5404.黒田バズーカ砲3弾



黒田総裁のバズーカ砲がまた、炸裂した。この時期に円高牽制の発
言があるとは、市場は予想していなかった。このため、市場関係者
がビックリして、円高方向に2円以上も動いたのである。このため
大幅ドル安/円高の122円後半になった。125円台から一気に
円高である。

しかし、これは国民としては大歓迎であろう。円安になり、輸入物
価が上昇して、年金生活者や国内産業には大きな痛手である。輸出
できる企業数は、ほんの数%であり、ほとんどの企業は国内産業で
ある。

黒田日銀総裁が「実質実効為替レートがさらに円安になるのは、普
通に考えればありそうにない」や「これまで円安が経済にプラスだ
ったから、さらなる円安でさらにプラスということではない」と発
言したが、その通りである。

FRBが利上げをほのめかして、なかなか上げないために、徐々にドル
高に向かってしまっているのが原因である。しかし、これだけ長期
に期待だけを高めることが本当に良いことかどうか、米国経済にと
っても言えるように感じる。織り込みすぎのような感じである。

この円高を受けて、東京株式市場で波乱含みの展開が続いた。10日
の日経平均株価は、360円安となった前日に続いて荒い値動きとなっ
た。2万46円とあわや2万円割れという水準にまで下がった。

円のレンジとして、115円〜120円になることが重要な気がす
る。

さあ、どうなりますか?



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ドル122円後半、「黒田ショック」で大幅安
2015年 06月 10日 15:43 JST
[東京 10日 ロイター] - 午後3時のドル/円は、ニューヨー
ク市場午後5時時点に比べ、大幅ドル安/円高の122円後半。黒
田日銀総裁による円安けん制的な一連の発言を受け、ドルは約2円
の幅で急落し、一時2週間ぶり安値となる122.50円を付けた。
黒田日銀総裁は10日、実質実効為替レートでみて、かなり円安に
なっているのは事実、との認識を示したうえで「実質実効為替レー
トがさらに円安になるのは、普通に考えればありそうにない」とし
た。
また「これまで円安が経済にプラスだったから、さらなる円安でさ
らにプラスということではない」と発言した。
アベノミクス下の円安局面で、実質的な「口先介入第一弾」(証券
会社)と同総裁の発言を挟んでドルは急落。発言直前の124円半
ばから122.50円まで下値を伸ばし、約2円の円高となった。
<黒田ショックと市場の見通し> 
「黒田ショック」とも呼べる明確な円安けん制を受け、この日はド
ル安/円高が進んだが、中長期的なドル高傾向が変化するとみる向
きは依然少ない。
黒田総裁の発言については「(ドル/円は)13年ぶりの高値で調
整のきっかけ待ちだったところもあろうが、インパクトがあった」
(国内証券)との声が出ていた。
ただ「ドルが120円から125円まで上がったのは日銀の材料で
はない。来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)で米国の利上げ
期待が膨らめば、ドルは再び持ち上がってくるのではないか」(同
)という。
「日銀の黒田総裁の一連の発言については、足もとで円安ピッチが
速すぎることに対するけん制が主目的だとみている。水準自体より
、スピードに対して水を差すために発せられたと理解している」と
三井住友銀行チーフストラテジスト、宇野大介氏は言う。
ただ、日米欧3極で見れば、量的緩和の出口に最も近い米国と最も
遠い日本という構図に変化はないことから、基本的なドル高の流れ
は変わらないだろう、と同氏は述べたうえで、125円を軸として
上下10円の変動を想定すれば、135円に到達する蓋然性が115
円に達する蓋然性よりも現時点では高いとした。
<豪中銀総裁発言> 
豪ドルは0.7730米ドル付近。
スティーブンス豪中銀総裁の「追加緩和の可能性にオープン」など
とする発言が伝わり、0.7680付近を推移していた豪ドルは弱
含んだが、午後に入って米ドルが対円で下落したことなどの影響で
0.7749米ドルまで豪ドルが上昇した。
スティーブンス総裁は、「豪ドルは一段安が必要、多くの国が自国
通貨安を望んでいる」などとも語った。
<4月機械受注は予想外に増加> 
朝方、内閣府が4月機械受注統計を発表したが、相場の反応は限定
的だった。
設備投資の先行指標である船舶・電力を除いた民需の受注額(季節
調整値)は、前月比3.8%増の9025億円で2カ月連続の増加
となった。ロイターの事前予測調査では2.0%減と予想されてお
り、これを上回った。
(為替マーケットチーム)
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株価あわや2万円割れ、市場揺らした黒田「円安限界」発言
証券部 岸田幸子
2015/6/10 17:02nikkei
 東京株式市場で波乱含みの展開が続いている。10日の日経平均株
価は、360円安となった前日に続いて荒い値動きとなった。乱高下の
引き金を引いたのは黒田東彦日銀総裁の発言。実質実効為替レート
について「さら…
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巨額国債買い入れ、持続可能性が問題に=佐藤日銀委員
2015年06月10日(水)11時27分
[甲府市 10日 ロイター] - 日銀の佐藤健裕審議委員は10日
午前、甲府市内で講演し、政策委員会として「現時点で政策対応の
必要性はないと判断している」と述べた。また国債には金融機関の
担保向けニーズもあるため、日銀の量的・質的緩和(QQE)によ
る巨額の国債買い入れは「持続可能性が問題となろう」と懸念を示
した。
<2年は努力目標>
佐藤委員は、2%の物価目標は、特定の期限を設けて達成を目指す
ものではなく、毎回の金融政策決定会合から2年程度の期間での達
成を念頭に置いた「ローリング・ターゲット」との持論を繰り返し
た。
日銀は2013年4月にQQEを打ち出した際、2年程度での目標
達成を掲げたが、「2年程度の期間はあくまで努力目標」とした。
現行の量的・質的緩和政策(QQE)については「現状の政策の枠
組みを機械的に見直すべきではない」とし、当面の継続に賛同しつ
つも、効果と副作用を考慮した慎重な政策運営の必要性を強調した。
<流動性プレミアムで買い入れ効果に限界>
特に佐藤委員が反対に回った、昨年10月の追加緩和については、
長期金利が追加緩和前の水準にあるとし、「予想物価上昇率の一段
の上昇を説得的に示す材料は乏しい」と指摘した。
また日銀による巨額の国債買い入れにより、「流動性プレミアムの
上昇から名目金利の下押し効果が逓減している」とし、国債買い入
れをこれ以上増やしても金利低下による景気刺激効果に限界がある
との見解を強調した。
仮に日銀がマイナス金利でも国債を買い入れれば、「国債の買い手
は日銀のみとなることが想起され、財政ファイナンス(中央銀行に
よる財政の穴埋め)の懸念や市場機能の一段の低下といった問題を
惹起する」と警告した。
日銀はこれまで金融機関の保有する国債を大量に消化する形で国債
買い入れを進めてきたが、佐藤委員は「大手行や地銀の国債保有額
がこのところ安定的に推移している」と指摘。これら「最終投資家
が国債保有をこれ以上減らせない限界まで保有残高を削減すると、
買い入れの持続性が問題になろう」と警告した。このため、今後の
政策運営に当たり「オペレーション(買い入れ)の実現可能性への
配慮も重要」と述べた。
<企業・家計、単なる物価上昇には拒否反応>
佐藤委員は、昨年4月の消費増税で消費が伸び悩んだことについて
「単に物価が上がるよりは、賃金・所得とバランスよく物価が上昇
する姿が望ましいと人々が考えていることの証左」と指摘。「企業
や家計は、単なる物価上昇には概して拒否反応がある」とした。
昨年夏以来の原油価格の急落で、消費者物価指数(生鮮除くコアCPI
)は前年比ゼロ%程度の水準で推移しているが、佐藤委員は「最近
の賃金交渉を見る限り、エネルギー価格下落でも人々の物価観は着
実に変化している」とし、エネルギー下落で「予想物価上昇率が悪
影響を受ける可能性は低い」との見方を示した。
<一橋指数、家計物価観とCPIなどのかい離に有益な示唆>
佐藤委員は、通常の物価統計で考慮されない新商品の価格動向をと
らえた一橋大学消費者購買単価指数が、前年比プラス1─1.5%
で推移している点を取り上げ、家計の物価観と消費者物価指数など
の統計とのかい離について「有益な示唆があるように思われる」と
述べている。
日銀による巨額の国債買い入れを「長く続けると極端な低金利状態
が財政計画等にビルトインされ、財政規律に影響する可能性がある
」と言及。「出口のプロセスも含めQQEを成功に導くためにも政
府の財政健全化に向けた取り組みは重要」と強調した。
*内容を追加します。
(竹本能文)


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