5372.ドル基軸通貨の柱である石油とのリンク喪失



FP誌の「Can Obama Save the GCC Summit?」で、サウジのサルマン
国王が米国で行う湾岸協力会議に欠席するという。米国のイラン重
視政策に大きな不満がるからであるという。オバマ大統領は、米国
の武器を今後もサウジを始め湾岸諸国に提供することを保障すれば
収まると見ていたが、その考えは甘いということである。

これは大変である。とうとう、サウジが米国から離れることを決意
したようである。

既に、サウジは、中国との取引を拡大するために、相当な安値で石
油の供給契約を結んでいる。そして、今後の石油買取量は、米国を
中国が抜いて1位になった。石油の取引量はドル決済から人民元決
済またはSDR決済になる可能性が高い。中国は現在、人民元を国際通
貨にしようとしている。

ドルが基軸通貨である理由は、1つにドルでしか石油を買えないこ
と、2つにIMFと世銀がドル建ての投資をすること、3つに米国が
ドル決済同盟国を守ることである。

しかし、中国、ロシアは、BRICS銀行でドル以外の決済を目指し、AIIB
もドル以外の決済になり、米国は石油ドル決済のサウジを同盟国と
して守らないということで、サウジが米国から離れる方向である。

ドル基軸通貨の柱である石油取引でのドル決済が必要なくなること
になる可能性が高くなる。

引いては、ドル基軸通貨の崩壊につながる可能性が出てきた。

このような変化があり、中国人民解放軍系のシンクタンク「中国国
際戦略学会」の軍幹部が今月5日、自民党の高村正彦副総裁ら超党
派訪中団との会談で「米中の新たな形の大国関係の中で、米国の後
だけについていくのなら日本に未来はない」と述べることになる。

日本は外貨準備としての米国債を温存していても、その価値は徐々
に落ちていくことになる。米ドルの信用はガタ落ちになる。すぐに
は、ドル暴落の可能性は大きくないが、中国は今後、米国債を徐々
に売っていくことが予想される。

FRBも中国の米国債売りでのドル下落に対応して、金利を上げる必要
が出る。この観点から米国の金利政策を見ないといけない。米国経
済の景気が悪くても、ドル暴落を止めるために金利を上げるという
シナリオを考えておく必要がある。

ドル高円安は、今後修正されることになる。しかし、その時の対応
を日本は考えているのであろうか?

心配である。

さあ、どうなりますか?

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中国が世界最大の原油輸入国に、初めて米国抜く
2015年 05月 11日 16:58 JST
[シンガポール 11日 ロイター] - ロイターのデータによると
、中国が今年4月に米国を追い抜き、初めて世界最大の原油輸入国
になった。経済成長の減速を受けて中国の需要は鈍化することが予
想されていたが、原油安や中国当局の相次ぐ利下げなどが需要を支
援している。
中国の4月の原油輸入量は日量740万バレル近くと、過去最高を
更新した。米国の推計輸入量は日量約720万バレルだった。
中国は向こう数カ月では再び2位に転落する可能性はあるが、今後
は永続的に世界トップの原油輸出国になる見通し。同国は既に世界
最大のエネルギー消費国で、原油輸出国として米国を抜けば、石炭
、鉄鉱石、大半の金属を含めてほぼすべてのコモディティの最大消
費国となる。
シンガポール国立大学のフィリップ・アンドリュース・スピード氏
は「世界最大の原油輸出国になることで中国の購買力は強化される
」と指摘。中東地域での中国の関与は変化を続け、拡大していくと
の見方を示した。
米国の原油輸入量は10年前の日量1000万バレル超から現在の
同約700万バレル前後に減少する一方、中国の輸入量は約7倍に
拡大している。
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BRICS開発銀の初代総裁、インド民間銀行出身カマス氏に
2015年 05月 11日 18:42 JST
[ニューデリー 11日 ロイター] - インドのラジブ・メリシ財
務次官は11日、新興5カ国(BRICS)が設立する新開発銀行
の初代総裁にインドの民間銀行出身のK.V.カマス氏が指名され
たと記者団に明らかにした。
BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ共和国
)は昨年7月、1000億ドルを投じて新開発銀行を設立すること
で合意していた。欧米主導の国際金融システムを見直す一歩となる
ことが狙いだ。
同次官は「カマス氏がBRICS銀行の総裁に指名された。現在の
職務をすべて退いた時点で正式に任命する」と述べた。
新開発銀行は発展途上国のインフラ事業への資金供給を目的とし、
上海に本部を置くことで合意している。最初の5年間はインドから
総裁を出し、その後ブラジル、ロシアと続く予定。
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「米国追随なら日本に未来ない」
2015年 05月 11日 05:16 JST
 【北京共同】中国人民解放軍系のシンクタンク「中国国際戦略学
会」の軍幹部が今月5日、自民党の高村正彦副総裁ら超党派訪中団
との会談で「米中の新たな形の大国関係の中で、米国の後だけにつ
いていくのなら日本に未来はない」と述べていたことが10日、日
中関係筋の話で明らかになった。
 発言について関係者は、安倍晋三首相とオバマ米大統領の首脳会
談で強化された日米同盟に反発し、日本に米中いずれかの二者択一
を迫る思惑だと語った。経済だけでなく安全保障でも米国に代わっ
てアジアを主導しようとする習近平指導部が日米分断を狙っている
ことの反映といえそうだ。
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サウジ国王が欠席へ=背景にイラン問題か−米GCC首脳会談
 【ワシントン時事】サウジアラビアのジュベイル外相は10日声
明を出し、米国のワシントンなどで13、14両日に開かれるオバ
マ大統領と湾岸協力会議(GCC)6カ国の首脳会談にサルマン国
王が欠席すると明らかにした。ムハンマド皇太子がサウジ代表団を
率いるが、直前の欠席発表は異例だ。
 米側はこれに先立ち、大統領と国王が13日にホワイトハウスで
首脳会談を行うと発表していた。10日付のニューヨーク・タイム
ズ紙(電子版)は、国王の訪米取りやめの理由として、イラン核協
議をめぐる米イラン関係の進展への「明らかな不満の表れだ」と伝
えた。
 外相声明は、国王の欠席理由として、米GCC首脳会談がイエメ
ンでの空爆停止期間(12日から5日間)とサウジのリヤドにサル
マン国王人道支援センターが開設される時期に重なるためと説明。
外相は「イエメンの平和と安全の確立に対する国王の取り組み」を
強調した。(2015/05/11-10:03)




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