5374.森のようちえん(幼稚園)に未来を見る



  森のようちえん(幼稚園)に未来を見る
                  平成27年(2015)6月2日(火)
              「地球に謙虚に運動」代表 仲津 英治

 去る4月17日(金)から同19日(日)まで、新潟市と三条市で開かれた全国
環境ボランテイアリーダー会と(般)セブン-イレブン記念財団(以下SEM)の
主催する研修会に参加し、生まれて初めて日本の森のようちえん(幼稚園)
なる施設を見学することができました。

 “森のようちえん”(敢えて「ようちえん」と平仮名で表すようです)
は、デンマーク生まれで、ドイツで発達した小学校入学前の幼児を一定
期間、森林の中で預かる幼稚園のことです。ドイツ語でWald Kindergarten
(ヴァルト キンダーガルテン)と称します。ドイツ語の森を意味するWald
と幼稚園を意味するKindergartenを併せた言葉ですね。Kindergartenを
直訳すれば「子供の園」という意味で、英語でも幼稚園を意味します。

 Wikipediaによれば、ドイツの、フリードリヒ・フレーベルが、が1840年
に、小学校に上がる前の幼児のための学校を設立し、彼が名付けたキンダー
ガルテンという言葉が確立され、英語でも幼稚園の意で使われているよう
です。私も和英辞典で幼稚園を検索した時、Kindergartenという言葉を
見出して「あれ!」と思ったものです。また、日華辞典を見ますと、
Kindergartenの和訳語、幼稚園という言葉がそのまま中国語で使われて
いるようです.

 私は、平成19年(2007)10月、SEM主宰のドイツへの環境ボランテイアー
研修会に参加し、ドイツの森の幼稚園の存在を知りました。それが早、
日本に既に導入され、全国で根付き始めていることを今回、知ること
ができました。

森のようちえん全国ネットワーク  

 
 今回訪れたAkiha=あきは森のようちえんは、新潟市秋葉区(旧新津市
&小須町等)の郊外の森の一角にありました。同市が建設したものの
ほとんど利用されていなかった野外音楽堂とその周辺を活用したとの
ことでした。これらの施設を貸している新潟市秋葉区長の熊倉淳一氏
が、経緯を説明してくれました。熊倉氏は、「あきは森のようちえん」
が開園してから、3人目の区長とのことです。同氏の話を聞いて、ハコ
モノをたくさん作って自慢していた地方自治体の首長が多かった頃、
実際、父兄また地元にも感謝される生きた設備に生まれ変らせた、首長
がおられたのだなとの印象を持ちました。

 また同園を自主運営しているNPO法人のアキハロハスアクションの代表
理事である原 淳一園長は、私と同じくSEMのドイツ研修生の一人で、
「ドイツで森の幼稚園」の事を学び、日本へ帰って、その「実現への想い」
を叶えた人です。その実行力は、中々のものだと思いました。まだ彼は
30代後半でしょうか、その若さを羨ましく思い、今後にも期待したいな
と念じたものです。

 森のようちえんとその存在する「森のいえ」などの設備には、当然整備
経費が要ったはずです。大半は原園長が借入れまでして資金を投入され
たる由、敬意を表するものです。一部部外の協力もあったようで、現地
には「森のいえ」を支える協賛企業の皆さまです!!との表示板がありま
した。公的資金も僅かながら投入されたとのことです。

 また、森のようちえんには確か4人ほどのスタッフが勤務しており、そ
の報酬は一般企業より高くないとのことですが、ある程度のレベルが当然、
必要です。原 淳一園長の話では、それらの経費は、園児の保護者から
保育料を徴収しており、子供一人当たり月額3万円程度とのことでした。
30人位の園児がいたでしょうか。
 そして何と言っても森のようちえんは山林の中です。園児たちの足が要
ります。母さん達が、マイカーで朝夕送迎しているとのことです。雨の日
も風の日も、そして雪の日も。

「森のようちえん」の特徴の一つは、園児に自主性と責任を持たせる努力
をされていることです。
 毎年春の入園後、夏が過ぎたころから、こども達の様子を見ながら、
スタッフが行先の候補地を出して、こども達が投票して行先を決める場合
もある、とのことでした。
 原田氏の弁によれば、彼はデンマークに研修も行って同地の例を参考に
していますが、彼の地の方式をすべて踏襲しているわけではなく、一番
参考にしているのは長野飯綱高原の内田幸一先生の考えとのことでした。

デンマークの「森のようちえん」のホームページ
 

 森の幼稚園の卒園生が、既に小学校に進学しています。その成果如何?と
前述の新潟市秋葉区長の熊倉氏に伺わせて頂くと、まだ判りませんとのこと
でしたが、期待したいところですね。
 というのは、園児の楽しそうな姿に合わせ、現場で働いていた女性の保育
士が、眼を輝かせて仕事に励んでいたからです。
 娘夫婦にも「森の幼稚園」を子供達にと勧めています。今は緑豊かなところ
におりますが。 
                                以上 

  「地球に謙虚に運動」代表





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