5338.ギリシャのEU出口は



ギリシャ政府は、残りの融資と引き換えに実施する新たな財政構造
改革案を提出したが、EU各国から認めることができないというの
意見が多い。このため、ギリシャのチプラス首相は8日、モスクワ
でロシアのプーチン大統領と会談し、ロシアによる提携強化に向け
た確約を取り付けたが、両首脳ともにギリシャはロシアに金融支援
を要請していないと言明。

そして、プーチン大統領は、農産品の禁輸措置について、ギリシャ
のみを例外として解除しない方針を示したことで、チプラス首相の
訪露は失敗かも思われた。

しかし、ロシアからトルコにロシア産天然ガスを運ぶガスパイプラ
インがギリシャまで延長された場合、延長後にギリシャがロシア産
ガスを欧州に売却することで得られると想定される収入に見合う額
を、ロシアが近くギリシャに提供することを検討していることを明
らかにした。少し希望も出ている。

この中、オーストリアのシェリング財務相は8日、ギリシャが偶発
的にユーロ圏から離脱する可能性は1カ月前と比べて高まっていな
いと述べる一方で、秩序だった脱退を検討する余地はあるとの見解
を明らかにした。ギクリットが起こり得ると見ている証拠である。

一方、ギリシャ債務問題でチプラス首相は国内から激しい突き上げ
を受けている。資金枯渇が迫る中、国際債権団には金融支援を得る
ために改革を約束するものの、国内の支持基盤を損なうことなく大
幅な譲歩を打ち出すのは困難な情勢で、危険な綱渡りが続きそうだ。

ギリシャのバルファキス財務相はギリシャ紙に「2月20日の取り
決めに基づき、4月24日のユーロ圏財務相会合で暫定的な結論を
出す必要がある」と述べた。4月以降の資金繰りがつかないようで
ある。

ロシアから前金支払いで、1月程度の繋ぎ資金ができたが、安定的
な資金を確保できていないし、EUに対して、年金削減や大量解雇
などの回避を「レッドライン(越えてはならない一線)」と位置付
けたので、シェリング財務相はギリシャの「大幅な」歳出削減は予
想していないとし、改革の手段としては公営企業の民営化が柱にな
る公算が大きいとの見方を示した。

しかし、独ジョイブレ財務相は、ギリシャに今までと同じような「
大幅な」歳出削減を要求している。

ギリシャは、EUを離脱する可能性が高くなっていると私は思って
いるが、EU離脱後、中国の資金を頼りにすることになる。中国は
どのような案を持ち出すか、そこが焦点でしょうね。

さあ、どうなりますか?


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ロシア、ギリシャにガス事業で前金支払い検討
2015年 04月 9日 06:46 JST
[モスクワ 8日 ロイター] - ギリシャ当局者は8日、ロシアか
らトルコにロシア産天然ガスを運ぶガスパイプラインがギリシャま
で延長された場合、延長後にギリシャがロシア産ガスを欧州に売却
することで得られると想定される収入に見合う額を、ロシアが近く
ギリシャに提供することを検討していることを明らかにした。
ロシアを訪問中のギリシャのチプラス首相はこの日、モスクワでプ
ーチン大統領と会談し、ロシアに金融支援は要請しなかったものの
、プーチン氏から提携強化の確約を取り付けた。
両首脳が協議した提携案件の1つが、ロシア産天然ガスを黒海経由
でトルコに供給するパイプライン、「ターキッシュ・ストリーム」
をギリシャまで延長する計画。
プーチン大統領はギリシャが同パイプラインプロジェクトに参加す
るか具体的には合意していないとしているが、ギリシャ当局者は、
ギリシャが参加すれば、年間約5億ユーロ(5億4000万ドル)
の収入が見込めると試算。また、ターキッシュ・ストリームの延長
部分の2019年の稼動開始を望むとした。
別の当局者は、ロシアが提供を検討している資金について、パイプ
ラインの延長部分の稼動開始後に返済するとしている。ただ、具体
的な金額は示さなかった。
同当局者は、パイプラインプロジェクトには民間資金が投入される
ため、欧州連合(EU)規則には抵触しないとしている。
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ギリシャ、ロシアに支援要請せず 提携強化は確約
2015年4月9日02時40分
 [モスクワ 8日 ロイター] - ギリシャのチプラス首相は8
日、訪問先のモスクワでロシアのプーチン大統領と会談し、ロシア
による提携強化に向けた確約を取り付けた。
 ただ、両首脳ともにギリシャはロシアに金融支援を要請していな
いと言明。プーチン大統領は欧州連合(EU)の対ロシア制裁への
対抗措置の一環として導入している農産品の禁輸措置について、ギ
リシャのみを例外として解除しない方針を示した。
 クレムリンでチプラス首相との共同記者会見に臨んだプーチン大
統領は、「ギリシャ側から支援要請の話は出なかった」とする一方
、「エネルギー部門を含む経済のさまざまな分野での協力について
協議した」と述べた。 
 両首脳が協議した提携案件の1つが、ロシア産天然ガスを黒海経
由でトルコに供給するパイプライン、「ターキッシュストリーム(
TS)」をギリシャまで延長する計画。 
 チプラス首相はこれについて、「トルコとの国境から天然ガスを
ギリシャ本土に運ぶパイプラインの建設事業に関心を持っている」
と述べた。
 プーチン大統領はまた、協議されているエネルギー関連プロジェ
クトにロシアが融資することも考えられると指摘。ロシア企業がギ
リシャの民営化プログラムに関心を寄せる可能性もあると述べた。 
 農産品の輸入をギリシャのみ例外として解禁することを検討する
との観測も出ていたが、プーチン大統領は「(EUへの)対抗措置
は当然ギリシャの痛手となっているが、これについてロシアに責任
があるわけではない。特定の国を例外的に扱うことはできない」と
述べた。
 一部EU加盟国の間では、ギリシャはロシアへの接近をてこに、
EUや国際通貨基金(IMF)からの支援を引き出す戦略に出るの
ではないかとの懸念が出ている。
 ただ、ロシアはウクライナ問題をめぐり欧米が発動させた制裁措
置のほか原油価格の下落などで経済が弱体化。ギリシャに支援を提
供できるほど経済が良好な状態にないのが実情だ。
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ギリシャの秩序あるユーロ離脱、検討余地も=オーストリア財務相
2015年 04月 8日 17:02 JST
[ウィーン 8日 ロイター] - オーストリアのシェリング財務相
は8日、ギリシャが偶発的にユーロ圏から離脱する可能性は1カ月
前と比べて高まっていないと述べる一方で、秩序だった脱退を検討
する余地はあるとの見解を明らかにした。
財務相はORFラジオに対し「偶発的的な事態が最大の問題である
ことをギリシャを含め誰もが理解した。仮に(ユーロ圏からの)秩
序だった脱退があり得るなら、どう行うべきかを検討することは可
能だ」と語った。
「もちろん時間がなくなりつつあり、(ギリシャに)非常に多額の
資金が必要という問題を認識している」と述べた。
シェリング財務相はギリシャの「大幅な」歳出削減は予想していな
いとし、改革の手段としては公営企業の民営化が柱になる公算が大
きいとの見方を示した。
またギリシャは欧州連合(EU)とユーロにコミットしていると述
べ、同国がロシアに接近することをさほど懸念していないと述べた。
ロシアは西側諸国に対する食料品の禁輸対象国からギリシャを除外
することを検討する可能性があるとしている。ギリシャのチプラス
首相は8日、モスクワを訪問しロシアのプーチン首相と会談する。
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独、ギリシャの戦争賠償請求に取り合わず=ガブリエル経済相
2015年 04月 8日 04:44 JST
[ベルリン 7日 ロイター] - ギリシャ側が、ナチス・ドイツに
よる第2次世界大戦中の占領で同国が受けた損害として、ドイツに
2787億ユーロの賠償金支払いを求めたのに対し、ドイツのガブ
リエル経済相は「ばかげている」として取り合わない姿勢を示した。
同相は、ギリシャが債務危機を乗り切るために多少の時間稼ぎをし
ようとしているに過ぎないとし、「そのことは第2次世界大戦とも
賠償支払いとも何ら関係がない」と述べた。
ドイツは1960年に1億1500万ドイツマルクの支払いを行い
、ギリシャへの義務を果たしたと繰り返し主張しているが、ドイツ
財務省の報道官は7日、政府の立場に変わりはないと強調した。
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ギリシャ首相に国内から強い突き上げ、早期の解散総選挙観測も
2015年 04月 7日 13:09 JST
[アテネ 6日 ロイター] - ギリシャ債務問題でチプラス首相は
国内から激しい突き上げを受けている。資金枯渇が迫る中、国際債
権団には金融支援を得るために改革を約束するものの、国内の支持
基盤を損なうことなく大幅な譲歩を打ち出すのは困難な情勢で、危
険な綱渡りが続きそうだ。
首相の運命を左右するのは国内世論、首相率いる急進左派連合
(SYRIZA)の極左勢力、右派の連立パートナー。この3者の
一角でも離反すれば政権は崩壊する。
実際、急進左派連合の極左派閥ボスであるラファザニス氏(エネル
ギー相)はこのほど、1月の総選挙前に約束した反緊縮策から後退
すれば(政権の)自殺行為だと警告。さらに急進左派連合幹部によ
ると、同連合の議員149人のうち約30人は、2月20日にギリ
シャ政府が金融支援の延長でユーロ圏と合意した密室交渉を疑問視
していた。ただ、最終的には合意に反対したのは少数にとどまった
という。
改革案をめぐる国際債権団との協議の行き詰まりや、国内のあつれ
きを受けて、メディアからはチプラス首相が早期の解散総選挙、も
しくは債権団の要求に屈するのを回避するための国民投票に追い込
まれるとの観測も出ている。
今のところ、政権側はこうした計画を否定しているものの、今後に
関する国民的な議論も盛り上がりに欠けている。ただ、ユーロ圏や
国際通貨基金(IMF)からの2400億ユーロの支援プログラム
について、債務不履行するよう公に支持している向きは少ない。
78%の高い支持率を得る首相にとって世論を引き付けておくこと
は重要だ。先週の議会演説では、年金削減や大量解雇などの回避を
「レッドライン(越えてはならない一線)」と位置付け、改革に聖
域を設けるという対外強硬姿勢をみせた。
また、ギリシャの財務次官は6日、ナチス・ドイツによる占領でギ
リシャが受けた損害に対するドイツの賠償額は2790億ユーロ(
3051億7000万ドル)近くに上るとの見方を示した。
関係筋によると、ギリシャは国際債権団との交渉でも誰が責任者な
のか、また政府の立場も良くわからない混乱した対応に終始してい
るという。ギリシャ政府は否定するものの、内閣で主導権争いが起
きているとの憶測も強まっている。
国際債権団の一部は、ギリシャが破綻への道のりを歩んでいるとみ
ている。
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ギリシャ、24日ユーロ圏財務相会合での支援合意目指す=財務相
2015年 04月 6日 17:38 JST
[アテネ 6日 ロイター] - ギリシャのバルファキス財務相は6
日、同国の支援問題について、4月24日のユーロ圏財務相会合で
の暫定合意を目指すとの考えを示した。財務相はギリシャ紙に「2
月20日の取り決めに基づき、4月24日のユーロ圏財務相会合で
暫定的な結論を出す必要がある」と述べた。
ギリシャ政府は先週、残りの融資と引き換えに実施する新たな財政
構造改革案を提出したが、債権団からの同意はまだ得られていない。
ギリシャの資金状況は厳しさを増しているが、ある関係者が先月ロ
イターに語ったところによると、4月20日までは資金繰りのめど
がついている。
バルファキス財務相は5日、ラガルド国際通貨基金(IMF)専務
理事との会談後、全債権者に対する全ての債務を履行する意向を示
し、今週期限を迎える4億5000万ユーロのIMF融資返済を確
約した。
また財務相は、ギリシャ政府は「できるだけ早く」協議を終了させ
ることを希望しているが、経済を追い込むような条件は受け入れら
れないと強調。「交渉は尊重され得る合意に達すれば終了し、ギリ
シャ経済に真の安定と大幅成長がもたらされる」と述べた。
また、財務相を辞めることを考えたことはあるかとの問いには「1
分もない」と答えた。
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ギリシャが全債務の履行表明、9日の融資返済を確約
2015年 04月 6日 12:59 JST
[ワシントン 5日 ロイター] - ギリシャのバルファキス財務相
は5日、ワシントンで国際通貨基金(IMF)高官らと会談した後
、「全債権者に対する全ての債務を履行する」との意向を示した。
同相は、9日に期限を迎えるIMFに対する4億5000万ユーロ
の融資返済を確約した。
また、政府はギリシャを大幅に改革する計画で、債権者との「協議
の効率化」を目指したいと述べた。
IMFのラガルド専務理事は、バルファキス財務相と会談後、「財
務相による9日の支払い確約を歓迎する」との声明を発表した。
ギリシャは資金枯渇の危機に直面しており、欧州連合(EU)やI
MFから支援を得るには改革案で合意する必要がある。
ラガルド専務理事は、アテネでの事務協議とブリュッセルでの支援
をめぐる協議は「6日に速やかに再開する」とした。
ギリシャは最初の改革案がEUとIMFに承認されなかったため、
より詳細な案を1日に提示した。ただ、ユーロ圏の当局者は、新た
な支援を実施するためには、改革案をさらに調整する必要があると
の見方を示している。
ギリシャは4月8─9日のユーログループ実務者会議に期待してい
るが、それまでに合意に至る可能性は低い。次回ユーロ圏財務相会
合は4月24日に予定されている。
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