労働の自由化を含めた条約を親
日仏教国と結べば良いのである。

というように、アベノミクスの中心的な政策である金融政策、取り
分け、量的緩和は効かないことを明言する。


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ロイター調査:安倍政権への要望と現実に「大きなかい離」
 2015年 09月 7日 14:43 JST
[東京 7日 ロイター] - 安倍晋三政権に望んでいる政策は労働
市場の規制緩和や社会保障制度改革だが、実際に実行されるのは補
正予算編成や追加金融緩和──。ロイターが民間シンクタンク15
社を対象に行った緊急調査で、市場関係者が求めている政策と予想
される現実に大きなかい離があることが分かった。
潜在成長力を引き上げるアベノミクスの第3の矢は、実行されない
との「冷ややかな目」が安倍政権に注がれていると言えそうだ。
この調査は今月2日─4日に実施、安倍政権が実行すべき政策と実
行しそうな政策を聞いた。選択肢は追加金融緩和、補正予算編成な
どの景気対策、労働市場の規制緩和、医療分野の規制緩和、農業分
野の規制緩和、財政再建の推進、社会保障制度の改革、憲法改正の
8つ。そこから、それぞれ2つの選択を求めた。
金融政策は日銀の所管だが、アベノミクスの重要な要素になってい
るため選択肢に含めた。
その結果、実行すべき政策として労働市場の規制緩和と社会保障制
度の改革が最多の11ポイントとなり、次いで医療分野の規制緩和
が4ポイント、財政再建の推進と農業分野の規制緩和が2ポイント
、追加金融緩和と補正予算が1ポイントずつで、憲法改正はゼロだ
った。
一方、実行しそうな政策では補正予算が14ポイント、追加金融緩
和が8ポイント、労働市場と農業分野の規制緩和がそれぞれ2ポイ
ント、医療分野の規制緩和と社会保障制度の改革、憲法改正がそれ
ぞれ1ポイント、財政再建の推進はゼロだった。
安倍政権に求める政策として規制緩和を挙げる意見が多かった背景
として、バークレイズ証券・チーフエコノミストの森田京平氏は「
円安になっても、製造業を中心に設備投資が伸びていない。これは
設備投資の説明変数として、将来への成長期待が不十分であること
を示唆し、規制緩和の必要性につながる」と分析する。
そのうえで森田氏は「日銀の目指す物価安定の目標は、実質賃金の
増加を伴うかたちで実現する必要があるが、実質賃金は労働生産性
に規定される。労働生産性を高めるうえで、労働市場改革は不可欠
」と述べている。
また、これまでアベノミクスの大きな推進力だった大規模な金融緩
和と財政出動に関しても「第1と第2の矢は、ともに限界」(明治
安田生命・チーフエコノミストの小玉祐一氏)との声が出ている。
追加金融緩和や補正予算が実行すべき政策の中で1ポインずつにと
どまっているのは、こうした見方が多いことを反映しているとみら
れる。
明治安田生命の小玉氏は「日本経済の根本的な問題は潜在成長率の
低下であり、成長戦略を着実に進めるしかない。財政再建も喫緊の
課題」と話す。
UBS証券・シニアエコノミストの青木大樹氏も「輸出数量が拡大
しにくい状況では、金融緩和による円安も効果が薄い可能性がある
」と指摘。「より進めるべきは、生産性向上につながる労働や医療
の分野での規制改革だ」と述べた。
さらに人手不足に目を向ける声もある。農林中金総合研究所・主任
研究員の南武志氏は「成長なくして財政再建なしにとって、ネック
は労働供給政策と社会保障制度の抜本改革である」と指摘した。
社会保障制度の改革では、JPモルガン証券・シニアエコノミスト
の足立正道氏が「財政改革と成長戦略の双方の観点から喫緊の課題
」と、その早期実行を強く求めている。
ただ、こうした第3の矢への強い期待感や必要性を指摘する声とは
裏腹に、現実に政策を打ち出すとなると、既得権益をがっちりと守
る「岩盤」をぶち破ることは難しいとの見方があるようで、これま
での「成功体験」がある第1と第2の矢に頼って、これを繰り返す
のではないか、との冷めた見方が多いのが特徴だ。
足元の市場では、中国発の市場混乱を反映し、20カ国・地域(G
20)財務相・中銀総裁会議でも、決定的な協調策や抜本的な対応
策が打ち出されなかったことを受け、週明け7日の東京市場でも日
経平均.N225は続落し、一時、1万7500円台を割り込んだ。
ある国内銀行の関係者は「海外投資家がアベノミクスのパワーに関
し、2年前のような期待感を失っている。国内勢も懐疑的になって
おり、日本株の積極的な買い手が減っている」と話す。
一方、2018年の安倍首相の自民党総裁任期まで安倍政権が存続
することを望むのか、という質問に対しては「はい」が12社、「
いいえ」が1社となり、存続を望む声が圧倒的に多かった。
 (田巻一彦)
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