5463.「ダビクの戦い」



イスラム教での予言では、”ハルマゲドン(最終戦争)” の前哨
戦を「ダビクの戦い」というが、この「ダビク」は、シリア北西部
のトルコ国境に近い人口4000人にも満たない町の名前である。

ここが、戦場になる可能性が高い。

この「ダビク」の勝利は一方で、この世の終わり、終末へのカウン
トダウンでもある。イスラムでは、この世はアッラー(唯一神)に
よって創造され、またアッラーによっていつの日か滅ぼされる、と
いう終末思想がその根底にある。全イスラム教徒は終末の天変地異
の中、神の前で「最後の審判」を受け、天国と地獄に振り分けられ
ることになる。こうしたことから「ダビクの戦い」はISにとっては
最終的な勝利につながる象徴的な意味を持っているわけだ。
 ISが昨年8月、ダビクを占領した時、彼らのツイッターなどソー
シャル・メディアは喜びで沸き返った。

この街をトルコと米国は、取り返すという。

どうも、米国の為政者たちは、イスラム教の「最後の審判」を知っ
ていて、またキリスト教の「最後の審判」を実現しようとしている
ようにも考えられる。

イランと米国が組んでイスラム国に対峙するために、イスラエルや
サウジなどの今までの同盟国を袖にする。

最終戦争への扉が開き始めた。

さあ、どうなりますか?

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“ハルマゲドン”に向けた衝突が現実に 
ISが手ぐすね引く「ダビクの戦い」
2015年08月12日(Wed)  佐々木伸 (星槎大学客員教授)WEDGE
米軍がトルコの基地からシリアの過激派組織「イスラム国」(IS)
への空爆を開始する中、ISが預言として信じる”ハルマゲドン(最
終戦争)” の前哨戦「ダビクの戦い」が現実のものになってきた。
終末思想が活動の底流に
 「ダビク」という地名を聞いたことがあるだろうか。シリア北西
部のトルコ国境に近い人口4000人にも満たない町の名前である。現
在はISに占領されているが、同組織の機関誌の名前と言った方が通
りがいいかもしれない。戦略的にもさほど価値のないこの町が今、
対イスラム国戦争で焦点として急浮上しているのだ。
  ISにとって「ダビク」は特別に意味のある決戦の地である。イス
ラムの預言ムハンマドの言行録によると、「ローマの軍」がダビク
の地で野営し、イスラム軍と衝突する。「ローマの軍」は80の軍旗
を掲げた大部隊だが、イスラム軍が打ち破り、イスラム帝国の領地
拡大につながる。しかしイスラム軍はその後の戦いで敗北。そして
エルサレムに追い詰められ、背教徒軍とのハルマゲドン(最終戦争
)に奇跡的に勝利する、というのが大まかな筋書きだ。「ローマの
軍」とは十字軍と言い換えてもいいだろう。
 この「ダビク」の勝利は一方で、この世の終わり、終末へのカウ
ントダウンでもある。イスラムでは、この世はアッラー(唯一神)
によって創造され、またアッラーによっていつの日か滅ぼされる、
という終末思想がその根底にある。全イスラム教徒は終末の天変地
異の中、神の前で「最後の審判」を受け、天国と地獄に振り分けら
れることになる。こうしたことから「ダビクの戦い」はISにとって
は最終的な勝利につながる象徴的な意味を持っているわけだ。
 ISが昨年8月、ダビクを占領した時、彼らのツイッターなどソー
シャル・メディアは喜びで沸き返った。そして敵である米主導の有
志連合の参加国が60カ国に達した時も「ローマの軍の80の軍旗」と
重ね併せ、伝承に近づいたと狂喜した。ISの前身組織の創設者であ
るアブムサブ・ザルカウイもかつて「ダビクで十字軍を焼き尽くす
」と述べており、ダビク信仰と終末思想はまたたく間にISの末端の
戦闘員にまで広がった。
 この「ダビク」に今、スポットライトが当たっているのは、最近
の戦況と密接に絡んでいるからだ。トルコは先月、IS戦争に本格的
に参戦することで米国と合意。米国に南部のインジルリク空軍基地
の使用を認めるとともに、その見返りとしてトルコ国境沿いのシリ
ア領北西部に長さ100`、幅60`の「安全保障地帯」を設置す
ることになった。その一帯からは、IS勢力を完全に駆逐するという
計画だが、問題は「ダビク」がこの安全保障地帯のほぼ中央に位置
しており、双方の激突が不可避だという点だ。
 つまり、ISにとっては予言的な「ダビクの戦い」がいよいよ始ま
るという意味であり、「それこそ手ぐすねを引いて待っている」(
ベイルートの情報筋)緊迫した状況になっている。米国は徹底した
空爆でISの戦力をできる限り削ぐ方針だが、米国が対IS戦のために
養成しているシリア人の地上部隊はわずか50人程度しか育っておら
ず、しかもすでに一部は国際テロ組織アルカイダのシリア分派「ヌ
スラ戦線」の攻撃で戦死してしまっている。
死に備えて権限委譲
 ISの指導者アブバクル・バグダディは「ダビク」での決戦が迫っ
ていることもあってか、自らが戦死した場合でも、素早く組織が適
応し、戦闘の継続を確実なものにするため、指導者としての権限を
組織の最高意思決定機関である「諮問評議会」に生前委譲している
ことが最近明らかになった。
 バグダディは権限の生前委譲を米軍の空爆で多くの指導者を失っ
たイエメンの「アラビア半島のアルカイダ」(AQAP)から学び、ま
た米国がISに関する情報をどうやって入手しているのかについては
、米国家安全保障局(NSA)の元契約職員エドワード・スノーデン氏
の暴露事件から研究しているのだという。
 米有力紙によると、こうしたISに関する情報は、米特殊部隊によ
る5月のIS幹部の潜伏先への急襲で押収した証拠物件から突き止め
られた。しかし、バグダディの潜伏先や、バグダディが単なる組織
の宗教的なお飾りで、実権を握っているのがイラクの元軍人なのか
どうかなど謎に包まれた部分も依然多い。
「ダビクの戦い」は当然、米軍の懸念の的になっており、米国はシ
リアでの同盟者であるクルド人武装勢力との連携を深め、ダビク対
策に本格的な取り組みを開始した。
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世界の政治・経済の180度転換目前!
「時事直言」第1005号(2015年8月12日号)
国連安全保障常任理事国(核保有5カ国)と核を持たないドイツの6
カ国とイランとの核関連合意が7月14日に発表されたが、この合意の
意味は甚大である。本合意により中東のアメリカの同盟国、サウジ
アラビアやカタール、アラブ首長国等は今後必ずしもアメリカとの
同盟関係を維持する必要がなくなった。
アメリカにとって中東最大の問題はイラク内戦とこれに関連した
ISIS(イスラム国)である。本合意で両問題をイラン主導で解決さ
せようという6カ国の意志が明確になった。今までシリア政府軍に対
抗するためアメリカと共にサウジ等中東のアメリカの同盟国はISIS
をはじめ対シリア反政府組織を支援してきたがイランのシリア支援
が続く限りアサド政権打倒は不可能であることが分かった。
一方ISISは勢力を急拡大、イラク政府軍とイラン派遣シーア派民兵
は苦戦を強いられ、さらにサウジに対してまで攻撃を仕掛けるに至
った。
今回のイラン核関連合意の盲点はIAEA(国際原子力機関)がイラン
の主権不侵害のため軍事施設を完全に査察出来ない点である。イラ
ンは6カ国との交渉が始まる前から核弾頭を製造するのに必要な
約3,000の核濃縮機を軍事施設に移動している。イランはこの事実隠
ぺいに成功と思い、アメリカは知らぬ振りをしたのが今回の合意。
イランが5年後に相当数の核弾頭を保有することは確実でイスラエル
はイランの核保有の証拠を公表してイランの総ての核施設と軍事施
設を空爆する。テヘランが火の海になる前の5年間にイランの経済制
裁を解除し中東におけるイラン勢力の拡大を図りイラン主導でシリ
ア内戦とISISを壊滅させようというのが今回のイラン核関連合意に
おけるアメリカの真の狙いである。
現にイランは核合意後サウジや他のアラブ諸国とシリアとの和平条
件に付き打診を開始、イランは近々国連安全保障理事会にシリア和
平案を提出する予定である。アメリカと共に今までイランを敵視し
てきたサウジと他のアラブ諸国はアメリカの意向に従いイラン主導
のサウド政権温存の下でのシリア和平案を飲む予定である。サウド
政権敵視のトルコは自国人口の20%12を占めるクルード族が政権最大
の不安定要因なのでアメリカがトルコの対クルード族弾圧を黙認す
る条件でイランのシリア和平案に従う。イランの軍事力を支えてい
るのはロシアであり、経済制裁下のイラン経済を支えたのは中国で
あるから中東におけるイラン勢力拡大はロシアと中国にとって好ま
しいことである。すでにサウジアラビアはロシアと中国に接近、中
国向け原油輸出代金はドルから人民元に切り替える予定である。
2014年11月27日のOPEC総会においてサウジ主導で原油減産を見送り
原油価格を80ドル台から一気に45ドル台に下げたのは、やがて中東
産油国最大の競争相手になるアメリカのシェールガス・オイル生産
業を叩く狙いもさることながら、アメリカの中小産油業者の資金調
達がジャンクボンドと言われる信用度の低い社債に依存しているこ
とから原油価格暴落で社債金利を高騰させデフォルトに追い込むこ
とで米債券市場を混乱に陥れドル信認を落とすのが真の狙いである。
私もユダヤ系ロビイストと共に8月24日の防衛会議で米上下両院の三
分の二をイラク核関連合意反対に誘導するための考えを述べること
になっている。
議会決議は9月後半だが三分の二が合意に反対すると思われオバマ大
統領の議会決議に対する拒否権の発動は無効、アメリカだけが対イ
ラン制裁を続けることになる。
欧州、中露がイランとの経済取引にドルを使おうとするとアメリカ
が制裁中の為NY連銀経由が出来ないからドルは使えず自国通貨にな
るからドルのシェアが落ちることになる。


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