5453.日本の進路についての議論



少し前とは、日本の議論の視点が違うように感じる。民主党の安保
法制の議論も、よくよく見ていると日米同盟を維持して、中国の軍
拡に対応することまでは一緒で、その先、どこまで米軍との共同歩
調を取り、かつ憲法との整合性をとるかという議論であり、現状の
日本の安保体制を否定していない。

という意味では、安全保障の基本は同じということである。民主党
が政権についた事で、日米同盟を否定できなくなっている。

成田空港も一緒である。成田空港拡張絶対反対という議論にならな
い。拡張を一昔前には、それだけで反対していた野党の姿はない。

ということで、現実的な政治状況にはあるが、それでも議論が噛み
合っているかというと、これが違うのである。噛み合うと議論に負
けるので、対案を出さないと民主党は言う。

憲法9条に違反するかどうかという形而上学の議論をして、日本の
安全保障をどうするのかという議論がない。

対案を出す維新の会も、出すか出さないかで党内が揉めている。チ
ャンとした議論をしようとしているのは、橋下さんしかいないよう
である。

右翼サイドでも、米国との同盟を拒否する動きがあり、日本がまた
孤立化してしまう危険な議論をしている。日本が真の独立をすると
いうが、そのためには中国との安全保障上の問題をどうするのかと
いう現実の状況を無視した議論をしている。

そして、戦前の体制に戻るということを声高に騒いでいるが、戦前
の姿を正当に評価していない感じである。勿論、論語などの儒教的
な教育など戦前の良いところもあり、それを復活することは必要で
あるが、昭和10年代の言論統制、経済統制、内閣の軍部影響力、
天皇というより内大臣、枢密院、貴族院などの国民の利益より貴族
などの利益を優先する組織などは、良くないことであり、正当な評
価をしないことが問題である。

1990年代以降生まれの人たちは、論語を知らない。読んだこと
がなく、その内容を知らないが封建主義的な考えと思っているよう
である。読んで見ると良い。素晴らしいとは言わないが、現在のお
もてなしの心をどうすればよいかという標準を得ることが出来る。

仏教も同じで、仏教は古臭いという感じである。日本の仏教は形骸
化して、葬式仏教になっているが、仏教は個人の修行の目標として
自己の覚醒を求めている。その修行法でしかない。タントラとは、
その修行の方法ということであり、経文を読みことが修行ではない。

日本をどうすればよいか、現実的論理的に議論することが重要な気
がする。

さあ、どうなりますか?

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成田に3本目滑走路を…国交省、地元に協力要請
2015年08月01日 07時30分
 国土交通省の田村明比古航空局長は31日、自民党本部で開かれ
た成田国際空港推進議員連盟(二階俊博会長)の総会で、成田空港
に3本目の滑走路新設が必要として、出席した千葉県や成田市など
の行政関係者に協力を求めた。
 同市などは応じる方針で、国や県、空港会社、地元市町による4
者協議開催に向け準備に入る。同省が滑走路新設推進の立場を明確
にしたのは初めて。
 成田空港の年間発着枠は30万回と決まっており、昨年度の発着
回数は約22万8000回だった。羽田空港と合わせた首都圏空港
の発着回数は、2032年度には最大で年間約94万回に達すると
予測され、両空港の現在の発着枠合計約75万回を大きく上回る。
このため、同省の有識者委員会は昨年6月、滑走路増設を成田での
検討課題に挙げていた。
2015年08月01日 07時30分 Copyright c The Yomiuri Shimbun
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日本ではなぜ安全保障政策論議が不在なのか
2015年07月31日(金)19時00分
細谷雄一
なぜこうなってしまったのか。実に奇妙な事態になってしまった。
これほどまで熱く平和が語られ、これほどまで厳しく政府への批判
がなされる中で、日本が選択すべき安全保障政策についての具体的
な提案や主張がほとんど見られないのだ。

 安全保障政策の選択を間違えれば、その国の安全は崩れてしまい
、国民の生命を守ることはできない。国際政治の歴史をこれまで研
究し、また大学で教える立場にある者として、歴史上多くの国が安
全保障政策の選択を間違えたことで、国民の生命を犠牲にして、不
毛な戦争を招いてきたことを学んできた。経済政策を一つ間違えて
も国が滅びることはあまりない。しかしながら、安全保障政策の一
つの誤りが、国家の存亡に直結した例は溢れている。74年前に日本
は、安全保障政策の選択を間違えて、平和を破壊し、膨大な数の国
民の生命を奪い、またアジア太平洋地域に破滅的な惨状をもたらし
た。これほどまで重要な安全保障政策について、これほどまで語ら
れることがないというのは、どういうことなのだろうか。


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