5341.スンニ派間の不和



中東の状況が混迷している。敵と味方が非常にわかりにくくなって
いるので、注意深く観察しないと、中東情勢が読めないし、その影
響が世界に及んでいるので、世界の動向も読めないことになる。と
いうことで、今週も中東情勢の分析をしたい。  津田より

0.状況の複雑さ
中東情勢の背後にあるスンニ派、シーア派、民族問題など複雑に関
係が組み合わさっているので、全体像がよくわからないし、特に日
本の報道機関は、詳細な情報を持っていないので表面的なことしか
伝えていない。

しかし、ツイッター等で得る欧米、中東の報道を見ると、日本の報
道機関から得る情報での分析とは大きく違う像が出てくる。

例えば、クルド少数派のヤジディ教徒であるが、ヤジディ教という
のはシーア派であり、クルド主流派はスンニ派の教徒であるので、
ヤジディ教徒の軍事指導者は、救いをイランに求めたようである。
このため、クルド自治政府は、この軍事指導者を拘束したと「Kurds 
Cracks Down On Yazidi Military Leaders Who Seek Help From Iran」
はいう。

ISは去年8月、イラク北部のシンジャール地区などに暮らす少数
派のヤジディ教徒を「悪魔を崇拝している」などと敵視して集落を
攻撃し、多くの住民を殺害したほか、数千人もの人たちを連れ去っ
た大きな理由がスンニ派ではなく、シーア派であったことによる。

ISに対する見方も違うことになる。それはティクリート奪還後、
イラン革命隊は、ティクリートの店や住居を放火して破壊するなど
そこの住民生活を脅かしたという。このため、米国やイラク政府の
スンニ派代表も次の戦闘にシーア派兵士を使うことをためらってい
る。このようにスンニ派対シーア派という戦争と民族戦争、国の戦
争が混じり合っているので、状況が難しいことになっているのであ
る。

アラブ人は、もともと多くの民族の混血で出来ているので、イスラ
ム教自体は民族には関わらない。このため、世界からイスラム国は
戦闘員を集めることができる。しかし、例外的にクルド人だけは目
の敵にしている。クルド人は民族で固まるのかと思いきや、クルド
人でもシーア派のヤジディ教徒は、イランにシンパシーを感じるよ
うである。

一概には言えないが、シーア派はこの地域では少数派であるので、
民族を超えて、固まるようである。そして、このシーア派は所々に
いるのである。

それに比べて、多数派のスンニ派は民族や原理主義など複数に割れ
る傾向がある。アフリカなどのキリスト教の中にいるイスラム教徒
は、ISやアルカイダなどの原理主義にシンパシーを感じて、現地
で戦闘を繰り広げている。ISが広がる理由である。

それでは、スンニ派原理主義が1本化されているかというと、これ
も違い、ISとアルカイダに分離している。スンニ派の国でも、民
主化を応援するトルコやカタールがあり、独裁国のサウジ、エジプ
トとは違う。このようにスンニ派が多数に分裂しているので、スン
ニ派同士の戦闘もあるというように、複雑化しているのである。

このため、全体的な印象として、イランを盟主にしたシーア派がス
ンニ派を各個攻撃して、優位になっている印象があり、このため、
「'New Saudi regime more aggressive, seeks hegemony in Mideast'」
によると、新国王の下サウジがスンニ派の盟主として、乗り出して
きたのである。

1.周辺国にも影響
「A Chechen War by Proxy」によると、チェチェン体制派は、ウク
ライナでの親露派兵士の中核を担っていたが、チェチェン反体制派
は、ウクライナ政府軍の雇用兵として、親露派に対峙している。

そして、タス通信によると、ロシア連邦保安局(FSB)高官は、
南部チェチェン共和国の独立派武装勢力「カフカス首長国」の野戦
司令官数人が、過激派組織「イスラム国」に忠誠を誓ったとした。

チェチェン民族はスンニ派教徒であり、一方はロシアに付き、もう
一方は独立を目指して、ISに付いている。このようにスンニ派で
ロシアと協調する人と反対する人にも割れる。

そして、このウクライナ和平が現実化すると、ウクライナ政府につ
いたチェチェン雇用兵も、次の戦場が必要になる。その戦場は中東
なのであろう。

トルコがウクライナを支援するようであるが、トルコはISに対し
て中立であり、もう1つが、闇でISから原油などを買っているこ
とがわかっている。経済的な支えになっている。

トルコは、「アラブの春}では同胞団などイスラム化を進める機関
を応援してきたが、この同胞団がエジプトで民主化したのに軍部の
クーデターで潰された。そして、トルコにイスラム教徒の義務であ
る喜捨を運営されているNGOがあり、そこが各所に資金を配っている。

トルコは現在、表面的にはサウジなどスンニ派独裁国と同盟を維持
しているが、これは明確に人道上の問題が起きているからで、現状
では仕方がないからであり、「アラブの春」以前に戻しているとい
うが、次の準備をしていると思える。

そして、トルコのエルドアン大統領がイランに乗り込み、地域全体
の戦闘を鎮めるために、共同で調整会議をして和平を達成しようと
したが、イランから断られたという。

また、パキスタンであるが、国内にシーア派教徒がいるので、イエ
メンへの軍事介入をめぐり、有志連合軍を率いるサウジアラビアか
ら部隊派遣を求められていたパキスタンの上下両院は10日、派兵
に反対する決議を全会一致で採択した。パキスタンは、アラブ連合
軍に入ったが、議会が反対したことで、軍には入れないことになっ
た。

イラン、チェチェン、ISなどが、ウクライナやパキスタンなど周
辺国にアラブの紛争構造を持ち出してきている。

ISは、戦闘員が不足しているので、ハマスが支配していたダマス
カス近郊のヤルムーク難民キャンプを支配下に入れた。ハマス自体
はスンニ派であるが、パレスチナからシリアに逃げ出した難民はシ
ーア派のシリア政府に保護されている構造であったが、取り返した。

パレスチナ解放機構(PLO)は、「ヤルムークでの軍事衝突で当
事者になることはない」と強調。その上で、軍事作戦以外の手段を
通じて「ヤルムークで人命を守り、これ以上の破壊を防ぐよう要求
する」と訴えた。ハマスは、中立になるしかないようである。

2.イエメン紛争
サウジアラビア国防省報道官は、隣国イエメンでイスラム教シーア
派系武装組織「フーシ派」に対する軍事作戦を開始した3月26日
以降、イエメンの対サウジ国境地帯での交戦でフーシ派500人以
上が死亡したと述べた。

これに対して、「Iran Navy’s 34th fleet sets sail for Gulf 
of Aden」によると、イランは、アデン、バベル・マンデス海峡に艦
艇を派遣するようである。もちろんフーシ派の支援である。

このため、ケリー米国務長官は、イエメン情勢に絡み、ハディ暫定
大統領を国外脱出に追い込んだイスラム教シーア派系武装組織「フ
ーシ派」に対するイランの支援を十分承知していると述べ、不快感
を示した。

シーア派武装組織「フーシ派」の幹部は、サウジアラビアなどが空
爆をやめ、「攻撃的でない」国際組織などが仲介するのであれば平
和協議に応じる姿勢を示した。イエメンでのシーア派、スンニ派の
違いは大きくなく、モスクも共同で使用しているなど宗教戦争では
なく、イエメン紛争は、国内の政権の変更を求めていることで、シ
ーア派とスンニ派の戦いではないと米PBSで述べている。

それをイランとサウジが代理戦争にしてしまっているようである。
また1999年、北イエメンが南イエメンを救済合併したが、経済
力ではシーア派の方があり、現在も同様であるという。このため、
首都サヌアも北イエメン地域にある。

このように中東の混乱で、分かるのは、米国の影響力がなくなり、
その代わりにサウジ、トルコ、イランがこの地域の覇権を争ってい
ることである。スンニ派独裁国代表がサウジ、スンニ派民主国代表
がトルコ、シーア派民主国代表がイランである。

そして、米国は中東で、独裁国から民主国に乗り換えようとしてい
るとも取れる行動に出ている。このため、サウジアラビアが危機感
から行動を開始したようである。

さあ、どうなりますか?


参考資料
5340.イランとトルコの関係
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/270411.htm

5337.中東とギリシャで世界の構図が変化
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/270408.htm

5331.世界はどう変わるのか?
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/270402.htm

5334.中東大戦争から世界が混乱へ(p0340)
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/270405.htm

Iran dispatches diplomats to tackle Yemen crisis
http://www.al-monitor.com/pulse/originals/2015/04/iran-zarif-resolution-yemen.html?utm_source=dlvr.it&utm_medium=twitter

War in Yemen = Peace in Libya?
http://nationalinterest.org/blog/the-buzz/war-yemen-peace-libya-12569

The Case for Turkey in Europe
http://www.project-syndicate.org/commentary/turkey-eu-accession-talks-by-volkan-bozkir-2015-04

'New Saudi regime more aggressive, seeks hegemony in Mideast'
http://rt.com/op-edge/247769-yemen-saudi-arabia-war/

Iran Navy’s 34th fleet sets sail for Gulf of Aden
http://www.presstv.com/Detail/2015/04/08/405243/Iran-Navy-sends-fleet-to-Gulf-of-Aden

A Chechen War by Proxy
http://www.foreignaffairs.com/articles/143546/nicholas-waller/a-chechen-war-by-proxy

Kurds Cracks Down On Yazidi Military Leaders Who Seek Help From Iran
http://www.ibtimes.com/kurds-cracks-down-yazidi-military-leaders-who-seek-help-iran-1872895

Iran Versus Saudi Arabia
http://www.project-syndicate.org/commentary/iran-saudi-arabia-regional-struggle-by-joschka-fischer-2015-04

Al-Qaeda gains ground in Yemen war
http://www.al-monitor.com/pulse/originals/2015/04/al-qaeda-benefits-yemen-war.html

“The end of the world”: Why America misunderstands ISIS ? and what you really need to know
http://www.salon.com/2015/04/01/the_end_of_the_world_why_america_misunderstands_isis_and_what_you_really_need_to_know/

The Erdogans' lavish lifestyle
http://www.al-monitor.com/pulse/originals/2015/04/erdogan-familys-attempt-to-appear-modest-backfire.html

==============================
国境でフーシ派500人死亡=サウジ空爆開始後−イエメン
 【カイロ時事】サウジアラビア国防省報道官は11日、隣国イエ
メンでイスラム教シーア派系武装組織「フーシ派」に対する軍事作
戦を開始した3月26日以降、イエメンの対サウジ国境地帯での交
戦でフーシ派500人以上が死亡したと述べた。国営サウジ通信が
伝えた。
 サウジなどの作戦は空爆中心だが、イエメン北部を拠点とするフ
ーシ派が国境付近に進出し、サウジ治安部隊と衝突していた。サウ
ジ側が国境地帯での衝突によるフーシ派死者数に言及したのは初め
て。(2015/04/12-06:12)
==============================
シリア、難民キャンプ「危機的」
食料配給中断
 【カイロ共同】過激派組織「イスラム国」が大半を制圧したシリ
アの首都ダマスカス南部ヤルムーク地区にあるパレスチナ難民キャ
ンプで、住民の命綱である国連パレスチナ難民救済事業機関(UN
RWA)の食料支援の停止が10日を超え、危機的な状況となって
いる。UNRWAの清田明宏保健局長(54)が10日、共同通信
の電話取材に明らかにした。
 同キャンプはシリア反体制武装勢力の拠点となり、政府軍は武装
勢力をあぶり出すため約2年前から包囲攻撃を継続。中に取り残さ
れた1万8千人の民間人は食料や水が慢性的に欠乏し、これまで飢
餓に関連した症状で約200人が死亡したとの報道もある。
【国際】 2015/04/11 05:05
==============================
「イスラム国」に忠誠=ロシアのチェチェン独立派
 【モスクワ時事】タス通信によると、ロシア連邦保安局(FSB
)高官は10日、南部チェチェン共和国の独立派武装勢力「カフカ
ス首長国」の野戦司令官数人が、過激派組織「イスラム国」に忠誠
を誓ったと明らかにした。
 カフカス首長国のトップだったドク・ウマロフ容疑者は2014
年2月のソチ冬季五輪を狙ったテロを予告。FSBは同年春に同容
疑者を殺害するなど、掃討作戦を進めていたが、「イスラム国」の
浸透を許した形だ。
 プーチン大統領側近のパトルシェフ安全保障会議書記は今年3月
、「イスラム国」とチェチェンなどの武装勢力が連携していると警
告したばかり。
 「イスラム国」は14年9月、プーチン大統領宛てに「(チェチ
ェンなどを)解放する」との声明を発表。FSBによると、イラク
とシリアで活動する同勢力に「約1700人のロシア国籍者」が参
加中といい、ロシアに帰国してテロを起こすことが懸念されている。
(2015/04/11-06:24)
==============================
パキスタン議会、イエメン派兵反対決議を採択
イスラマバード=武石英史郎2015年4月10日19時24分asahi
 中東イエメンへの軍事介入をめぐり、有志連合軍を率いるサウジ
アラビアから部隊派遣を求められていたパキスタンの上下両院は
10日、派兵に反対する決議を全会一致で採択した。
 決議は「サウジの領土や(メッカなどの)聖地が脅かされる場合
はサウジとともに立つ」とする一方、「解決へ向けて外交的役割を
果たせるよう、イエメン紛争では中立を保つべきだ」と明記してい
る。
==============================
パレスチナ、シリアの軍事作戦に関与せず=「イスラム国」制圧の
難民キャンプ
 【ラマラ(ヨルダン川西岸)AFP=時事】パレスチナ解放機構
(PLO)は9日夜の声明で、過激派組織「イスラム国」などの武
装勢力が制圧したシリアのヤルムーク難民キャンプについて、シリ
ア当局による軍事作戦には関与しないと明らかにした。
 声明は「ヤルムークでの軍事衝突で当事者になることはない」と
強調。その上で、軍事作戦以外の手段を通じて「ヤルムークで人命
を守り、これ以上の破壊を防ぐよう要求する」と訴えた。
 首都ダマスカス南部にある同キャンプでは、パレスチナ人を中心
に約1万5000人が身動きできない状態となっている。PLO幹
部は先に、キャンプの「テロリスト掃討」に向け、シリア政府と「
一体で」取り組むと発言していた。(2015/04/10-20:42)
==============================
米国務長官、イエメン「フーシ派」へのイラン支援に不快感
2015年4月9日08時48分
 [ワシントン 8日 ロイター] - ケリー米国務長官は8日、
イエメン情勢に絡み、ハディ暫定大統領を国外脱出に追い込んだイ
スラム教シーア派系武装組織「フーシ派」に対するイランの支援を
十分承知していると述べ、不快感を示した。
 ケリー長官はその上で、イランの脅威を感じている中東諸国を支
援すると表明。米公共放送(PBS)のインタビューに「われわれ
は対立を望んでいないが、同盟と友情、およびイランがとっている
であろう選択肢の結果として脅威を感じている国々を支持する必要
性から身を引くことはない」と述べた。
==============================
IS ヤジディ教徒200人余を解放
4月9日 5時04分NHK
イラク北部で去年、過激派組織IS=イスラミックステートが連れ
去った少数派のヤジディ教徒数千人のうち、200人余りの住民が
およそ8か月ぶりに解放され、ほとんどが高齢の住民や子どもたち
だということです。
ISは去年8月、イラク北部のシンジャール地区などに暮らす少数
派のヤジディ教徒を「悪魔を崇拝している」などと敵視して集落を
攻撃し、多くの住民を殺害したほか、数千人もの人たちを連れ去り
ました。
イラク北部のクルド人部隊の当局者によりますと、8日、拘束され
ていた住民のうち216人が、北部の都市キルクークの近郊でおよ
そ8か月ぶりに解放され、クルド人部隊が保護しました。解放の理
由は明らかではありませんが、解放された人のほとんどが高齢の住
民や子ども、それに衰弱した人たちで、多くの人が体調を崩してい
るほか、虐待を受けた痕がある人もいるということです。住民たち
はモスルの西のISの支配区域で拘束されていましたが、突然バス
に乗せられ、クルド人部隊の検問所まで連れてこられたということ
です。
ISはことし1月にも、高齢の住民や病人などおよそ200人のヤ
ジディ教徒を解放しましたが、依然として多くの住民を拘束したま
まで、このうち若い女性たちを「奴隷にした」などと主張して人身
売買の対象にするなど、ヤジディ教徒に対する残虐な行為を続けて
います。
==============================
イエメン情勢:オマーン、仲介へ鍵握る 空爆不参加で存在感
毎日新聞 2015年04月08日 東京朝刊
 【カイロ秋山信一】サウジアラビアによるイエメンのイスラム教
シーア派武装組織フーシに対する空爆が続く中、両国と国境を接す
るオマーンが将来的な和平調停の鍵を握るとみられている。サウジ
などペルシャ湾岸諸国で作る湾岸協力会議(GCC)のメンバーの
中で、唯一空爆に参加していない。フーシの後ろ盾とされるイラン
とも友好関係を築くなど、独自の「善隣外交」を繰り広げるオマー
ンへの期待は大きい。
 「イエメンの人々を助けるためなら、オマーンは(サウジとフー
シの)双方を対話の席に導く役割をためらいなく果たす」。オマー
ンのアラウィ外務担当相は今月2日、ロイター通信のインタビュー
で和平仲介の意思を示した。サウジなどが3月26日に空爆を始め
るまで、オマーンは双方の間で「メッセージの伝達役」を担ってい
た。アラウィ氏は「双方とも話し合いの準備はまだできていない」
としながらも、対話による解決に意欲を見せた。
 イエメン情勢で中立的立場を取るオマーンは、サウジなどの空爆
に「理解」を示しつつも、外国への不干渉の立場を貫いた。一方、
フーシを支援するイランとは長年良好な関係を築いてきた。カブー
ス国王(スルタン)は1970年代にイランの支援を得て反体制武
装闘争を抑え込んで以来、同国との友好関係を保ってきた。
 イエメン情勢の背景にはスンニ派国家サウジとシーア派国家イラ
ンの宗派対立が見え隠れするが、オマーンでは両派と異なるイバー
ディ派が多数を占める。イラン核問題を巡る国際協議に絡み、昨年
11月に首都マスカットでケリー米国務長官とザリフ・イラン外相
との会談の場を設けるなど、外交の仲介役としての実績もある。
 オマーンにはイエメン各派の信頼感もある。フーシ政治局のアブ
ドルマリク・アグレイ氏は毎日新聞の電話取材に「オマーンは中立
な仲裁者だ。サウジが空爆をやめれば、オマーン主導の対話に応じ
る用意がある」と述べた。
 ペルシャ湾岸情勢に詳しい英シンクタンク、バーレーン研究所の
アッバス・ブサフワン所長は「他国に干渉しないオマーンは、アラ
ブ世界のスイスのような存在だ。サウジもイランも、オマーンが仲
介役になることを見越して接触しており、和平の動きにオマーンが
関与していく可能性は高い」と指摘した。
==============================
南部で戦闘激化、140人超死亡=イエメン
 【アデン(イエメン)AFP=時事】情勢不安が続くイエメンの
南部で6日、ハディ大統領派とイスラム教シーア派系武装組織「フ
ーシ派」が激しく衝突し、24時間で140人以上が死亡した。当
局が明らかにした。
 アデンでは港を制圧しようとしたフーシ派と大統領派が衝突し、
53人が死亡。アデン近郊の町の衝突でも34人が死亡した。
(2015/04/07-07:02)
==============================
「フーシ派」、サウジなど空爆やめれば対話に応じる=幹部
2015年 04月 6日 16:23 JST
[カイロ 5日 ロイター] - イエメンのイスラム教シーア派系の
武装組織「フーシ派」の幹部は、サウジアラビアなどが空爆をやめ
、「攻撃的でない」国際組織などが仲介するのであれば平和協議に
応じる姿勢を示した。対話が行われる場合は、国民が「誰が妨害者
であるか分かるように」テレビ中継するよう求めた。
この幹部はイエメンのハディ暫定大統領の側近を務めたこともある
人物で、ロイターからの電子メールに答え、イエメン国民は大統領
の復権を望んでいないと語った。サウジの支持を受ける同大統領は
、フーシ派の攻勢が強まって以降、サウジアラビアに逃れている。
サウジが主導する同盟国は11日間にわたり、イランが支援するフ
ーシ派を攻撃。その間に国連がフーシ派とハディ大統領側との仲裁
を試みたものの、失敗に終わった。
サウジのサルマン国王が、湾岸協力会議(GCC)の協力の下でイ
エメン国内の混乱を仲裁する姿勢を示したと6日伝えられたが、G
CCに参加する6カ国のうち5カ国が、フーシ派に対する空爆作戦
に加わっている。
==============================
タリバン指導者の「伝記」公表=「イスラム国」に対抗か−アフガン
 【カブールAFP=時事】アフガニスタンの反政府勢力タリバン
は5日、ウェブサイトを通じ、最高指導者オマル師の「伝記」を公
表した。同師の健在ぶりを誇示するとともに、過激派組織「イスラ
ム国」の浸透に対抗する狙いもあるとみられる。
 タリバンの最高指導者就任19年に合わせて発表された伝記は、
オマル師が「常に敵から狙われる身」でありながら、「指導者とし
て聖戦を組織する日々の活動に大きな変化はない」と記述。一部で
流れる死亡説を打ち消している。
 また、対戦車ロケット砲のRPG7を「愛用の武器」と紹介する
など、戦場での逸話を盛り込んだほか、私生活や家族にも言及。そ
の詳細な内容に、専門家から驚きの声が上がっている。
(2015/04/06-15:28)
==============================
イランへの圧力強化訴え=核協議の合意批判−イスラエル首相
 【ワシントン時事】イスラエルのネタニヤフ首相は5日の米CN
Nテレビの番組で、イラン核協議での枠組み合意を「悪い合意だ。
イランは核爆弾(開発)に向けた自由な道を手にしつつある」と改
めて批判した。また、米国はイランへの圧力を強め、さらに厳しい
合意を目指すべきだとの考えを示した。(2015/04/06-05:57)
==============================
イラン核交渉:枠組み合意 イスラエル孤立化 米と距離、アラブ諸
国も突き放し
毎日新聞 2015年04月05日 東京朝刊
 【エルサレム大治朋子】イラン核問題で、同国と国連安保理常任
理事国(米英仏中露)にドイツを加えた6カ国が、包括的な解決に
向けた枠組みで合意したことに、イスラエルが焦燥感を募らせてい
る。
 ネタニヤフ首相はオバマ米大統領との関係悪化で米政権への影響
力が低下。「対イラン」では共通点のあるアラブ諸国ともパレスチ
ナ問題などから連携は難しく、イスラエルは孤立を深めている。
 米政府が明らかにした「合意内容」によると、イラン国内には遠
心分離機数千基や濃縮ウランが残される。戦術核を保有していると
されるイスラエルは、敵対するイランが秘密裏に核開発を再開する
のではないかと疑念を抱いている。
 ネタニヤフ首相とオバマ大統領は、最近の首相によるイランやパ
レスチナ問題をめぐる発言などで関係が悪化。首相は対イラン強硬
派の米野党共和党と連携してオバマ政権への圧力を高める構えだが
、大きな影響力行使は期待できそうにない。
==============================
イエメン、アルカイダ系勢力拡大 南部の軍基地制圧
2015年4月4日 09時29分
 【カイロ共同】フランス公共ラジオによると、イスラム過激派組
織「アラビア半島のアルカイダ(AQAP)」の武装集団が3日、
イエメン南部ムカラの軍基地を制圧した。AQAPは現地の刑務所
を襲撃し、約300人の受刑者を脱走させたばかりで、ムカラで急
速に勢力を拡大している。
 イエメンでは、事実上のクーデターで政権掌握を宣言したイスラ
ム教シーア派系の武装組織「フーシ派」に対し、ハディ暫定大統領
を支持するサウジアラビアが空爆を開始。AQAPはシーア派への
ジハード(聖戦)を呼び掛けており、混迷の度合いが増してきた。



コラム目次に戻る
トップページに戻る