5348.世界経済混乱が間近か?



日本の東京市場で、日経平均株価2万円になったことで、今後も株
価が上がると評論家たちは言っていたが、実際は逆方向のようであ
る。どうも、米国の景気が思わしくなく、米国経済が壁にぶつかっ
たように感じる。そして、それが世界全体へ、どう影響するのか検
討したい。                  津田より

0.シェールオイルブーム終焉
やっと、3月からシェールオイルの生産が減少に転じ始めた。米国の
原油生産を約40年ぶりの高水準に押し上げたシェールオイルブーム
が終えんを迎えつつある。

2014年6月から原油価格が下がり始めて、11月27日のOPEC諸国の会合
でサウジが生産調整をしないと発言して、50ドル以下に下がったが
、今までは生産量が減らずに増えていた。

この理由は、シェールオイルの生産者は、先物でヘッジしていたの
で、6ケ月だけは、今までと同じように生産しても、価格が80ドル
程度で売ることが出来ていた。このため、価格が急激に下がった時
でも生産量を減らす必要がなかったのである。

このため、それを見た門外漢によって、米国のシェールオイルの生
産コストは50ドル以下でも大丈夫という神話が生まれたのである。

しかし、下落後6ケ月が過ぎて、現時点でも50ドル程度の価格であ
り、やっとコストが高いシェールオイルの生産が止まり始めていた
のだ。

価格下落により米国のリグ(掘削装置)のうち半数が既に稼働停止
を余儀なくされ、数千人の雇用が失われた。ゴールドマンは米国の
石油ブームの後退は供給過剰を是正し世界の原油市場の需給を均衡
させるために必要と指摘している。

丁度、原油価格下落と同じ時期に米国は量的緩和を止めて、公定金
利を上げようとした。そのため、ドル高になり、円は1ドル=120
円と円安で、日本の輸出企業は、利益が増えていた。その代わりに
米国企業は、輸出価格が上昇して、日本企業との競争に負け始めた。
しかし、この6ケ月はヘッジのために原油の儲けが有り、原油生産
の影を隠すことができた。

ここに来て、2つが重なり、米国の景気がダブルパンチを受ける状
態になっている。
1つがシェールオイル企業の生産調整で、リストラが起きているこ
とと、ドル高で米国企業の業績が落ち込んでいることである。もう
1つ、原油価格をヘッジした金融会社の損失がどこかにあるが、そ
れが見えないことである。

金融業界に影響を与えているはずであるが、金融会社が潰れないと
見えないので、これが見えるとリーマンショックと同じような衝撃
が米国に起こる可能性がある。

このため、米ニューヨーク市場の株価が冴えないことになってきた
し、米ドル下落ということになってきた。やっと、シェールオイル
のダメージが見えてきたのである。

これを裏付けるように、フィッシャー米連邦準備理事会(FRB)
副議長は、最近のドル高について「そう遠くない将来に」終わると
の見方を示した。

1.米国経済
そして、ECB(欧州中央銀行)の緩和姿勢維持やギリシャ問題のごた
ごたは、本来はユーロ安要因だが、それを跳ね返して先週初(4月13
日)からはユーロ高・米ドル安になっている。

また原油については、米国が将来イランへの経済制裁を緩和し、イ
ラン産の原油が市場に出回るという観測にもかかわらず、原油価格
が強含むことになっている。イラン原油より米国のシェールオイル
の生産量が今後、大幅に削減すると見えるのでこうなる。

そして、2015年1〜3月期の米企業決算発表が既に始まっているが、
全産業の一株当たり利益は、対前年で減益が見込まれている。

また、浜田宏一米エール大学名誉教授は、「購買力平価からみれば
、120円はかなり円安である」と述べ、円の買い材料となったが、購
買力平価を用いても、現在の円相場は約20%円安に行き過ぎている
ようだ。

現時点、10年以上もイノベーションがなく、新製品が生まれてい
ない。このため、新規需要がないことで、世界はゼロサム・ゲーム
になっている。日本企業が良くなるということは、他国企業の業績
は悪くなるということである。しかし、投資家が欧米に多く、繋が
っているので、米国が悪いと、日本株も売って穴埋めをする。

このため、日本の株式市場もおかしくなってきたのである。世界経
済が繋がり、米国景気が悪いので、米投資家が日本の株も売ること
になる。

2.ギリシャの動向
世界経済的な混乱が起こるのは、米国のリーマンショクのような銀
行倒産だけではなく、ユーロ圏でのギリシャのデフォルトでも起こ
り得る。それを見よう。

ギリシャの改革案はすでに二度にわたって支援提供国から突き返さ
れており、15日に再開したユーロ圏の財務次官級会合では、再修
正案の協議が続けられている模様だ。24日のユーロ圏財務相会合
での合意を目指すならば、今週中にも妥協点を見出す必要がある。

だが、最低賃金の引き上げ、団体賃金交渉の導入、貧困層への年金
支給増額、税捕捉強化に依存した代替財源の捻出方法などをめぐっ
て、両者の主張は平行線をたどっている。しかし、チプラス首相は
選挙でこれらの実現を公約しているので譲歩できない。

ショイブレ財務相は15日、「来週中に改革合意が実現すると考え
る者は誰もいない」と発言した。月内合意のハードルは高い。

このため、ギリシャのチプラス首相は、ロシアに飛び資金要請をし
たが、成果がなく、ユーロ圏に留まる選択をしたようである。しか
し、有効な財政改革案が出せないので、EU諸国は、ギリシャの債
務不履行(デフォルト)はありえると見ている。

このため、ギリシャがデフォルトに陥った場合、公務員の給与を借
用証書で支払うシナリオについて、欧州中央銀行(ECB)が検討
しているという。

しかし、ギリシャ政府は16日、広報費用の圧縮や、使用していな
い建物の貸与を通じ、総額3億ユーロ(約380億円)の収支を改
善する新たな財政健全化策を発表した。

私は、ギリシャ政府が借用証書を国内支払いに使い、通貨と同様に
使用して、対外債務を優先してユーロで払う事になると見ている。
この借用証書は、ドラクマということになり、ギリシャは2重通貨
にしていくしかない。徐々にドラクマが大きくなり、デフォルトに
なると、ユーロ圏から離脱するシナリオになると見ている。

もう、独ショイブレ財務相は、ギリシャを追い出す方向であり、混
乱が少ない方法を考えているように感じる。

3.世界経済はどうなるか?
米国の経済減速と中国の国内経済減速で海外に経済的な拡張をする
ことで、中米の関係は大きく変化すると見ている。

自国通貨を下げる通貨戦争を通り越して、自由貿易圏内での固定レ
ート化が進み、その自由貿易圏の拡張競争が起きる。その主役が米
国と中国になり、基軸通貨も人民元と米ドルの2本立てになる。

その基軸通貨と結びついた通貨基金ができて、1つがIMFであり、も
う1つが、BRICS銀行のような気がする。

このようなことになっても、経済規模は世界的に見て縮小傾向にな
り、世界は不安定になるように見る。

4.日本は
日本が米国と同盟関係に有り、中国の組織には参加しないようであ
るが、多くの国は、米中の両方に加盟して、いいとこ取りをしよう
とする。

しかし、米国の民主主義国にしか参加させないという縛りが、加盟
国を減らすことになるような気がする。

日本は、民主主義という理念ではなく、そこの国民にとって何が良
いかという観点で米国を説得する必要があると思う。

さあ、どうなりますか?


参考資料:
5329.世界的なデフレに
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/270331.htm

5284.現在進行形の経済をどう読むか?
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/L7/270216.htm

4893.長期的停滞への処方箋
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/L6/260107.htm

4850.サマーズ理論が世界に波及
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/L5/251121.htm

4849.サマーズの「3本の矢」政策
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/L5/251120.htm

4856.サマーズについて修正
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/L5/251140.htm

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日本株の崩落が、いよいよ始まった?
米ドル安をめぐる「2つの謎」は解けるか
馬渕 治好 :ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券
アナリスト 2015年04月19日TK
株価はいったん回復後大幅下落ではなく、すでに下落?
日経平均株価は、4月10日(金)に一瞬2万円を超えた後、頭が重い
ながらも底固い推移を続けていたが、残念ながら地すべりを始めた
ようだ。
同コラムでは、最後の段落で、ギリシャ問題の悪化前倒しなどで、
調整が早めに始まる可能性も否定できないとし、「目先の国内株価
上昇による利益を欲張らず、防衛的に現金保有をゆっくり増やして
いってもよいと考えている」とアドバイスした。
どうも、ここで懸念していた、「調整が早めに始まり、ずるずると
した下落基調からそのまま大幅下落」というシナリオの確度が高ま
ってきたようだ。
そうした悪い変化を感じさせるのは、先週金曜日(4月17日)の米株
安もさることながら、それ以上に、米ドル安がじわりと進み始めた
ことだ。米ドルは、対円のみならず対ユーロでも、対原油でも、安
くなり始めている。
この「米ドル下落」に関しては、「2つの謎」がある。すなわち、欧
州では、ECB(欧州中央銀行)の緩和姿勢維持やギリシャ問題のごた
ごたは、本来はユーロ安要因だが、それを跳ね返して先週初(4月13
日)からはユーロ高・米ドル安になるという、一つの謎が生じてい
る。
また原油については、米国が将来イランへの経済制裁を緩和し、イ
ラン産の原油が市場に出回るという観測にもかかわらず、原油価格
が強含むという、もう一つの謎が生じている。
「米ドルしか買えない」というシナリオに無理が生じた
この2つの謎を解くカギは、対ユーロでも対原油でも、米ドル安がぐ
いぐいと生じ始めたという点にあるだろう。
この米ドル反落の背景としては、前回のコラムでも述べた、「世界
中で景気が良いのは米国だけだ、米ドルしか買える通貨はない」と
いうシナリオに無理が来ていることが挙げられる。
加えて、米国企業からは、米ドル高が収益を圧迫しているとの怨嗟
の声が聞こえ始めた。2015年1〜3月期の企業決算発表が既に始まっ
ているが、全産業の一株当たり利益は、対前年で減益が見込まれて
いる。これが米国株価の重石として働き始めた。
こうした米ドル高の悪影響は、4月15日(水)発表のベージュブック
(地区連銀経済報告)でも指摘されていた。また同月9日(木)公表
の米財務省の為替報告書でも、日欧が金融緩和に依存し過ぎている
と指摘している。これは米国が、緩和による日欧の通貨安政策を批
判したものだと解釈されている。
さらに13日(月)には、浜田宏一米エール大学名誉教授が、「購買
力平価からみれば、120円はかなり円安である」と述べ、円の買い材
料となった。筆者が算出する購買力平価を用いても、現在の円相場
は約20%円安に行き過ぎていると計算される。過去に20%超円安が
行き過ぎた局面を探すと、1983年と1985年の2回しかない。
その後何が起こったかと言えば、プラザ合意、すなわち行き過ぎた
米ドル高を修正しようとの国際的合意がなされた。今回そうした国
際的合意などはありえないが、米国にとっては、当時と同様にやり
きれない米ドル高なのかもしれない。
米国株の軟調展開も、「米国株しか買える物がない」という米国一
人勝ちシナリオに疲れが生じた、と考えられる。そこに週末、中国
当局が資産運用会社に対して、空売りのための株式を貸し出すこと
を容認した(投資家が、資産運用会社から株を借りて売ることがで
きるようになった)との報道を受けて、「中国株暴落懸念」という
悪材料が上乗せされたと解釈できる。
実は、国内の株価については、最近は米国株や米ドル円相場との関
連性が薄れ、米株安や円高になっても日本株安にはなりにくい様相
を示していた。その大きな理由は、市場の目が日本の内需に移って
いたからだろう。
消費者心理を示す消費者態度指数は、昨年4月と11月の二点底を経
過して、持ち直しに入っている。百貨店やスーパーの2月の売上高
(前年比)は、11カ月ぶりにプラスとなった。今年のベースアップ
が、消費増税を伴わない給与増であることも明るい材料だ。
2月期の企業決算の発表が一巡したが、内容が良いものが多く、小
売、食品などの内需関連株が物色された。国内株価が内需の良さに
支えられていれば、米国株や米ドルの動向にかかわらず、日本株が
上昇してもおかしくはないわけだ。
しかし内需株については、株価上昇が速く、PER等で見た割高感が台
頭した。このため投資家の警戒感が生じ、例えば花王は8日(水)に
、山崎製パンやツルハホールディングスは9日(木)に、イオンやマ
ツモトキヨシは15日(水)に、それぞれザラ場ベースでの高値を付
けて、株価が反落してきている。すなわち、消費関連銘柄の株価が
、ここ1〜2週間に、軒並みピークアウトし始めているわけだ。
ドル安では輸出株買えず、「間の悪さ」が下落助長も
こうした時、通常は、内需株が崩れれば、「では次は輸出関連に」
、と物色が移るところだ。しかし、いざ再び輸出株を買おうとした
ところで米国株価の暗雲や円高が始まり、輸出株を買いづらい空気
が広がっている。この「間の悪さ」が、足元の国内株式市況全般の
崩れを深刻化しつつあるとも言えるだろう。
そうした全体観の中で、今週の日経平均のレンジは1万9100〜1万9800
円と見込む。依然として、日経平均がいったんは反発し、2万円超え
を見せる、というシナリオの可能性も残ってはいるが、そうした展
開であっても、その後は1万9000円を割れて下げていくと予想してい
る。
株価が一度戻ってから下落するにせよ、このままずるずると下落す
るにせよ、現時点では、思い切り株式保有を増やすことは勧めない。
先行き株価が大きく下げた時に安値で買うために、今は現金を用意
する局面であると考えている。
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ギリシャ公務員給与は借用証書で、ECBが可能性検討=関係筋
2015年 04月 18日 04:34 JST
[フランクフルト 17日 ロイター] - ギリシャが債務不履行
(デフォルト)に陥った場合、公務員の給与を借用証書(IOU)
で支払うシナリオについて、欧州中央銀行(ECB)が検討してい
ることが、事情に詳しい関係筋の話で分かった。
ギリシャが債務不履行となれば、ECBは緊急流動性への国内銀行
アクセスを制限する恐れがある。
しかし、当局者はこうした措置により、ギリシャが手元に残るユー
ロを使い果たさないよう、公務員の給与を借用証書で支払う可能性
が生じると危惧する。
関係筋の1人は「何も進展がないというのが事実で、こうしたシナ
リオを検討する必要がある」と明かす。
ただ、ECBの報道官は「ギリシャに関するシナリオがどれだけ具
体的でも、憶測には関わらない」と述べた。
ギリシャ政府当局者の1人は匿名を条件に、月内に国際債権団と合
意すると楽観しており、そうしたシナリオを検討する必要はないと
語った。
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新たに3億ユーロの収支改善策=支援交渉打開狙う−ギリシャ
 【パリ時事】ギリシャ政府は16日、広報費用の圧縮や、使用し
ていない建物の貸与を通じ、総額3億ユーロ(約380億円)の収
支を改善する新たな財政健全化策を発表した。AFP通信が報じた
。欧州連合(EU)などに対して財政再建努力を示すことで、難航
する金融支援をめぐる交渉の打開につなげる狙いもある。
(2015/04/17-09:07)
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コラム:近づくギリシャの「Xデー」=田中理氏
2015年 04月 16日 12:04 JST
[東京 16日] - 財政資金の枯渇や支援提供国との改革案をめぐ
る合意期限が刻一刻と迫るなか、ギリシャ情勢が再び緊迫の度合い
を増している。
13日付けの英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙は、「我々の
命運は尽きた。(4月末までに)欧州諸国が救済資金を拠出しなけ
れば、ギリシャはデフォルト(債務不履行)を宣言する以外にない
」とする与党・政府関係者の発言を伝えた。
こうした発言は、月内合意に向けた交渉が大詰めを迎えるなか、支
援提供国から最大限の譲歩を勝ち取ることを狙ったギリシャのお決
まりの交渉戦術と見る向きもある。だが、これまでの交渉過程で、
ギリシャの新政権と支援提供国との関係は、かつてないほどに冷え
込んでしまっている。デフォルトの可能性をちらつかせたところで
、支援提供国側の態度が一変する望みは薄い。
ギリシャの改革案はすでに二度にわたって支援提供国から突き返さ
れており、15日に再開したユーロ圏の財務次官級会合では、再修
正案の協議が続けられている模様だ。24日のユーロ圏財務相会合
での合意を目指すならば、今週中にも妥協点を見出す必要がある。
だが、最低賃金の引き上げ、団体賃金交渉の導入、貧困層への年金
支給増額、税捕捉強化に依存した代替財源の捻出方法などをめぐっ
て、両者の主張は平行線をたどっている。報道によれば、ドイツの
ショイブレ財務相は15日、「来週中に改革合意が実現すると考え
る者は誰もいない」と発言した。月内合意のハードルは高い。
どうにか改革合意にたどり着いたとしても、支援提供国のギリシャ
への不信感はすでに相当なものだ。もはや口約束では不十分として
、ギリシャが改革関連の法案を議会で可決するまでは融資を再開し
ない姿勢を強めている。新政権が緊縮見直し路線を軌道修正すると
なれば、与党の分裂や連立政権の崩壊など、政治リスクが噴出する
恐れが高い。昨夏以来中断している総額72億ユーロの次回融資分
の早期実行は難しい情勢だ。
<予想される負のシナリオ>
政府の財政資金は枯渇寸前と言われて久しいが、社会保障基金や政
府関係機関からの一時的な借り入れ、一部の納入業者への支払い延
期などで、これまで何とか資金をやり繰りしてきた。5月の対外債
務の支払いは、国内銀行による借り換えが見込まれる総額28億ユ
ーロの政府短期証券の償還を除けば、12日に国際通貨基金(IM
F)向けに7.7億ユーロの融資返済を控えているだけだ。このま
ま月内に改革合意ができなくても、さらなる埋蔵金の捻出などで財
政破綻を回避できる可能性も残されている。
だが、危機再燃による経済活動の停滞や税滞納の増加などを受け、
年明け以降、税収の下振れが続いている。このままでは昨年ようや
く黒字化した基礎的財政収支(プライマリーバランス)が再び赤字
に転落する可能性がある。国債利回りの再上昇で市場調達に復帰す
る道も完全に閉ざされており、追加の資金支援を受けない限り、財
政資金が枯渇するのは時間の問題と言える。
格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)は15日、
5月中旬までに融資再開で合意できなければ、ギリシャは対外債務
の履行ができなくなるとし、同国の国債格付けを投資不適格の「C
CCプラス」に引き下げた。ギリシャに残された時間は少ない。
このまま支援融資が再開されないまま、埋蔵金を含めた財政資金が
枯渇した場合、ギリシャ政府は月々の税収など限られた財政資金の
使い道を取捨選択する必要に迫られる。この時、国内向けの支払い
を優先し、対外債務の支払いを停止すれば、30日間の猶予期間を
経て、ギリシャは2012年の債務交換時以来のデフォルトに陥る
ことになる。支援提供国の通例として、返済が滞っている間は財政
支援を再開することはない。次回融資の再開どころか、7月以降の
新たな支援プログラムの策定も暗礁に乗り上げる。
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3月消費者態度指数は4カ月連続改善、物価上昇見通し増加=内閣府
2015年 04月 17日 15:03 JST
[東京 17日 ロイター] - 内閣府が17日に発表した3月消費
動向調査によると、消費者態度指数(一般世帯)は、前月から0.8
ポイント上昇の41.7となった。4カ月連続で改善した。「暮ら
し向き」「収入の増え方」「雇用環境」「耐久消費財の買い時判断
」の4項目が全て改善した。
内閣府は消費者マインドは持ち直しているとして、前月から上方修
正した。
1年後の物価見通しについては、「上昇する」との回答が前月から
0.5ポイント増加し87.8%となった。「低下する」も1.1
ポイント増加して3.9%。「変わらない」は1.4ポイント減少
した。
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最近のドル高、そう遠くない将来に終わる=米FRB副議長
2015年 04月 17日 07:02 JST
[ワシントン 16日 ロイター] - フィッシャー米連邦準備理事
会(FRB)副議長は、最近のドル高について「そう遠くない将来
に」終わるとの見方を示した。国際通貨基金(IMF)・世銀会合
のパネル討論で述べた。
また、米経済はおそらく、年内利上げが可能になる状態に改善する
との認識も示した。
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世界経済、もう輝かないかもしれない未来
低下する潜在成長力、過剰貯蓄と長期停滞の議論に火
2015.4.16(木)  Financial Times
(2015年4月15日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
 最初は、わけの分からないシナリオのように見える。国内総生産
(GDP)は潜在GDPの水準にはなり得るが、そうなっても持続可能に
はならない恐れがあるだなんて、そんなことが果たしてあり得るだ
ろうかと首をかしげる人もいるかもしれない。
 しかし、国際通貨基金(IMF)が先日公表した「世界経済見通し(
WEO)」のある章で論じられているのは、まさにこのシナリオだ。
 しかも我々は今、そのシナリオに沿って暮らしている可能性さえ
ある。
 潜在GDPとは、インフレ圧力もデフレ圧力も生み出さない水準の
GDPのことをいう。持続可能性――本稿では環境面のそれではなく
、財政・金融面のそれを指す――はまったく別の話だ。
経済の潜在成長力と持続可能性
 金融・財政の観点からGDPが持続可能であるのは、経済活動の果実
が金融システムの危険な不均衡を作り出すことなく吸収され得るよ
うな歳出パターンや所得分配が行われている時だ。
 もし、国内で生産されたものを吸収するのに十分な量の需要が、
過大な借り入れか0%を大幅に下回る実質金利、あるいはその両方が
なければ確保できないという状態であるなら、その国のGDPは持続可
能ではない。
 そのような窮地はどのような過程を経て実現する可能性があるの
だろうか。この点を考えるために、次のような経済国を想定してみ
よう。
 この国では、家計と企業が貯蓄したいと思っている金額と、家計
と企業が実物投資に使いたいと思っている金額とがぴったり一致し
ており、その意味で均衡している。ここまでは良い状態だ。
 しかし、ここで潜在GDP成長率が急低下したらどうなるだろうか。
恐らく、家計と企業が望む投資の水準も急低下するだろう。必要な
資本ストックが小さくなるからだ。
 だが、人々が貯蓄したいと思っている金額は、同じようには減ら
ないかもしれないし、まったく減らないかもしれない。
 それどころか、人々は自分がこれから貧しくなると予想し、貯蓄
をむしろ増やしたいと考える可能性もある。
 もしそうなったら、投資と貯蓄の均衡を回復するために、実質金
利が急低下しなければならないかもしれない。
 そのような実質金利の低下は、長期資産の価格上昇とそれに付随
する貸し付けの増加を引き起こすかもしれない。もしそうなれば、
需要の減退は一時的に緩和されるだろう。しかし、その貸し付けブ
ームが後に破綻すれば、借り手は債務の返済に苦労することになり
、需要は二重の重荷を背負うことになる。
 過大な債務と、リスクを回避する金融セクターがもたらす中期的
な結果は、潜在GDP成長率の低下がもたらす長期的な結果を悪化させ
ることになろう。
先進国、新興国の双方で潜在GDP成長率が低下している理由
 今回公表されたWEOは、このようなシナリオの重要な側面を明らか
にしてくれている。これによれば、潜在GDP成長率はこれまでよりも
低下しつつある。先進国ではこの低下が2000年代の初めに、新興国
では2009年以降にそれぞれ始まっているという。
 世界金融危機以前は、先進国の潜在GDP成長率低下の主因は「全要
素生産性」の伸び率低下にあった。全要素生産性とは、資本と労働
の投入量がある値を取る時にGDPがどんな水準になるかを示す指標だ。
 この件については、インターネットが経済に及ぼす好影響が弱ま
っているからだとか、人間のスキルが向上するペースが鈍っている
からだといった説明がなされたていた。
 そして金融危機の後、潜在GDP成長率はさらに低下した。投資が急
減したためでもあるが、人口の高齢化も重要な要因になっている。
 新興国でも、この人口動態の影響は見受けられる。生産年齢人口
の伸び率の低下は、特に中国で劇的なものとなっている。また、2000
年代の大規模な投資ブームが終わった後は資本投入の伸びも鈍って
おり、これも特に中国で顕著になっている。
 全要素生産性の伸び率も、先進国に「キャッチアップ」するペー
スが鈍るにつれて、長期的には低下するかもしれない。
 この潜在GDP成長率の低下は、貯蓄の過剰と長期停滞に関する議論
に直結する。そしてそこでは、ローカルとグローバル、一時的と恒
久的という2つの重要な区別が浮かび上がる。
 潜在GDP成長率が世界的に低下していることから、この両方にスポ
ットライトが向けられている。
 米連邦準備理事会(FRB)の議長を務めたベン・バーナンキ氏は、
超の字がつくほど低い実質金利がローカルな状況だけで決まること
は考えにくいという正しい議論を展開している。人々の望む貯蓄の
量が人々の望む投資の量を上回る国では、経常収支の黒字を通じて
過剰な貯蓄が輸出できるはずだからだ。
 これはドイツがずっとやってきたことにほかならない。
著名エコノミストが繰り広げる議論
 しかし、ここで難題が立ちはだかる。第1に、ノーベル経済学賞受
賞者のポール・クルーグマン氏が指摘しているように、実質為替レ
ートは十分に下落しない可能性がある。その場合、この国は恒久的
な停滞に苦しむことになるかもしれない。
 第2に、この国が出す経常黒字を世界のほかの国々は持続的に吸収
できないかもしれない。2007年にかけて見られたのは、まさにこの
状況だった。
 中国や産油国、そしてドイツやそのほかの高所得国が経常黒字を
出す一方で、米国やスペインをはじめとする多くの国々が経常赤字
を出していたが、この赤字はぞっとするほど持続不可能であること
が明らかになった。
 次は、ローカルとグローバルの区別に勝るとも劣らないほど根本
的な、一時的と恒久的という区別に目を向けよう。実は、バーナン
キ氏とローレンス・サマーズ元米国財務長官の見解における主たる
違いはここにある。
 バーナンキ氏は、超低水準の実質金利を生み出している状況は一
時的なものだと示唆している。石油輸出国の、今では消えてしまっ
た対外黒字はその分かりやすい例である。また、金融危機前に見ら
れた中国の経常黒字も大部分が消えてしまった。危機が引き起こし
た経済の不振も一時的である公算が大きい、というわけだ。
 これに対しサマーズ氏は、この低い実質金利をもたらしている状
況の少なくとも一部は危機の前から存在しており、まだしばらく居
残りそうだと見ている。
 具体的には、高所得国における民間セクターの投資の弱さなどが
そうした状況に当たるという。
 潜在GDPの成長鈍化に関するIMFの論点は、サマーズ氏の見方を支
持するものになっている。従って、潜在GDPの成長が遅くなることは
、経済成長がこれまでよりも持続可能でなくなることなのかもしれ
ない。
暗い将来は不可避ではないが・・・
 もしそうだとしたら、不活発な投資や低水準の名目・実質金利、
信用バブル、そして制御不能な債務が長期にわたって世界経済の特
徴になる恐れがある。
 この何とも暗い将来は、避けられないものではない。しかし、も
っと明るい未来を迎えられると決めてかかることはできない。潜在
GDPの成長を加速させて不安定性を低下させるためには、国家的、地
域的、そして世界的な改革が必要だ。
 そうした改革がどんな形を取る可能性があるかという議論は、別
の機会に譲ることにしたい。
By Martin Wolf
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米国債保有、日本再び首位 6年半ぶりに中国抜く
 【ワシントン共同】米財務省が15日発表した国際資本統計によ
ると、2月末時点の米国債の国別保有額で、日本が中国を抜いて
2008年8月以来6年半ぶりに首位になった。中国が保有額を徐
々に減らしているため。世界最大の規模を誇る外貨準備の運用先を
米国債以外の資産に広げていることなどが背景にあるとみられる。
 日本の保有額は公的部門と民間を合わせ1兆2244億ドル(
約145兆8千億円)、中国は1兆2237億ドル(約145兆7
千億円)だった。日中とも1月末より保有額を減らしたが、中国の
減少幅が日本より大きかったことが逆転につながった。
2015/04/16 09:22   【共同通信】
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NY原油、4カ月ぶり高値
 【ニューヨーク時事】15日のニューヨーク商業取引所(NYM
EX)の原油先物相場は、需給が引き締まるとの見方を背景に5営
業日続伸した。米国産標準油種WTIの中心限月5月物は前日終値
比3.10ドル(5・8%)高の1バレル=56.39ドルと、
2014年12月23日以来約4カ月ぶりの高値で取引を終了した。
(2015/04/16-06:25)
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米シェールオイルブーム終焉か−生産、価格下落で減少見通し
2015/04/14 09:15 JST
  (ブルームバーグ):米国の原油生産を約40年ぶりの高水準に
押し上げたシェールオイルブームが終えんを迎えつつある。
米エネルギー情報局(EIA)は13日、ノースダコタ州バッケンシ
ェール層などのシェールオイル生産が5月に日量5万7000バレル落
ち込むとの見通しを示した。EIAが生産の減少を予想したのは同
局が掘削生産性月報の発表を開始した2013年以降で初めて。
ドイツ銀行 や米ゴールドマン・サックス・グループ 、IHS は、
原油先物価格が6年ぶりの安値に近い水準で推移する中、米国の原
油生産の伸びが少なくとも一時的に終息すると予想している。価格
下落により米国のリグ(掘削装置)のうち半数が既に稼働停止を余
儀なくされ、数千人の雇用が失われた。ゴールドマンは米国の石油
ブームの後退は供給過剰を是正し世界の原油市場の需給を均衡させ
るために必要と指摘する。
フロスト・アンド・サリバンの石油・天然ガス担当責任者、カール
・ラリー氏は13日、ヒューストンからの電話インタビューで「回避
できない崖から落ちているような状態だ。問題は減産がどの程度速
いペースで進むかということだ。ペースが速く急激であれば価格は
大幅に上昇する可能性がある」と語る。WTI(ウェスト・テキサ
ス・インターミディエート)原油価格は1年前と比較して約50%下
落している。
米国の製油所は定期修理を終え、原油処理量を増やし始めており、
1930年以降で最大に膨らんでいる供給過剰は緩和されつつある。米
国の原油在庫が減少すれば、昨年6月以降で1バレル=50ドル余り
下げている相場に一服感が広がりそうだ。  
更新日時: 2015/04/14 09:15 JST
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原油価格急落で再びテキサスは燃えてしまうのか
シェール開発と高原油価格で潤ってきたが・・・
2015.4.14(火)  藤 和彦 JBPRESS
原油価格急落で商業用不動産が苦境に
「テキサス州の『ランドマン』、失業の危機、石油ブーム終了で」
(2015年3月24日付ブルームバーグ)
80年代後半、テキサス州が金融危機の引き金に
 筆者の頭をよぎるのは、1980年代後半の逆オイルショック後にテ
キサス州を襲った「S&L危機」である。
 当時からエネルギー分野への依存が高かったテキサス州経済は、
雇用が減少したばかりではなく、商業用不動産不況により、同部門
への貸付を増加させていた銀行や「S&L」(貯蓄貸付組合)の多く
が破綻し、全米を巻き込む金融危機の引き金となった。
 米国における原油価格は、1970年代の2度のオイルショックにより
、1バレル当たり2.75ドル(1973年)から36.95ドル(1981年)に急
騰し、産油州であるテキサス州では石油を掘れば儲かるという「石
油バブル」をもたらした。テキサス州の金融機関は原油価格が1バレ
ル当たり60ドルにまで上昇することを前提とし、審査基準を甘くし
て石油ビジネスへの融資拡大にしのぎを削るにことなった。
 しかし、その後、先進諸国での省エネルギーの取り組み、非OPEC
産油国の増産(北海油田やメキシコ湾など)、OPEC諸国の政策変更
(サウジアラビアが「調整役」を放棄)などの要因により、1981年
から原油価格は徐々に低下。1986年には1バレル当たり10ドルにまで
下落してしまう。高コスト構造の米国産原油はこうした低価格に競
争力がなく、多くの採掘事業が行き詰まり、米国内の油井数は4000
(1981年)から757(1986年)に激減した。
 そうした状況の中で、多くの銀行関係者は「原油価格の下落は一
時的なものであり、いずれ回復する」と楽観的に考えて対応が遅れ
、損失が拡大した。
 その後、テキサス州の銀行は、石油産業に代わり、当時好調であ
った不動産融資に傾注することになった。そのため、不動産の空室
率が上昇しているのにもかかわらず建設ラッシュが続いた。ところ
が不動産ブームの発端は、石油ブームで地域経済が繁栄していたか
らである。実体経済の裏付けのない不動産ブームが続くはずがなか
った。空室率はさらに上昇し、商業用不動産に傾注していた金融機
関は多くの不良債権を抱えることになった。
 その結果が、1987年から89年にかけて米国全体で発生した金融機
関の大量破綻である。件数べースのうち、実に71%(491行)がテキ
サス州の金融機関だった。資産ベースでは、87年にテキサス州の銀
行が有する資産の25%分が消失し、総資産規模でテキサス州のトッ
プ10の銀行のうち9行が破綻または買収されるという壊滅的な状況と
なった。
 銀行だけではなく「S&L」の破綻もテキサス州が中心であった。
 S&Lはそもそも住宅ローンに特化した小さな金融機関だった。
1980年代初頭にリスク性のある商業用不動産融資が認められたが、
その監督・検査体制が効果的に機能しなかったため、86年初めに3234
あったS&Lは95年末には1645まで減少し、S&L危機に伴うコストは
1500億ドルに達したと言われている。
 このように逆オイルショックを契機に80年代から90年代前半にか
けて3000近い金融機関が破綻し、総資産で約9000億ドル、破綻処理
コストが1900億ドルにも達する金融危機が発生したのである。
ヘッジ取引の売り手は貧乏くじを引くことに
 逆オイルショックの場合は、その直後から原油生産企業の破綻が
相次いだが、今回は、シェール企業各社が弱気相場に備えて身を守
るための保険を用意していた。
 ブルームバーグ(4月10日付)によれば、2014年末のシェール企業
57社が保有するヘッジの公正価格は260億ドルと2014年9月末時点に
比べて5倍に増加した。これにより、シェール企業各社は安値が続く
限り、原油先物の「売り」と原油現物の「買い戻し」から生ずる差
益を稼ぐことができ、これを操業資金等に充当することができる。
このことは、本来なら高コストで操業停止に追い込まれるべきシェ
ール企業が、先物によるヘッジ機能が効力を有する間、操業を続け
られることを意味する。
 ただし、シェールバブルに目がくらむ金融機関がさらなる融資を
続行すれば、逆オイルショック後のような巨大な金融危機の発生を
招きかねない。
 一方、価格ヘッジの売り手企業は保険金支払いの契約を履行しな
ければならない。「これらの企業としては、米史上最大のエネルギ
ーブームに融資していたJPモルガン・チェースやバンク・オブ・ア
メリカ(BOA)、シティグループ、ウェルズ・ファーゴなどウォール
街の銀行が筆頭に挙げられる。リスクの一部を第三者に売却するの
はこれらの銀行にとって一般的なことだが、全ての取引の開示を義
務付ける規則はないため、これらの取引によってどの企業が困難な
状況に陥っているかを正確に特定することは不可能に近い」(ブル
ームバーグ、4月10日付)
「エネルギーヘッジファンド、アゲイン・キャピタル(ニューヨー
ク)のパートナー、ジョン・キルダフ氏は『ヘッジ取引で積極的な
売り手だった市場関係者は価格が変動した際に貧乏くじを引くこと
になった』と指摘する」(同)
流動性が低下した債券市場の危険性
 視点を世界の金融市場に転じると、国際決済銀行(BIS)は、世界
の債券市場は100兆ドルを上回る規模に膨らんでいるにもかかわらず
、ブラックロックなどの世界の主要な資産運用会社は米国債と投資
適格級社債の売買高が減少しているため、債券取引がますます困難
になっていると訴えている。
 世界の資産運用会社の運用資産は76兆ドルと世界のGDPに匹敵する
が、先進国での低金利の長期化が利回り追求の動きを招き、ファン
ドによる流動性の低い資産への投資に拍車をかけている。このよう
な状況を危惧したIMF(国際通貨基金)は、4月8日、資産運用会社へ
の規制・監督の見直しを勧告した。
 JPモルガン・チェースのダイモンCEOも同様の懸念を示している。
4月8日付けの株主宛書簡の中で、2014年10月15日に米国債利回りが
約0.4ポイント急変動した出来事は、「30億年に1度しか起きないは
ずの出来事だった」という。その上で、「新たな規制で債券市場全
体の流動性が低下した結果、『市場のイベント』が新たな金融危機
の引き金になるのは時間の問題だ」と現在の金融市場に対する危機
感を露わにした(ブルームバーグ、4月9日付)。
 原油価格はこのところ1バレル当たり50ドル前後と安定的に推移し
ているが、原油価格急落が世界の金融市場に与えるストレスは水面
下で着実に強まっている。エネルギー地域の商業用不動産やシェー
ル企業が絡む原油先物取引に関わる市場でのイベント発生について
、これまで以上に警戒する必要があるだろう。
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「3月末あたりから日米株価は調整期に入る」!
「時事直言」第974号(2015年4月1日号)
と私は年初からあらゆる機会を通じて述べてきた。
NY市場は3月23日から、ニッケイは3月27日から一転して下げ幅を拡
大してきた。3月上旬までは、下げても反発力が勝り、高値更新が続
いたが、3月後半からは様相が一転、下げ幅を上回るだけの買いの勢
いが弱まった。
日本の株式市場の60%以上のシェアは「外人」。買い手(Bull)に有
利な流れを作るのも売り手(Bear)に有利な流れを作るのも外人の
自由裁量権。
ニッケイが下がると引けの数分前に先物市場に成り行きの買いを入
れてプラスで終わらせる。これを外人が年初から敢行した結果日本
の投資家の中に「下げても必ず上がる」と言う神話が生まれた。
ニッケイは高値更新を続け「2万円に向けて」前進を続けた。
私は3月27日の「ここ一番!」とインターネット・セミナーで「今日
から外人は踵を返す」ことを知らせた。
日本の投資家を屋根の上まで上げたのでこれから「梯子を外す番」
と言うこと。
本日(27日)外人は先物市場に若干の買いを誘い、上がりきったと
ころから売り叩き、終わり前にどれだけ反発するかを計り3月30日か
らの下げを確実なものにしようとしていると述べた。
実際27日は前場で150円以上上げてから急速に下げ一時340円まで下
げた後150円ほど戻して終わった。
30日は27日の戻しを受けて買戻しが続いたので外人は放置して再び
反発力を計ることになった。
31日はNYが反発したのを受け、さらに前日(30日)の買戻しの流れ
に乗って上げて来るのは必至と見て外人は敢えて先物市場で単発の
成り行き買いを入れニッケイを170円高まで誘導したところで、計算
通り買い方が手も足も出せないスピードと量の断続的空売りを浴び
せた結果プラス170円からマイナス204円まで370円以上の下げ、買い
方無抵抗の下がりっ放しで終わった。
今まで外人はニッケイを先物市場で高値に誘導しながら現物市場で
売ってきた。
売り玉が無くなれば「買うべき安値」までニッケイを下げるのが筋。
公的資金と素人さんの資金が外人さんに取られた後は、また公的資
金と投資家の資金が入りやすい水準までニッケイを下げ、再び屋根
までご案内しますと言うのが日本市場を牛耳る外人。私は外人に相
談を受ける立場だから外人さんの手口など先刻承知のこと。



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