5343.既設ビルでの太陽光発電設置



既設ビルでの太陽光発電設置
「大阪大学会館のエネルギーシステム」
                 
                   平成27年(2015)4月11日(土)
                   「地球に謙虚に運動」代表
                       仲津 英治

 去る3月16日、大阪大学中之島センターでの「大阪大学Smart Grid スマート
キャンパスへの取組み」と題する講演会において「大阪大学会館のエネルギー
システム」という演題の講演を、同工学研究科環境・エネルギー工学専攻の下田
 吉之教授から聞かせて頂きました。

 下田教授の論文、大阪大学会館(イ号館)の省エネルギー改修(生産と技術 
第63巻第1号(2011)によれば、理科系の大学は、大変なエネルギー消費機関の
ようですね。

 例として大阪大学の吹田キャンパスは事業所として温室効果ガスの排出量が
吹田市内最大であり、第2 位のアサヒビール吹田工場の2倍、同じ総合大学で
ある関西大学の4倍弱となっているそうです。大規模な病院を有し、世界最先端
を行く生命科学や材料科学研究機関等により、エネルギー消費密度が高いキャン
パスとなっているのでしょう。

 そこで大阪大学では、全学を挙げて省エネ・省資源そして創エネに取り組ん
でおりこの度、その一例として大阪大学会館(イ号館)の例を伺いました。
 同会館は、旧制浪速高等学校の建物で1928年に現豊中市の待兼山に建設され、
阪大のキャンパスが4か所に分かれている中でも一番古い建物で、登録有形文化
財に指定されています。阪大のシンボルと言える建物です。私もそこで学びま
した。

 大阪大学では、平成23年(2011)5 月に80周年を迎える記念事業の一環として、
産業界等から寄せられた寄付を財源の一部として、このイ号館の耐震化全面改修
を行ないました。そしてその際、「省エネルギーと創エネルギー改修」も行な
われたのです。

 しかし、屋上面積や荷重の問題でイ号館の建物本体にはあまり太陽電池を多く
設置できないところ、周辺の共通教育(昔の教養部)の建物の屋根を借用する
ことで、大量の太陽電池が設置されました。これらの発電電力により、エネルギ
ーの自給率・二酸化炭素排出量の削減率もかなり高いものになりつつあるとのこ
とです。

 豊中市が撮影した阪大豊中地区の航空写真によれば、他の建物にも相当、太陽
光発電装置が屋上に設置されているようです。
 大阪大学会館では、太陽光発電設備以外に断熱強化、複層ガラス、気密サッシ、
熱交換器、高効率空調設備も導入し、さらに明るさに応じた照明制御も行なって
いるとのことです。それらにより省エネ・省資源を実現しているようですね。

 太陽電池により、電力自給率は85%に向上し、外部エネルギーへの依存率は
 91%低下すると想定されています。但し、これらのデータは、もう少し検証され
る必要があるとのことです。今後の成果報告を待ちたいところです。

 新築ビルでの省エネ・省資源&創エネの試みはよく伺いますが、中古ビルでの
注目すべきトライかと思います。

 皆様如何でしょうか?

「地球に謙虚に運動」代表
NPO法人 エコネット近畿 理事








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