5337.中東とギリシャで世界の構図が変化



中東では、トルコがISの逃げ場になっていると米報道機関がいう。
またイエメン情勢は、フーシ派が空爆を止めた段階で、サウジなど
と和平への話し合いを希望している。この和平交渉にオーマンが仲
介するようである。フーシ派は、欧米対する宣言活動をし始めて、
イエメン紛争は、国内の政権の変更を求めていることで、シーア派
とスンニ派の戦いではないと米PBSで述べている。

フーシ派の信仰は、シーア派の支流であるが、イランのシーア派と
は大きく違うという。

そして、サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物資源相は7日、原油相
場の安定および価格改善を支援する用意があると表明した。イエメ
ンでの戦費が必要になり、石油価格の上昇を図る必要が出てきたよ
うであるが、OPECだけではなく、米国の生産調整が必要というが、
米国は生産調整をしないはず。サウジが苦しくなってきた。

これは空爆を止めて、和平交渉に入ると見る。

ギリシャは、現状の国内改革案ではEUから融資を断られる公算が
大きいので、ロシアに資金援助をお願いする方向であるが、ロシア
も欧米の制裁で苦しいので、欧米メディアは、無理と言っている。

しかし、ロシアと中国が結託して、ギリシャを助ける可能性が高い。
中国は欧州との関係があるので、前面に立たずに、ロシアが援助し
たように見せる方向で、中国の関与が出てくることになる。欧米の
報道機関は、中国の思惑を読んでいない。

どうも、中東で3つに割れていることが影響して、世界も3つに割
る可能性があると思う。

1.トルコ、日本、米国、英国、フィリピンなど
2.サウジなど湾岸諸国、中国、パキスタン、EUなど
3.イラン、シリア、ロシア、インド、ベトナムなど

中東、中央アジア、南シナ海で、この3つが激突しているし、2つ
が激突しているのが、東欧、東シナ海、カシミールなどであり、3
つの同盟があるために、それぞれの地域で組み方が違うことになる。

そして、中東の軍事大国であるイスラエルが孤立している。

この配置で、戦争が起きる可能性があるのは、中東であることは間
違えない。

そして、米国も軍事費の減少を止めて、世界の秩序を回復する必要
があるというマケインが大統領選挙に出馬すると表明した。オバマ
の次は、世界秩序を回復する方向に米国が向かうことは確かのよう
である。

しかし、世界は基軸通貨を2つ持つようになり、中国と米国が経済
・軍事で激突することになりそうである。ロシアは最期のひもを引
く役割であるが、自国を大国と見ているので、中国と張り合いこと
になる。

覇権争奪戦という世界ゲームを、我々は見ているのである。

さあ、どうなりますか?

==============================
イエメン情勢:オマーン、仲介へ鍵握る 空爆不参加で存在感
毎日新聞 2015年04月08日 東京朝刊
 【カイロ秋山信一】サウジアラビアによるイエメンのイスラム教
シーア派武装組織フーシに対する空爆が続く中、両国と国境を接す
るオマーンが将来的な和平調停の鍵を握るとみられている。サウジ
などペルシャ湾岸諸国で作る湾岸協力会議(GCC)のメンバーの
中で、唯一空爆に参加していない。フーシの後ろ盾とされるイラン
とも友好関係を築くなど、独自の「善隣外交」を繰り広げるオマー
ンへの期待は大きい。
 「イエメンの人々を助けるためなら、オマーンは(サウジとフー
シの)双方を対話の席に導く役割をためらいなく果たす」。オマー
ンのアラウィ外務担当相は今月2日、ロイター通信のインタビュー
で和平仲介の意思を示した。サウジなどが3月26日に空爆を始め
るまで、オマーンは双方の間で「メッセージの伝達役」を担ってい
た。アラウィ氏は「双方とも話し合いの準備はまだできていない」
としながらも、対話による解決に意欲を見せた。
 イエメン情勢で中立的立場を取るオマーンは、サウジなどの空爆
に「理解」を示しつつも、外国への不干渉の立場を貫いた。一方、
フーシを支援するイランとは長年良好な関係を築いてきた。カブー
ス国王(スルタン)は1970年代にイランの支援を得て反体制武
装闘争を抑え込んで以来、同国との友好関係を保ってきた。
 イエメン情勢の背景にはスンニ派国家サウジとシーア派国家イラ
ンの宗派対立が見え隠れするが、オマーンでは両派と異なるイバー
ディ派が多数を占める。イラン核問題を巡る国際協議に絡み、昨年
11月に首都マスカットでケリー米国務長官とザリフ・イラン外相
との会談の場を設けるなど、外交の仲介役としての実績もある。
 オマーンにはイエメン各派の信頼感もある。フーシ政治局のアブ
ドルマリク・アグレイ氏は毎日新聞の電話取材に「オマーンは中立
な仲裁者だ。サウジが空爆をやめれば、オマーン主導の対話に応じ
る用意がある」と述べた。
 ペルシャ湾岸情勢に詳しい英シンクタンク、バーレーン研究所の
アッバス・ブサフワン所長は「他国に干渉しないオマーンは、アラ
ブ世界のスイスのような存在だ。サウジもイランも、オマーンが仲
介役になることを見越して接触しており、和平の動きにオマーンが
関与していく可能性は高い」と指摘した。
==============================
原油価格改善へ支援の用意、単独では行わず=サウジ石油相
2015年 04月 8日 07:10 JST
[リヤド 7日 ロイター] - サウジアラビアのヌアイミ石油鉱物
資源相は7日、原油相場の安定および価格改善を支援する用意があ
ると表明した。ただし、石油輸出国機構(OPEC)以外の生産国
が加わった場合に限るとも指摘した。
ヌアイミ石油相は経済関連の会議で「サウジは依然、市場の安定回
復および、妥当かつ適切なやり方で価格改善を支援する用意がある
と明確にしたいが、サウジや湾岸諸国、もしくはOPECだけが負
担しないよう、明確な原則と高い透明性に基づき、他の主要原油生
産、輸出国とともに行う」と述べた。
ヌアイミ石油相はこの数カ月、OPEC以外の主要輸出国との協力
に、より前向きな姿勢を取っている。エナジー・マネジメント・イ
ンスティチュートの上級パートナー、ドミニク・チリチェラ氏は、
同相が他の生産国との協調に言及したことについて「この2日の強
気相場を後押しする材料」との見方を示した。
ヌアイミ石油相はまた、サウジが米国のシェールオイル産業と競合
しておらず、サウジ自身がシェールのガス資源開発について検討す
る機会を設けているとの立場を改めて示した。
==============================
ギリシャ首相に国内から強い突き上げ、早期の解散総選挙観測も
2015年 04月 7日 13:09 JST
[アテネ 6日 ロイター] - ギリシャ債務問題でチプラス首相は
国内から激しい突き上げを受けている。資金枯渇が迫る中、国際債
権団には金融支援を得るために改革を約束するものの、国内の支持
基盤を損なうことなく大幅な譲歩を打ち出すのは困難な情勢で、危
険な綱渡りが続きそうだ。
首相の運命を左右するのは国内世論、首相率いる急進左派連合
(SYRIZA)の極左勢力、右派の連立パートナー。この3者の
一角でも離反すれば政権は崩壊する。
実際、急進左派連合の極左派閥ボスであるラファザニス氏(エネル
ギー相)はこのほど、1月の総選挙前に約束した反緊縮策から後退
すれば(政権の)自殺行為だと警告。さらに急進左派連合幹部によ
ると、同連合の議員149人のうち約30人は、2月20日にギリ
シャ政府が金融支援の延長でユーロ圏と合意した密室交渉を疑問視
していた。ただ、最終的には合意に反対したのは少数にとどまった
という。
改革案をめぐる国際債権団との協議の行き詰まりや、国内のあつれ
きを受けて、メディアからはチプラス首相が早期の解散総選挙、も
しくは債権団の要求に屈するのを回避するための国民投票に追い込
まれるとの観測も出ている。
今のところ、政権側はこうした計画を否定しているものの、今後に
関する国民的な議論も盛り上がりに欠けている。ただ、ユーロ圏や
国際通貨基金(IMF)からの2400億ユーロの支援プログラム
について、債務不履行するよう公に支持している向きは少ない。
78%の高い支持率を得る首相にとって世論を引き付けておくこと
は重要だ。先週の議会演説では、年金削減や大量解雇などの回避を
「レッドライン(越えてはならない一線)」と位置付け、改革に聖
域を設けるという対外強硬姿勢をみせた。
また、ギリシャの財務次官は6日、ナチス・ドイツによる占領でギ
リシャが受けた損害に対するドイツの賠償額は2790億ユーロ(
3051億7000万ドル)近くに上るとの見方を示した。
関係筋によると、ギリシャは国際債権団との交渉でも誰が責任者な
のか、また政府の立場も良くわからない混乱した対応に終始してい
るという。ギリシャ政府は否定するものの、内閣で主導権争いが起
きているとの憶測も強まっている。
国際債権団の一部は、ギリシャが破綻への道のりを歩んでいるとみ
ている。
==============================
ギリシャ首相はロシアに救いを見いだせない
2015.4.7(火)  Financial Times
(2015年4月6日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
 ギリシャの選択肢の幅は日ごとに狭まっているように見える。ギ
リシャ政府は今、何らかのプランBの一環としてロシアとの戦略的提
携を検討すべきなのだろうか? ギリシャのアレクシス・チプラス
首相がロシアのウラジーミル・プーチン大統領を訪ねる予定になっ
ている4月8日に、その答えが分かるかもしれない。
 チプラス首相はすべての外国の債権者と債券保有者に対してデフ
ォルト(債務不履行)し、ユーロ圏から離脱し、ギリシャの銀行シ
ステムの崩壊を防ぐためにロシア政府から短期資金を引き出したい
気持ちに駆られるかもしれない。
 その見返りに、チプラス氏はロシアに対する欧州連合(EU)の制
裁延長に拒否権を発動することを申し出ることができる。
 ギリシャ政府はまた、EUがロシア領土を迂回してカスピ海のガス
を利用することを期待しているアドリア海横断パイプラインをボイ
コットすることもできる。同パイプラインの最長区間(500キロ超)
はギリシャ領土を通過することになっている。

ロシアの資金力に限界
 状況がそれほど簡単であればいいのだが・・・。そのような合意
のロジックについて憶測が飛び交っているものの、筆者はいくつか
の理由から極めて懐疑的だ。
 第1に、プーチン氏は恐らくギリシャに十分な資金を融通できない
だろう。ロシア経済はひどい状態にある。世界銀行の直近のロシア
報告書によると、ロシア経済は今年、主に石油・ガス価格の下落の
せいで3.8%縮小する見通しだ。
 制裁は当初、あまり大きな影響を与えなかった。だが、制裁は事
実上、投資を消滅させ、引いてはそれが将来の成長を鈍らせること
になる。エネルギー価格の下落も制裁の威力を強めることになった。
 もちろん、ロシアの資金が底を尽きかけているわけではないが、
外貨準備は目に見えて減少している。資金の余裕が減れば減るほど
、ロシアは西側の制裁やさらなる経済的なショックに対して脆くな
る。
 ギリシャとしては、明らかに自国の経済危機の管理に専念する国
とどの程度関係したいのか考える必要がある。
 一方のロシアは、ユーロ圏諸国がギリシャ経済に何十億ユーロつ
ぎ込んだか知っている。ロシア政府は似たような損失を負担できる
立場にない。
 第2に、EUと個々の加盟国の関係は国際条約に基づいている。加盟
国は法的な権利を持っており、そうした権利を守るための独立した
裁判所を持つ。EU加盟国がロシアと2国間協定を結ぶ場合、単独で責
任を負うことになる。誰が決定権を持つのかについて、疑いの余地
はない。
 だから、そうした国はこう自問しなければならない。自分たちは
本当にプーチン氏に債権者になってほしいのか――と。
ロシアとEUが和解したらギリシャはどうなる?
 筆者はただ、ギリシャの財務相がロシアの財務省関係者を相手に
パワーポイントを使った例の講義を行ったら何が起きるか、その光
景を想像しようとしているだけだ。
 ギリシャ財務相がブリュッセルでこれをやる時は、聞いている人
は必至に礼儀を保とうとする。
 第3に、ロシアとEUの和解の可能性について考えてみてほしい。も
しかしたら、ウクライナを巡る将来の合意の後に和解が訪れるかも
しれない。そうなれば、制裁が解除され、関係は徐々に正常化して
いく。その時、ロシアとギリシャの新たな戦略的関係はどうなるだ
ろうか?
 そして最後に、EU内および、特に政府首脳から成る欧州理事会内
の政治的な力学を考えてみるといい。
二重の誤算の恐れ
 確かに、ギリシャ政府は制裁の更新に対して拒否権を持っている
。だが、ギリシャはEUの資金の受け手でもある。その観点から見る
と、完全に対立的な態度は財政的に裏目に出る。ギリシャがユーロ
圏から離脱し、ロシアと手を結んだ場合、EUがギリシャに補助金を
払い続けると思えるだろうか?
 では、チプラス氏はプーチン氏と何について話すべきなのか? 
 筆者が助言するのであれば、天気とスポーツの話題に終始し、そ
の後すぐに帰国し、一貫した経済戦略――ロシアに依存しない戦略
――の立案に取り組むべきだ。
 筆者自身が好むのは、移行期にギリシャを支える形で行われるユ
ーロ圏内でのギリシャのデフォルトだ。
 明らかに、二重の誤算が生じる危険がある。EUはグリグジット(
ギリシャのユーロ圏離脱)の政治的、経済的影響を過小評価するか
もしれない。また、ギリシャはロシアに頼るプランBのポテンシャル
を過大評価するかもしれない。双方が計算を誤った場合に生じる惨
事を避けるためには、真剣な経済外交が必要になるだろう。
By Wolfgang Munchau




コラム目次に戻る
トップページに戻る