5365.ギリシャ支援協議不調か



ギリシャとトロイカとの交渉が不調のようである。ギリシャに対し
て、単年度黒字の予算にすることを欧州側は求めている。

しかし、欧州連合(EU)とIMFとの間に「深刻な」政策上の相
違が存在しているため、ギリシャは譲歩できなくなっているとの見
解を表明。

同当局者は、IMFは年金や労働問題、欧州側は財政黒字に主眼を
置いており、こうした相違を背景にギリシャは譲歩ができなくなっ
ていると指摘。「責任は見解を調整できていない(EUとIMFと
いった)機関側にある」と非難した。

実際、IMF、EU、欧州中央銀行(ECB)の間で協議が続けら
れているが、年金、労働改革、最低賃金などに関する見解の相違は
埋まっていない。

12日に9億7000万ユーロのIMF融資の返済期限が迫るなか
、この日はIMFの欧州担当責任者のポール・トムセン氏が欧州諸
国がギリシャ債務を軽減しない限りギリシャに対する資金援助を断
つとしたことで、デフォルトの可能性が高まっている。

しかし、主要格付け会社の多くは、ギリシャが期限までに国際通貨
基金(IMF)や欧州中央銀行(ECB)への支払いができなくて
も、同国の国債をデフォルト(債務不履行)に格下げすることはな
いとの見解を示している。

デフォルトにならないと、クレジット・デフォルト・スワップ(C
DS)の支払いが生じない。

問題が波及しないように、世界の機関が準備している。このため、
欧州市場も混乱が少ないようである。しかし、デフォルトに掛けた
ヘッジファンドなどには損するところが出てくる可能性がある。

どちらにしても、ギリシャがデフォルト状態になることは確かであ
るが、IMFが譲歩して欧州側によれば、ECBは支援す意向であ
り、土壇場で逆転する可能性がある。

このようなIMFの行動が、多くの国に米国のヘッジファンドが金
儲けのために、ギリシャのデフォルトを望んでいるように取られる
ことになる。

そして、米国のドルへの信頼を失わせることに繋がっている。米国
の没落の方が心配である。

さあ、どうなりますか?


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ギリシャ支援協議、なお膠着
2015年 05月 6日 05:30 JST
[アテネ/ブリュッセル 5日 ロイター] - ギリシャの国際通貨
基金(IMF)融資返済期限が12日に迫るなか、5日はギリシャ
のバルファキス財務相がブリュッセルで欧州委員会のモスコビシ委
員(経済・財務担当)と会談するなどの動きがあったが、難航する
支援協議の着地点は依然として見えていない。
バルファキス財務相はモスコビシ委員との会談後に記者団に対し、
来週11日のユーロ圏財務相会合で、支援の見返りにギリシャに実
施が求められている一連の改革案の進展に理解が示されるとの見通
しを表明。「11日の会合では実りある議論が行われ、最終合意に
向けさらに前進できると考えている」と述べた。
ただこれに先立ちモスコビシ委員は、ギリシャが「首尾一貫性があ
り、詳細で完全な」経済改革プログラムについて債権団と合意しな
い限り、長期的な資金援助について協議を開始することもできない
と言明。両者の溝が深いことが示唆された。
またこの日は、ギリシャ政府当局者が難航する支援協議について、
欧州連合(EU)とIMFとの間に「深刻な」政策上の相違が存在
しているため、ギリシャは譲歩できなくなっているとの見解を表明。
同当局者は、IMFは年金や労働問題、欧州側は財政黒字に主眼を
置いており、こうした相違を背景にギリシャは譲歩ができなくなっ
ていると指摘。「責任は見解を調整できていない(EUとIMFと
いった)機関側にある」と非難した。
実際、IMF、EU、欧州中央銀行(ECB)の間で協議が続けら
れているが、年金、労働改革、最低賃金などに関する見解の相違は
埋まっていない。
ECBは6日にギリシャの銀行に対する緊急流動性支援(ELA)
をめぐる週間見直しを実施。これに先立ち、この日はギリシャのド
ラガサキス副首相がフランクフルトを訪れ、ECBのドラギ総裁と
会談した。
ECBは声明で、ギリシャの経済情勢と欧州側との協議の進捗状況
を検証したとしたが、これ以上の詳細については明らかにしなかっ
た。
12日に9億7000万ユーロのIMF融資の返済期限が迫るなか
、この日はIMFの欧州担当責任者のポール・トムセン氏が欧州諸
国がギリシャ債務を軽減しない限りギリシャに対する資金援助を断
つ構えを見せたとの英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙の報道
を受け、ギリシャの株式と国債が大幅に売られるなどの動きも出た。
ドイツはギリシャが債務不履行に陥ったりユーロ圏から離脱したり
しても、2012年にこうしたことが起きていた場合と比べると影
響は抑制できるとの見解を示しているが、フランスやイタリアなど
は警戒感を高めている。
フランスの経済財政相を務めた欧州委のモスコビシ委員はこの日、
欧州委はギリシャをユーロ圏にとどめることを目標としていると強
調。
イタリアのジェンティローニ外相は記者団に対し、「イタリア政府
はギリシャ危機を過小評価することは近視眼的で危険だと見なして
いる」とし、ギリシャがユーロ圏を離脱する可能性について軽視す
ることがあってはならないとクギを刺した。
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ギリシャ株・債券急落、IMF支援打ち止め示唆との報道で
2015年 05月 6日 01:05 JST
[アテネ/ブリュッセル/ロンドン 5日 ロイター] - 5日の欧
州金融市場では、ギリシャの株、国債への売りが膨らんでいる。
国際通貨基金(IMF)の欧州担当責任者を務めるポール・トムセ
ン氏が、欧州のパートナー諸国がギリシャの債務を軽減しない限り
、ギリシャに対する資金援助を断つ構えを見せたとの英フィナンシ
ャル・タイムズ(FT)紙の報道が重しとなった。
ギリシャ10年債利回りは51ベーシスポイント(bp)上昇の 
11.18%。前日は2カ月ぶり低水準となる9.84%をつけて
いた。2年債利回りは160bp上昇の21.13%。
ギリシャ・アテネ株式市場のATG指数.ATGは一時5%近く値下が
り。銀行株も10%近く急落している。
IMFの関係筋によると、トムセン氏は4月24日にリガで開催さ
れたユーロ圏財務相会合で、明確にギリシャへの支援を停止する姿
勢を見せたり、債務削減を求めたりしていないが、ギリシャ債務の
持続可能性が悪化している点を強調していた。
ショイブレ独財務相も「IMFはそのような発言は行っていない」
とし、トムセン氏は状況が「一段と厳しさを増している」と指摘し
たと述べた。
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ギリシャ年金・労働改革で対立、資金難のなか協議に暗雲
2015年 05月 5日 05:30 JST
[アテネ/ブリュッセル 4日 ロイター] - ギリシャと国際債権
団の間で、年金や労働改革で意見の隔たりが依然として大きく、集
中協議の行方が見通しにくくなっている。ギリシャ政府報道官は4
日、月末までに新規資金が必要と訴えた。
サケラリディス政府報道官は記者会見で、国際通貨基金(IMF)
への月内返済(約10億ユーロ)を含む、すべての支払い義務を果
たす意向を示した。
ただ「流動性問題が焦眉の急だ」と指摘。「ギリシャ政府は5月末
まで、流動性の注入を待つことはない。可能な限り早期に、自国経
済に流動性が注入されると期待している」と述べた。
政府当局者によると、ドラガサキス副首相は5日、フランクフルト
で欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁と協議する。資金確保への
取り組みを強めるとみられる。
ギリシャのスクルレティス労働相は4日、IMFは厳しい労働改革
を要求しているとテレビで述べ、不満をにじませた。
IMFが、年金カットや大規模なレイオフに関する見直しを要求、
ギリシャ政府の最低賃金引き上げ計画に反対していると指摘。「彼
ら(IMF)は、ギリシャ国民の生活をこの5年間、破壊してきた
(緊縮策)を一切いじらないよう求めている」と述べた。
バルファキス財務相も5日、パリとブリュッセルを訪れ、 欧州委員
会のモスコビシ委員(経済・財務担当)らと会う。
ギリシャ紙カシメリニは、国内行がギリシャ中銀から融資を受ける
条件を大幅に厳格化することについて、ECBが今週、検討すると
伝えた。資金の代わりに差し出す担保価値の削減率(ヘアカット)
を引き上げる。具体的には現在の23%から44、65、80%に
引き上げることなどが検討されるという。ヘアカット率を引き上げ
れば、実質的に担保の価値が低下しギリシャの銀行が得られる資金
の額が減少する。
ECBは報道に関するコメントを避けた。ただ、内情に詳しい関係
筋は、担保政策の変更は今週行わず、緊急流動性支援がもう1週間
延長される見通しを示した。
ECBのコンスタンシオ副総裁は、ギリシャと債権団が合意でき、
ギリシャのユーロ圏離脱などは回避されるとの見方を示した。
オランダ紙とのインタビューが4日付紙面に掲載された。副総裁は
「最悪のシナリオは避けられると確信する」と強調した。
また「ユーロ圏のストレスや脆弱性の度合いが、完全に変わった。
連鎖反応の兆しはみられない」と述べ、ECBの債券買い入れプロ
グラムが、ギリシャ問題をめぐる懸念の緩和につながっていると指
摘した。
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ギリシャにデフォルト判定せず、IMF返済延滞でも=格付け会社
2015年 05月 2日 09:25 JST
[ロンドン 1日 ロイター] - ギリシャの支援交渉が難航する中
、主要格付け会社の多くは、ギリシャが期限までに国際通貨基金(
IMF)や欧州中央銀行(ECB)への支払いができなくても、同
国の国債をデフォルト(債務不履行)に格下げすることはないとの
見解を示している。
ギリシャは5月にIMFに約10億ユーロ、7━8月にかけてECB
に約70億ユーロを支払う必要がある。
格付け会社大手4社のうち、スタンダード・アンド・プアーズ(S
&P)、フィッチ・レーティングス、ドミニオン・ボンド・レーテ
ィング・サービシズ(DBRS)の3社は、ECB、IMFは通常
の債権者とは異なるため、期限までに返済義務を履行できなかった
場合でも、デフォルトとは判断しないとの立場だ。ただジャンク級
(投機的等級)内でさらに格下げされる公算が大きいとしている。
S&Pでギリシャの格付けを担当するフランク・ギル氏は「何らか
の理由でギリシャがIMF、ECBに対し返済できなくても、これ
らは『公的』部門の債務であるため、当社の判断基準ではデフォル
トには相当しない」と指摘している。
これは現在、ギリシャの生命線となっているギリシャ銀への緊急流
動性支援(ELA)を維持する上で極めて重要だ。ELAはECB
の承認を受けた上で、ギリシャ中銀が実施しているが、ECBはデ
フォルトに陥った国の国債を担保として受け入れることを認めてい
ないためだ。
ムーディーズはIMFへの返済不履行ケースについては、他の3社
と同様の見解だが、ECBについては異なる立場を示している。E
CBが保有するギリシャ国債は市場性証券である可能性があるため
、他の市場性証券と同様の扱いになる可能性があり、デフォルトと
判定するとしている。
格付け会社がデフォルトと判断しなくても、国際スワップデリバテ
ィブ協会(ISDA)がデフォルトと見なせば、クレジット・デフ
ォルト・スワップ(CDS)の支払いが発生し、他の債券にも「ク
ロスデフォルト」が波及する可能性もある。
だが専門家によると、他の公的、民間セクターが保有するギリシャ
国債にもデフォルトが波及するクロスデフォルトが発生するリスク
は小さいようだ。
ギリシャがデフォルト判断を免れ、ELAを維持できたとしても、
ECBはギリシャの銀行が担保として差し出すギリシャ国債に適用
するヘアカット(担保価値の削減率)を引き上げる可能性がある。
そうなればギリシャの銀行への流動性供給は細る。
現在、ELAのギリシャ国債の担保に適用されているヘアカットは
平均で35%程度。とりわけ償還までの期限が短いものなどはそれ
を下回る水準とみられている。
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焦点:効力失うギリシャ危機カード「欧州市場崩壊」にも投資家冷静
2015年 04月 30日 16:06 JST
[ロンドン 29日 ロイター] - ギリシャがデフォルトに陥った
り、ユーロ圏から離脱するような事態となれば、欧州の金融市場に
壊滅的な影響が及ぶーー。ギリシャ政府はこんなシナリオをちらつ
かせて、国際債権団から自国に有利な支援条件を引き出そうとして
いるが、現実には欧州市場への影響は限定的との見方が主流になり
つつあり、ギリシャの切り札は効き目がなくなっている。
実際、ギリシャと債権団の交渉は行き詰まり、資金枯渇のうわさも
ささやかれるが、欧州市場の反応は冷静だ。ユーロ圏の借り入れコ
ストは全体的に過去最低水準に近く、株価は7年ぶり高値に接近。
また通貨ユーロもここ2カ月間、5セントという狭いレンジ内で推
移している。
ギリシャの先行きに対する市場の見方が悪化していることを考える
と、金融取引の平静さには驚くばかりだ。調査会社センティックス
によると、投資家のほぼ半分がギリシャが1年以内にユーロ圏から
離脱すると予想。一方、ユーロ圏全体に影響が波及するリスクを測
る指数は過去最低となっている。
ラッセル・インベストメンツのストラテジスト、ウーテル・ストゥ
ルケンボーム氏は「ギリシャには、ユーロ圏の景気回復を阻害する
ほどの影響力はない。周辺国への連鎖もない」との見方を示してい
る。
ギリシャのユーロ圏離脱は現実的なリスクだが、専門家が示してい
る見通しは、数年前に見られた市場の混乱ほどには暗いものではな
い。
ゴールドマン・サックスは、「グレジット(ギリシャのユーロ圏離
脱)」の場合、イタリアとスペインの10年債は独連邦債との利回
り差が最大で400ベーシスポイント(bp)超に拡大する、と予
想する。
このスプレッドは2011/12年冬につけたピークを200bp
程度下回る水準。さらに、期間10年の独連邦債の利回りがゼロに
近いことを踏まえると、イタリアやスペインの名目上の借り入れコ
ストは、3年前につけたピークの水準よりも300bp低いことに
なる。
<QEで安心感>
ギリシャ資産への海外民間投資家のエクスポージャーは段階的に縮
小しており、ギリシャ債の大半は今では、他のユーロ圏諸国や欧州
中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)が保有している。
それでも欧州市場が動揺していないのは、ECBの国債買い入れプ
ログラム(OMT)や欧州安定メカニズム(ESM)など、これま
で数年をかけて築き上げてきた各種の防火壁のお蔭。その中心的な
存在が、先月開始されたばかりの1兆ユーロの量的緩和(QE)プ
ログラムだ。
ドイツ銀行のエコノミスト、マーク・ウォール氏はクライアントに
対して「QEがおそらく影響連鎖に対する主な防護になる」と述べ
た。
(Mike Dolan記者 翻訳:吉川彩 編集:北松克朗)



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