5384.中国と米国の激突が開始



中国の南シナ海での埋め立てやアジア・インフラ銀行の予想外な成
功で、米国の戦略的な行動が変化した。この変化は、米国が中国の
覇権獲得行動に対抗することを明確にしたようである。 津田より

0.南シナ海での激突
訪中したケリー国務長官が17日に北京で習近平国家主席と会談し
た際、中国の南シナ海での行動によって生じている緊張が「米中の
2国間関係に影響を与える」と伝達していたようだ。

しかし、王外相は共同記者会見で「中国の主権と領土の一体性を守
る意思は岩のように固い」と発言、緊張緩和を求める米国の要求を
拒絶した。

その発言に対しての行動として、米偵察機「P8Aポセイドン」が
埋立地の上空を飛行し、中国海軍は同偵察機に対し、8回にわたり
警告を発した。

中国外務省の洪磊報道官は、規則に従って中国軍が同偵察機を追い
払ったとし、「事故を起こしかねず、非常に無責任で危険な行為。
地域の平和と安定を損ねる」と非難。「われわれは強い不満を表明
する。国際法を順守し、挑発的な行動を控えるよう米国に求める」
と述べた。

しかし、米国は、次の手を考えているようである。大量の艦艇を南
シナ海に派遣して、中国の行動を監視して行くことである。尖閣で
行っている中国公船が行っている事の逆である。日米の海上保安庁
の監視船や米国の沿岸警備艇を埋め立てた礁に接近させていくこと
で、工事を邪魔することである。もちろん、遠巻きに米海軍、海上
自衛隊の軍艦を置いておくことになる。

しかし、この行動は、極度の緊張状態を生み出すことになるが、「
我々も忍耐の許容限度を超えつつあるということ。これが構想の動
き出した背景だ」。米政府関係者はこう漏らす。

この状況は、中国を仮想敵国というレベルより上で、敵対関係を明
確化することになる。

1.中国を敵対国に認定
米国が中国を敵対国と認定したために、同時に多くの行動を米国は
取り始めた。

まず始めに、天津大学の張浩(ジャン・ハオ)教授が16日、科学技
術会議への出席のために米国へ入国しようとしたところ、ロサンゼ
ルス国際空港で産業スパイ容疑で身柄を拘束された。米司法省は19
日、張教授など天津大学の教授3人を含む中国人6人を、機密性が高
い無線通信技術を盗んだとして、産業スパイの罪で起訴したと発表
した。

1982年6月22日に日立製作所(以下、日立)や三菱電機(以下、三菱
)の社員など計6人が、米IBMの機密情報に対する産業スパイ行為を
行ったとして逮捕された事件を思い出さずにはいられない。このあ
と、クリントン政権下の初代経済諮問委員会(CEA)委員長のロ
ーラ・タイソンが対日戦略を構築して、日本潰しの先頭に立つが、
その初めに、産業スパイ事件があった。この事件後、日本潰しの戦
略を考え始めたのが、ローラ・タイソン女史のグループである。

これと同じである。中国の通信機器会社の製品は、米国通信機械会
社から情報を盗んで、作ったということになり、次には中国の会社
を訴えることになる。日本の日立や富士通のIBM互換機に対する特許
侵害と同様な告訴があるはずである。いつか見た姿がそこにある。

敵対国ということで、2016年の太平洋での多国間演習(リムパ
ック)には中国は招待されずに、台湾が招待されるようである。

そして、米NSCアジア上級部長を、オバマ政権の対中配慮政策を主導
した親中派のエバン・メデイロス氏から親日派のクリテンブリンク
氏に交代させた。

2.中国の孤立作戦
米国はロシアとの正常化を図るべく、ウクライナでの介入を停止す
るなら制裁解除するとしたが、まだ、ロシアはどう出てくるか、米
国としても読めていない状況のようである。

ロシアは、新興国5ケ国と連携した戦略安全保障協議を行い、米国
に対抗していく可能性もあり、ロシアとの正常化ができている状態
ではない。もちろん、新興国5ケ国の中に中国はあり、中国が金を
出して、新興国を引っ張っている。

米国は日本に対しても、ロシアとの領土・平和条約交渉には、米国
の意図を知り、まだ、あまり深入りして欲しくないという状態であ
る。

米国はイランとも関係正常化の方向に向かっている。この行動で反
発しているサウジには核の傘を提供することを確約して、離反しな
いように交渉している。中国がイランの都市開発に援助している。

米国が敵対関係にしていた国々と関係正常化を同時に行い始めたの
には、リソース分散を無くして、対中国に軍のリソースを集中する
狙いがある。キューバに対しても正常化交渉を始めている。

3.中国の拡張
中国の新シルクロードやAIIBなどの経済政策は、経済政策立案、実
践の責任を負った国務院から主導権を取り、習近平が中心の党主導
に移して、かつ、国務院が進めようとしている改革開放路線の根幹
にあった自由競争、市場経済、規制緩和とは、逆の方向になり、中
央集権的な「計画経済」への復帰になっている。

欧米日経済学者が国務院にアドバイスした規制緩和、自由競争の経
済改革路線から習近平の考え方が強く反映された経済路線になり、
経済政策専門委員会には改革志向の強い団派が少数派となった。

新シルクロード戦略「一帯一路」の多くのプロジェクトの中味で、
私企業の軽視、市場経済度外視、経済合理性無視で、国有企業の参
画、そのプロジェクトと予算配分を見れば、民営化や産業再編とい
う大きな方向性が軽視され、規制緩和も無視され、党主導で「規制
強化」の方向にむかっている。

「国有企業の強化」が、習近平の「一帯一路」プロジェクトの内容
に濃厚に現れている。それも高付加価値の産業へのシフトではなく
、低付加価値産業である国有企業大手のCSCEC(「建設技術協
力公司」)であり、過去、116ヶ国で6000件のプロジェクトを担当し
てきた建設業や、国有大手のCCCCL(「通信建設公司」)であ
り、各地のハイウェイ、橋梁、商業港などを建設した企業や、CA
MSE(中国エンジニア集団)であり、ロシア、アフリカ、東欧諸
国でのプロジェクトを担当してきた建設業である。この三つの国有
企業建設集団は、「一帯一路」の発表に平行して株価が高騰してい
る。この国有企業が中心になることが分かる。

また、習近平の党主導だけでなく、国務院の李克強首相も、ブラジ
ルに700億ドルで「工業団地まるごと輸出」という壮大な計画を発表
した。

今度の海外への投資総額は、300兆円程度であろうか?この資金
を投入して中国企業の海外展開を図ることになる。建設業、鉄道、
道路、発電所等である。

しかし、人口密度の低い地域が多く、高速鉄道でも採算無視である。

建設費相当の採算は取れないはずであり、中国経済を後で蝕むこと
になる。採算評価なく、投資優先で物事が進んでいく。

各国は、中国からタダ同然でインフラや産業を作ってもらえるので
、それは中国にゴマをすることになる。そのために、中国は世界の
覇権を取った気分になる。

4.日米の対抗
日本は21日、今後5年間で約1100億ドル(約13兆2000
億円)のインフラ投資をアジアに展開する方針を発表した。中国の
AIIBと新シルクロード基金に対抗して、日本政府とアジア開発銀行
の2つで、中国のアジア投資に対抗していくようである。特に高速
鉄道建設の計画は、日中の対決の様相になってきている。

欧州の鉄道会社は、資金提供ができず、またユーロスターが冬に凍
結して動けなくなり、日立の英国特急車両は平気で助けに行った事
実が重く、欧米の鉄道会社は技術的にも日本勢には負けることが確
実になっている。韓国のTGV車両も山には弱く時間通りに走れない。

中国は、日本の新幹線技術コピー商品を持っているので、強いこと
になっている。しかも、日本製より安価であることが評価されてい
る。採算が難しい高速鉄道は、中国製になる方向である。

そして、米国IT企業は、徐々に中国から撤退している。中国の技術
が徐々に高まったからということもあるが、中国の賃金が高くなり
、置いておく意味がなくなっている。市場としての中国は魅力であ
るが、製造としての中国は魅力がなくなっている。

優秀な学生は米国に留学してきているので、米国で採用する方が良
いが、産業スパイの可能性があり、その面から米国は徐々に中国人
学生の採用を中止することになると見る。

というように、中国と米国の激突が始まり、日本もその渦に巻き込
まれることになる。

さあ、どうなりますか?


参考資料
China and America: Sleepwalking to War?
http://nationalinterest.org/feature/china-america-sleepwalking-war-12685

Development Finance with Chinese Characteristics?
http://www.project-syndicate.org/commentary/china-silk-road-fund-development-financing-by-richard-kozul-wright-and-daniel-poon-2015-05

China's Emerging Vision for World Order
http://nationalinterest.org/feature/chinas-emerging-vision-world-order-12934

Is America About to Make a Fatal Mistake in the South China Sea?
http://nationalinterest.org/feature/america-about-make-fatal-mistake-the-south-china-sea-12905

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アジアインフラ銀、中国が30%、インドが15%出資か―中国メディ
ア
Record China 5月23日(土)7時30分配信
2015年5月22日、観察者網によると、中国が主導するアジアインフラ
投資銀行(AIIB)の出資比率は中国が25〜30%程度になる見通しだ。
シンガポールで22日まで設立会合を開催。設立当初の資本金は1000
億ドル(約12兆円)で、出資比率は中国が25〜30%、次いでインド
が10〜15%程度になると予測されている。アジア諸国で全体の72〜
75%を出資する予定。続いて欧州とその他の国々となる。
AIIBには57カ国が参加を表明。各国の国内総生産(GDP)に基づき投
票権が配分される。韓国対外経済政策研究院の調査結果によると、
AIIB株はアジア諸国が75%を所有。うち中国が3割強で最も多く、イ
ンドが1割強、インドネシア、ドイツ、韓国が4%弱を持つとみられ
る。(翻訳・編集/大宮)
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AIIB、中国に実質的拒否権 理事、本部に非常駐
 【シンガポール共同】中国主導の国際金融機関、アジアインフラ
投資銀行(AIIB)設立に向けたシンガポールでの第5回首席交
渉官会合は22日、最終日の討議を終えた。出席者らによると、創
設メンバー各国は、中国が重要な投資案件について実質的な拒否権
を持つことで合意。代表である理事が本部の北京に常駐しないこと
でも一致した。設立当初の資本金は1千億ドル(約12兆円)にな
る。
 AIIBには欧州の先進各国も参加する。ただ中国は30%弱の
出資比率を持つ見通しで、最大の出資国として大きな権限を握るこ
とになりそうだ。総裁には中国の金立群元財政次官が就任する見込
み。
2015/05/22 13:17   【共同通信】
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アジアのインフラ投資加速へ、5年で13.2兆円規模 民間資金の流入
促進
2015年 05月 21日 19:51 JST
[東京 21日 ロイター] - 政府は21日、今後5年間で
約1100億ドル(約13兆2000億円)のインフラ投資をアジ
アに展開する方針を発表した。高まるインフラ整備の需要を背景に
、民間資金を呼び込むための環境づくりを加速させ、質と量の両面
から投資を充実させる考えだ。
安倍晋三首相が同日夜、都内の講演の中で明らかにした。
今回の構想では、海外投融資の強化などでアジアのインフラ分野向
け支援を約25%増加させるほか、新たに設けた円借款で、途上国
政府が出資するインフラ事業をバックアップすることなどを盛り込
んだ。
また、国際協力銀行(JBIC)の体制強化を通じ、官民が連携し
て公共サービスを提供するPPP(パブリック・プライベート・パ
ートナーシップ)インフラ事業へのリスクマネー供給を倍増させる
など、民間資金を呼び込むための仕掛けを施す。
投資対象は、使いやすく長持ちし、長期的に価格以上の効果が得ら
れるインフラ案件。現地での雇用を創出し、暮らしの改善につなが
るかどうかなども、投資に当たって検討する。
一方、中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)は、6
月末に向けて参加57カ国が設立協定の交渉を進めている。アジア
開発銀行(ADB)も5月初旬の総会で、財源を統合して融資能力
を約1.5倍に増やすことなどを発表した。
インフラ需要に対応する動きが活発化しているが、今回の構想は「
AIIBへの対抗策ではない」(財務省幹部)としている。
(梅川崇 編集:山口貴也)

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米国、産業スパイ容疑で天津大学教授の身柄を拘束―中国紙
Record China 5月23日(土)6時32分配信
2015年5月21日、環球時報によると、天津大学の張浩(ジャン・ハオ
)教授が16日、科学技術会議への出席のために米国へ入国しようと
したところ、ロサンゼルス国際空港で産業スパイ容疑で身柄を拘束
された。米司法省は19日、張教授など天津大学の教授3人を含む中国
人6人を、機密性が高い無線通信技術を盗んだとして、産業スパイの
罪で起訴したと発表した。6人は同技術を中国の大学や政府の統制下
にある企業に提供したとされている。
起訴状では、6人は産業スパイ容疑など32件の訴因が記載されている
。他の5人は中国国内にいるとみられ、米国は国際手配している。
起訴状によると、張教授は●慰(パン・ウェイ、●はまだれに龍)
教授と、南カリフォルニア大学大学院で、博士課程に在籍していた
際知り合った。二人の専門は声学技術研究で、米国防総省の委託研
究に従事していた。その後、2006年に博士号を取得した後、●教授
は、コロラド州のアバゴ・テクノロジーで、張教授はマサチューセ
ッツ州のスカイワークス・ソリューションズで、それぞれ技術者と
して働き、その間に商業情報を盗んだとされている。
2人が盗んだとされるのは、広帯域信号から特定の周波数の信号を抽
出するための「圧電薄膜共振器」(FBAR)の製造技術。主に携帯やそ
の他の通信機器に使われ、通話の質を向上させることができる。そ
の他、軍事や国防の分野にも応用される。
起訴状によると、●教授は06年に、中国の関連の部門にメールを送
り、米国で盗んだ商業機密を利用して、中国でFBAR技術生産基地を
立ち上げることを話し合っていた。メールでは、同技術を利用する
と、携帯市場だけでも年間10億ドル(約1200億円)の価値が出ると言
及していた。
その後、09年の春に、2人は米国の仕事を辞めて帰国し、天津大学の
教授に就任したほか、中国政府の支持の下、ケイマン諸島にペーパ
ーカンパニーを立ち上げ、盗んだ米国の技術を利用して、天津の経
済開発区に「諾思微系統有限公司」も立ち上げた。そして、商業企
業や軍からFBARの注文を受けていた。アバゴ・テクノロジーの経営
幹部は、11年に会議に参加するため中国を訪問した際、「諾思微系
統有限公司」の新実験室を視察。その時に、同社から技術が盗まれ
たことに気付き、その場で●教授らを問いただしたものの、同教授
らは犯行を否定した。
米国メディアの報道によると、6人は有罪となった場合、15年以上の
長期刑と高額の罰金が科される可能性がある。
張教授は18日、ロサンゼルスで出廷。現地メディアの報道によると
、「法庭でも平然とした態度で、傍聴席に座っていた妻を励ますか
のような視線を送っていた」。張教授の弁護士は、「これは両者の
知的財産権の争い」と説明し、20日には取材に対して、「裁判の内
容を明かすことは今できず、コメントもできない」と語った。
中国外交部(外務省)の洪磊(ホン・レイ)報道官は20日の定例記
者会見で、中国政府は関連の状況に強い関心を抱いており、状況を
調査中とした上で、「中国政府は、中国の国民の正当な権益が侵さ
れないよう行動する」と述べた。
(提供/人民網日本語版・翻訳/KN・編集/武藤)
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米偵察機が南シナ海上空を通過、中国「無責任で危険な行為」
2015年 05月 22日 18:23 JST
[北京 22日 ロイター] - 中国は22日、同国が人工島の建設
を進めている南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島付近の上
空で、米軍が偵察機を飛行させたことについて「強い不満」を表し
た。
米偵察機「P8Aポセイドン」に搭乗して同行取材を行ったCNN
によると、中国海軍は20日に南シナ海上空を通過した同偵察機に
対し、8回にわたり警告を発した。
中国外務省の洪磊報道官は、規則に従って中国軍が同偵察機を追い
払ったとし、「事故を起こしかねず、非常に無責任で危険な行為。
地域の平和と安定を損ねる」と非難。「われわれは強い不満を表明
する。国際法を順守し、挑発的な行動を控えるよう米国に求める」
と述べた。
一方、米国のラッセル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は米偵
察機の飛行は「全く適切」であり、米国の海軍と軍用機は国際水域
と空域で活動する権利を今後も「完全に行使し続ける」と語った。
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南シナ海の中国進出阻止へ ひそかに進む日米連携 
ワシントン支局 矢沢俊樹
2015/5/22 6:30日本経済新聞 電子版
 「我々も忍耐の許容限度を超えつつあるということ。これが構想
の動き出した背景だ」。米政府関係者はこう漏らす。「構想」とは
、南シナ海の秩序安定に向け、米国の国土安全保障省が管轄する沿
岸警備隊(USCG、USコースト・ガード)と日本の海上保安庁
とが今後、大幅な連携強化に踏み込むというものだ。米政府を憤慨
させているのは、最近の中国による海洋進出の動きだ。
■「海賊退治」の器借りる
 4月末、ワシントンで開い…
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南シナ海「2国間関係に影響」=米長官、中国主席に伝達
 【ワシントン時事】ラッセル米国務次官補(東アジア・太平洋担
当)は21日、ワシントン市内で記者会見し、訪中したケリー国務
長官が17日に北京で習近平国家主席と会談した際、中国の南シナ
海での行動によって生じている緊張が「米中の2国間関係に影響を
与える」と伝達していた事実を明らかにした。
 ラッセル氏はこの中で、中国が南シナ海・南沙(英語名スプラト
リー)諸島で造成する人工島について「世界中のどんな砂も『主権
』を製造しない」と重ねて主張。外交解決が最善の方策だと訴えた
。中国側は埋め立てについて「主権の範囲内」(王毅外相)と譲ら
ない姿勢を貫いている。(2015/05/22-12:16)
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米、プーチン氏訪日を牽制 「日本は関係持つ時でない」
ワシントン=奥寺淳2015年5月22日10時42分asahi
 米国のラッセル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は21日、
ワシントンで会見し、安倍晋三首相がロシアのプーチン大統領訪日
の可能性を探っていることなどについて、「現在の状況では、ロシ
アと通常の関係を持たないとする原則を守ると信じている」と述べ
、日本を牽制(けんせい)した。
 安倍首相は21日、欧米がウクライナ危機の結果、渡航禁止の制
裁を科しているナルイシキン下院議長と東京で面会。首相はプーチ
ン大統領の訪日を求めたとみられ、オバマ政権はこうした安倍政権
の動きに強い警戒感を持っている。
 ケリー米国務長官が12日にロシア南部ソチを訪問し、プーチン
大統領と会談したことで、米国もロシアと対話を模索しているとの
見方も一部にあった。これに対し、ラッセル氏は「停戦合意の実現
に向けロシアが責任を果たすよう、意思決定できる人と直接話す緊
急の問題があったからだ」と説明。ウクライナ問題を話し合うこと
と通常の二国間関係を持つことは全く異なるとし、「日本は(米国
が対話を模索していると)誤解していないと思う」と語った。
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米国:露大統領の訪日「反対理由は無い」
毎日新聞 2015年05月21日 11時10分
 【ワシントン和田浩明】訪日中のナルイシキン・ロシア下院議長
に高村正彦・自民党副総裁が北方領土問題解決のためプーチン露大
統領の訪日を求める安倍晋三首相の意向を伝えたことに関し、米国
務省のハーフ副報道官は20日の定例会見で「反対する理由が無い
」と述べた。
 ハーフ副報道官は米露関係の現状に関し、イラン核問題など可能
な分野では協力するがウクライナ問題では大きな違いが残っている
と説明。「同盟国には、(ロシアと)意見が一致しない場合には声
を上げてもらいたい」とも発言し、日露間の過度の接近にクギを刺
した。米国はロシアとウクライナ危機を巡り激しく対立してきたが
、12日にケリー国務長官が訪露しプーチン氏と会談するなど関係
改善への兆しもみられる。
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安倍首相がロシア下院議長と会談=プーチン氏訪日へ協議か
 安倍晋三首相は21日昼、来日中のナルイシキン・ロシア下院議
長と東京都内のホテルで約15分間会談した。同議長はプーチン大
統領の側近で、日ロ両政府が年内で調整している大統領訪日をめぐ
り意見を交わしたとみられる。
 ウクライナ危機を受けて日本政府は、先進7カ国(G7)内の連
携を重視して対ロ制裁を発動中。同議長が昨年6月に訪日した際は
、首相は面会しなかった。
 関係者によると、首相との会談で同議長は、プーチン大統領から
首相に宛てたメッセージを口頭で伝えた。 
 これに先立ち、首相は同日午前、ナルイシキン議長が出席して東
京都内で開かれた日ロ関係のフォーラムにメッセージを寄せ、「両
国の関係をさらにレベルの高いものにしたい。北方領土問題の解決
と平和条約の締結は首相として最も重視している課題だ」と日ロ交
渉の進展に意欲を示した。(2015/05/21-15:35)
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中ロが安全保障協議へ
 【北京時事】中国外務省は21日、楊潔※(※=竹カンムリに褫
のツクリ)国務委員(外交担当)がロシアとの戦略安全保障協議の
ため、25、26の両日にモスクワを訪れると発表した。毎年開催
されている同協議は今回が11回目。国家安全保障に関する新興5
カ国(BRICS)の高官会議にも出席する。(2015/05/21-18:43)
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「こちらは中国海軍、退去せよ」…南シナ海上空で米軍機に警告 
CNNが映像公開
2015.5.21 15:29
 「こちらは中国海軍。退去せよ」。米CNNテレビは20日、中
国が岩礁埋め立てを進める南シナ海の海域で米軍機に同乗取材した
際の映像を公開した。取材班が同日乗った対潜哨戒機P8は中国側
から8回にわたって退去警告を受けた。
 これに関連してハーフ国務省副報道官は20日のCNNの番組で
、米国が大規模埋め立てに反対し、監視していることを中国側に知
らせる必要があると述べた。
 スプラトリー(中国名・南沙)諸島のファイアリクロス(同・永
暑)礁などの大規模埋め立ての鮮明な映像も公開。管制塔や滑走路
、レーダー施設などとする施設を映し出した。米軍搭乗員は「軍の
施設のように見える」と話した。
 周辺海域には中国海軍の多数の艦船が見えたという。中国側が「
外国軍機」に対し即時退去を求めるたびに、P8の操縦士らは公海
上を飛行していると応じたとしている。近くには米民間機も飛行し
ていたという。(共同)
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キューバ、いったん合意した中国艦の常駐を撤回
2015年05月20日 07時49分
 キューバが昨年後半、いったん合意した中国海軍艦艇のキューバ
常駐を撤回していたことが分かった。
 中国軍関係筋や、中国の動向に詳しい在中南米の外交筋が読売新
聞に明らかにした。キューバが当時、米国と行っていた国交正常化
交渉開始に向けた秘密協議に、進展があったことが背景にあるとみ
られる。
 関係筋などによると、キューバは2012年、艦艇の派遣やカリ
ブ海での合同演習、海難救助訓練などを中国に提案した。中国は、
米国をにらみ中南米地域で影響力を拡大する狙いがあり、提案に応
じた。習近平シージンピン国家主席は昨年7月、キューバを訪問し
て艦艇の派遣方針を確認。最新鋭ミサイル駆逐艦を常駐させる方向
で準備を進めていた。
 しかし、その後に両国間で実務レベルの協議に入ろうとしたとこ
ろ、キューバが態度を一変させたという。キューバと米国は昨年末
、国交正常化交渉の開始で合意した。
2015年05月20日 07時49分 Copyright c The Yomiuri Shimbun
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南シナ海問題で「中国は抑制を」とケリー米国務長官、中国政府は
断固拒絶―中国メディア
Record China 5月18日(月)14時28分配信
2015年5月17日、中国メディア・観察者網によると、南シナ海の紛争
について、中国はケリー米国務長官の要求をきっぱり拒絶した。
ケリー米国務長官は中国を訪問し、習近平(シー・ジンピン)国家
主席、李克強(リー・カーチアン)首相、範長龍(ファン・ジャン
ロン)中国共産党中央軍事委員会副主席、王毅(ワン・イー)外相
らと会談した。
ケリー国務長官は人工島建設など南シナ海問題について言及、中国
に抑制を求めた。一方、中国側は自国領内での行動だと反論してい
る。王外相は共同記者会見で「中国の主権と領土の一体性を守る意
思は岩のように固い」と発言、緊張緩和を求める米国の要求を拒絶
した。(翻訳・編集/増田聡太郎)
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米NSCアジア上級部長が交代、親日派のクリテンブリンク氏が後任
―中国紙
Record China 5月16日(土)12時41分配信
2015年5月15日、中国紙・解放日報は記事「米NSCアジア上級部長が
交代、知中派・親日派の駐中国米国公使が後任か」を掲載した。
米国家安全保障会議(NSC)で東アジア政策を統括するアジア上級部長
に、現任のエバン・メデイロス氏が間もなく退任し、ダニエル・ク
リテンブリンク氏が後任となると韓国・聯合ニュースが報じた。
ダニエル・クリテンブリンク氏は在中国米国大使館の首席公使。以
前は在日本米国大使館で勤務した経歴を持つ知日派で日本語、中国
語ともに堪能だ。専門家はクリテンブリンク氏の起用は中国事情を
より深く理解したいというオバマ大統領の考えを示すものだと分析
した。また今後の米国外交は日本に傾きつつも、中国事情にも十分
理解を示すものになるとの見方を示した。(翻訳・編集/増田聡太郎)
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米ロ、協力確認も隔たり埋まらず 会談8時間に及ぶ
 【ワシントン共同】ケリー米国務長官とロシアのプーチン大統領
、ラブロフ外相はロシア南部ソチでの12日の会談で、過激派組織
「イスラム国」への対応からイランや北朝鮮の核問題まで幅広い課
題の解決には双方の協力が不可欠だとの認識で一致した。だがウク
ライナ情勢の打開で大きな進展はなく、冷戦後最悪の関係といわれ
る米ロは隔たりが残ったままだ。
 ケリー氏のロシア訪問は約2年ぶりでウクライナ危機後は初めて
。ケリー氏とロシア側の対話は計8時間に及ぶ異例の会談となった
。雰囲気は和やかで「率直な対話」を求めたケリー氏の目的は一応
達成されたようだ。
2015/05/13 17:49   【共同通信】
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中国の新経済政策「海と陸のシルクロード」は、中味より習近平の
人事・どうやら李克強首相から経済政策の主導権を取り上げるつも
りらしい
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」2015年5月20日 
 中国の矢継ぎ早やな新経済政策は、あきらかに党主導に移り、従
来、経済政策立案、実践の責任を負った国務院から主導権をもぎと
ったかたちに変化している。
 つまり改革開放路線の根幹にあった自由競争、市場経済、規制緩
和とは逆の方向へ習近平は舵取りをかえ、中央集権的な「計画経済
」への復帰が濃厚なのである。
 「マクロ経済の調整と経済コントロール」が党主導へ復帰する。
 この路線修正の中軸は習近平の考え方が強く反映されており、つ
ぎつぎとつくられた経済政策専門委員会には改革志向の強い団派が
少数派となっている。
 顕著な変化は「一帯一路」にまつわる多くのプロジェクトの中味
である。
 私企業の軽視、市場経済度外視。そして国有企業の参画、そのプ
ロジェクトと予算配分の全容を見れば、国務院のすすめる産業再編
という大きな方向性が軽視され、もうひとつ重大なことは国務院が
進めてきた「規制緩和」は無言の裡に無視され、むしろ党主導で「
規制強化」の方向にむかっていることである。
 「自由競争」ではなく、「国有企業の強化」が、習近平の「一帯
一路」プロジェクトの内容に濃厚に現れた。
たとえば国有企業大手のCSCEC(「建設技術協力公司」)は、
過去、116ヶ国で6000件のプロジェクトを担当してきた。おなじく国
有大手のCCCCL(「通信建設公司」)は各地のハイウェイ、橋
梁、商業港などを建設した。
 CAMSE(中国エンジニア集団)は露西亜、アフリカ、東欧諸
国でのプロジェクトを担当してきた。この三つの国有企業建設集団
は、「一帯一路」の発表に平行して株価が高騰している(ジェイム
ズタウン財団発行「チャイナブリーフ」、15年5月15日)。
 ▼地方政府にも露骨な格差
 付随して通信大手のフアウエイ(華為技術)とZTE(中興通訊
)も、プロジェクトに付随する通信施設、機器類の入札を有利に進
め、殆どを生産することになる。
 もっと驚くことに「一帯一路」の責任者は李克強首相ではなく、
政治局常務委員の張高麗がトップとなって、この人事ではじめて習
近平の露骨な狙いが判明した。張高麗は江沢民の腰巾着、露骨なご
ますりで出世した政治家である。
 また中国各地の地方政府にとっても、この一帯一路で潤うのは新
彊ウィグル自治区と福建省であることが浮き彫りとなった。地方政
府のコントロールにも、一帯一路プロジェクトが政治的利用され、
習近平政権への収斂がなされている。
 新彊ウイグル自治区や福建省が、一帯一路の輸送拠点となるから
だ。他方、置いてきぼりの地方政府の筆頭は江蘇省で、ついで煙台
、青島、威海衛などの良好をかかえる山東省、山岳のチベット自治
区なども、恩恵にあずかれそうにない。また置いてきぼりになる懼
れが強いのは東北三省(遼寧省、吉林省、黒竜江省)である。
 遼寧省は大連が国際貿易港としても機能しており、黒竜江省はロ
シアとの鉄道、パイプライン並びに木材のトラック輸送のアクセス
として繁栄しているが、とりわけ吉林省が取り残される。
吉林省の東端にある王軍春(ホウチュン)にはロシア国境に工業団
地がはやばやと建設され、ロシアのポシェット港とをつなぎ、日本
と米国を結ぶ最短ルートとして開発が決定され工事もほぼ終了した。
にもかかわらず実際には本格稼働に至らず、また中国の一帯一路は
、日本とアメリカを向いてはいない。



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