5430.脳科学でのクオリア



クオリアとは、「赤の赤らしさ」や、「バイオリンの音の質感」、
「薔薇の花の香り」、「水の冷たさ」、「ミルクの味」のような、
私たちの感覚を構成する独特の質感のことである。

私たちの心の中にある「クオリア」の性質がどのように物質的過程
から生み出されるのか、そして、そもそも様々な「クオリア」が結
びついた表象が感じられる枠組みである「私の心」という主観性の
構造がどのような物質系にどのような条件の下で現われるのかを明
らかにすることは、客観的世界と主観的世界の間で分裂した私たち
の世界像を整合的なものにする上で必要不可欠なステップになる。

クオリアの中には、階層構造がある。クオリアが階層的に集合して
、より複雑な表象(representation, Vorstellung)が生じる。例え
ば、ガラスの透明な質感や、ガラスの表面の色はクオリアであり、
このようなクオリアが集合して、「コップ」という表象が構成され
る。
 クオリア(qualia)は、現在までの様々な神経生理学的データを
検討すれば、ニューロンの活動、とりわけ活動電位と呼ばれる膜電
位の変化によって生み出されることは明らかであるようだ。

目からの信号は、外側にある視床視覚野の細胞に伝えられて、ある
パターンになると、上位の連合野の細胞が発火して、その細胞が複
数であるパターンを構成すると、上の概念の細胞を発火させるとい
うようにして、最後は前頭前野の領域で、判断することになる。

また、大脳皮質視覚野では見たものを認識して、言葉化される。認
識される前に、生命的な危機で必要なら、扁桃体に信号が行き、関
係する体を刺激して、対応させる。

この人間の行動のほとんどが、大脳皮質系の認識は後天的な学習で
得る。生命的な危機時の扁桃体への信号だけが先天的な動きである。
認識してから動かすより、0.5秒早い。

運動を繰り返し行う訓練は、この扁桃体への信号化することのよう
である。無意識で動作ができるようにするようだ。

というように人間では、大脳皮質ではパターンで発火させているの
で、このパターンを作るために生まれた時から学習が重要である。
また、大脳皮質では情報の選択をして、多くの情報を捨てている。
しかし、捨てている情報に多くの有効なモノが含まれている。

この捨てている情報をどう拾うか、雰囲気に負けて上がってしまう
心を冷静にして、情報を拾うかが判断をするときに重要なのである。

このため、脳を全体的に冷静にして、かつ必要な情報をとることが
必要であり、このためには、瞑想的な状態して、判断することが重
要なのである。

脳を冷静にして、自分を見るので、自分の本当な姿も見えるのであ
る。

脳科学が発展すると、瞑想の価値もわかるのである。その訓練法も
もしかしたら、新しいものが出てくる可能性もある。



コラム目次に戻る
トップページに戻る