5426.ギリシャ国民投票:否で



5422.ギリシャの行方4で述べたように、チプラス首相演説の
国民ミスリードがやはり、国民を反対に誘導してしまった。

国民投票の結果は、財政緊縮策への反対が61%と賛成の39%を
大差で上回った。

これで、ユーロ離脱が確定した。欧州中央銀行(ECB)は、ギリ
シャ向け緊急流動性支援(ELA)を現行の水準に維持する見通し
だ。これ以上の流動支援はしないということである。ギリシャの銀
行は、現状の制度のままでは取り付け騒ぎと資本不足で倒産の危機
になる。

このため、銀行残高が109万円以上ある預金者に対し、それを超える
部分について貯金の30%を強制的に押収することになるという。

また、ユーロ離脱の準備をする必要がある。しかし、ギリシャのバ
ルファキス財務相は、既に紙幣を刷る印刷機は廃棄しており「(新
たに印刷する)能力はない」と述べたが、準備をすることが必要で
あり、極端に安い偽札が容易にできる中国の印刷機を買うことにな
る。しかし、ギリシャの新ドラクマの偽札を作りたい人はいないは
ずであるから、おもちゃの紙幣でも良いくらいである。

経済は一時的に麻痺することになり、輸入はできなくなる。ロシア
と中国は、取り込むチャンスである。EU離脱はできないので、EU
権利は維持できる。

ユーロ圏も離脱条件を明確化することになる。また、EUの離脱も
明確化することである。ここは、一度、EUを縮小してでも制度の
整備必要であろう。

世界経済への影響は少ないが、EUへの影響はある。

さあ、どうなりますか?



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緊縮策、大差で「反対」=ユーロ離脱に現実味−市場大荒れも・
ギリシャ国民投票
 【アテネ時事】ギリシャで5日行われた国民投票は即日開票され
、内務省の公式推計によると、欧州連合(EU)などが金融支援の
条件として受け入れを求めた財政緊縮策への反対は61%と賛成の
39%を大差で上回ることが確実となった。6月末で打ち切られた
支援は再開のめどが立たなくなり、ギリシャは経済・金融の混乱が
拡大してユーロ圏からの離脱に追い込まれるシナリオが一気に現実
味を増してきた。
 週明けの世界の金融市場は、ギリシャショックによる大きな混乱
も予想される。
 「反緊縮」を呼び掛けたチプラス首相は、投票で信任された形。
AFP通信によると、ギリシャ政府報道官は地元テレビで、国民投
票の結果を踏まえ、「(EUなど)債権団に対する交渉力が強まる
」と述べた。
 EUは、ユーロ離脱の不安をあおってギリシャ国民に緊縮策の受
け入れを迫ったが、効果は限定的で、大きな誤算となった。EU主
要国ドイツのメルケル首相とフランスのオランド大統領は6日にパ
リで会談し、国民投票の結果を踏まえて今後の対応を協議する。
(2015/07/06-05:22)
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ユーロが対ドルで急落、円上昇 ギリシャ国民投票受け
2015年 07月 6日 06:40 JST 
[ウェリントン 6日 ロイター] - ギリシャ国民投票で緊縮策受
け入れ反対が多数となる見通しが強まったことで、アジア太平洋市
場でユーロが急落し、円が買われている。
ユーロ/ドルEUR=は約1.4%下落の1.0955ドル。
ユーロ/円EURJPY=は1.6%安の134.24円、ドル/円JPY=は
121.94円。
ニュージーランドドル(NZドル)NZD=D4や豪ドルAUD=D4は対米ド
ルで軟調。NZドルは5年ぶり安値を若干上回る0.6645米ド
ル、豪ドルは6年ぶり安値を若干上回る0.7473米ドルで推移
している。
市場からは、欧州中央銀行(ECB)がギリシャ向けの緊急流動性
支援(ELA)を現行水準で維持するかどうかが最初の試金石との
声が出ている。
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ギリシャ中銀、ECBに緊急流動性の増額要請へ
2015年 07月 6日 05:16 JST
[アテネ 5日 ロイター] - ギリシャ中央銀行は、欧州中央銀
(ECB)に対し5日、緊急流動性支援(ELA)の増額を要請す
る。政府報道官が明らかにした。
報道官はテレビで「ギリシャ中銀はきょう要請する。ELA増額の
妥当な根拠があると考えており、増額しない理由はない」と述べた。
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ECB、ギリシャ向け緊急流動性を現行水準に維持=関係筋
2015年 07月 6日 05:46 JST
[フランクフルト 5日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は
、ギリシャ向け緊急流動性支援(ELA)を6日の理事会で現行の
水準に維持する見通しだ。関係筋が明らかにした。
ただ最終決定ではないという。国民投票では緊縮策受け入れ拒否が
優勢となっている。
ある関係筋は国民投票の結果が報じられる前に、受け入れ「拒否」
となったも直ちに対策がとられることはないとし、別の関係筋もこ
れを確認した。
担保のヘアカットを拡大することについて検討するとみられている。
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独副首相「金融支援の合意 想像できない」
7月6日 6時01分NHK
ギリシャで実施された国民投票で、財政緊縮策に反対が賛成を大き
く上回り、チプラス首相が勝利宣言したことについて、ドイツの副
首相を務めるガブリエル経済・エネルギー相はドイツの新聞の取材
に対し、「ユーロ圏からの提案を拒否するのであれば、金融支援の
合意など想像すらできない」と述べました。
そのうえで、ガブリエル経済・エネルギー相は「チプラス首相は、
国民を自暴自棄で希望のない厳しい道へと導いている」とチプラス
首相を批判しました。そして、「チプラス首相は、ギリシャとヨー
ロッパがともに進む可能性があった妥協という最後の橋を破壊した
」と述べ、金融支援を巡る協議で、合意するのは極めて難しくなっ
たという見方を示しました。
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ギリシャの手中にある欧州の未来
国民投票の結果にかかわらず、EUは永遠に変わる
2015.7.5(日)  The Economist
(英エコノミスト誌 2015年7月4日号)
今回のギリシャ危機は、どのような結果になろうとも、EUを永遠に
変えることになるだろう。
 欧州連合(EU)で、ここ8日間のギリシャのような状況が生じたこ
とは、過去に1度もなかった。
 シャッターが下ろされた銀行、資本規制、先進国による初の国際
通貨基金(IMF)に対するデフォルト(債務不履行)、数十億ユーロ
規模の救済プログラムの破綻、ギリシャのユーロ離脱を加速させか
ねない国民投票の計画、そして貧窮する国民――。
 利害がこれほど大きくなければ、これまでの緊急サミットや土壇
場の要求は、茶番劇と見なされたことだろう。
ギリシャだけの悲劇では済まない
 だが、これは茶番劇ではなく悲劇だ。双方が望まないと口にする
結果――ギリシャのユーロ離脱――の可能性がますます高まってい
るように見える。
 このカオスは、ギリシャにとってユーロ離脱が破滅的であること
を裏づけている。ユーロを離脱したギリシャが破滅する大きな理由
は、デフォルトと通貨切り下げにより得られる多少の利益よりも、
政治経済の不安定化による影響の方が圧倒的に大きいことだ。
 ギリシャ以外の欧州にとっても、ギリシャのユーロ離脱(いわゆ
る「グレグジット」)には、繰り返し語られてきたリスクが伴う。
欧州大陸の東南隅に破綻しかけた国が存在するリスクについては、
特に詳しく検討されてきた。
 だが、ドラマが絶望の度合いを深めるにつれ、欧州の人々の心配
は逆に小さくなっているようだ。
 彼らは、ギリシャの機能不全はギリシャ特有のものであるという
事実に安心を見いだしている。ギリシャとの交渉は、駆け引きと、
繰り返される誤算に蝕まれてきた。今では多くの人が、ギリシャが
いない方がユーロ圏は安定するだろうと考えるに至っている。
 残念ながら、それは間違っている。ギリシャの先に目を向けてほ
しい。ユーロ圏内でのさらなる軋轢という脅威は、ほぼ不可避と言
える。ギリシャの離脱はユーロが解消不可能ではないことの証とな
るものの、どのようなルール違反が追放につながるのかは、誰にも
分からない。また、救済において必然的に生じる債務国と債権国の
二極化も解消されないだろう。
 ユーロが改革の必要性に正面から向き合わなければ、今回の危機
か、あるいは次の危機の中で、さらなるギリシャ、さらなる大失態
、さらなる悲惨な1週間が生まれるだろう。やがてそれがユーロを、
そしてEUそのものを破壊することになる。
機を逸するな
 現在のところ、この議論は、ギリシャの急進左派連合(SYRIZA)
が率いる極左政権とばかげた国民投票のせいで、分かりにくいもの
になっている。
 7月5日に国民投票が実際に実施されたなら*1、ギリシャ国民は債
権者の改革案(もはや交渉のテーブルに載っていない案)と債務持
続可能性分析(この評価には経済学の学位が必要だ)を評価するこ
とになる。
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ギリシャの銀行が預金の30%の強制没収を画策中 連鎖倒産を防ぐため
広瀬隆雄2015年07月05日 02:25
フィナンシャル・タイムズが伝えるところによるとギリシャの銀行
各行が、若し日曜日の国民投票でNOと出た場合、取り付け騒ぎが起
こり、銀行の連鎖倒産が起こることを恐れて、銀行残高が109万円以
上ある預金者に対し、それを超える部分について貯金の30%を強制的
に押収することを検討しているそうです。
ギリシャの銀行関係者は、これを「ヘアカット(散髪)」と呼んで
います。この記事を読んだ限りでは、これを画策しているのがギリ
シャ政府なのか、それとも銀行各行の示し合せなのか、判然としま
せん。もし政府がそれを行おうとしているのならば、これは経済学
用語では預金税(Capital levy)に相当します。(税金を取れるの
は政府だけなので、これが民間の創意ならば、それを「税金」と呼
ぶわけには行きません)
これは2013年にキプロスで実施された預金税に似た措置です。
ギリシャの銀行各行は、預金者のおカネの30%を強制没収し、それを
銀行の自己資本に参入することで倒産を免れようというわけです。
もしこれをやらなければ、銀行が連鎖的に倒産するのだから、それ
よりはマシという考え方もあります。
さて、ここからは僕の考えです。
まず日曜日の国民投票ではYESが勝つと思っています。なぜならギリ
シャは実質的な預金封鎖の状況にあり、もしNOが勝つと、ギリシャ
市民は二度と自分が銀行に預けた貯金の全額を取り戻すことは出来
ないからです。
よっぽどフィナンシャル・リテラシーが欠如した人でない限り、そ
の程度のことは理解できると思います。
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【ギリシャ危機】
新たな紙幣印刷できず ギリシャ財務相、機械破壊
2015.7.3 13:10sankei
 財政危機に陥ったギリシャのバルファキス財務相は3日までに、
オーストラリアのABCラジオの取材に対し、既に紙幣を刷る印刷
機は廃棄しており「(新たに印刷する)能力はない」と述べた。
 バルファキス氏は、ギリシャがユーロ導入への強い決意を示すた
め2000年に「(旧通貨ドラクマ用の)印刷機を壊した。だから
もう印刷機は持っていない」と説明した。
 ギリシャはドラクマを使っていたが、01年にユーロ圏に加盟し
た。(共同)


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