5432.路面電車と歩行者地域による街の活性化 その2



路面電車と歩行者地域による街の活性化 その2
 −ドイツの中都市 カールスルーへ と
           ブラウンシュヴァイクの例に見るー
                平成27年(2015)7月7日(火)
               「地球に謙虚に運動」代表 仲津 英治
 
 去る5月15日(金)から20日(水)まで、ドイツの大学で「自然に学ぶ」
と題して500系新幹線の開発と走行試験の経験を踏まえた講演を行なう
機会を頂きました。
その際、訪れた3都市の内、前回は南西ドイツのカールスルーへという
街が路面電車と歩行者地域により活性化し、街の賑わいを維持・発展
させている例をレポート致しました。 
今回は北ドイツのブラウンシュヴァイク市という人口28万人前後の中
都市の例を報告させて下さい。

2.ブラウンシュヴァイクの路面電車
ブラウンシュヴァイク市の路面電車データ
(Wikipediaより )
  Alstom 社製の電車(宮殿前停留所) (2009)	
基本情報	
国	ドイツ	
市	ブラウンシュヴァイク	
開業日	1879年10月11日	
電化時期	1897年10月28日	
運営会社	ブラウンシュヴァイク 交通会社(株)	
運輸連合       ブラウンシュヴァイク 地区運輸連合=VRB		
 路線構造	
路線延長	39.62 km	
軌間	1100 mm	
電化方式	600 Volt DC 架線式	
運転方式	方向別運転	
		
運転データ	
路線数	5	
軌道延長	51.1 km	
ラッシュ時の運転間隔	10―15分	
閑散時の運転間隔	30分	
車両	低床連節車両24編成 連節車両27編成  中間車両26両	
		
統計データ	
サービス領域人口	250 千人	
運転実績	250万キロ/年 	
ブラウンシュヴァイク市は、ドイツ北部にあり、連邦首都ベルリンと
ルール工業地帯の中間に位置する、かつてのハンザ同盟都市の一つです。
著名な数学者・天文物理学者ガウスの生誕地で、都心の公園には彼の
記念碑があります。

私はこの街の工科大学に1972年から74年まで留学していました。当時は
東西両ドイツが存在し、ブラウンシュヴァイク市は東独との国境に近く、
東側では、東独市民が西側に逃げないよう、ハード・ソフト両面で厳し
く看視していました。
 
 ブラウンシュヴァイク市は、地下鉄建設が可能と言われる人口50万には
届かず、路面電車が市内と郊外を結ぶ都市交通機関の主役であり、今も
トラム網が拡充されているようです。まず馬車バスに始まり、馬車鉄道時
代に基本路線が整備された路面電車網は、現在約40キロのネットワークに
拡充されています。

日本で一番利用されている路面電車線は、広島電鉄ですが、営業キロは
19キロしかありません(但し、鉄軌道を併せると35キロ)。広島市の
人口は115万人ですから、人口28万人のブラウンシュヴァイク市の営業
距離40キロは、相当のレベルと言えましょう。
人口十数万以上のドイツの都市には大抵路面電車線があるようですから
(50都市以上)、この国は、路面電車を大事にしてきたと言えるでしょ
う。英国・フランスは、路面電車を第2次大戦後全廃か大幅削減してい
ます。しかしその後、復活させつつあるようですね。 
 ヨーロッパのトラム


ブラウンシュヴァイク市に私が留学していた頃は、1両編成の路面電車
が多かったように記憶していますが、今はカラーフルな3両編成のトラム
が縦横に走っていました。お客様が増え、サービスの向上も図っている
のでしょうか。    
 
 また、都心部近くで復活した宮殿なり、新たに整備された百貨店のある
辺りでは、道路も路面電車用に大幅に拡幅され、屋根付のホームのある停
留所が整備されていました。 
 ブラウンシュヴァイクの歩行者地域
 中心部では恒久的歩行者地域が、40数年前より数倍に拡大されていまし
た。市民の拡充要望が強く、大きく広げられたようです。自動車から解放
された街は、安全で実に気持ち良いものです。しかし、当初は商店主等
から客が来なくなると反対が多かったそうです。
訪れた日は平日の昼間でしたので、それほど人通りは、有りませんでし
たが、市民は買い物・散歩を楽しんでいました。商店なども売り上げが
伸びており、三方良しの繁栄が実現しているとのことです。自転車も
場所と時間帯により乗り入れがOKになっていました。
  以上
 

「地球に謙虚に運動」代表




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