5464.次の世界の経済はどうなるか?



世界経済は、どのように変化するのであろうか。それを検討する。
                                  津田より

0.金融・投資政策
経済・財政政策より、現在は金融政策の方が先進国政府は容易であ
り、それに政策をシフトさせている。それには理由がある。

各国通貨が変動して相場を形成すると、経済の弱い通貨は価値が下
がり、経済が強い通貨は価値が上がるので、平準化が図れると思わ
れていた。しかし、ここに金融緩和、特に量的緩和という手法が持
ち込まれて、もう1つの変動要因が出てきた。

通貨量が拡大する思われると、通貨価値は下がり、通貨量が少ない
と思われると通貨価値が上がる。

これは通貨への投資をする先進国投資家だけが見ている姿であるが
、実体経済の数倍の規模にある金融経済がそう思えば、それが実現
する状態に現在の世界はある。

しかし、他国からの投資流入が大きい国では、金利を下げることが
できずに、金融政策を打てないが、投資流出国家は、自由度が増し
ている。

日本や米国など投資流出国家は、自由度が大きく、量的緩和ができ
るが、韓国などの後発先進国や中国などの新興国は、金利引き下げ
政策や量的緩和が、投資の流出で実体経済の縮小につながるので、
できないのである。

金融政策においても、先進国優位になっている。このため、新興国
に対する先進国の政策として、大きな効果を発揮している。日本は
やっと、新興国への対抗ができるようになったのである。

しかし、やりすぎるとバブルを生み出すことになるし、それと買う
べき国債がなくなることもあり、財政赤字をそのままにすると、最
後には金利上昇を招くので、十分な注意は必要である。

しかし、ある程度の自由度を確保できたことが大きい。

1.投資家の行動
しかし、投資家は、先進国への投資は、旨みが少ない。劇的な利益
を生まない。発展途上国を新興国にする投資が一番、旨みが大きい。
発展途上国を新興国にすることが、それほど大変でないことが、ブ
ラジルや中国を新興国にしたことで気がついたのである。

このため、次の投資先を探している。そこに集中的に投資して、急
速な発展をさせて、回収の速度を上げることを考えている。

このため、投資後の新興国での育成産業を早く次の投資先に移すこ
とが必要になる。現時点の中国がそうである。通貨を上げて、それ
に伴い産業も通貨の安い地域に地域にシフトさせいく。

投資回収のために、地元民にいかに投資を肩代わりさせるかを考え
ている。投資価値を失わない間に撤退したいからである。

そして、投資家が多いのも先進国であり、優位に立つことになる。

日本は投資国家でもあるが、産業国家でもあり、米国のような投資
だけ国家と違い、工場などの設備投資が大きく直ぐに撤退できない。

しかし、米国の投資先を見て、それに追従してきた。米国は次の投
資先をエチオピアに決めて、投資を加速させている。

3.世界経済はどうなるのか?
新興国使い捨ての投資戦略を米国はしている。ブラジル、中国など
反米的な国から投資を引き上げて、インドやエチオピアなど米国に
友好的な国にシフトさせていくようである。

これを確実にするために、米国は金利を上げて、投資の回収を早め
て、次の投資先を定めて、次の投資サイクルにしたいのがFRBな
どの中心グループが考えていることである。

これは、貧困追放するために世界の平準化を投資行動は促進してい
るとも言える。米国は世界的な貧困追放とスローガンを立てて、自
国投資家の行動を正当化している。

残される新興国は、産業を付加価値の高い産業にシフトさせる必要
が有り、日本はAV系から発電機、電車など重機、重電機、最先端
部品方向にシフトしたが、ここは今まで欧米企業の分野であった。

中国や韓国も重機、重電機にシフトしないと、今までの組立産業は
、発展途上国に持っていかれることになる。最先端部品分野は無理
でも、部品分野が可能であり、今、分野調整が必要な状態である。

このように、世界経済の構造変化を起こすことになる。

日本も同様であり、韓国や中国が日本が今まで得意としていた半導
体や部品分野に入り込み、日本のお株を奪う事になる。そして、日
本は欧米企業が得意とする軍事防衛機器や重機、重電機分野を取る
ことになる。

リニアの鉄道を見れば良い。50年も研究して、モノにしている。
米国が原理を開発したが、それを実用化するまで研究を継続しなか
った。燃料電池も同様である。20年の研究に上に「ミライ」はあ
る。超伝導の研究も欧米では相当前に止めている。

研究成果が出るまでの時間が10年以内でないと研究を簡単に中止
している。また、数個の例外以外の欧米大企業の研究開発費は売上
の1%もない。

今後も日本は、夢に向かって、20年以上の研究を重ねていけば、
日本企業に勝てる企業はない。ドイツは日本とは思考が違う。匠を
作り、伝統的なものを精緻に作ることである。

欧米は益々、投資だけ度を増して、次の投資先を見つけるのに躍起
になるし、IT系ベンチャーなどのノウハウの蓄積がいらない産業
を起こすしかないようである。

もう1つが、まだ日本企業のノウハウ蓄積が十分でない医療関係で
あるが、それも、遅かれ早かれ日本企業が追いつくことになる。

結果、どうなるかは想像できる。ドイツ以外の欧米企業が追い出さ
れて、日本、ドイツ企業が世界の産業を独占していくはずである。
中韓企業が次を追うことになる。中国、韓国は日本人技術者を雇い
モノマネのノウハウを高めていることによる。

世界のボーダーがなくなると、ノウハウの蓄積を真面目に行える企
業しか残れない。または、真似がすぐにできる企業が追従するしか
ない。

それ以外のコモディティは、発展途上国をさすらっていくことにな
る。

4.資源について
資源の中で一番重要なのが、石油であるが、エネルギー産業は石油
から電気にシフトする。電気のつくり方は、再生可能エネルギーに
なる。その蓄積方法は水素になる。

30年オーダーで見ると、現時点で確実である。あとは、どれだけ
早く、かつ日本が技術の独占ができるかである。

鉄は、炭素繊維に多くをシフトするし、銅も炭素からできるグラフ
ェンに置き換わることで、資源からシフトしてくる。地下資源を必
要としない社会が来る事になる。

地下資源から炭素にシフトすると、地球上で三番目に多い元素が炭
素であるから、無限大に利用できることになる。また、一番多い元
素は酸素、二番目が水素となり、この3つの元素でエネルギー・資
源を置き換えることで、不足することがなくなる。

ダイヤモンドも炭素の結合体であるから、工作機械の削りもダイヤ
モンドを使えば、鉄を必要としないことになる。

このように見ていくと、日本人の宿命が見えてくる。世界の産業技
術を中心的に開発するのが、日本人の役割であり、世界の社会的な
インフラを作るのも日本企業しかできないということである。

さあ、どうなりますか?



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