5478.今後の世界・日本の経済は?



株式市場の混乱は収まったようであるが、それでは世界や日本の経
済はどうなるのでしょうか?それを検討する。  津田より

0.現状
8月初めに、「5458.世界経済のサイクル」を書いて世界経済
に変調が起きると予測したが、8月中旬以降に株の暴落として現実
化した。このコラムを読んでいる投資家は、いち早く手じまったと
思うがどうであろうか?

そして、この株暴落で調整されたことは何かと言うと「5474.
金融バブルの調整が原因」で書いたように、量的緩和で歪が出てい
るので、その歪の調整であるとした。

しかし、どうもそれが終わっていないようである。私が考えたこと
ではなく、米FRBがそう思っているようなのである。

そして、金曜日28日の市場は、ニューヨークのダウ平均は小幅反
落し、前日終値比11・76ドル安の1万6643・01ドルで、
東京の日経平均株価(225種)は3日続けて上昇し、終値は、前
日比561円88銭高の1万9136円32銭だった。ここで調整
は一段落したようである。

今回の暴落の起点は上海市場の暴落と中国経済の減速で起こったと
思われている。しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)のフィッ
シャー副議長は29日、金融政策の効果が表れるには一定の時間を
要するため「目標達成を待たずに、利上げを開始する必要がある」
と指摘した。

これで9月にも利上げが起こると見た市場関係者が、株式市場で弱
気になっている。

これでわかるのは、米国の金利引き上げが世界経済に大きな影響を
与えるので、それへの警戒心が大きいことが分かる。金利が引き上
げになれば、新興国から資金が流出して、新興国経済は減速するこ
とが確実であるからだ。

しかし、それを分かってもFRBは行うという。それでは、なぜ米
連邦準備制度理事会(FRB)は、利上げに動いているのであろう
か?

エコミスト誌「The slumps that shaped modern finance」の中にあ
る下図が端的に示している。
http://shima5.web.fc2.com/bubble.pdf

この図のように現在の株価水準が1929年の「暗黒の木曜日」の
直前の株価に匹敵した高い水準にある。このため、現時点で米国は
バブルが発生しているとFRBは見ているのである。

金余りは必ず過剰債務と資産バブルをもたらし、最後は崩壊して「
正常な状態」に戻る。現時点、その崩壊の規模はリーマンショック
の何倍も大きいようだ。そして、多くが新興国の債務(その大部分
はジャンク)であり、規模が3倍増にもなっている。

ということで、本質的な問題は企業の過剰債務であり、その崩壊に
よる金融危機に再度陥る可能性をFRBは心配しているのである。
起これば、リーマンショクの数倍以上の規模になり、立て直しがで
きなくなる。

しかも、米商務省が27日発表した第2・四半期の国内総生産(G
DP)改定値は、年率換算で前期比3.7%増となった。経済的に
は比較的勢いがあることを示し、米連邦準備理事会(FRB)によ
る年内の利上げをする経済環境は整っている。

1.中国の経済政策
このため、最初に米国は量的緩和を中止した。しかし、ここで、中
国経済が減速して、中国から資金流出で、米ドルにリンクさせてい
る元の買い支えを行うために、ドル資金を得るために米国債を売り
始めた。

中国人民銀行は2003年からの10年間で外貨建て資産を約4兆
ドル積み上げた。貿易によって流入したドルは米国債などの証券に
投資され、人民元の上昇を抑える役割を果たしてきた。しかし今、
そのマネーの流れが逆転している。人民銀行が買って抱え込んだ資
産の規模は、米連邦準備理事会(FRB)のQEをすべて合わせた
額より規模が大きい。

この資産を売ってドル資金が市場に流出してくるので、量的緩和と
同じ効果がある。このため、FRBのフィッシャー副議長も、最近
の市場混乱の震源となった中国をめぐる情勢については、他国への
影響拡大を「いつも以上に注視している」と述べ、警戒を強めてい
ることを明らかにした。

反対に、中国は量的引き締めの効果が出てくる。ドイツ銀行の顧客
向けノートで「人民銀行は外貨準備を売却し、世界の固定利付資産
の保有を減らすことによって人民元を防衛している。この行動は量
的緩和(QE)の巻き戻し、言い換えれば量的引き締めに相当する
」と指摘した。

これは最大の保有国である中国が米国国債を売ることに警戒してい
るとともに、景気後退局面で金融引き締めを行うことで、一層、中
国経済は減速する危険があるので、FRBはヒヤヒヤして見ている
し、米企業の投資を早く引き上げないと投資資金回収ができなくな
ると見ているのである。

こうした中、8月11日に中国人民銀行が、過去数カ月にわたり米ドル
とペッグ(固定)状態にあった人民元の実質的な切り下げを行った
ことは、資金流出を加速させても、元介入の量的な問題が生じてい
て、下げざるを得ない状態になったようにも感じる。

そして、それが市場に米ドルの「独歩高」を意識させ、新興国や資
源国通貨への下落圧力を強めることにつながったのである。

このため、ブラジルは第2四半期の国内総生産(GDP)は前期比1.9%
減となり、景気後退(リセッション)に突入した。約30年ぶりの大
幅な減速となるというように、新興国経済は軒並み景気後退になっ
てきた。

しかし、中国経済はすぐに崩壊することはない。それは、中国には
3兆6000億ドルに及ぶ外貨準備を抱えているためで、資金流出
に余裕を持って対処できるからである。

それでは、どうなるかというと、それはバブルが弾けるというより
は、長くゆっくりとしたデフレに陥ることになるのであろう。当分
、世界経済を下押しする存在になるようだ。

2.日本経済は
一方、日本経済では、個人消費の回復が鈍い。総務省が28日発表し
た7月の家計調査によると、1世帯あたりの実質消費支出は前年同
月比0.2%減の28万471円だった。

6月に悪天候などで3.0%減と大きく落ち込んでいたことを踏まえる
と、反発力は弱い。明治安田生命保険の謝名憲一郎エコノミストは
「消費の水準は消費税の駆け込みがなかった2012年度平均を6%強
下回り、力強さを欠く」と指摘する。

この報告は、私の感じと同じであり、牛丼を値上げした吉野家や松
屋などが顧客数を減少させている理由と同じである。今までは、顧
客がより高価な料理店にシフトしたと思われていたが、弁当などの
より安価な方向にシフトしたようである。

実質賃金が上昇しないと、経済は良くならないが、もし上昇しても
それほど大きく日本経済は成長するとも思えない。世界的なデフレ
の傾向が続き、日本もその傾向に適合した動きになるように思うが
どうであろうか?

さあ、どうなりますか?


参考資料:
5474.金融バブルの調整が原因
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/270826.htm

5458.世界経済のサイクル
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/270809.htm

The slumps that shaped modern finance
http://www.economist.com/news/essays/21600451-finance-not-merely-prone-crises-it-shaped-them-five-historical-crises-show-how-aspects-today-s-fina?fsrc=scn/tw/te/pe/ed/theslumpsthatshapedmodernfinance

On Second Thought, China Slowdown Will Hit Global-Growth Outlook
http://www.bloomberg.com/news/articles/2015-08-28/on-second-thought-china-slowdown-will-hit-global-growth-outlook

A Cautionary History of US Monetary Tightening
http://www.project-syndicate.org/commentary/fed-monetary-policy-tightening-risks-by-j--bradford-delong-2015-08

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NYダウ、小幅反落…1万6643・01ドル
2015年08月29日 06時06分
 【ニューヨーク=越前谷知子】28日のニューヨーク株式市場で
、ダウ平均株価(30種)は小幅反落し、前日終値比11・76ド
ル安の1万6643・01ドルで取引を終えた。
 ナスダック店頭市場の総合指数は、15・61ポイント高の
4828・32で取引を終えた。
2015年08月29日 06時06分 Copyright c The Yomiuri Shimbun
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日経平均終値、1万9000円台を回復
2015年08月28日 18時48分
 28日の東京株式市場は全面高の展開となり、日経平均株価(
225種)は3日続けて上昇し、終値は、前日比561円88銭高
の1万9136円32銭だった。
 終値で1万9000円台を回復するのは5営業日ぶり。
 前日に発表された米国の4〜6月期の実質国内総生産(GDP)
改定値が速報値より大幅に上方修正されたことが好感され、日経平
均の上げ幅は一時、610円を超えた。
 朝方に発表された日本の7月の有効求人倍率や完全失業率が市場
予想より良好だったことも、相場の支えとなった。東証1部に上場
する銘柄の96・2%が値上がりした。中国や、他のアジア市場で
も株価が値上がりしたことも、投資家の安心感につながった。
 市場では「中国経済への過度な警戒感が和らぎ、企業業績が好調
な日本株に再び注目が集まっている」(アナリスト)との見方もあ
った。
2015年08月28日 18時48分 Copyright c The Yomiuri Shimbun
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米利上げ、慎重に実行=中国経済の動向注視−FRB副議長
 【ワシントン時事】米連邦準備制度理事会(FRB)のフィッシ
ャー副議長は29日、ワイオミング州ジャクソンホールで開催中の
シンポジウムで、FRBによる利上げについて、米国内の雇用、物
価とともに、中国経済の動向などを注視しながら「慎重に進める」
と述べた。講演テキストでは、利上げ開始時期への具体的な言及は
なかった。
 テキストによると、副議長は目標の2%を下回っているインフレ
率に関し、ドル高による下押し圧力は当面続くものの、雇用の改善
などに伴い、徐々に加速すると予想。金融政策の効果が表れるには
一定の時間を要するため「目標達成を待たずに、利上げを開始する
必要がある」と指摘した。
 最近の市場混乱の震源となった中国をめぐる情勢については、他
国への影響拡大を「いつも以上に注視している」と述べ、警戒を強
めていることを明らかにした。(2015/08/30-01:30)
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ドル高に元安、新興国と資源国に追い撃ち
資金流出のおそれ、通貨危機再び?!
西濱 徹 :第一生命経済研究所 主席エコノミスト 2015年08月29日TK
米国FRB(連邦準備制度理事会)は、年内にも政策金利を引き上げる
と予想されており、米ドル高観測によって、新興国および資源国か
らの資金流出が続いてきた。こうした中、8月11日に中国人民銀行が
、過去数カ月にわたり米ドルとペッグ(固定)状態にあった人民元
の実質的な切り下げを行ったことは、市場に米ドルの「独歩高」を
意識させ、新興国や資源国通貨への下落圧力を強めることにつなが
った。
その影響が特に色濃く出ているのは、近年、中国経済との連動性を
強め、足元の中国の景気減速のあおりを受けやすい、ASEAN(東南ア
ジア諸国連合)だ。
不安定なインドネシア、マレーシア
インドネシアやマレーシアは資源国でもあり、現下の商品市況の調
整も、景気低迷や対外収支の悪化につながるとの連想を生みやすい
。マレーシアでは政治資金をめぐる疑惑からナジブ政権の支持率が
低下し、タイでは暫定政権の長期化による民政移管の後ずれが懸念
されるなど、政治的に不安定な状況も続いている。タイにおいては
今月発生した爆弾テロによる情勢不安も懸念される。
結果として、海外投資家の間には、こうした国々から資金を引き揚
げる動きが出ている。タイやインドネシアは、1997年にアジア通貨
危機の“震源”となった国でもあり、投資家の中には根深い不信感
があるのだ。
実際には通貨危機を教訓に、アジア域内で外貨を融通し合うセーフ
ティネットが構築されており、アジア発でグローバル金融市場に危
機的状況が伝播するリスクは大きく軽減された。むしろ資金流出が
こうした国々の経済を弱体化するおそれがある。
資金流出圧力が高まっているのはアジアだけではない。「フラジャ
イル(脆弱な)・ファイブ」と呼ばれる5カ国もある。これらの国で
は、2013年、バーナンキ前FRB議長による量的金融緩和の終了を示唆
する発言をきっかけに資金流出が加速し、国際金融市場の動揺
(TaperTantrum)が起きたことは、記憶に新しい。
うちインドについては、14年後半以降の原油安によって経常赤字が
圧縮されるなど対外収支の改善が進んだものの、それ以外(トルコ
、南アフリカ、インドネシア、ブラジル)は、構造的な脆弱さがい
まだ残っている。
中でもトルコは原油を輸入に依存しており、貿易赤字の半分近くが
原油関連で生じていたため、原油安はプラスの効果を上げると期待
された。だが、経常赤字の圧縮は、期待ほど進んでいない。今年6月
の総選挙では、与党・公正発展党(AKP)が議席を大幅に減らし、過
半数を下回る事態となった。与野党間で行われた連立に向けた協議
が物別れに終わり、年内にも再び総選挙が行われる見通しで、政治
空白が続く。
外貨準備急減のロシア、トルコ
トルコは経常赤字体質であるうえ、外貨準備高に対して短期の対外
債務残高が大きく、金融市場の動揺に対して最も脆弱である点は、
注視しなければならない。
さらには、ブラジルや南アフリカもまた、世界でも有数の資源国で
ある。商品市況の調整は景気や対外収支には悪材料となってくる。
ブラジルはここ数年景気低迷が続いている。足元では、国営石油公
社ペトロブラスをめぐる汚職問題を理由にルセフ政権に対する反発
が強まっており、政治的混乱に陥ることも懸念される。経常赤字を
抱える反面、対外的には純債権国のために構造は比較的強固ながら
、格下げなどがリスクを増大させる可能性には注意が必要である。
最も原油安の影響が深刻なのは、14年末にかけて通貨ルーブルが急
落したロシアだ。輸出額の約4分の3を原油および天然ガスが占め、
鉱物資源全体では9割超に達するなど、資源依存度が極めて高い。
年明け直後は落ち着きを取り戻したルーブルだが、ここへ来て米ド
ル高とそれに伴う原油安が共に下押し圧力となる、悪循環に陥って
いる。ロシアに対する、欧米からの経済制裁が解除の見通しも立た
ない中で、通貨下落への重しが取れない。
なお、経常黒字ではあるものの通貨安圧力がかかりやすい国として
、韓国が挙げられる。経常黒字の背景には、中国の景気減速による
輸出鈍化の一方で、内需低迷により輸入も減少している事情があり
、景気の弱さが意識される。97年の通貨危機の記憶も残る昨今、外
資系金融機関の存在感が大きいことも、そうした思惑を生みやすい。
再び危機に陥る可能性は大きく後退しているが、中国経済や金融市
場の動向に揺さぶられやすい状況が続きそうだ。
ちなみにインドは、14年後半以降の原油安の恩恵でフラジャイル・
ファイブを脱し、モディ政権による構造改革への期待も高い。しか
し、ここに来て、雲行きが怪しくなった。
モディ政権が掲げる構造改革のスピードが金融市場の期待ほどでは
ないうえ、7月から始まった国会では、懸案のGST(財・サービス税
)導入に関する法案審議が野党の反対で進まず、冬の国会に持ち越
されることが決まった。土地収用法や労働法制の改正など、対内直
接投資の呼び込みに不可欠な重要法案が目白押しの現状で、改革ス
ケジュールの後ろ倒しは避けられず、海外投資家からの評価は損な
われよう。年明け以降比較的安定していたルピー相場に、再び下落
圧力がかかることも懸念される。
これらの国々以外でも、大半の新興国や資源国は、ここ数年、中国
経済との連動性を高めている。中国の景気減速の影響は免れず、当
面は通貨安圧力がかかりやすい。今後の焦点はその耐久力次第とい
うことになろう。
「週刊東洋経済」2015年8月29日号<24日発売>
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中国の株安は「引き金」にすぎない
池田 信夫
2015年08月26日11:35
大恐慌が始まったのは1929年の「暗黒の木曜日」だったが、それは
世界経済を10年以上にわたって大混乱に陥れた原因ではなかった。
本質的な問題は、当時の企業の過剰債務であり、その崩壊による金
融危機だった。
中国の株安も、それと同じような金融危機の「引き金」にすぎない
。これは広瀬隆雄氏のブログの図だが、ここ5年の金余り状態で、シ
ェール企業などの発行したジャンク債はほぼ倍増した。原油安でシ
ェール企業は全滅し、あのKKRでさえ創業以来の大損失を出した。
問題はアメリカだけではない。ゼロ金利で借り放題状態が世界的に
続いたおかげで、新興国の債務(その大部分はジャンク)は、次の
図のように3倍増だ。これは90年代の東南アジア危機をはるかに上回
る「取り付け騒ぎ」を起こすだろう。
金余りは必ず過剰債務と資産バブルをもたらし、最後は崩壊して「
正常な状態」に戻る。上の図から見るかぎり、その崩壊の規模はリ
ーマンショックの何倍も大きいだろう。
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猛暑・ボーナス増でも踊らぬ夏消費 食品値上げ重荷 
7月支出0.2%減、高齢者ら手控え
2015/8/29 0:39nikkei
 個人消費の回復が鈍い。総務省が28日発表した7月の家計調査に
よると、1世帯あたりの実質消費支出は前年同月比0.2%減の28万471
円だった。猛暑やボーナス支給という好条件が重なったにもかかわ
らず、2カ月連続の減少となった。食品の値上げなどを背景に、年
金収入で暮らす高齢者らが支出を抑えた影響が大きい。
 7月の消費支出を季節調整済みの前月比でみると0.6%増だった。
6月に悪天候などで3.0%減と大きく落ち込んでいたことを踏まえる
と、反発力は弱い。明治安田生命保険の謝名憲一郎エコノミストは
「消費の水準は消費税の駆け込みがなかった2012年度平均を6%強
下回り、力強さを欠く」と指摘する。
 キリンビバレッジの7月の販売数量は前年比18%増。特に熱中症
対策をうたう「ソルティライチ」と「ソルティライムソーダ」の販
売が伸びた。猛暑の効果は家計調査でもうかがえ、冷暖房器具は前
年比11.9%増、飲料も3.5%増だった。
 しかし、住宅リフォーム代などが7.5%減、婚礼関係費などその他
支出が7.3%減と落ち込みが大きく、全体はマイナスとなった。チョ
コレートやパンなど食料品などが値上がりしているため、高額の支
出を抑える家計の姿が浮かぶ。
 7月の全国百貨店売上高は3.4%増と4カ月連続でプラス。ただけ
ん引役は化粧品や美術・宝飾・貴金属といった訪日外国人客の需要
が高い商品。食料品(1.0%減)や家庭用品(3.0%減)は苦戦して
いる。「収益環境はまだ楽観視できない」(大手百貨店)という。
 賃上げよりも食料品値上げなどの影響が上回り、実質賃金がマイ
ナス圏にあることが家計の消費意欲をそいでいる。賃上げで勤労者
世帯の収入は5.4%増と大きく伸びたものの、消費支出は0.7%増に
とどまる。
 年金収入で暮らす高齢者世帯は一段と支出を抑えている。平均年
齢が70歳を超え、引退世代が主体となる「無職世帯」をみると、7
月は2.3%減った。気温が高すぎて外出を控える動きもあり、猛暑で
も飲料の支出は減った。パンや乳製品の購入も減らしており、勤労
者世帯と比べると節約志向が鮮明だ。
 8月は猛暑効果の息切れを指摘する声もある。エアコンなどの家
電販売は「8月第4週あたりから失速してきた」(家電量販店大手
)。関東などでは気温が低めに推移し、「猛暑効果は想定より短か
った」という。
 それでも市場では今後は消費が持ち直すとの見方が多い。雇用の
改善で賃金が増え、消費を押し上げるというのが基本シナリオだ。
大和総研の岡本佳佑エコノミストは「原油安で物価が下がっており
、先行きは堅調に推移する」と予測する。
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ブラジル景気後退入り、30年ぶりの大幅減速
インフレ率が10年ぶりの高水準に
ロイター 2015年08月29日
[サンパウロ?28日?ロイター] - ブラジル地理統計院(IBGE)が28
日発表した第2四半期の国内総生産(GDP)は前期比1.9%減となり、
景気後退(リセッション)に突入した。約30年ぶりの大幅な減速と
なる。
ロイターのまとめたアナリスト予想の1.7%減を超える落ち込みとな
った。前年同期比では2.6%減。
資源・コモディティ(商品)に勢いを得ていたブラジル経済は、ル
セフ大統領が就任した2011年以降に失速。同大統領が打ち出した景
気浮揚策は成長を押し上げることなく、公民債務だけが拡大してい
った。
ブラジル中銀がインフレ抑制に取り組むなか、ルセフ大統領は今年
に入り、政府支出や補助金などの削減に舵を切ったが、過去最低水
準をつけている企業業況感や消費者信頼感の引き上げにはつながっ
ていない。
第2四半期の投資は8.1%減と、8四半期連続で減少。
家計消費は2.1%減と、2001年以来の大幅な落ち込み。失業の増加や
信用状況のタイト化、インフレ率が10年ぶりの高水準に達している
ことなどが背景にある。
スルアメリカ・インベストメントスの首席エコノミスト、ニュート
ン・ロサ氏は「消費の落ち込みは、経済が直面している信認の危機
を浮き彫りにした」と指摘。「深刻かつ長期にわたるリセッション
となるだろう。少なくとも来年中盤ごろまで、回復は望めない」と
述べた。
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コラム:外貨準備取り崩しが招く中国発「量的引き締め」
2015年 08月 28日 13:49 JST
James Saft
[27日 ロイター] - 中国当局は資金流出の加速に対応して外貨
準備を取り崩し、世界中に「量的引き締め」とも呼ぶべき影響をも
たらそうとしている。
他の国々が金融緩和を行わない限り、リスク資産、そして世界の経
済成長にとっての金融環境は引き締まるだろう。
中国人民銀行は2003年からの10年間で外貨建て資産を約4兆
ドル積み上げた。貿易によって流入したドルは米国債などの証券に
投資され、人民元の上昇を抑える役割を果たしてきた。
しかし今、そのマネーの流れが逆転している。中国が人民元を切り
下げ、半ば変動相場制に踏み出すという実験を行って以来、逆流は
加速した。
中国は7月に外貨準備を前年同月比5000億ドル超も取り崩した
。一方で様々な報道によると、人民銀行は8月11日の元切り下げ
以来、1000億ないし2000億ドルを費やした可能性がある。
ドイツ銀行のストラテジスト、ジョージ・サラベロス氏は顧客向け
ノートで「人民銀行は外貨準備を売却し、世界の固定利付資産の保
有を減らすことによって人民元を防衛している。この行動は量的緩
和(QE)の巻き戻し、言い換えれば量的引き締めに相当する」と
指摘した。
人民銀行が買って抱え込んでいた資産の規模は、米連邦準備理事会
(FRB)のQEをすべて合わせた額より大きいことを銘記したい。
中国による外貨準備の蓄積は世界的な金融環境の過度な緩和に手を
貸し、金融危機という形でそれが爆発した。この流れが反転すると
、金融危機ほどの一時的衝撃はもたらさないにせよ、じわじわと影
響が広がってくる可能性がある。
中国による米国債売りの影響は既に顕現化しているのかもしれない
。25、26日の米国債入札は低調で、海外中央銀行を含むカテゴ
リーである「間接入札者」からの応札の弱さが目立った。
また、米国債は市場が緊張にさらされた場合特有の安全資産らしい
動きを示していない。11日の人民元切り下げ後に株式市場は動揺
したが、10年債利回りは現在2.7%前後と、切り下げ前に比べ
てむしろ4ベーシスポイント(bp)上昇している。
ジャナス・キャピタル・グループのビル・グロス氏はツイッターで
、中国が米国の超長期債を売っているのではないか、と疑問を呈し
た。
中国からの資金流出には、いくつもの複雑な要素が絡み合っている
。一部は直接的、あるいは間接的投資資金の流出で、一部は中国市
民が保有する資金が、厳しさを増した国内の金融環境、または当局
による資産差し押さえという脅威を避けて安全な逃避先を求める動
きである。
<長期のデフレか>
中国は3兆6000億ドルに及ぶ外貨準備を抱えているため、資金
流出に余裕を持って対処できるのは間違いないが、さりとて無期限
に続けられるものではない。
ソシエテ・ジェネラルのエコノミスト、ウェイ・ヤオ氏は顧客向け
リポートで「中国人民銀行の武器庫が非常に大きいことには疑いの
余地がないが、無限ではない。通貨安定への戦いを長く続け過ぎる
のは良案ではない」と記した。
中国発の量的引き締めという考え方に基づけば、過去数週間の市場
の乱高下はかなり説明がつく。リスク資産は打ちのめされ、債券も
逆流に遭った。安全資産としての、また引き締めは成長を押し下げ
るという理由での米国債の需要はある程度存在しそうだが、外貨準
備による売りという現実と、それが今後も続くかもしれないとの恐
怖によってそれは減殺されている。
一連の状況から簡単に抜け出す道は無いかもしれない。中国経済が
速やかに針路を転じて資金流入を呼び込むことはなさそうだし、単
純に大幅な通貨切り下げを容認する可能性も低い。現実には、中国
が資本を引き付け、世界の金融環境を刺激し続けてきた10年余が
終わり、中国と諸外国は長期間にわたって道を引き返すことになる
のかもしれない。
それはバブルが弾けるというよりは、長くゆっくりとしたデフレに
例えた方が正しそうだ。
*筆者はロイターのコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見
解に基づいて書かれています。
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米GDP第2四半期大幅に上方修正、改定値3.7%増
2015年08月28日(金)03時01分
[ワシントン 27日 ロイター] - 米商務省が27日発表した第
2・四半期の国内総生産(GDP)改定値は、年率換算で前期比
3.7%増となり、速報値の2.3%増から大幅に上方修正された
。経済には比較的勢いがあることを示し、米連邦準備理事会(FR
B)による年内の利上げ可能性を示唆した。
市場予想は3.2%増だった。
PNCフィナンシャル・サービシズの首席エコノミスト、スチュア
ート・ホフマン氏は「FRBは最近の市場の混乱に言及して年内の
利上げ時期を後にずらす可能性が確かにあるものの、経済ファンダ
メンタルズを考えれば9月利上げの可能性も多少残っている」と述
べた。
在庫投資が1211億ドルと、速報値から110億ドル超の上方修
正となった。在庫寄与度は速報値のマイナスの0.08ポイントか
らプラス0.22ポイントへと改定された。在庫の積み増しは、第
3・四半期の成長の足かせとなる可能性があるが、資本財の企業投
資の持ち直しがそれを和らげる可能性がある。
第1・四半期GDPは0.6%増だった。上半期は2.2%増となり
、前年の1.9%増から伸びを拡大した。
統計の発表を受け、米国債は値下がりした。株価指数先物価格は伸
びを維持、ドルは主要通貨に対して上昇した。
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7月の消費者物価指数、横ばい 上昇25カ月で止まる
 総務省が28日発表した7月の全国消費者物価指数(生鮮食品を
除く)は前年同月から横ばいの103・4で、2013年6月以来
続いていたプラスは25カ月で止まった。電気料金をはじめエネル
ギー価格が落ち込む一方、テレビの価格や宿泊料が上昇した。
 日銀が掲げる2%の物価上昇目標とは大きな開きがあり、デフレ
脱却は遠のいている状況だ。総務省の担当者は「エネルギー価格の
下落を除けば、物価の上昇基調が続いている」と分析。中小企業に
も賃上げ実施の動きが出てきたが、目標達成は依然不透明。日銀に
追加金融緩和の圧力が強まりそうだ。
2015/08/28 12:31   【共同通信】
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7月の求人倍率1・21倍に改善 失業率も3・3%に
 厚生労働省が28日に発表した7月の有効求人倍率(季節調整値
)は、前月比0・02ポイント上昇の1・21倍で2カ月ぶりに改
善した。1992年2月以来、23年5カ月ぶりの高い水準だった。
 総務省が28日発表した7月の完全失業率(季節調整値)は、前
月比0・1ポイント低下の3・3%で、3カ月ぶりに改善した。
 都道府県別の有効求人倍率は、最も高いのが東京都の1・76倍
、最も低いのが埼玉県と沖縄県の0・84倍だった。
 男女別の失業率は、男性が前月比0・1ポイント改善の3・5%
で、女性が前月比0・1ポイント悪化の3・2%。完全失業者数は
前年同月比26万人減の222万人。
2015/08/28 09:16   【共同通信】
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「中国経済の崩壊」を叫び続けて30年、果たして中国は崩壊するの
か?―海外メディア
Record China 8月28日(金)7時40分配信
2015年8月27日、環球時報は中国経済に関する海外メディアの報道を
紹介した。
韓国・聯合ニュースは韓国の崔●煥(チェ・ギョンファン、●は日
の下に火)経済副総理兼企画財政部長官の発言を紹介。崔氏は、「
投資家は現在の市場動向ばかりに気を取られるべきではなく、もっ
と先を見据えるべきだ」と述べた。
一方、英・BBCは、「中国は30年間にわたり国民の収入を二桁成長さ
せ、億単位の人々を貧困から救った。世界で中国のような成長を遂
げた国は他に存在しない。中国のサクセスストーリーのメーンは経
済成長。中国が二桁の経済成長を見せた時、世界の経済学者は『長
続きはしない』と口をそろえた。そんな声が聞かれる中、中国は急
速な成長を30年近く維持した。『中国経済の崩壊』を叫ぶ声も約30
年間続き、今も同様の声が聞かれている。果たして中国は崩壊する
のか?」と伝えた。
さらに、中国経済の崩壊を懸念する声は考えすぎだと指摘する専門
家も少なくない。米・CNBCは、「一部の経済学者とアナリストは、
『中国株式市場の混乱は、世界第2位の経済大国の全体の状況を反映
していない』と見ている。中には、『中国の大部分の経済は依然強
さを見せている。必要であれば、中国は政策を緩和する余裕もある
』と指摘する経済学者もいる」と報道。
米・The Fiscal Timesは、「中国の上半期の経済データでは、工業
分野が苦戦していると分かるが、サービス業は成長し、消費も増加
している。これはとても重要な要素である。中国は今、転換期に差
し掛かっており、工業生産を基礎にサービス業へシフトチェンジし
ているのだ」と指摘した。報道ではこうした海外メディアの報道を
紹介し、中国経済崩壊の懸念は誇大された声だと伝えた。
(翻訳・編集/内山)
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原油価格急落を受けてOPECは分裂の危機「フラジャイル・ファイブ
」の反乱が招く原油市場のカオス化
藤 和彦2015.08.28(金  JBPRESS
中国の「ブラックマンデー」で世界の株式市場が揺れている。ブラ
ックマンデーとは1987年10月19日に米国で起こった史上最大規模の
世界的な株価大暴落のことを指す。当時のダウ30種平均の下落率は
22.6%だった。
 中国政府の関係者からは「人民元は2016年末までに1ドル=8元に
下落する」との声が出てきており(8月25日付ブルームバーグ)、「
アジア通貨危機が再び起きるのでないか」との懸念が高まっている
。アジア通貨危機の発端は1994年の人民元の急激な切り下げだった。
 サマーズ元米財務長官は8月24日、ブルームバーグとのインタビュ
ーで1997年のアジア通貨危機や2007年のサブプライム住宅ローン危
機を例に出し、「我々は非常に深刻な状況の初期段階にいる可能性
がある」と指摘した。
生産目標据え置きのOPEC、歯止めがかからない原油安
 混乱する金融市場の影響を受けて、24日の米WTI原油先物は一時6.7
%安の1バレル=37.75ドル、北海ブレント原油先物は一時6.5%安の
同42.51ドルと急落した。ブレント価格は既にリーマン・ショック直
後の最安値と同水準にまで下がっている。
 原油安に歯止めがかからないのは、中国の景気後退などに加え、
OPEC加盟国やロシアなどの既存の産油国と米シェール企業が熾烈な
生産競争を繰り広げ、世界的な供給過剰が拡大し続けているからで
ある。
 この「ガチンコ勝負」は、世界最大の原油輸出国であるサウジア
ラビアの体力をも蝕み始めている。サウジアラビア政府は8年ぶりに
国債を発行して話題となったが、通貨リヤルは世界情勢のリスクに
最もさらされている通貨の1つに数えられるようになった(8月21日
付ブルームバーグ)。
 OPECは昨年9月の総会で「市場シェアを維持するために生産目標を
据え置く」との方針を決定した。今年6月の総会でも「原油価格引
き上げのための減産は行わない」ことを改めて確認している。当時
は世界的な需要増に押され原油価格は2015年末に向け上昇していく
との見方が強かった。その後、中国需要の見通しに対する懸念が台
頭し、原油価格が再び下落基調になったが、サウジアラビアをはじ
めとする湾岸諸国は「中国は引き続き原油を輸入し在庫を積み上げ
ていることから、世界的な需要は今後も堅調に推移し、来年は原油
価格が1バレル=60ドルまで再び上昇する」との見方を変えていない。
 しかし今の中国にリーマン・ショック直後のような役割を期待す
ることはできない。8月24日、中国発展改革委員会は「中国経済は依
然として多くの困難と課題に直面しており、下振れ圧力はより明確
になっている」との認識を示した。中国メデイアが「中国はこれま
で世界経済を安定させる上で重要な役割を担ってきたものの、その
結果として中国経済はぼろぼろになった」と報じているように、中
国はリーマン・ショック後の経済対策の負の遺産にもがき苦しんで
いる。「中国は今年戦略石油備蓄のために原油購入を引き続き増加
させる」との期待もあるが、前回のレポート(「天津大爆発でさら
に強まる原油価格の下押し圧力」)で示したとおり、天津の大爆発
事故で戦略石油備蓄の購入量は大きく減少するだろう。
 OPECの原油生産量を見ると、8月に入り、イラクの原油輸出量が日
量25万バレル減少していることから、数カ月続いた増産傾向が途切
れる見通しが高まっている(8月20日付ロイター)。だが一方で、7
月に突然生産量を減らしたサウジアラビアが再び増産している可能
性があり、予断を許さない状況が続いている。
 現在のOPECの方針は、サウジアラビアが米シェール企業の採算を
圧迫させることを目的として策定されたものとされている。しかし
、シェール企業の原油生産量がなかなか減少しないことから、世界
的な供給過剰は縮小するどころか拡大し続けている。
シェール企業の大量倒産が間近に?
 米国の状況を見ると、米石油サービス大手のベーカー・ヒューズ
が8月21日に発表した米原油生産のリグ数は674基となり、前週末に
比べて2基増加した。こうしたこともあり、原油価格が下げ足を速め
る中でも、米国の原油生産はほとんど減少していない(2014年10月
10日の1609基をピークに減少したが、2015年6月26日の628基を底に
緩やかな上昇基調に転じている)。
 生産量が減らないのはシェール企業の生産性の向上の成果とする
見方があるが、最近リグ稼働数が増加している鉱区は、格段に生産
コストの低い最優良の部類のものが多いとの指摘もある。原油価格
の下値の目途が見えない中、虎の子の最優良油田を開発せざるを得
ないシェール企業の苦しい懐事情が垣間見える。
 8月21日付の日本経済新聞によれば、先行き懸念で株価が1ドルを
下回るシェール企業が増加している。低格付けのシェール企業は費
用を抑え資産売却に踏み切るなどして現金確保を急いでいるが、買
い手が思うように見つからない。直近の株式市場の混乱で株価も下
落し続けている。
 ガソリン需要が2007年以来の高水準になっていることは好材料だ
が、9月上旬のレイバーデーの祝日後には減少する見込みである。製
油所も秋から定期点検のため稼動停止するところが出てくることか
ら、需要サイドは軟調に推移するだろう。
 米国政府は条件付きでメキシコへの原油輸出を解禁したが、原油
の余剰在庫が1億バレルに達していることから原油輸出の解禁への期
待がますます高まっている。輸出水準を設定することを条件に原油
輸出を解禁する法案が成立するとの観測も出ている(8月22日付ブル
ームバーグ)。法案が成立すれば、米国内の需給バランスにはプラ
スでも国際石油市場にとっては攪乱要因がまた1つ増えることになる
かもしれない。
 OPEC加盟国が指折り数えて待っている「シェール企業の大量倒産
」は、来月以降、現実のものになりそうな気配だ。だが、米国の原
油生産が減少する効果より、ジャンク債市場のデフォルト多発がも
たらす世界の金融市場への悪影響の方が大きく、原油需要のさらな
る減少につながるのではないだろうか。
政情が悪化するOPECの「フラジャイル・ファイブ」
 OPECに話題を戻すと、加盟国の間で「生産能力をフル稼動してシ
ェール企業をつぶす計画は戦略的に誤りだった」との不満が高まっ
てきている。



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