5452.トルコとクルドの戦い



現在は、ヨハネの黙示録の第5の封印が解かれ、第6の封印である
温暖化や天変地異などが起き、第7の封印である核戦争に向かって
歴史は進んでいるようだ。ローマ法王も「最後の審判に向かって進
んでいる。」宣言するくらいである。

この第7の封印が解かれる場所として、中東が指定され、ロシアが
絡むことが明らかになっている。その方向で進んでいることを検討
しよう。          津田より

0.トルコ・エルドアン大統領の夢
エルドアン大統領は、権限強化に向けた布石を着々と打ってきた。
そして、憲法改正で大統領を実質的な独裁者的な権限を付与しよう
とした。

このためには、与党の公正発展党AKPの議席数を憲法改正に必要
な3分の2の議席にする必要がある。6月7日選挙があり、AKP
は依然として他党と比べればずっと多い258議席であるが、この
13年で初めて過半数(275議席)を失い、憲法改正に必要な3
分の2の議席には程遠くなった。

政権を維持するために、連立政権にする必要がある。しかし、連立
政権の樹立を目指す政党間の協議が一向に進まず、再選挙になる可
能性が高まっている。議会第2党のCHPの党首は、「11月に再選挙が
実施されるだろう」と予想した。

このAKPを過半数割れに追い込んだのが、クルド人系政党HDP
である。HDPは、選挙前は0議席であったのが、80議席と大飛
躍し、東部トルコ地域の殆どでHDPがAKPを抑えている。

トルコからのクルド独立運動をしているクルド労働者党(PKK)
が、政府との和平交渉により戦闘をやめて組織したのが、HDPで
あり、そのHDPが、エルドアン大統領の野望を阻止したのである。

このような背景があり、エルドアン大統領は、HDP潰しを狙って
いた。それと、11月には再度の選挙をする方向であり、その時に
HDPへの投票をトルコ人が躊躇うように仕向けることが必要であ
る。

このためには、クルド人はテロリストであり、トルコ人にとっては
敵であるという意識が必要になる。このため、クルド労働者党(P
KK)を敵にして、その平和的な政党であるHDPも敵とする必要
があるのだ。

それでは、なぜ、トルコ人がクルド系政党HDPに投票したかとい
うと、エルドアン氏の民主主義の制限として、集会の自由、報道の
自由などを制限する国家方針を快く思わない人が多数いて、その人
たちが、エルドアン大統領を攻撃するHDPに得票したようである。

トルコのエルドアン大統領は28日、アンカラで会見し、少数民族
クルド人の非合法武装組織「クルディスタン労働者党」(PKK)
との和平交渉について、「国家の統一と連帯を脅かす者と和平交渉
を進めることは不可能だ」と述べ、交渉は破綻(はたん)したとの
認識を示した。

1.トルコ・米国の欺瞞
米国とトルコは、イスラム国に対する対応が違っていた。トルコは
イスラム国を助けて、シリアのアサド政権を潰すことが優先として
いるし、米国はイスラム国を潰すのが優先と見ている。

もう1つが、イスラム国と戦うクルド人を保護するのが、米国の優
先であり、トルコは、クルド人の独立運動などを潰すことが優先で
ある。

この2つの国は、お互いに妥協して、トルコは、クルドとイスラム
国を敵として戦い、米国はイスラム国との戦いのみトルコと一緒に
行う。トルコの優先順位はクルド攻撃がイスラム国攻撃より上であ
る。しかし、トルコ国内のインジルリク米空軍基地からイスラム国
への空爆を許可した。トルコがイスラム国との戦闘を開始した理由
は、爆弾テロで24人が死んだ報復でもある。

そして、トルコ空軍のF16戦闘機は先週末、初めてシリアのイスラム
国拠点に対する空爆を実施。その翌日、今度はイラク北部にあるPKK
の兵站基地を爆撃した。PKKが対イスラム国攻撃の拠点としていた場
所だ。

米軍にとってイスラム国との地上戦で最も頼りになるのがクルド人
だ。イラクのクルド民兵組織「ペシュメルガ」、シリアのクルド民
兵組織「人民防衛隊(YPG)」、そしてトルコのPKKは、戦闘で協力
し合っている。アメリカは、ペシュメルガおよび人民防衛隊と協力
しているが、この2組織と協力しているPKKとは協力していないと主
張している。

また、米国はシリア北西部に「穏健派のシリア反政府勢力」のため
の安全地帯を設け、ここを「穏健派のシリア反政府勢力」とともに
、米軍とトルコ軍の空軍力で守っていくことに合意した。 

トルコがイスラム国に対する戦いにより積極的になったのは事実だ
が、PKKがシリアでイスラム国との戦闘に勝利を収めていることに不
快感を強めているトルコ政府は、むしろクルド民族主義を抑え込む
ことに関心がある。

「トルコ軍はISISを標的にする代わりに、我々の味方を攻撃してい
る」と、YPGは声明で言う。「トルコはこの侵略行為をやめ、国際的
指針を遵守すべきだ。我々の戦闘員と軍事拠点に対する攻撃を直ち
に止めるべきだ」とした。

このような戦争は、勝てないことが明らかである。敵と味方が峻別
されていない戦闘を真面目に戦うことはできない。イスラム国を利
することになる。

2.米国議会で、イラン合意が否決される可能性
イランの核開発問題を巡る欧米など関係6か国とイランの最終合意
について、29日、議会上院の軍事委員会で公聴会が開かれ、カー
ター国防長官らが出席した。この公聴会では、野党・共和党のマケ
イン軍事委員長が「制裁が解除されると、イランは戦闘機や弾道ミ
サイルの技術や部品なども獲得できるようになる」と、今回の合意
を批判して、議会多数派共和党は、このイラン合意を否決する可能
性が高い。

ということは、イラン核合意はなかったことになる。イランは、核
開発を進めることが認められたことになる。イランの核開発は殆ど
できているので、この否決により、中東諸国は核の脅威を受けるこ
とになる。このため、サウジも核開発を早急にして、イランとの核
戦争への抑止力を手にれることが必要になる。

3.タリバン最高指導者が死亡
アフガニスタン政府は29日、反政府武装勢力タリバンの最高指導者
オマル師が2013年4月にパキスタンで死亡していたと明らかにした。

タリバン指導部内の権力争いが表面化している。タリバンが分裂す
ると、一部がイスラム国に参加する可能性が高い。特に強硬派はイ
スラム国に参加することになる。イスラム国は、ボコ・ハラムやリ
ビアなど、その広がりが出てきたが、その中にアフガニスタンも加
わることになるようだ。

4.イスラム国の夢
イスラム国はインドで大規模テロを計画している。それは「世界の
終わり」をもたらすものになるという。旧約聖書はキリスト教、イ
スラム教ともに一緒であり、最後の審判という考え方も同じである。

このため、このような最後の審判をイスラム国も計画することにな
る。

数十あるパキスタンおよびアフガンのタリバン分派をひとつのテロ
軍に結合してインドに攻撃するという。

このようにイスラム国が徐々に弱まったような感じであったが、米
国は、トルコを使ってクルド軍を攻めて、イスラム国を利するし、
タリバンもイスラム国に傾き、中東の状況は、徐々にノストラダム
スの予言である米国が徐々に負けて、最後にアルマゲドンが核攻撃
されて、核戦争になるというが、この方向に進んでいるように感じ
るが、どうであろうか?

中東に注目することが必要なようである。

さあ、どうなりますか?



参考資料:
5333.トルコ総選挙後の内政・外交の展望
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/270404.htm

Taliban Leader's Death Creates Power Vacuum, Threatens Peace Talks With Afghanistan, Leaves Door Open For ISIS
http://www.ibtimes.com/taliban-leaders-death-creates-power-vacuum-threatens-peace-talks-afghanistan-leaves-2030619

Turkey launches heaviest air strikes yet on Kurdish group
http://www.reuters.com/article/2015/07/29/us-mideast-crisis-turkey-idUSKCN0Q30OF20150729?feedType=RSS&feedName=topNews&utm_source=twitter

What’s Behind Turkey’s U-Turn on the Islamic State?
http://foreignpolicy.com/2015/07/29/whats-behind-turkeys-u-turn-on-the-islamic-state-kurds-syria/?utm_content=bufferc0fae&utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_campaign=buffer

Turkey drawn into vortex of violence
http://www.al-monitor.com/pulse/originals/2015/07/turkey-suruc-bombing-violence.html?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter

Can the Kurds Stop Erdogan’s Bid for Total Power?
http://foreignpolicy.com/2015/05/28/can-the-kurds-stop-erdogans-bid-for-total-power-turkey-akp/?utm_content=buffer4d88b&utm_medium=social&utm_source=twitter.com&utm_campaign=buffer

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イスラム国、インドに世界の終わりをもたらし、米国と戦うために
全てのイスラム教徒を結集させることを宣言
2015年07月30日 17:47(アップデート 2015年07月30日 23:48) sputniknews
イスラム国はインドで大規模テロを計画している。それは「世界の
終わり」をもたらすものになるという。インド紙「The Times of 
India」によれば、パキスタンで「イスラム・カリフ国家小史」なる
冊子が見つかった。それによれば、テロの準備は既に進められてい
るという。
32ページからなるこのウルドゥー語で書かれた冊子には、イスラム
国のインドに対する攻撃を通じた全面戦争に米国を引き込むことを
目標とした戦略が書かれている。
また、アフガン脱出後の米兵および米国人外交官・パキスタン役人
に対する攻撃の筋書も詳しく書かれている。また、数十あるパキス
タンおよびアフガンのタリバン分派をひとつのテロ軍に結合する課
題も示されている。
「カリフ国家は全世界を掌握し、アラーに反対する最後の一人の首
が飛ぶまで生き延び、開花するという事実を理解せよ」とある。
米国は今日、こうした文書が存在すること、またそのディテールを
発表した。パキスタンのタリバンと関係をもつパキスタン人から米
メディアが入手したものだという。米国の諜報機関は現時点で、そ
の真正性を確認している。イスラム国の外の書類と同じような文体
が見られるという。現時点で明らかになっているのは、米国軍事諜
報局元長官で中将のマイケル・フリン氏が文書を読み解き、それが
「イスラム国の特別なキャンペーン計画である」こと、真剣に取り
扱うべきものであることを述べた、ということである。
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タリバン最高指導者は2013年に死んでいた
アフガニスタン政府が発表
ロイター 2015年07月30日
[カブール?29日?ロイター] - アフガニスタン政府は29日、反政府
武装勢力タリバンの最高指導者オマル師が2013年4月にパキスタンで
死亡していたと明らかにした。現在行われている和平交渉や後継者
をめぐり、タリバン内で亀裂が深まる可能性がある。
オマル師は、米国主導で2001年に始まったアフガン戦争によりタリ
バン政権が崩壊して以来、動静が分からなくなり、長年にわたって
死亡説もあった。
アフガン大統領府は声明で、「信頼できる情報に基づいて」オマル
師の死亡を確認したと明かしたが、詳細には触れなかった。
また、死亡確認を受けて和平交渉の地ならしが進んだとの考えを示
し、「全ての反政府武装勢力に対し、この機会を捉えて和平プロセ
スに参加するよう呼び掛ける」と訴えた。
タリバンの広報担当のコメントは取れていない。
米ホワイトハウスは、オマル師の死亡情報について「信頼できる」
とし、情報機関が調査を継続すると明らかにした。
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アメリカがトルコのクルド人空爆を容認
The US Says It's Okay for Turkey to Bomb Anti-IS Kurds
トルコ参戦の代償に、対IS戦争の貴重な協力者であるクルド人部隊
を失うことになりかねない
2015年7月29日(水)19時00分newsweekjapan
ティモシー・マグラス
 トルコがついに国境を越えてISIS(自称イスラム国、別名ISIL)
との戦いに加わった。これまでISISの掃討に手を焼いてきたアメリ
カなどの有志連合は参戦を歓迎したが、事態はそう単純ではない。
ISISが一部地域を支配するシリアとイラクには、最前線でISISと戦
うクルド人がいるが、そのクルド人はトルコの敵。つまりこの場合
、敵の敵も敵なのだ。
 有志連合にはなかなか参加しなかったトルコ政府だが、空爆の対
象をISISからクルド労働者党(PKK)に拡大するのには1日しかかか
らなかった。PKKは、長年自治権獲得を目指してトルコ政府と戦って
きたトルコ国内の組織だが、シリアとイラクのクルド人と連携して
ISISとも戦っている。
 トルコ空軍のF16戦闘機は先週末、初めてシリアのISIS拠点に対す
る空爆を実施。その翌日、今度はイラク北部にあるPKKの兵站基地を
爆撃した。PKKが対ISIS攻撃の拠点としていた場所だ。
 この複雑な展開により、アメリカも厄介な立場に置かれている。
 トルコはアメリカの同盟国だが、米軍にとってISISとの地上戦で
最も頼りになるのがクルド人だ。イラクのクルド民兵組織「ペシュ
メルガ」、シリアのクルド民兵組織「人民防衛隊(YPG)」、そして
トルコのPKKは、戦闘で協力し合っている。アメリカは、ペシュメル
ガおよび人民防衛隊と協力しているが、この2組織と協力している
PKKとは協力していないと主張している。
 というのも、米国務省はPKKをテロ組織に指定している。この指定
は時代遅れで、対ISIS戦争におけるPKKの役割を考えると指定を解除
すべきだという声もあるが、最近はトルコの治安部隊とPKKの戦闘も
激化している。トルコ政府からみれば、PKKは立派なテロ組織だ。
米政府は「別々の戦い」と苦し紛れの弁解
 グローバルポスト特派員のリチャード・ホールは、PKKはアメリカ
主導の対ISIS戦争における「サイレント・パートナー(匿名協力者
)」だと言う。
 米当局者は先週、ISIS空爆を行う米軍戦闘機の基地使用をトルコ
が認めたと発表した。戦いの形勢を一変させうる発表だったが、そ
の数時間後には、トルコがアメリカの「サイレント・パートナー」
を殺している事実に関心が集中した。
 ISISと地上戦を戦うクルド人組織と協力しながらPKKとの協力を否
定する米政府の詭弁も問題だが、イラクのPKK拠点に対するトルコの
空爆を容認するのはもっと悪い。
 もっとも、PKKに関する米政府の公式見解は変わっていない。
 週明けの緊迫した記者会見のなか、国務省のジョン・カービー報
道官は、米政府は常にトルコが「テロリストから自国を守る権利」
を尊重してきた、と語った。
 トルコがISISに対する空爆とPKKの拠点に対する空爆はどちらも同
じ「対テロ作戦」の一部と言う一方で、カービーはトルコのPKKに対
する攻撃は「ISISに対する攻撃とは別物だ」と言った。記者たちは
発言の矛盾を追求したが、カービーはあくまで同じ主張を繰り返し
た。「2つの攻撃は別のものだ」
 しかし、トルコ軍が攻撃の標的としてPKKと他のクルド人勢力とを
区別するのは困難だ。もし無差別に攻撃が行われるようになれば、
アメリカがISISに対する戦いとPKKに対する戦いを「別物」と言い張
るのも難しくなるだろう。
 現に、PKKと協力するYPGは週明け、トルコ軍の戦車が国境のシリ
ア側にあるクルド人の村Zur Magharを夜通し砲撃し、兵士4人が負
傷したと発表した。
「トルコ軍はISISを標的にする代わりに、我々の味方を攻撃してい
る」と、YPGは声明で言う。「トルコはこの侵略行為をやめ、国際的
指針を遵守すべきだ。我々の戦闘員と軍事拠点に対する攻撃を直ち
に止めるべきだ」
 トルコ政府は、今度の軍事作戦でYPGを標的にしたことはない、と
否定した。
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イラン核開発問題合意 米議会の反発続く
7月30日 6時21分NHK
イランの核開発問題を巡る最終合意について、アメリカのカーター
国防長官は、イスラエルやサウジアラビアなど同盟関係にある国へ
の安全保障に一層関与する姿勢を強調しましたが、野党・共和党を
中心に議会の反発が続いています。
イランの核開発問題を巡る欧米など関係6か国とイランの最終合意
について、29日、議会上院の軍事委員会で公聴会が開かれ、カー
ター国防長官らが出席しました。
カーター長官は先週、中東を訪問して、イランと対立するイスラエ
ルやサウジアラビアの首脳たちと会談したばかりで、「イランは依
然としてこの地域の安全保障の課題だ。イスラエルに対して最新の
軍事能力を提供していく」と述べました。
アメリカ政府は29日、弾道ミサイルを迎撃できるPAC3をサウ
ジアラビアに売却する方針を決定したと発表するなど、イランの脅
威を念頭に、同盟国や友好国への安全保障に一層関与する方針を強
調しています。
しかし、公聴会では、野党・共和党のマケイン軍事委員長が「制裁
が解除されると、イランは戦闘機や弾道ミサイルの技術や部品など
も獲得できるようになる」と、今回の合意を批判しました。
議会は今月20日から合意内容の審査を始め、ケリー国務長官らが
連日、公聴会に出席して説明を続けていますが、共和党だけでなく
、民主党の議員からも反発の声が上がっています。
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トルコによるシリア空爆の意図
―― 目的はクルド民族主義を抑え込むことにある 
Turkey, Syria, and the United States
スティーブ・クック  CFR中東担当シニア・フェロー
foreignaffairsj
 7月末、トルコとアメリカはシリア紛争へのより積極的関与に向
けた措置をとった。一年に及ぶ長期的な交渉を経て、トルコ政府は
米軍がインジルリク空軍基地をイスラム国に対する作戦のために使
用することを許可した。これに対してオバマ政権はシリア北西部に
「穏健派のシリア反政府勢力」のための安全地帯を設け、ここを「
穏健派のシリア反政府勢力」とともに、米軍とトルコ軍の空軍力で
守っていくことに合意した。 だがトルコはシリアのイスラム国勢力
だけでなく、イラク北部のPKK(クルド労働者党)も攻撃している(
国内でもPKK対策を強化している)。当初、トルコがイスラム国との
戦いに積極的になったこと、そして、シリア北西部における「安全
地帯」の設置がシリアのアサド政権とイスラム国との戦いのゲーム
チェンジャーになるかもしれないと大きな注目を集めたが、そう大
きな成果は期待できないだろう。トルコがイスラム国に対する戦い
により積極的になったのは事実だが、PKKがシリアでイスラム国との
戦闘に勝利を収めていることに不快感を強めているトルコ政府は、
むしろクルド民族主義を抑え込むことに関心がある。・・・・
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動き出したクルド連邦の夢
―― 政治的影響力を手にしたトルコのクルド人 
The Kurdish Consolidation
foreignaffairsj
マイケル・タンチューム  ヘブライ大学トルーマン研究所フェロー
(中東ユニット)
 フォーリン・アフェアーズ リポート
シリアのクルド人勢力(PYD)がイスラム国との軍事的攻防で大
きな勝利を手にし、一方トルコ国内でもクルド系政党(HDP)が
最近の選挙で大きな躍進を遂げた。だが、この展開から最大の恩恵
を引き出せるのは、HDPを立ち上げ、PYDへの影響力をもつク
ルド労働者党(PKK)だろう。PKKがトルコ政府との停戦を維
持できれば、HDPを通じてクルド人が民主的な方法で自治を獲得
できる見込みはますます大きくなる。PKKは、分離独立は求めて
いない。むしろ、中東における3000万のクルド人を束ねる「汎
クルド連邦」の実現を夢見ている。トルコとシリアの双方で自治的
なクルド地域を確立するという夢が実現するかどうかは予断を許さ
ないが、最近の進展が、すでにトルコと中東の政治地図を変化させ
ているのは間違いないだろう。
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クルド武装組織との和平「不可能」 トルコ大統領明言
イスタンブール=春日芳晃2015年7月29日15時35分asahi
 トルコのエルドアン大統領は28日、アンカラで会見し、少数民
族クルド人の非合法武装組織「クルディスタン労働者党」(PKK
)との和平交渉について、「国家の統一と連帯を脅かす者と和平交
渉を進めることは不可能だ」と述べ、交渉は破綻(はたん)したと
の認識を示した。
 大統領は憲法で政治的中立を求められており、実際の和平交渉は
ダウトオール首相が担う。ダウトオール氏は、トルコ軍がテロ対策
としてPKK拠点空爆を再開した後の25日、和平交渉について「
歴史的かつ戦略的に重要であり、我々は支持する」とし、引き続き
交渉を推進する考えを示した。大統領の発言を受けて変化があるか
注目される。
 PKKは拠点空爆を受けて、2013年から続く和平交渉に基づ
く停戦は「意味を失った」と表明。トルコ国内では、PKKの関与
が疑われる治安関係者への襲撃が相次いでいる。トルコ軍は28日
、南東部シュルナク県の軍警察が襲撃されたことへの報復として、
同県内のPKK関連3カ所を空爆したと発表した。
(イスタンブール=春日芳晃)
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国境から「イスラム国」排除へ=シリア北部の100キロ−米・トルコ
 【ワシントン時事】米政府高官は28日、シリア北部の対トルコ
国境地帯から過激派組織「イスラム国」を排除する方策について、
トルコ政府と協議に入ったと明らかにした。対象となるのは、シリ
ア・トルコ国境のうち、同組織が実効支配する約98キロの区間。
同組織と戦うシリア反体制派がシリア領内での地上作戦に当たると
いう。
 高官は電話を通じた記者会見で、この区間は「イスラム国」に残
されたトルコと接する「最後の国境」だと指摘。国境封鎖には「ト
ルコの力が必要だ」と述べた。米政府は、トルコから同組織に物資
や人員が流入しているとみている。トルコ政府はこれより先、シリ
ア北部に同組織を排除した「安全地帯」を設置すると表明していた
。(2015/07/29-07:14)
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タリバン指導部に亀裂=オマル師死亡?和平に影響も−アフガン
 【ニューデリー時事】アフガニスタン政府との和平交渉をめぐり
、反政府勢力タリバンの指導部に亀裂が生じている。パキスタン情
報筋が28日、明らかにした。最高指導者オマル師の死亡もささや
かれており、同筋は「穏健派と強硬派のどちらが主導権を握るかで
和平の行方は大きく左右される」と話している。
 タリバンは今月上旬、パキスタンの仲介で政府代表団と和平に向
けた初の公式協議を行った。米中両政府の関係者が同席する中、双
方は交渉継続で合意。交渉の正統性を「承認」するオマル師の署名
が入った声明も発表され、和平に向けた機運が高まっていた。
 しかし、パキスタン情報筋はオマル師が既に死亡したか、指導力
を発揮できない状態にあると指摘。「序列2位のアフタル・マンス
ール師が事実上の指導者として和平を推進するだけでなく、オマル
師の名を使って交渉を後押しする声明を出したとみられる」と話す。
 一方、2007年までキューバの米海軍グアンタナモ基地収容所
に収監されていた序列3位のザキール師ら強硬派はこうした動きに
反発。パキスタン南部カラチの神学校を卒業したオマル師の長男ヤ
クーブ師(26)を後釜に据える準備を進めているという。
 パキスタンに潜伏中ともされるオマル師をめぐっては、過去にも
たびたび死亡がうわさされていたが、真偽は確認されていない。た
だ、長らく肉声が公表されておらず、指導部内の権力争いが表面化
していることから、死亡説は信ぴょう性を増している。
 アフガン政府は今月末、タリバンと2回目の和平協議を予定して
いる。だが、同筋は「近頃パキスタンから帰国したヤクーブ師は和
平に応じないよう各派閥に呼び掛けている。指導部の分裂が進む中
、協議が予定通り開かれるかは不透明だ」と話している。
(2015/07/28-17:10)
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ガスパイプライン爆発=クルド勢力の犯行か−トルコ
 【エルサレム時事】トルコのアナトリア通信によると、ユルドゥ
ズ・エネルギー天然資源相は27日夜、トルコ東部アール県で、イ
ランからトルコへ天然ガスを輸送するパイプラインが爆発し、炎上
したと発表した。
 犯行声明は出ていない。国内では反政府武装組織クルド労働者党
(PKK)の関与が疑われている。同相は「修復され次第、輸送を
再開する」と国民に説明した。トルコはイランから年間約100億
立方メートルの天然ガスを輸入している。(2015/07/28-17:25)
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ISとの戦いで窮地、アサド「兵が足りない」
Assad Admits Syrian Army Suffering Shortages and Setbacks
内戦の間隙をISISに突かれて敗走を重ね弱体化したシリア軍
2015年7月28日(火)18時05分newsweekjapan
ルーシー・ウェストコット
 シリアの独裁者、バシャル・アサド大統領は1年ぶりの演説で、
内戦のために兵は不足し、広範な国土も失った、と異例の訴えをし
た。演説は先週末、政府要人を集めた首都ダマスカスで行われ、テ
レビでも中継された。
 それでもアサドは戦いには勝利すると宣言。シリア軍が一部地域
の放棄を余儀なくされたのは、他のより重要な支配地域を死守する
ためだったと述べた。既に国土の国土の75%を失った、という報道
もある。
「ある土地を守り抜くためには、そこに兵力を集中して他の土地を
諦めざるを得ない場合もある」とアサドは言う。「人材が不足して
いる......軍に必要なものは何でも調達できるが、兵士だけはどう
にもならない」
 今年3月で5年目に突入したシリア内戦は、もともとはアサドの
政府軍と反政府軍との武力衝突から始まったが、そこへテロ組織
ISIS(自称イスラム国、別名ISIL)が入ってきた。シリアの国土の
約半分は現在、ISISの支配下にある。
 ISISに支配された地域のなかにはトルコ国境に近いイドリブや古
都パルミラ、ラッカなどが含まれる。ラッカは現在、ISISの事実上
の首都になっている。
 アサドは内戦の政治的な解決を支持すると言いつつ、それがテロ
の一掃を前提としたものでなければ「空っぽで無意味だ」と、暗に
ISISや反政府軍の掃討を条件に匂わせた。
兵士には給与増額と1日1回の温かい食事を約束
 かつてシリア軍には30万人の兵士がいたが、この内戦で約8万人
が殺されたという。脱走や徴兵忌避も兵士不足の一因だと、独立系
テレビ局のアルジャジーラは報じている。
 シリア軍は先月、若者たちに対して兵役に就くよう呼びかけ、前
線部隊には給与を増額するとともに1日最低1回は温かい食事を出す
と約束した、とAP通信は伝えている。
 シリア内戦ではこれまで、推定で23万人が死に、100万人以上が負
傷した。400万人が母国を逃れて難民になっているほか、何百万人と
いう市民がシリアの国境地帯に避難している。
 シリア情勢は、最近トルコが対ISIS戦争に参戦したことで、一層
複雑化している。
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シリアに「地上部隊派遣せず」=空爆で反体制派支援−トルコ首相
 【エルサレム時事】27日付のトルコ紙ヒュリエト・デーリー・
ニューズ(電子版)によると、ダウトオール首相は、シリア領内の
過激派組織「イスラム国」の拠点に対するトルコ軍の空爆に関連し
、「(シリアに)地上部隊は派遣しない」と言明した。
 トルコ軍は24日に同組織への空爆を始め、同日夜からは反政府
武装組織クルド労働者党(PKK)のイラク北部の拠点も攻撃した。
ダウトオール首相は「形勢が変わった」と指摘した上で、今後は欧
米の支援する「自由シリア軍」など、「イスラム国」と戦う比較的
穏健な反体制派を空爆で支援することが重要だと語った。
(2015/07/27-19:49)
==============================
シリアのクルド勢力に砲撃か=「イスラム国」支配地近く−トルコ
 【エルサレム時事】AFP通信によると、シリア北部で過激派組
織「イスラム国」と戦うクルド人民兵組織の人民防衛部隊(YPG
)は27日、トルコ国境に近いYPG支配下の村にトルコ軍が砲撃
を加えたと主張した。トルコ政府当局者は「YPGは攻撃の対象外
だが、事実関係を調査中だ」と説明している。
 この村は「イスラム国」支配下の町ジャラブルス郊外にある。Y
PGは「『イスラム国』を標的にせず、われわれを攻撃した」と非
難した。
 YPGは、トルコの反政府武装組織クルド労働者党(PKK)の
関連組織。トルコは24日、シリア領内の「イスラム国」拠点への
空爆に加え、イラクのPKK拠点にも攻撃を始めた。
(2015/07/27-20:07)
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クルド和平、崩壊の危機=空爆に反発、襲撃事件多発−トルコ
 【エルサレム時事】トルコ政府と反政府武装組織クルド労働者党
(PKK)との和平交渉が、崩壊の危機に直面している。政府が過
激派組織「イスラム国」への軍事作戦に着手すると同時に、PKK
の拠点にも攻撃を加えているためだ。国内では反発したPKKによ
るとみられる襲撃事件が多発しており、再び混乱に陥る可能性もあ
る。
 PKKはトルコからの分離独立を目指し約30年間にわたり武装
闘争を続けてきたが、政府と水面下で交渉を進め、2013年に事
実上の停戦を宣言した。しかし、PKKはその後も政府が和平に向
けて行動していないと主張し、交渉はこう着状態が続いていた。
 そうした中、トルコ軍は24日夜から25日未明にかけ、シリア
北部にある「イスラム国」の拠点を空爆。同時にイラク北部のPK
K関連施設にも空爆を加えた。反発したPKKは声明で「停戦はも
はや何の意味も持たなくなった」と宣言した。(2015/07/26-20:17)
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空爆作戦で基地使用容認=対イスラム国で−米トルコが合意
 【ワシントン、エルサレム時事】米メディアは23日、米軍主導
の過激派組織「イスラム国」への空爆作戦で、米国とトルコが同国
南部のインジルリク空軍基地を利用することで合意したと伝えた。
米国防当局者は取材に対し「トルコ領内の基地使用は有志連合の作
戦の効果を高める」と述べ、トルコとの合意を事実上確認した。
 インジルリク空軍基地は、同組織が「首都」と位置付けるシリア
北部ラッカから約400キロの位置にある。米政府当局者は23日
付のニューヨーク・タイムズ紙(電子版)に対し、同基地が有志連
合の空爆作戦の拠点に加われば「形勢を一変させる」と話した。
 トルコ紙ヒュリエト・デーリー・ニューズ(電子版)によると、
南部スルチで起きた同組織によるとみられる自爆テロ事件を受け、
エルドアン大統領とオバマ米大統領が22日の電話会談で基地使用
に最終合意した。8月上旬にも使用が始まる見通しという。
(2015/07/24-07:28)
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トルコ首相がようやく連立協議を開始、最大野党党首と会談
 2015年 07月 14日 08:22 JST
[アンカラ 13日 ロイター] - トルコのダウトオール首相は
13日、総選挙から1カ月余りを経てようやく連立政権樹立に向け
た協議に乗り出し、最大野党・共和人民党(CHP)のクリチダル
オール党首と会談した。
6月7日の総選挙で与党の公定発展党(AKP)は過半数の議席獲
得に失敗したため、連立相手を引き入れて政権を立ち上げられなけ
れば、再選挙が実施されることになる。
ダウトオール首相はクリチダルオール氏との会談について「真摯(
しんし)」かつ「友好的」に行われたと説明し、両氏ともに強力な
連立政権を早急に発足させる必要があると強調した。ただ、首相に
よると、この会談は正式な連立交渉にまで発展しなかったという。
野党側はこれまで、連立に参加する場合はエルドアン大統領を日常
的な政策に関与させることを望まない姿勢を示している。
ダウトオール首相は会談に先立ち、大統領の積極的な役割を拒絶す
ることは連立協議をつぶすものだと語り、大統領の閣議出席取りや
めなどを望む野党をけん制した。
こうした中でエルドアン大統領は13日、各政党に対してあらため
て早期の連立政権樹立を促した。さらに、地域が抱えるさまざまな
脅威を踏まえると、政権発足をこれ以上先延ばしするのは許されず
、政権を立ち上げられないなら総選挙が必要になると警告した。
大統領は演説で「政治家が問題を解決できない場合は、国民が解決
の担い手になる」と指摘した。
政府内には、大統領とAKPにとっては連立協議が失敗して、再選
挙に突入した方が有利だとの声もある。
日刊紙ヒュエリトは、ダウトオール首相が連立協議不調による再選
挙で最も恩恵を受けるのはAKPだとの見方を示したと伝えた。
さらに政府寄りのイェニ・サファク紙によると、AKPが委託した
世論調査では6月の選挙で野党を支持した有権者の5%が、再選挙
なら野党に票を入れないだろうと回答し、再選挙でAKPが過半数
を制する可能性が出てきている。
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焦点:トルコ総選挙、エルドアン大統領の「野望」を有権者が拒絶
2015年06月09日(火)16時06分
[アンカラ 8日 ロイター] - トルコのエルドアン大統領は自身
の権限強化に向けた布石を着々と打ってきたが、土壇場で最終的な
勝利が掌中からこぼれ落ちたようだ。
7日に投開票された総選挙で野党勢力を結集させ、与党の公正発展
党(AKP)を過半数割れに追い込んだ「風」があるとすれば、そ
れはエルドアン氏が模索していた大統領の権限を大きくする「新た
なトルコ」に対する有権者の圧倒的な拒否反応だった。
AKPの議席数は依然として他党と比べればずっと多いがこの13
年で初めて過半数を失い、憲法改正に必要な3分の2の議席には程
遠くなった。これまで妥協などという政治手法に不慣れだったエル
ドアン氏に待っているのは、連立政権という現実だ。
AKP内のさまざまな政治勢力を1つにまとめてきたエルドアン氏
の野心と疑いようのない権威は今、空中分解の恐れにさらされている。
イラクやイラン、シリアと国境を接するトルコに政治的な混乱が起
きかねない事態には、北大西洋条約機構(NATO)加盟の西側諸
国も困惑している。
イスタンブールのガラタサライ大学のアフメット・インセル教授は
「今回の選挙結果を一言にまとめると、有権者はエルドアン氏に対
して『もう沢山だ』と告げたということだ」と述べた。
エルドアン氏は昨年8月、ほぼ象徴的な役割を担っていた大統領を
実質的な政治権力を備えた存在へ変えようとしてそれまで10年余
り務めていた首相の座を退き、自ら大統領に就任。その後大統領官
邸で閣議を開催するなど憲法で許されている最大限の範囲で国内政
治を主導し、今回の総選挙でさらなる権限強化を目指す計画に有権
者のお墨付きを得ようという目論見を抱いていた。
実際の選挙戦ではエルドアン氏は、AKP党首で首相のダウトオー
ル氏が霞んでしまうほど精力的に活動し、政治的に中立の立場にと
どまるべきだという大統領の義務を軽視していると批判を浴びた。
あるAKP幹部は「エルドアン氏が日々のイベントにまで介入した
ことで党内と有権者に不快感をもたらした。彼が生まれながらの指
導者であることはだれも否定しないが、党務は党に任せるべきだっ
た」と漏らした。
<党内で増大する批判>
エルドアン氏が2001年に創設したAKPは過去3回の総選挙で
議席を伸ばし、その間に国民所得は急増して地域大国としてのトル
コの地位も確立された。
ただ同氏の反対勢力に対する容赦ない態度が次第にエスカレートし
てきたため、有権者の半数が背を向けて同国の政治二極化をもたら
す一方で、AKP主導の権力集中化への懸念が生まれた。
こうした中でAKPの別の幹部は「エルドアン氏が今回の結果を
AKPの敗北とみなし、党批判を展開するだろう。同氏はダウトオ
ール首相の更迭を常に考えている」と述べた。
その上で「エルドアン氏は決して敗北を受け入れない。しかし党内
で彼が満足いくような行動を取るのは以前ほど容易ではないとみら
れる。ダウトオール氏を尊敬するグループは選挙で勝っており、党
内でエルドアン氏への批判はかつてないほど増大している」と指摘
した。
<求められる順応性>
エルドアン氏は、いくつかの厳しい逆風にさらされている。
例えば同氏と同じようなカリスマ性を備えたセラハッティン・デミ
ルタシュ氏が率いるクルド系の国民民主主義党(HDP)は、クル
ド人以外の有権者にも支持層を広げ、AKPの議席を奪う形で躍進
した。
さらに長年、AKPが選挙で勝つ原動力になってきた経済も成長が
減速して足場がもろくなり、隣国のシリアやイラクなどからのイス
ラム過激主義勢力の脅威も高まりつつある。
イスタンブールのシンクタンク、PODEMの共同創設者で以前に
ダウトオール氏の顧問を務めたEtyen Mahcupyan氏は、AKPは、敬
虔で保守的なイスラム教徒でありながらもより民主主義のマインド
を持ってリベラルな諸価値に寛容な新世代に目を向ける必要がある
と強調する。
Mahcupyan氏は「結局のところ、エルドアン氏は家父長的な人物で、
民主主義者ではない。ではトルコの政治家でだれが民主主義者なの
かといえば、だれも見当たらない」と話す。
さらに「エルドアン氏は非常に影響力を持っているが、ある程度は
自己を状況に順応させ、学習しなければならない」と提言している。
(Nick Tattersall、Orhan Coskun記者)



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