粘土から作り出した粘土フィルム:クレーストの原料は粘土の一種 で土壌改良材から化粧品まで幅広く使われているモンモリロナイト であり、それを基に産業技術総合研究所の蛯名武雄博士が研究し、 粘土から透明なフィルムの開発に成功した。 石油由来のプラスチックフィルムが熱に弱いのに対し、粘土フィル ムを350度に加熱したセラミックの板に置いても変化がない。 この粘土フィルムを使えば車のエンジンや工場の配管など高温の環 境でも様々なもの保護できる。 さらに粘土フィルムを薄くすればするほど、気体を遮る能力が高ま ることも分かった。 通常 粘土の結晶はバラバラに並び隙間だらけだが、薄くすると整列 し、隙間が無くなるために、気体は結晶に道を阻まれ、迷路に迷っ たように外に出られなくなる。その結晶が何万層にも重なっている ことで、ガスが逃げない。 天然の粘土からは不純物が多く透明なフィルムは作れなかったが、 そこで砂から取れる素材に自然界と同じ強い圧力を加え、粘土を人 工的に作り出すことに成功した。それを水で薄めてプレートに流し 込み、乾燥させると透明な粘土フィルムが完成する。 このクレーストは、特に高温の環境で高い透明性と高い酸素ガスバ リア性を要求される分野で利用することができる。 一番、期待されているのが燃料電池の水素ボンベや配管のつなぎ目 への応用である。 もう1つが、アスベストに変わる分野である。ガスケットなどの分 野でも有望である。