5415.ギリシャの行方2



ギリシャのチプラス首相は、EUなどの債権交渉団との交渉で合意
できなかったとツイッターで交渉後すぐに言った。

ロシア・ツディ紙の「Greece rejects ‘exceptionally generous’
 counterproposals by creditors」では、債権団は2015年予算
でプライマリーバランスで1%の黒字を達成することを目標とした
いようである。このため、いろいろな税金の減免処置を廃止するこ
とを債権団は要求しているが、それをギリシャは拒否しているとい
う。

また、年金の予算額を縮小することも必要であり、そこでも年金額
ではなく、開始年齢引き上げで対応することにギリシャはしたが、
それだけでは不十分だと債権団は見ている。

ギリシャは譲歩しているが、まだ不十分であると債権団は見ている
ようである。もう1つが、今の左派チプラス政権で、改革が実行で
きるのか疑っている。

そして、その上に2016年は2%の黒字化、2017年は3%の
黒字化をするという約束がある。しかし、これを約束しないと6月
30日にデフォルトが確定する。

このため、オーストリアのシェリング財務相は24日、ギリシャの
債務交渉について、28日までに合意が成立しなければ、今後どの
ような展開になるか予想がつかなくなると述べた。もちろん、デフ
ォルトが起こり、ユーロ圏離脱という事態を想定できるが、何が起
きるか、わからないということである。

しかし、債権団の要求をチプラス首相が受け入れると、SYRIZAの中
でも強硬な左派のメンバーは、チプラス氏が野党時代に「野蛮」で
「受け入れられない」と批判していた財政緊縮策によく似た増税や
年金支給額削減に同意したことになるしようと心配している。

現在のギリシャの譲歩案でも、「個人的な見解だが、これらの施策
は議会では承認できない。極端であり、社会正義に反している」。
SYRIZAの強硬派でギリシャ議会の副議長を務めるアレクシス・ミト
ロポロス氏はそう述べている。

そして、ヤニス・バルファキス財務相が政権と袂を分かつ準備をし
ているとも言われている。譲歩したらチプラス氏に辞任してはどう
かという提案した後、SYRIZAの議員を一部引き連れて離党するとい
うのである。

改革案が議会の支援を得られなければ、チプラス首相は解散総選挙
か国民投票を迫られる可能性がある。

まだ当分、ギリシャの混乱は続く事になる。

私は、債権団と合意できない可能性が高いし、合意してもギリシャ
国会での承認が得られないと見る。

そして、結局、総選挙になり、NPが再度優勢になり、政権交代に
なるような気がするが、どうであろうか?

==============================
ギリシャ金融支援結論持ち越し EU、25日に再会合
 【ブリュッセル共同】欧州連合(EU)は24日夜、ギリシャ金
融支援を協議する臨時のユーロ圏財務相会合をブリュッセルで開い
たが、支援の前提となるギリシャの財政再建策が固まらず、約1時
間で終了。25日午後(日本時間同日夜)に再開することを決めた
。EUなどは24日中の合意を目指していたが、結論は持ち越され
た。
 22日にギリシャ政府が提出した財政再建策に対し、EUや国際
通貨基金(IMF)といった債権者側が年金改革などについて変更
を要求。24日の会合前にギリシャのチプラス首相がユンケル欧州
委員長らと会談して調整したが、双方の溝を埋めるに至らなかった。
2015/06/25 08:21   【共同通信】
==============================
ギリシャ首相を待ち受ける党内造反
強硬派から反対論、政権の信頼性が揺らぐ恐れ
2015.6.25(木)  Financial Times
(2015年6月24日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
 ブリュッセルで22日夜に開かれたユーロ圏の緊急首脳会議からア
レクシス・チプラス氏がアテネに戻ってくる前から、気むずかしい
急進左派連合(SYRIZA)の内部には同氏に批判的な見方が出ていた。
 チプラス首相はほかの欧州諸国の首脳と話をし、以前よりも融和
的な提案を行った。
 72億ユーロの支援を引き出して6月30日のデフォルト(債務不履行
)を回避しようという最後の、そして必死の試みだった。
 しかし、SYRIZAの中でも強硬な左派のメンバーは、チプラス氏が
野党時代に「野蛮」で「受け入れられない」と批判していた財政緊
縮策によく似た増税や年金支給額削減に同意しようとしているとの
懸念を抱いている。
 リークされたギリシャ側の提案には、ギリシャ政府が債権者側の
厳しい要求をはねつけ、社会的責任を果たす代替策を主張したと記
されていたものの、SYRIZA内部の雰囲気は23日、とげとげしいもの
になった。
新提案をベースにした合意は「ギリシャの墓石」に
 「個人的な見解だが、これらの施策は議会では承認できない。極
端であり、社会正義に反している」。SYRIZAの強硬派でギリシャ議
会の副議長を務めるアレクシス・ミトロポロス氏はそう述べた。
 同じ左派の強硬派議員、ヤニス・ミケロヤナキス氏も同じ見方を
示した。「政府の新しい提案をベースにした合意ではだめだ。ギリ
シャの墓石になってしまう」
 SYRIZAの幹部の中には、意見を二分するヤニス・バルファキス財
務相が政権と袂を分かつ準備をするかもしれないと心配する向きも
いる。バルファキス氏は今年、欧州諸国の有力政治家たちにそその
かされたチプラス氏から辞任してはどうかという提案があった後、
SYRIZAの議員を一部引き連れて離党するかもしれないと牽制してい
たからだ。
 チプラス氏が脅威にさらされているのは、部分的には、この数週
間で信頼できる改革案のリストを打ち出すのを急ぐあまり、同氏と
側近らが会派内にいる20〜30人の潜在的造反者を無視したためだ。
 もし10人以上のSYRIZA代議士が新たな救済パッケージに反対票を
投じたら――あるいは棄権した場合でさえ――、SYRIZAの率いる政
権は、関連法案を可決させるために親欧州派の野党の助けが必要に
なる。
 これで目先の問題は解決するかもしれないが、SYRIZAの信頼性は
損なわれ、政府の未来に疑問が投げかけられるだろう。
 潜在的な造反者の多くが極左の理想家で、党の路線に従うよりも
自分の良心に沿って投票する用意があるということも、チプラス氏
の目標の助けにならない。
 アテネ経済商業大学の経済学部教授、ジョージ・パゴラトス氏は
「SYRIZAの会派には、かなりの人数の一匹おおかみがいる。彼らは
党と政府に十分に懐柔されておらず、このパッケージは一部の人に
とって衝撃となる」と言う。
 すべてが計画通りに運べば、ギリシャは25日の欧州連合(EU)首
脳会議で承認されるのに間に合うよう、EUおよび国際通貨基金(IMF
)と合意をまとめる。
週末をまたぐ3日間の緊急集会
 ギリシャ政府関係者によれば、合意されたパッケージは週末にギ
リシャ議会の3日間の緊急集会で議論され、29日月曜日に採決にかけ
られるという。このような厳しい期限は、首相が工作を行う余地を
制限する。
 リスクコンサルティング会社ユーラシア・グループで欧州分析部
門のトップを務めるムジタバ・ラーマン氏は言う。「財政措置に偏
ったパッケージの性質と内部協議の時間が限られていることは、関
連法案が議会を可決した時にチプラス氏が過半数割れに追い込まれ
るリスクを高める。一部のプレーヤーがどう反応するか予想するの
が難しいからだ」
 ギリシャの提案は、歳出抑制と歳入増加で今年27億ユーロ(国内
総生産=GDP=比約1.5%)、来年52億ユーロ(GDP比約2.9%)捻出
できるよう設計されている。
 債権者の要求に妥協し、年金支給開始年齢は引き上げられるが、
2015年と2016年には年金支給カットはない。
 79億ユーロの財政パッケージの9割以上が増税と社会保障の拠出増
額によって賄われる。税制措置には、中規模企業の利益に対する特
別税が含まれる。
 「提案はSYRIZA自身の支持基盤を守りながら富裕層をターゲット
にすることを目的としている。歳出削減を避けつつ、経済を締め殺
す結果になりかねない激しい増税を目指している」。アテネ大学で
法律と経済学を教えるアリスティディス・ハツィス氏はこう言う。
バルファキス財務相の思惑に注目
 ユーロ圏の当局者らは次第に、バルファキス氏がどんな合意にも
債務減免が盛り込まれることを要求することでSYRIZA内の穏健派と
の妥協を妨害しようとしてきたとの懸念を募らせている。
 率直な物言いのバルファキス氏は22日にブリュッセルで開かれた
ユーログループ(ユーロ圏財務相会合)の緊急会合の後、柄にもな
く静かだった。
 「バルファキス氏には自身の思惑があり、この合意を厳しく批判
する衝動に駆られるだろう」とハツィス氏は言う。「だが、それは
彼がSYRIZAから離れることを意味するわけではない」
By Kerin Hope in Athens
==============================
ギリシャ、28日までの合意なければ先行き不透明に=オーストリア
ロイター2015年06月24日 15:11
[ウィーン 24日 ロイター] - オーストリアのシェリング財務
相は24日、ギリシャの債務交渉について、28日までに合意が成
立しなければ、今後どのような展開になるか予想がつかなくなると
述べた。
オーストリア放送(ORF)ラジオに述べた。
同相はギリシャ政府が改革実行の具体的な日程を明示しなければ、
債権団は改革案を受け入れることはできないと発言。
「今夕までに(具体的な日程が)明示されると予想している。もし
28日までに本格的な解決策が見つからなければ、次にどのような
措置をとるのか、予想がつかなくなる」と述べた。
==============================
ギリシャのヘアカットに反対、ドイツ副首相が表明
2015年06月24日(水)02時45分
[ベルリン 23日 ロイター] - ドイツのガブリエル副首相は
23日、ギリシャの債務元本減免(ヘアカット)に反対する立場を
表明した。
同氏は、ギリシャが新たな提案を示したことで、支援協議合意の可
能性があると話した。
その上で、「既存債務の扱いでなく、債務増加が問題」と指摘。「
ヘアカットを認めた翌日に、新たな債務が積み上がるなら、ヘアカ
ットでさえも問題を解決できない」と述べた。
同氏はさらに、ギリシャが強要するような事態を、ドイツや欧州は
発生させてはならないと訴えた。
==============================
ギリシャ改革案に身内から批判、政府は議会承認を確信
2015年06月24日(水)07時16分
[アテネ 23日 ロイター] - ギリシャ政府は23日、債権団に
提出した新たな改革案について、一部与党議員が強く反発している
ものの、議会で承認されると確信していると表明した。
ギリシャのパパス首相府相はメガテレビに「合意は、政権の大多数
、国民の支持を獲得するのは確実だ」と述べた。
一方、与党議員でもある議会のアレクシス・ミトロプーロス副議長
は、改革案は、現在の形のままでは議会の通過は難しいとの認識を
示した。
改革案が議会の支援を得られなければ、チプラス首相は解散総選挙
か国民投票を迫られる可能性がある。
首相率いる急進左派連合(SYRIZA)と連立を組む独立ギリシ
ャ人党のパブロス・ハイカリス副党首はアンテナTVに対し、「政
府はわなに落ちた。これ(改革案)がどの程度実現することができ
るかは分からない」と述べた。
ギリシャが示した改革案には、定年退職年齢を段階的に67歳に引
き上げる案や、早期退職抑制策などが盛り込まれている。ただ、年
金受給額の削減や電力課税など強い反発が予想される分野までには
踏み込んでいない。
チプラス首相は24日、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁、国
際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事、および欧州委員会のユ
ンケル委員長とブリュッセルで会談を行う。会合は午後に行われ、
その後、1700GMT(日本時間25日午前2時)にはユーログ
ループ(ユーロ圏財務相会合)が開かれる。
ギリシャ国内の銀行からの預金引き出しは続いており、関係筋によ
ると、ECBは23日、ギリシャの銀行に対する緊急流動性支援(
ELA)枠を引き上げた。ELAの引き上げは3日連続となる。
==============================









コラム目次に戻る
トップページに戻る